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第五話 ポチ殿の悩み
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前回までのあらすじ
ペットショップからある日落語家に買い取られた三毛猫は、奇妙な一人一匹暮らしを始めた。仕事は指定された時間に毎朝主人を起こすこと。そんなある日、隣の家の犬、ポチ殿と仲良くなった猫は、彼の悩みを聞くこととなる…
「して、三毛猫殿は『ねこじゃらし』なる玩具をご主人様から授けられたわけだな。」
「さようなのですよ、ポチ殿。」
「実は、私の飼い主がまた困りものでしてね。」
「ほう?」
「最近『犬用シャンプー』『ドッグフード』などを通販サイトで注文するようになったのです。」
「なんと!?それは素晴らしいことではないか!ポチ殿も喜ばしいではないか!」
「はい。ただ、そのせいで私のご飯が貧相なものばかりになってしまっておりまして……。」
「ぬぅ……、それは気になるところだな。」
「そこで相談なのですが、通販のドッグフードの値段を教えてくれませんかな。」
なるほど、あまりに安いものを買われていては、ポチ殿が不憫でならぬ。これは一つ、骨を折ってやらねば。
「わかった。今度調べておく。」
「ありがとうございます、三毛猫殿。」
そんな感じで本日のおしゃべりは終わった。おっさんを昨日指定された6時に起こさなければ。
「にゃ~おっ!」
布団の上に飛び乗る。「ぐえっ!?なんだ、この重さは……。」
おっさんが目を覚ましたようだ。
「くそ、まだ眠いっていうのに……。」
おっさんは起き上がり、
「お前、重くなったかな…」
早速愚痴を漏らした。なんて失礼な態度だ。「にゃぁああ!!」
私は思いっきり叫んだ。
「な、何だよ、急に。」
おっさんは少しびっくりしている。
「にゃあ!」
「わかった、悪かったよ。起きるから許してくれ。」「にゃあ!」
私は満足げに鳴いてみせた。
「はい、着替えるからどいてくれ。」
おっさんはそう言って私を持ち上げる。そして、着替えて朝飯も食べずに仕事に行ってしまった。これで私は5日連続朝飯抜きだ。働いているのに。
「うむ、やはり人間は大変そうだなぁ……。」
そして、私はおっさんのパソコンを開いた。ポチ殿の餌について調べるためだ。「ふむ……。」
検索ワードを入れると、結構な量の商品が出てきた。どうやら、本当に色々なものが出ているらしい。確かポチ殿のものは…、
「おぉ!!」思わず叫んでしまう。あった!これに違いない!私はすぐに値段を見た。
「よし、案の定、安いな。」
おっさんのベッドの上でゴロゴロしながら私は呟いた。
「ポチ殿ー!お値段など分かりましたー!」
「それはありがたい!今すぐ伺いたいところだが、これから主人に散歩に連れていかれるので、しばしお待ちください!」
「なら私も外に出よう!」
「何から何まですまない!だが、どうかよろしくお願いいたします!」
ということでひと月ぶりに外に出た。
「うむ、久しぶりの外だな!今日もいい天気であるぞ!」
私は外に向かって言った。
ポチ殿が飼い主に連れられてこちらへ来る。すれ違いざまに教えてくれよう。
「ワンッ」
「にゃんっ」
これを動物語に直すと、
「いくらでしたか?」
「400円でした」
である。ドッグフードの400円は安い。私は確信を持って言える。
「安かったですね!」
「はい、やはりその程度でしたな…」
「いえ、これは栄養価が高く、ポチ殿を思ってのことだと思います。では、また何かあれば是非ご連絡を!」
「わかりました。」
ポチ殿は帰って行った。
しかし、それを知ったところで、彼はどうするのだろうか。それもまた見ものである。おっさんが帰ってくると、私はいつも通り玄関の前で待ち構えていた。
「にゃあ!」
「ああ……。」おっさんはため息をついた後、
「ただいま。」と言った。
「にゃん。」
「ほれ、やるよ。」と言っておっさんはキャットフードを取り出した。
「にゃ?」
「お前、さっき俺の布団で寝てただろ?その時、匂いがついちゃったんだよ。だから、今日はこれを食べてくれ。」
なんということだ。せっかくポチ殿のために情報を集めてきたのに……。
「まあ、いいや。」
文句を言ったくせに、おっさんはその布団で爆睡を始めたのだった。
