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10.断罪劇の裏側
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【★最終話14000文字と長いのでスマホユーザー様が読まれる際は腕を痛めぬように……★】
王族専用のテラス付きの部屋に到着した二人は、部屋で待機していた侍女二名に同じく王族専用のプライベートガーデンが見渡せるテラスに案内された。するとそこには仲睦まじく手を繋ぎ、庭園内の散歩を楽しむオレリアとエセルフリス達の姿が目に入る。
「あら? 今日はオレリアが登城しているのですね?」
「今日『は』ではなく、今日『も』だがな……」
「まぁ! エセルはそんなにここ最近オレリアを登城させているのですか?」
「ロクサーヌの話だと、長期間掛かっていた魅了魔法の弊害らしい。だが、エセルよりもフリッツ伯爵令息の方が酷いらしいが……」
「確かに」
そんな会話をしていると、侍女が二人の前に香りの良い紅茶と、エスティーナの前だけに繊細な飾りが施されたチョコレートケーキを差し出した。
それを確認した国王アルベルトはサッと右手をあげ、現在室内にいる全ての使用人達に対し口を開く。
「今からエスティーナと二人だけで話したい事がある。皆、席を外してくれ。もちろん、『影』もだ」
「「「かしこまりました」」」
アルベルトの指示に侍女二名と、どこからか分からないが男性一名が声だけ返事を返してきた。そして侍女二名が退室るすと、国王夫妻以外の人の気配は一切なくなる。
その瞬間、王妃エスティーナが勢いよくテーブルに突っ伏し、呻き始めた。
「ううー……。まさか『恋まほ』のヒロインの愛され設定が、魅了魔法の影響だったなんて、本当にショック過ぎるぅー……」
その妻の嘆きを聞いたアルベルトが苦笑する。
「まだ、それ言ってんのか? そういえばフェシリーナもヒナと同じ事を言っていたらしいな……。でもまぁ、現実であんな動きをする女がいたら、魅了魔法でも発動させない限り、複数の男性に同時に好かれるなんて無理だろう? あれは確実にビッチ女の行動だ」
「いや、そうなんだけど……。ゲームをプレイしている時は、そこまで違和感はなかったんだよねー。何よりも『恋まほ』のキャラデザって、あの神絵師のぽん子さんだったでしょ? もうそれでだけでヒロインが可愛くて、何でも許せちゃうって感じだったんだよー……」
「でも結果、この世界では、その愛され設定は魅了魔法だったと」
「うん……」
力なく返事をした『ヒナ』と呼ばれたエスティーナは、自分の目の前に出されていた紅茶を口にする。先程フェシリーナと接していた時に比べると、別人と言ってもいい程、口調は砕け、行儀悪く両肘をテーブルに突きながら両手でカップを持ち紅茶を飲んでいる。
「まぁ、こっちもまさかこの一年間、散々調査していた魅了効果らしき原因をたまたま断罪イベントの現場を目にした長男の未来の嫁が、何となく気付いてくれた事で発覚するとは、夢にも思わなかったけどなー」
「本当にねぇー。もうロクサーヌたん様様だよー」
対して国王であるアルベルトまでもが行儀悪く片肘をテーブルにつき、頬杖を突き始める。
「そういえばロクサーヌに関して、ちょっと気になっているんだが……。お前、『恋まほ』の男性版のシナリオが、この世界で開始される前に勝手に自分のお気に入りヒロインと息子を婚約させただろ? あれって女性版の方で何か影響とかはなかったのか?」
「いや、それが……。今思うとあったと思う」
「はぁ!? 何だよ、それ! あっ、もしかして今回マリーベルが暴走してたのって、まさかその事が影響してたんじゃ……」
「うん。多分そう……」
「お前なー。だから勝手にゲームのシナリオを無視するなと、あれ程言ったのに……」
呆れ気味で妻に小言を言う国王アルベルトは、エスティーナの前のチョコレートケーキを自分の方に引き寄せようと手を伸ばした。しかし、それをエスティーナは素早く躱すように皿ごと自分の方へ引き寄せる。
「じゃあ、ハル君は『恋まほ』の男性版をプレイした事があるの!? あれ、本当に酷かったんだよ!? うちの可愛いアレス君が、もう女を取っかえ引っかえ弄んで、最後は自分のお気に入りの女の子と結ばれる癖にその後は、他のヒロイン候補だった子とも関係を続けて、性欲ハーレム状態になるんだから!!」
「それ……ある意味ガールズ版の『恋まほ』も一緒じゃないか?」
「一緒じゃないよ!! ガールズ版は全年齢対象の乙女ゲームだもの! 完全なる健全ゲームで、キスシーンすらなかったよ!! でもボーイズ版は、ギャルゲー要素が強い18禁ゲームだったんだよ!? いくらガールズ版に続き、神絵師のぽん子さんのキャラデザだったとは言え、あれはないわー……。しかもヒロイン候補達を片っ端から食い物にする男性主人公が、うちの可愛いアレス君だなんて、母としては絶対に許せない!!」
そう言って、両拳をテーブルに叩きつけた『ヒナ』ことエスティーナは、再びテーブルに突っ伏した。そんな様子に苦笑を浮かべた『ハル』と呼ばれたアルベルトが、まるで慰めるようにポンポンとエスティーナの頭を軽く叩く。
この世界では聞き慣れない単語を多発させているこの二人は、フェシリーナ同様、以前『日本』という国で暮らしていた異世界人としての記憶を持っている。
30代半ばの銀髪の美しい王妃エスティーナは、前世では『三上日菜子』という名前でOLをしていた26歳の女性だった。
対して高貴な雰囲気を漂わせているプラチナブロンドのアルベルトは、前世では『川島春貴』という名で、グラフィックデザイナーの仕事をしていた。
そんな彼は、この世界の元ネタもよく知らない状態なのに後にこの国の王となる王太子アルベルトとして、この世界で生を受けてしまったのだ。
そんな二人はこの世界に誕生した際、前世の記憶など一切なく、13歳の時にたまたま縁談をしていた時、二人同時に突如雷にでも打たれたかのように脳内に前世の記憶が大量に流れ込んできたのだ。
