夢の中ではハーレムだ…

サドラ

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夢の中ではハーレムだ…

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僕は高校一年生、名前は佐藤海斗。
この春から通っている私立桜ヶ丘学園の1年2組に通ってる。
そして今は授業中。
僕の席は窓際の一番後ろで、隣には誰もいない。
いつものようにぼーっと外を眺めていた。すると突然、教室の中が騒がしくなった。
何事かと思い周りを見てみると、隣のクラスの女子生徒がこちらに向かって歩いてきているところだった。
その女子生徒はとても可愛らしくて、肩まで伸びた艶やかな黒髪と、パッチリとした大きな瞳が特徴の美少女だ。
彼女は僕の一つ前の席に座っていた女の子と話し始めた。
(誰だろう?)
そう思いながら彼女を見ていると、二人は楽しげに話している。
そんな二人の様子を見ていて、あることに気づいた。
(あれ?あの子どこかで見たことあるような……)
そう思った瞬間、彼女の正体に気付いた。
(あぁ!そうだ!昨日テレビでやってたアイドルの子だ!えっ!?なんでこんなところにいるんだろう?)
僕は驚いて目を見開き、彼女たちのことを見た。
「ねぇねぇ、あなたってさっきテレビに出てた人じゃない?」
一人の男子生徒が彼女に話しかけた。
「はい、そうですけど……」
「やっぱり!すげぇ可愛いね!」
「ありがとうございます」
そうか、入学したばかりだから知らなかったけれど、学年にアイドルやっている子がいるのか。彼女も大変だよな。学校生活に芸能活動なんて……。
ん?ちょっと待てよ? 確か彼女は今人気急上昇中のアイドルグループに所属しているんじゃなかったか? 
俄然やる気が出た。毎日学校に来よう。それにしても本当に綺麗だな。芸能人オーラがすごい。
何だかんだ言って僕はその子に惚れてしまった…
そんなことを考えているうちにチャイムが鳴った。先生が来たのだ。
授業は退屈だった。しかし彼女がいるおかげで少しだけ楽しい気分になれた。
お昼休みになった。
みんな購買に行ったり食堂に行ったりする。
僕はというと弁当を持ってきているのでいつも通り一人で食べようと席を立つ。
その時ふと思った。
(まだ彼女と話をしていない……)
気になって彼女を見ると、彼女は一人机の上で寝ていた。
(かわいい……)
思わず見惚れてしまった。起こすかどうか迷ったが、せっかく気持ち良さそうに寝てるので起こさないことにした。
その夜、僕の夢に奇妙なことが起こる。
舞台は平原。どこかは分からない。ただ遠くの方に見える大きな城らしき建物と広大な草原だけが視界に広がる世界だ。
そこに僕ともう一人の人物がいた。背丈からしておそらく中学生くらいだろうか。顔はよく見えないが少女であるということは分かる。
(ここはどこなんだ?どうしてここに?)
少女がこちらを見る。これは…今日見たアイドルをやっている同級生じゃないか。まさかこんなところで会えるとは思わなかった。夢の中とはいえ嬉しいことだ。
少女が口を開く。
「やっと見つけましたわ!海斗様!」…………え?いまこいつ何て言った?
「私の名前は九条院美姫。みんな待ってるわ!」……は?何言ってんだよこいつは?
「おい、お前いきなり何を言っているんだ?」
「もう時間がないのです!早く行きましょう!」
「行くってどこにだよ?」
「お館!」
夢の中って凄いな。こんなにもハッキリ喋れるものなのか。それとも俺の夢がおかしいのか?まぁどっちでもいっか。とりあえず目の前の少女についていくことにする。しばらく歩くと城の門が見えてきた。その門の前には二人の兵士が立っている。
「止まれ!ここから先は我らの聖域であるぞ!貴様らのような下賤なものが立ち入っていい場所ではない!!」
兵士の一人が叫ぶ。
「無礼者!このお方はこの国の王子であられるぞ!」
九条院さんが言う。このお方って俺?っていうか夢の中だと一人称変わっているんだが。
「なんと!失礼致しました!どうかご容赦くださいませ!」
「よい、許す」
「ありがたき幸せ」……なんか偉そうな口調になっているんだが。俺はこんなキャラじゃないはずなのに。
そんなことを思いながら、三人で城内へと入っていく。
長い廊下を歩いて階段を上がり、そして扉を開けるとそこには大勢の人が集まっていた。全員女だ。
あれは学年の美少女…あの人はテレビによく出ているアイドル……あの人も……あの子も……
「海斗様!皆あなたの帰りを待っております!」
「いや、だから俺は佐藤海斗であって……」
「さぁ!行きましょう!私の愛しい人よ!」
もはやハーレムではないか…こうして僕は、目が覚めるまでずっと女の子に囲まれていた。
朝起きてもまだ頭はぼーっとしていた。昨日見た夢を思い出す。
(なんだったんだろうな、あれは……)
そんなことを考えながら登校の準備をする。
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