ペットショップからある日落語家に買い取られた三毛猫は、奇妙な一人一匹暮らしを始めた。仕事は指定された時間に毎朝主人を起こすこと。そんなある日、隣の家の犬、ポチ殿と仲良くなった猫は、彼の悩みを聞くこととなる…
「して、三毛猫殿は『ねこじゃらし』なる玩具をご主人様から授けられたわけだな。」
「さようなのですよ、ポチ殿。」
「実は、私の飼い主がまた困りものでしてね。」
「ほう?」
「最近『犬用シャンプー』『ドッグフード』などを通販サイトで注文するようになったのです。」
「なんと!?それは素晴らしいことではないか!ポチ殿も喜ばしいではないか!」
「はい。ただ、そのせいで私のご飯が貧相なものばかりになってしまっておりまして……。」
「ぬぅ……、それは気になるところだな。」
「そこで相談なのですが、通販のドッグフードの値段を教えてくれませんかな。」
なるほど、あまりに安いものを買われていては、ポチ殿が不憫でならぬ。これは一つ、骨を折ってやらねば。
「わかった。今度調べておく。」
「ありがとうございます、三毛猫殿。」
そんな感じで本日のおしゃべりは終わった。おっさんを昨日指定された6時に起こさなければ。
「にゃ~おっ!」
布団の上に飛び乗る。「ぐえっ!?なんだ、この重さは……。」
おっさんが目を覚ましたようだ。
「くそ、まだ眠いっていうのに……。」
おっさんは起き上がり、
「お前、重くなったかな…」
早速愚痴を漏らした。なんて失礼な態度だ。「にゃぁああ!!」
私は思いっきり叫んだ。
「な、何だよ、急に。」
おっさんは少しびっくりしている。
「にゃあ!」
「わかった、悪かったよ。起きるから許してくれ。」「にゃあ!」
私は満足げに鳴いてみせた。
「はい、着替えるからどいてくれ。」
おっさんはそう言って私を持ち上げる。そして、着替えて朝飯も食べずに仕事に行ってしまった。これで私は5日連続朝飯抜きだ。働いているのに。
「うむ、やはり人間は大変そうだなぁ……。」
そして、私はおっさんのパソコンを開いた。ポチ殿の餌について調べるためだ。「ふむ……。」
検索ワードを入れると、結構な量の商品が出てきた。どうやら、本当に色々なものが出ているらしい。確かポチ殿のものは…、
「おぉ!!」思わず叫んでしまう。あった!これに違いない!私はすぐに値段を見た。
「よし、案の定、安いな。」
おっさんのベッドの上でゴロゴロしながら私は呟いた。
「ポチ殿ー!お値段など分かりましたー!」
「それはありがたい!今すぐ伺いたいところだが、これから主人に散歩に連れていかれるので、しばしお待ちください!」
「なら私も外に出よう!」
「何から何まですまない!だが、どうかよろしくお願いいたします!」
ということでひと月ぶりに外に出た。
「うむ、久しぶりの外だな!今日もいい天気であるぞ!」
私は外に向かって言った。
ポチ殿が飼い主に連れられてこちらへ来る。すれ違いざまに教えてくれよう。
「ワンッ」
「にゃんっ」
これを動物語に直すと、
「いくらでしたか?」
「400円でした」
である。ドッグフードの400円は安い。私は確信を持って言える。
「安かったですね!」
「はい、やはりその程度でしたな…」
「いえ、これは栄養価が高く、ポチ殿を思ってのことだと思います。では、また何かあれば是非ご連絡を!」
「わかりました。」
ポチ殿は帰って行った。
しかし、それを知ったところで、彼はどうするのだろうか。それもまた見ものである。おっさんが帰ってくると、私はいつも通り玄関の前で待ち構えていた。
「にゃあ!」
「ああ……。」おっさんはため息をついた後、
「ただいま。」と言った。
「にゃん。」
「ほれ、やるよ。」と言っておっさんはキャットフードを取り出した。
「にゃ?」
「お前、さっき俺の布団で寝てただろ?その時、匂いがついちゃったんだよ。だから、今日はこれを食べてくれ。」
なんということだ。せっかくポチ殿のために情報を集めてきたのに……。
「まあ、いいや。」
文句を言ったくせに、おっさんはその布団で爆睡を始めたのだった。
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おっさんは地味に面白い系ですね
天然で面白い人です
退会済ユーザのコメントです
彼も悩みながら生きているのでしょう
紳士な猫ってもっと色々出てきていいと思います!
もうこの猫設定は全然使ってもらってOkですから(軽い)