その際に『ヒナ』ことエスティーナが発した「うそ……。もうすぐハル君と結婚するはずだったのに……。私達、死んじゃったの!?」という言葉で、お互いが前世では、結婚間近の恋人同士だったという事が発覚。
前世の二人は中学からの同級生で、二週間後に控えていた挙式で着る最終衣裳チェックの為、ブライダルサロンに車で向っている最中に居眠り運転の大型トラックに衝突されてしまい、そのまま二人揃って帰らぬ人となってしまったらしい。事故直後の記憶が一切ない二人は、恐らく即死だったのだろう……。
そんな二人を不憫に思ったのか、どうやら神は二人を『ヒナ』が夢中だった事故直前まで車の中でプレイしていた『恋の魔法にかかりませんか?☆』という携帯用アプリゲーム、通称『恋まほ』の世界に転生させてくれたらしい。
『恋まほ』は、早くに母を亡くし、14歳まで平民として暮らしていた少女が、父が病に倒れた事を切っ掛けに実は子爵家の血が流れている事が発覚し、16歳から18歳まで王侯貴族の子女達が通う王立アカデミーに入学する事になるという展開で始まる女性向け恋愛シミュレーションゲーム……すなわち乙女ゲームである。
内容としては同学年の第二王子と、その側近候補の令息三名と関係醸成を図り、恋愛と学園生活を楽しむスタンスのゲームだ。
しかし、非課金状態でも楽しめるアプリゲームだった為、かなり大雑把な展開でシナリオが進む。だが、その分サクサクと進められる事と、キャラクターデザインが大人気のイラストレーターが担当した事で、密かに人気を博したアプリゲームだ。
そのゲームの世界に『ハル』ことアルベルトは、『恋まほ』の舞台である国の王太子として、『ヒナ』ことエスティーナは、侯爵令嬢として転生させられていた。だが、その事にエスティーナ達が気付いたのは、前世の記憶が蘇ってから7年後の長男アレステイが誕生して半年後だった。
そんな二人は13歳までは、ごく普通の一般的な王太子と、ごく普通の一般的な侯爵令嬢としての教育を受けて成長し、その後の運命の縁談の日に顔合わせをした事で、二人同時に前世の記憶が一気に蘇ったのである。
その瞬間、二人は前世での未練をこの世界で達成させようと、早々に婚約を交わし、成人すると同時にさっさと式を挙げた。そして二人は、長男アレステイという玉のように美しい男の子を授かったのだ。
異世界とはいえ、前世では体験する事が出来なかった夫婦としての幸福な時間を得られた事に二人は盛大に喜び、そして神に感謝した。
しかし生後半年のアレステイを抱いていたエスティーナは、その光景にある既視感を抱く。何故か幼い息子の姿から彼の成長した姿をはっきりと想像出来てしまったのだ。しかもご丁寧にその想像した姿は、3パターンもあった。
どの姿でもベースは、現在のアレステイの色合いと面影があるのだが、一つ目は女性を手玉に取っていそうなホストのような見た目、二つ目が正統派の王子様のような見た目、三つ目が反抗期真っ盛りというようなつっぱった感じの見た目だった。中でもやけに正統派王子のような姿は、はっきりと想像が出来た上に不思議と声までも前世で大人気だった声優の声のイメージまであった。
そこでエスティーナは、やっとある事に気付づく。
ここは前世で自分が夢中になってプレイしていた『恋の魔法にかかりませんか?☆』のアプリゲームの世界である事に……。
確かに言われてみれば、城内の通路の雰囲気や、使われている食器や家具などは『恋まほ』のゲームスチルで見た事があるデザインの物ばかりだった。
だが、同時に実は長男のアレステイの成長後が、大変な展開になる事にも気付いてしまう……。
『恋の魔法にかかりませんか?☆』は、元々は女性専用の乙女ゲームなのだが、キャラクターデザインを担当したぽん子というイラストレーターが大人気だった為、男性版が熱望され、後に『恋の魔法にかかってみないか?☆』という形でも配信されたのだ。
しかし……この男性版、女性版『恋まほ』の隣国が舞台なのだが、恋愛シミュレーションというよりも、ガッツリ18禁のギャルゲー要素が強いゲームとして製作されてしまう……。
その結果、男性ユーザーからは絶大な支持を得たが、女性ユーザーが大激怒。
後に男性版でも全年齢対象のバージョンが配信されるのだが、『ヒナ』だった頃のエスティーナは、その配信前に命を落とした為、18禁の方しかプレイをしていない。だが、その内容は女性ユーザーにとっては、何とも受け入れ難い男性特化型のハーレム展開ばかりだったのだ……。
そして二人の長男である王太子アレステイは、なんとこの男性版『恋まほ』の主人公だったのだ……。『恋まほ』は、どちらのバージョンでも主人公の容姿や口調、そしてボイスサンプルが三つ用意されており、髪の色や目の色も7色ほどから選べたので、それぞれ好きな見た目と色合いの組み合わせでカスタマイズが出来た。名前も自由に付けられたので、オリジナル主人公を作れるという部分でも人気があったのだ。
だが、それではアレステイが男性版『恋まほ』の主人公だという事には、すぐには気付けない……。
しかし前世の『ヒナ』ことエスティーナは、課金に手を出してしまうほど『恋まほ』が好きだった為、女性版『恋まほ』の公式ヒーローであるエセルフリスの兄が隣国に留学している設定と、男性版『恋まほ』の男性主人公が隣国の王太子である設定から、この二人が同一人物である事に気付いたのだ。
もはや前世の母のヲタク魂の無駄遣いによって、長男アレステイにクズ男ルートがある事が発覚し、その母によってそのルートは回避されたのである……。
しかし、その事で女性版『恋まほ』のシナリオに大きな歪みが生じたらしい。
「それで? ロクサーヌが早々にアレスの婚約者になった事で、どういう弊害が出たんだ?」
「うーん、これはあくまでも私の推測なんだけれど……この国って隣国と違って魔法が使えない人間が殆どだから、国民の魔法耐性も物凄く低いでしょ? その中でも特に魔法耐性が低い人がいるみたいなんだよね」
「そうなのか?」
「私もよく分からないけれど、多分……。で、その著しく魔法耐性が低い人物が……マリーベルの婚約者であるフリッツ君だと思う」
「その根拠は?」
「女性版『恋まほ』で、一番落としやすい攻略対象キャラな上に、今回他三名の攻略対象と違って一番酷い症状で魅了魔法への拒絶反応が出ていたから」
その妻の推測を聞いた夫が、不思議そうに首を傾げる。
「いやいやいや。それ、おかしいだろう!! 魔法耐性が低いから、ゲーム内で真っ先にヒロインに落ちやすいキャラなんだろ!? なら今回、真っ先に拒絶反応を露わにしていた状況については、真逆な結果になっていないか!?」
「いやー……。そうでもないんだよね……。なんせその結果を招いたのが、私が早々にアレス君の婚約者として、この国に招いてしまったロクサーヌたんが、原因の可能性が高いから……」
「どういう事だ?」
矛盾しているような妻の推察を聞いた夫が、更に不思議そうに首を傾げる。
「ロクサーヌたんって、伯爵令嬢であると同時に隣国の教会関係の幹部の姪っていう設定があってね? 男性版『恋まほ』のゲーム内でも浄化や回復魔法を使うシーンとかあるんだけど、実はかなりの広範囲で精神異常系魔法を和らげる結界なんかも使えちゃったりするんだわー」
「ほぉ?」
「でね、実は……アレス君の婚約者として、この国で暮らすようになったロクサーヌたんに私はこっそり、その結界を王都周辺だけでいいから張って欲しいとお願いしていてね? その範囲に王立アカデミーも入っていて……」
何やら後ろめたそうな言い方してきた妻に夫が白い目を向ける。
「…………国王である俺に内緒でか?」
「だって! ハル君がロクサーヌたんのその広範囲結界能力を知ったら、アレス君と一緒に国内の色々な場所に二人を頻繁に派遣しそうで嫌だったんだもん!」
「『だもん!』じゃない! 当たり前だ!! 国王として、未来の息子の嫁予定の令嬢が、そんなありがたい能力を持っていたら、利用するに決まってんだろ!! というか……何でその事を俺に隠してしてたんだよ!!」
「だって……アレス君とセットでロクサーヌたんを派遣されたら、生で見られる二人のラブシーンスチル映像をかなり見逃してしまうかと思って……」
「お前な……。ここはゲームの世界設定だけど、実際のゲームそのままの世界じゃないんだぞ? そんなシーン見たって、スチルみたいにそのシーンは保存出来ないんだからな!」
「そんなの分かってるよ!! だから私の心の眼に焼き付けようと……」
「18禁ゲームの主人公である息子のラブシーンのスチルを目に焼き付けてどうすんだよ!! お前は痴女か!? 痴女なのか!?」
「ここは健全ゲームの女性版『恋まほ』の国ですぅー! 18禁ラブシーンなんて、早々に発生しませんー!」
すでに30代後半な上、どこからどう見ても品位ある貴婦人にしか見えない容姿の妻が放つ幼稚な反応に夫が、盛大に呆れ返る。
「何を根拠にそう言い切れるんだよ……。それで? そのロクサーヌの結界が、フリッツにどう影響したんだ?」
「多分、魔法耐性が極端に低いフリッツ君は、ロクサーヌたんの結界魔法の効果をかなり受けたんだと思う。その影響でフェシリーナの魅了魔法が、他の三名と比べて掛かりにくくなっていたんじゃないかな? そんなフリッツ君に対してフェシリーナは、好感度がなかなか上がらないと何度も差し入れなどをして、過剰に接触してしまった……。フェシリーナが攻略しようとしていたエセル君は、側近候補三名の好感度をそれなりに上げないと落とせないキャラだからねー……」
そこまで語ったエスティーナは、一度喉を潤す為に紅茶を口にした。ついでに先程、夫から死守したチョコレートケーキも一口堪能した後、再び語り始める。
「で、その結果……本来のゲーム展開では、フリッツ君の方から徐々にヒロインに惹かれて行く展開だったのに、今回はフェシリーナがフリッツ君に猛アタックして彼が心変わりをしたように見える展開になってしまい、激怒したマリーベルが暴走してしまったんだと思う……。本来のフリッツ君ルートだと、勝手に心変わりをしてしまったフリッツ君を奪い返そうと、マリーベルがマナー勝負をヒロインに言い出して、その三択クイズに8割くらい正解すると、主人公の事を認める形でマリーベルが身を引くという展開だったから……」
その妻の推測に夫が顎に手を添えながら、納得する。
「なるほど。でも今回のようにヒロインから過剰にフリッツに接触を図ってしまうと、どう見てもフェシリーナが、フリッツを略奪しようと猛アタックしていたようにしか見えないもんな……。それじゃ、エセル達が急に泣き出した状況もロクサーヌの結界が作用して、魅了魔法が弱まっていたからか?」
質問しながら、アルベルトがこっそりとチョコレートケーキの皿を自分の方に引き寄せようとしたが、それを再びエスティーナが阻止する。
「本人達が抗っていた部分もあるけれど、その可能性は高いかなー。本来のエセル君ルートだと、あの断罪劇が攻略イベントの要だからねー。あの断罪イベントで、ヒロインに対する嫌がらせ行為をエセル君が読み上げている時に実際にオレリアが行った事と、他の人間が行った嫌がらせをヒロインが見極めて訂正するって流れの攻略イベントなの。今回、影からの報告で、断罪劇中にフェシリーナが長手袋を何度か下げていたという報告があったのだけれど、恐らく彼女は断罪劇中に訂正するべき内容を腕に書いて、カンペを用意していたんだと思う。本来のエセル君ルートは、その断罪劇をヒロインが正確に訂正する事で、オレリアの冤罪が減るんだけど、結局二人は婚約を解消してしまうんだよね……。でも断罪イベントで全て正確な訂正の仕方をすると、断罪イベントの後日、自分から身を引く形でオレリアの方からエセル君に婚約解消を言い出す展開になって、エンディングの結婚式スチルにオレリアが招待客として登場するっていうオマケ要素があったの。そのオレリアの衣裳が、すんごくカワイイんだー。フェシリーナも相当『恋まほ』をやり込んでそうだったから多分それを狙って、今回卒業式での婚約解消宣言を阻止したかったんだと思う」
そこまで長々と語り切ったエスティーナは、再び紅茶を口にする。
その隙にアルベルトが、こっそりとチョコレートケーキを自分の方に引き寄せながら、今回の状況を短くまとめた。
「よーするにマリーベルが大暴走した所為で、断罪イベントが滅茶苦茶になって、エセルの攻略ルート自体が消えてしまったと……。そもそもここはゲームの世界であっても、その登場人物達はここでは感情を持った一人の人間だという事がフェシリーナの中で、すっぽりと抜け落ちてしまっていたんだろうなー……」
「さっき話した時に本人もそう言ってて、凄く反省してた……。だから本当は、フェシリーナの方も、うちのアレス君の時みたいにゲームのシナリオが始まる前に何とかしたかったんだけどねー……」
「そうだなー。だが今回、前世で人気要素だったヒロインの容姿を多少カスタマイズ出来る仕様だった事が仇になった感じだな……。これじゃ、王家の権力を駆使しても、どこの子爵令嬢がヒロインなのか見つけ出す事なんて不可能だろ……。しかもアレスの時と違って、ノーヒントだし」
そう言って二人は、盛大にため息をつく。
実は『恋まほ』のヒロイン対策に関しては、一年前どころかエセルフリス達が14歳の頃から、何か対策が出来ないかと二人は奮闘していたのだ……。
しかし、ゲームの人気要素だったヒロインをオリジナルでカスタマイズ出来る機能がヒロイン捜索を難航させ、しかも男性版主人公のアレステイの時のようにヒント的な要素も一切なかった為、結局ヒロインを見つけ出す事が出来ずにゲームシナリオが開始してしまったのだ……。
ヒロインが誰か発覚するのは、最初に起こる雛鳥を巣に戻そうとしてエセルフリスと出会うイベントの時である。
もちろん、エスティーナ達も鳥の巣を別の場所に移動させたり、それらしき令嬢がエセルフリスと出会う事を阻止させる為、現場に王家の影を何人も配置させていたりと、かなり対策を取っていたのだが……。
恐ろしい程のゲームの強制力がかかり、撤去した鳥の巣は目を離すとすぐに元に戻され、しかも二人の出会いを阻止する要員だった王家の影達は、タイミングよく学園内で暴力事件が発生したという誤情報が出回ってしまった事で一瞬だけ持ち場を離れてしまう。
結果、二人の出会いイベントが発生してしまい、女性版『恋まほ』のゲームシナリオが開始されてしまったのだ。
その瞬間、エセルフリス達は、ゲームのシナリオに乗っ取った動きを何かに操られるように自ら行うようになり、今回のような婚約者を蔑ろにする行動を繰り返し始めた……。
しかも間の悪い事に今回魅了魔法を見抜いたロクサーヌは、フェシリーナが王立アカデミーに入学する一年前に国の決まりで、自国の魔法学園に三年間通う為、婚約者のアレステイと共に隣国に留学してしまう。
ちなみにこれが男性版『恋まほ』のシナリオの舞台だったのだが……。
すでにロクサーヌと婚約をしていたアレステイには、ゲームシナリオが発生しなかった。何故なら彼に近づいて来る攻略対象の女性キャラをロクサーヌが、片っ端から解呪魔法で無双し、全員撃退していたからだ。
つまり……この国の王太子アレステイも、フェシリーナ同様に魅了魔法保持者なのである。
その事をエスティーナ達が知ったのは、二週間前の断罪劇未遂事件後だった。すなわち、断罪劇中にロクサーヌがフェシリーナの魅了魔法に気付いた直後だ……。
それまでの三年間、二人はフェシリーナが何か薬物的な物を使って、エセルフリス達に魅了を掛けていると考え、彼ら全員の食事や生活環境にそれらしき異物の存在がないかを徹底的に影達を使って調べさせていた。
しかし、調査は難航……。
エセルフリス達は、ゲームのシナリオ通り着々とヒロインに攻略されていく展開を見せ、ついにはエセルフリス攻略の最大の要である卒業パーティーの断罪イベント発生まで到達してしまったのだ。
しかもその際、エスティーナ達は今回の卒業生の有力貴族の子女のあざとい両親達数組に関係醸成目的で捕まり、別室で食事会を強いられるという、いかにもゲームの強制力に妨害されている状況に陥り、断罪劇を止めに入る事が出来なかった……。
だがその時、たまたまアレステイと帰国したばかりのロクサーヌが、会場内で断罪劇を繰り広げているエセルフリス達を目にし、その際ロクサーヌがある事に気付いて一言、呟いたのだ。
「まぁ! 珍しい! アレス様と同じ魅了魔法保持者の方がおりますわ!」
その瞬間、隣にいたアレステイは、初めて自身が魅了魔法保持者だったという事を知り、顔面蒼白になりながら近くにいた影に両親に報告するよう指示。
そして大慌てでロクサーヌを引き連れて会場に突撃したのが、あのロクサーヌによる魅了魔法解呪の救済展開までの流れである。
それまでは300年以上も魅了魔法保持者が現れなかった背景もあり、エセルフリス達の魅了状態を引き起こしている可能性の一つに、魅了魔法という存在もあるという考えに二人は至れなかったのだ……。
ちなみに王太子のアレステイが魅了魔法保持者という事は、厳しい緘口令が敷かれ、けして公表しない方向で黙認する事をエスティーナ達は選んだ……。何故ならロクサーヌがアレステイの隣にいる限り、その魅了魔法は発動する事がないからだ。
そんな三年にも渡る息子の魅了状態の調査に大苦戦していた国王夫妻だが、まさか解決を担うキーパーソンが、偶然王妃が選んだ長男の未来の嫁であったという灯台下暗しな結果に終わった為、大分無駄に空回りしてしまった状態である……。
だが、もしアレステイの婚約者にロクサーヌ以外の女性を選んでいたら……エセルフリス達は、最愛の婚約者達と引き裂かれる運命から逃れる事は出来なかっただろう。
今回はたまたま前世の『ヒナ』ことエスティーナが、長男のクズ男ルート回避の為に前世でプレイしていた男性版『恋まほ』で唯一気に入っていたヒロインの一人であるロクサーヌを早々に息子の婚約者にした事で、奇跡的にエセルフリス達の未来を守る事が出来たという感じだ。
ちなみに『ヒナ』ことエスティーナが、ロクサーヌの事を気に入っていた理由が『胸のサイズが普通』、『露出が少ない服装』、『聖女設定と二人の身長差が萌え』という理由だったらしい。
今回ほど『ハル』ことアルベルトは、前世の妻がガチヲタ勢であった事に感謝した事はなかった……。
そんな両親が陰で奮闘してくれていた事など知らないエセルフリスは、テラスから見渡せる王族専用のプライベートガーデンで、いつの間にか侍女達にお茶の支度をさせ、オレリアと二人で楽しそうにお茶に興じている……。
その人騒がせな次男の様子を先程エスティーナから、こっそり奪ったチョコレートケーキを口にしながら眺めていたアルベルトが、おもむろに愚痴る。
「親の心子知らずとは、まさにこの事だな……」
「そうだね……。エセル君、ある意味大物なんじゃない?」
「優秀なのはアレスの方だぞ?」
「いや、肝の据わり具合はエセル君の方が上でしょ……」
そう言って、幸せそうに自身の婚約者と過ごしている次男に二人が白い目を向けていると、突然部屋の扉がノックされた。
その瞬間、二人はピンと姿勢を正し、アルベルトは口にしていたチョコレートケーキの皿をエスティーナの方へ滑らせた。そして軽く咳払いをした後、先程とは打って変わった威厳のある声で入室を許可する。
「入れ」
「失礼致します」
入室して来たのは、先程フェシリーナを連れ出した女性監視官だった。
「ご歓談中のところ大変申し訳ございません。実は先程リードヴェルト殿下より、フェシリーナ様を隣国にて保護する件で、陛下にもお話に参加して頂きたいとのお言付けを頂きまして……。恐れ入りますが、お手すきになりましたらご足労頂けますでしょうか?」
すると、アルベルトは胸ポケットの中の懐中時計で時間を確認した。
「分かった。あと10分ほどしたら伺わせてもらうとリードヴェルト王子に伝えてくれ。ちなみに妻を同伴させても構わないか?」
「恐らく問題はないかと……」
「ならば10分後に妻と二人で伺うと伝えてくれ」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
二人がプライベートな時間を過ごしている事を察した女性監視官は、速やかに退出していった。
その事を確認したアルベルトが、先程エスティーナの方へやったケーキを自分の方へ引き寄せ、再び口に運び出す。そんな夫に妻エスティーナは、呆れ気味な表情で視線を送る。
「ハル君、本当に甘い物好きだよね……。普通に出して貰えばいいのに……」
「あいつら、イケメンは甘い物が苦手だって勝手に思い込んでて、毎回茶の時、俺にだけケーキ出してこないんだよ……。そんな状態で言い出せるか!」
「だからって私の分を食べないで欲しい……」
ケーキを奪った事を妻に咎められ始めたアルベルトは気まずさから、さも今思い立ったかのように急に話題を変えだす。
「そう言えば、これから話し合うフェシリーナの事だが……正直なところ俺、少し同情しちゃうんだよなー。折角大好きな乙女ゲームのヒロインに転生出来たのに誰一人攻略出来ないまま、ある意味隣国へ追放みたいになっただろ? 救いなさすぎじゃないか?」
「いや? そうでもないよ? 実はまだ一人、フェシリーナが失敗していない攻略対象がいるんだよねー」
妻のその予想外な発言にケーキを食べ終わったアルベルトが、驚きから持っていたフォークを皿の上に落とした。
「はぁ!? 他にもそんな奴がいたのかっ!?」
「実はそのキャラ、男性版『恋まほ』で少し登場してただけで人気が出たキャラで、後に女性版の方に追加配信された攻略対象キャラなんだよねー。しかも課金しないと、そのルートは開かないという有料攻略対象キャラ!」
「それって、まずいんじゃないか……? もしそいつが、この世界でフェシリーナと接触したら、また魅了魔法の被害者が出るって事だろ?」
「あー。多分その心配はないかなー。そのキャラ、魔法耐性がチート並みに高いから、多分フェシリーナの魅了魔法は効かないと思う」
「それ……フェシリーナにとって無理ゲーじゃないか……?」
「確かにエセル君達みたいにサクサク攻略出来なかったキャラだから、難しいとは思うけれど……。魅了魔法が効かない相手だからこそ、この世界では唯一フェシリーナと普通に恋愛出来るんじゃないかなー。ゲーム上では、そのキャラだけ敢えて好感度の溜まり具合が表示されない仕様で、かなりリアルに疑似恋愛出来る作りだったし」
そこで一端、言葉を溜めたエスティーナは、ニヤリとして笑みを浮かべる。
「しかもフェシリーナは、すでに学園入学と同時にその有料攻略対象キャラとは接触しているよ? でも彼女、前世ではそのキャラが配信される前に私達みたいに亡くなったみたいだから、その事を知らないんじゃないかな? それか、年齢的に課金出来なかったか……。だって彼女、さっき話した感じからだと、中身が中高生くらいな雰囲気だったし」
面白がるようになかなか正解を言い出さない妻にヤキモキし始めた夫が、その有料攻略キャラの正体が誰なのか、答えを催促し始める。
「誰だよ……。その課金必須の攻略キャラって……」
「三年間、エセル君やフェシリーナと一緒に王立アカデミーで勉学に励んでいた隣国の男爵令息の留学生のリードっていう子」
その名前を聞いた瞬間、アルベルトがビシリと固まり、唇をワナワナと震わせながら、恐る恐るエスティーナの顔を凝視する。
「お前……それって……」
「そう……。彼は視野を広げる為に両国暗黙の了解で男爵令息と身分を偽って留学生に扮していた人物……。しかも今からフェシリーナの件で話し合いをする相手の……」
そこでエスティーナは、ニヤリとしながら敢えて言葉を溜める。
「隣国で王位継承権第三位である第三王子のリードヴェルト殿下」
「いや、それ絶対にまずいだろっ!!」
焦って大声をあげる夫を尻目に乙女ゲーム好きな妻は、カラカラと笑った。
そんな乙女ゲームという歪んだ世界に今回一番振り回されていた国王夫妻は、やっと『ゲームの強制力』という名の呪縛から解放されたと安心出来たのも束の間で、今度は隣国の方でその歪んだ世界が火を噴くのでないかという事を少しだけ懸念する……。
しかし、もうこの国では魅了魔法という名の『ゲームの強制力』の加護を受けている人間はいなくなる。今回その加護を大いに受けていたフェシリーナは、三日後には隣国へと旅立ちその後はこの国への入国が出来なくなる。そして同じくその加護を受けていた息子である王太子アレステイは、来年長く連れ添った最愛の婚約者のロクサーヌと式を挙げ、男性版『恋まほ』の舞台となった隣国には、もう長期滞在する事はない。
今後もその状態が維持出来るかは、正直なところ確証などない。
しかし、フェシリーナが唯一残った攻略対象キャラである魅了魔法が効かないリードヴェルトと隣国で恋に落ちるかどうかは、すでにこの国でのゲームシナリオが消滅してしまった為、彼女次第である。
そして不健全な方向に働く魅了魔法を発動してしまうアレステイは、ある意味最強チートとも言える大聖女ロクサーヌという最愛の伴侶が隣にいる限り、その魅了魔法が発動される事はないだろう。
やっとその歪んだ世界が自分達の中で終わりを告げた事に安堵した国王夫妻は、眼下の庭園で幸福そうな笑みを浮かべながら、呑気に婚約者との楽しい時間を過ごしている肝の据わった次男へと目をやる。
「ハル君……。子育てって本当に大変だね……」
「いや、大変だったのは子育ての方じゃなかったと思うぞ……?」
やや憔悴気味に呟いた二人は、歪んだ乙女ゲームの加護を未だに受けている可能性があるフェシリーナを隣国の第三王子に押し付ける為、重い腰を何とかあげて、彼らのもとへと向かった。
――――――【★あとがき★】――――――
以上で『涙あふれる断罪劇(未遂)』を完結させて頂きます。
こちらの作品、実は作者が現在メインで書いてる小説にドン詰まって気分転換で書き始めた作品です。(苦笑)
その際、物凄くハチャメチャ展開だけど、王道テンプレ要素と炎上しやすい展開を入れて何とか丸く収められる話を書いてみようと、かなり悪ノリしながら書いた作品になります……。
『断罪劇』『異世界転生』『乙女ゲーム』『聖女』が人気の王道テンプレ要素。
『ざまぁ無し』『元鞘』『魅了』が炎上しやすい要素ですね。
相容れなそうな展開をひたすら全部ぶっ込みました。(笑)
そして連載中に本当に多かったコメディーでない疑惑のコメントなのですが……。
正直なところ、筆者的には第一話で断罪劇が始まった場面と、三話でのマリーベルの大立ち回りが普通に黙認されている展開を書いてしまった時点で、もうこの作品はコメディーだと思っております。
まず王族が突然パーティーで断罪劇を始める有り得ない展開が笑える。
次に王族にあんなにも激しく反論しているマリーベルが放置されている有り得ない展開も。
(普通なら即しょっぴかれて、あんな大立ち回りは続けられませんww)
今回は『乙女ゲームの世界』という有り得ない世界観だったのでありで書けた感じです。
そんな筆者は断罪ざまぁ作品が読めない人間です。
どうしてもその辺、引っかかてしまうので。(苦笑)
ですが、もう少しあからさまにコメディーだと分かりやすくした方がいいかと思い、こういうハチャメチャな結末のお話を考えてみました。
ちなみに皆様、作品を読まれる前にその作品紹介欄や付けられている検索ワードはご覧になってますか?
筆者は自分にとっての地雷作品を手に取りたくないので、必ず見ております。
それを踏まえて、もう一度当作品に付けられた検索ワードをご覧になってみてください。
全部、このお話のヒントとしてネタバレリスクがあるのに敢えて記載してますので。(笑)
今後はそこにも少し注目して頂けると作者側的には嬉しいです。
なお、この作品を緊迫した展開の作品として真剣に読んでくださった方々に対しては、こんな結末だったので物凄く罪悪感が……。
不快な思いをさせてしまう可能性が高い結末なので、もし該当される方がいらしたら申し訳ございません……。
ですが、もう一話目投稿した時点でこういう展開と結末で書くと決めていたので、そこはご理解いただけると助かります。
こんな作者の悪ノリで書かれたハチャメチャな展開のお話に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
こっちは全力で楽しんで書いてましたが、読み手側ではかなり先が読めなくてモヤモヤさせてしまったか思います。
それが好きという方には楽しんで頂けたかと思いますが、先読みできない話が苦手な方も多いと思いますので、もし当作品が地雷だった場合は、もう「ハズレ引いた……」と当たる確率がそこそこある抽選くじに外れてしまったくらいな感じで、サラッと流して頂けると助かります。(苦笑)
逆にこういう展開がお好きな方は、是非筆者の別作品『ままごと婚約破棄』という作品をお手に取ってみてください。
こっちもかなりふざけた展開で進んで主人公達がギャン泣きしてる話なので。(笑)
そしてあと一言だけ……筆者はこの作品は超ご都合主義展開のコメディー作品としてかいたつもりですが、それはコロコロ変わり過ぎるふざけた展開で筆者が書きすぎてるという意味です。
その辺であまりにもマリーベル達の場面をコメディではないとご指摘頂くので、その部分ではない事はご理解頂くようお願いします!
(当作品、何故かマリーベルを英雄視される方が多すぎるので、正直あの場面書かなければ良かったと後悔してます……)
最後になりますが、こんなふざけた作品に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました!
お気に入り登録、エール、誤字報告をしてくださった方々にも本当ぉぉぉーに大感謝です!
あとがきがながくなりましたが、作品だけでなく、ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
ハチ助
王族専用のテラス付きの部屋に到着した二人は、部屋で待機していた侍女二名に同じく王族専用のプライベートガーデンが見渡せるテラスに案内された。するとそこには仲睦まじく手を繋ぎ、庭園内の散歩を楽しむオレリアとエセルフリス達の姿が目に入る。
「あら? 今日はオレリアが登城しているのですね?」
「今日『は』ではなく、今日『も』だがな……」
「まぁ! エセルはそんなにここ最近オレリアを登城させているのですか?」
「ロクサーヌの話だと、長期間掛かっていた魅了魔法の弊害らしい。だが、エセルよりもフリッツ伯爵令息の方が酷いらしいが……」
「確かに」
そんな会話をしていると、侍女が二人の前に香りの良い紅茶と、エスティーナの前だけに繊細な飾りが施されたチョコレートケーキを差し出した。
それを確認した国王アルベルトはサッと右手をあげ、現在室内にいる全ての使用人達に対し口を開く。
「今からエスティーナと二人だけで話したい事がある。皆、席を外してくれ。もちろん、『影』もだ」
「「「かしこまりました」」」
アルベルトの指示に侍女二名と、どこからか分からないが男性一名が声だけ返事を返してきた。そして侍女二名が退室るすと、国王夫妻以外の人の気配は一切なくなる。
その瞬間、王妃エスティーナが勢いよくテーブルに突っ伏し、呻き始めた。
「ううー……。まさか『恋まほ』のヒロインの愛され設定が、魅了魔法の影響だったなんて、本当にショック過ぎるぅー……」
その妻の嘆きを聞いたアルベルトが苦笑する。
「まだ、それ言ってんのか? そういえばフェシリーナもヒナと同じ事を言っていたらしいな……。でもまぁ、現実であんな動きをする女がいたら、魅了魔法でも発動させない限り、複数の男性に同時に好かれるなんて無理だろう? あれは確実にビッチ女の行動だ」
「いや、そうなんだけど……。ゲームをプレイしている時は、そこまで違和感はなかったんだよねー。何よりも『恋まほ』のキャラデザって、あの神絵師のぽん子さんだったでしょ? もうそれでだけでヒロインが可愛くて、何でも許せちゃうって感じだったんだよー……」
「でも結果、この世界では、その愛され設定は魅了魔法だったと」
「うん……」
力なく返事をした『ヒナ』と呼ばれたエスティーナは、自分の目の前に出されていた紅茶を口にする。先程フェシリーナと接していた時に比べると、別人と言ってもいい程、口調は砕け、行儀悪く両肘をテーブルに突きながら両手でカップを持ち紅茶を飲んでいる。
「まぁ、こっちもまさかこの一年間、散々調査していた魅了効果らしき原因をたまたま断罪イベントの現場を目にした長男の未来の嫁が、何となく気付いてくれた事で発覚するとは、夢にも思わなかったけどなー」
「本当にねぇー。もうロクサーヌたん様様だよー」
対して国王であるアルベルトまでもが行儀悪く片肘をテーブルにつき、頬杖を突き始める。
「そういえばロクサーヌに関して、ちょっと気になっているんだが……。お前、『恋まほ』の男性版のシナリオが、この世界で開始される前に勝手に自分のお気に入りヒロインと息子を婚約させただろ? あれって女性版の方で何か影響とかはなかったのか?」
「いや、それが……。今思うとあったと思う」
「はぁ!? 何だよ、それ! あっ、もしかして今回マリーベルが暴走してたのって、まさかその事が影響してたんじゃ……」
「うん。多分そう……」
「お前なー。だから勝手にゲームのシナリオを無視するなと、あれ程言ったのに……」
呆れ気味で妻に小言を言う国王アルベルトは、エスティーナの前のチョコレートケーキを自分の方に引き寄せようと手を伸ばした。しかし、それをエスティーナは素早く躱すように皿ごと自分の方へ引き寄せる。
「じゃあ、ハル君は『恋まほ』の男性版をプレイした事があるの!? あれ、本当に酷かったんだよ!? うちの可愛いアレス君が、もう女を取っかえ引っかえ弄んで、最後は自分のお気に入りの女の子と結ばれる癖にその後は、他のヒロイン候補だった子とも関係を続けて、性欲ハーレム状態になるんだから!!」
「それ……ある意味ガールズ版の『恋まほ』も一緒じゃないか?」
「一緒じゃないよ!! ガールズ版は全年齢対象の乙女ゲームだもの! 完全なる健全ゲームで、キスシーンすらなかったよ!! でもボーイズ版は、ギャルゲー要素が強い18禁ゲームだったんだよ!? いくらガールズ版に続き、神絵師のぽん子さんのキャラデザだったとは言え、あれはないわー……。しかもヒロイン候補達を片っ端から食い物にする男性主人公が、うちの可愛いアレス君だなんて、母としては絶対に許せない!!」
そう言って、両拳をテーブルに叩きつけた『ヒナ』ことエスティーナは、再びテーブルに突っ伏した。そんな様子に苦笑を浮かべた『ハル』と呼ばれたアルベルトが、まるで慰めるようにポンポンとエスティーナの頭を軽く叩く。
この世界では聞き慣れない単語を多発させているこの二人は、フェシリーナ同様、以前『日本』という国で暮らしていた異世界人としての記憶を持っている。
30代半ばの銀髪の美しい王妃エスティーナは、前世では『三上日菜子』という名前でOLをしていた26歳の女性だった。
対して高貴な雰囲気を漂わせているプラチナブロンドのアルベルトは、前世では『川島春貴』という名で、グラフィックデザイナーの仕事をしていた。
そんな彼は、この世界の元ネタもよく知らない状態なのに後にこの国の王となる王太子アルベルトとして、この世界で生を受けてしまったのだ。
そんな二人はこの世界に誕生した際、前世の記憶など一切なく、13歳の時にたまたま縁談をしていた時、二人同時に突如雷にでも打たれたかのように脳内に前世の記憶が大量に流れ込んできたのだ。
その際に『ヒナ』ことエスティーナが発した「うそ……。もうすぐハル君と結婚するはずだったのに……。私達、死んじゃったの!?」という言葉で、お互いが前世では、結婚間近の恋人同士だったという事が発覚。
前世の二人は中学からの同級生で、二週間後に控えていた挙式で着る最終衣裳チェックの為、ブライダルサロンに車で向っている最中に居眠り運転の大型トラックに衝突されてしまい、そのまま二人揃って帰らぬ人となってしまったらしい。事故直後の記憶が一切ない二人は、恐らく即死だったのだろう……。
そんな二人を不憫に思ったのか、どうやら神は二人を『ヒナ』が夢中だった事故直前まで車の中でプレイしていた『恋の魔法にかかりませんか?☆』という携帯用アプリゲーム、通称『恋まほ』の世界に転生させてくれたらしい。
『恋まほ』は、早くに母を亡くし、14歳まで平民として暮らしていた少女が、父が病に倒れた事を切っ掛けに実は子爵家の血が流れている事が発覚し、16歳から18歳まで王侯貴族の子女達が通う王立アカデミーに入学する事になるという展開で始まる女性向け恋愛シミュレーションゲーム……すなわち乙女ゲームである。
内容としては同学年の第二王子と、その側近候補の令息三名と関係醸成を図り、恋愛と学園生活を楽しむスタンスのゲームだ。
しかし、非課金状態でも楽しめるアプリゲームだった為、かなり大雑把な展開でシナリオが進む。だが、その分サクサクと進められる事と、キャラクターデザインが大人気のイラストレーターが担当した事で、密かに人気を博したアプリゲームだ。
そのゲームの世界に『ハル』ことアルベルトは、『恋まほ』の舞台である国の王太子として、『ヒナ』ことエスティーナは、侯爵令嬢として転生させられていた。だが、その事にエスティーナ達が気付いたのは、前世の記憶が蘇ってから7年後の長男アレステイが誕生して半年後だった。
そんな二人は13歳までは、ごく普通の一般的な王太子と、ごく普通の一般的な侯爵令嬢としての教育を受けて成長し、その後の運命の縁談の日に顔合わせをした事で、二人同時に前世の記憶が一気に蘇ったのである。
その瞬間、二人は前世での未練をこの世界で達成させようと、早々に婚約を交わし、成人すると同時にさっさと式を挙げた。そして二人は、長男アレステイという玉のように美しい男の子を授かったのだ。
異世界とはいえ、前世では体験する事が出来なかった夫婦としての幸福な時間を得られた事に二人は盛大に喜び、そして神に感謝した。
しかし生後半年のアレステイを抱いていたエスティーナは、その光景にある既視感を抱く。何故か幼い息子の姿から彼の成長した姿をはっきりと想像出来てしまったのだ。しかもご丁寧にその想像した姿は、3パターンもあった。
どの姿でもベースは、現在のアレステイの色合いと面影があるのだが、一つ目は女性を手玉に取っていそうなホストのような見た目、二つ目が正統派の王子様のような見た目、三つ目が反抗期真っ盛りというようなつっぱった感じの見た目だった。中でもやけに正統派王子のような姿は、はっきりと想像が出来た上に不思議と声までも前世で大人気だった声優の声のイメージまであった。
そこでエスティーナは、やっとある事に気付づく。
ここは前世で自分が夢中になってプレイしていた『恋の魔法にかかりませんか?☆』のアプリゲームの世界である事に……。
確かに言われてみれば、城内の通路の雰囲気や、使われている食器や家具などは『恋まほ』のゲームスチルで見た事があるデザインの物ばかりだった。
だが、同時に実は長男のアレステイの成長後が、大変な展開になる事にも気付いてしまう……。
『恋の魔法にかかりませんか?☆』は、元々は女性専用の乙女ゲームなのだが、キャラクターデザインを担当したぽん子というイラストレーターが大人気だった為、男性版が熱望され、後に『恋の魔法にかかってみないか?☆』という形でも配信されたのだ。
しかし……この男性版、女性版『恋まほ』の隣国が舞台なのだが、恋愛シミュレーションというよりも、ガッツリ18禁のギャルゲー要素が強いゲームとして製作されてしまう……。
その結果、男性ユーザーからは絶大な支持を得たが、女性ユーザーが大激怒。
後に男性版でも全年齢対象のバージョンが配信されるのだが、『ヒナ』だった頃のエスティーナは、その配信前に命を落とした為、18禁の方しかプレイをしていない。だが、その内容は女性ユーザーにとっては、何とも受け入れ難い男性特化型のハーレム展開ばかりだったのだ……。
そして二人の長男である王太子アレステイは、なんとこの男性版『恋まほ』の主人公だったのだ……。『恋まほ』は、どちらのバージョンでも主人公の容姿や口調、そしてボイスサンプルが三つ用意されており、髪の色や目の色も7色ほどから選べたので、それぞれ好きな見た目と色合いの組み合わせでカスタマイズが出来た。名前も自由に付けられたので、オリジナル主人公を作れるという部分でも人気があったのだ。
だが、それではアレステイが男性版『恋まほ』の主人公だという事には、すぐには気付けない……。
しかし前世の『ヒナ』ことエスティーナは、課金に手を出してしまうほど『恋まほ』が好きだった為、女性版『恋まほ』の公式ヒーローであるエセルフリスの兄が隣国に留学している設定と、男性版『恋まほ』の男性主人公が隣国の王太子である設定から、この二人が同一人物である事に気付いたのだ。
もはや前世の母のヲタク魂の無駄遣いによって、長男アレステイにクズ男ルートがある事が発覚し、その母によってそのルートは回避されたのである……。
しかし、その事で女性版『恋まほ』のシナリオに大きな歪みが生じたらしい。
「それで? ロクサーヌが早々にアレスの婚約者になった事で、どういう弊害が出たんだ?」
「うーん、これはあくまでも私の推測なんだけれど……この国って隣国と違って魔法が使えない人間が殆どだから、国民の魔法耐性も物凄く低いでしょ? その中でも特に魔法耐性が低い人がいるみたいなんだよね」
「そうなのか?」
「私もよく分からないけれど、多分……。で、その著しく魔法耐性が低い人物が……マリーベルの婚約者であるフリッツ君だと思う」
「その根拠は?」
「女性版『恋まほ』で、一番落としやすい攻略対象キャラな上に、今回他三名の攻略対象と違って一番酷い症状で魅了魔法への拒絶反応が出ていたから」
その妻の推測を聞いた夫が、不思議そうに首を傾げる。
「いやいやいや。それ、おかしいだろう!! 魔法耐性が低いから、ゲーム内で真っ先にヒロインに落ちやすいキャラなんだろ!? なら今回、真っ先に拒絶反応を露わにしていた状況については、真逆な結果になっていないか!?」
「いやー……。そうでもないんだよね……。なんせその結果を招いたのが、私が早々にアレス君の婚約者として、この国に招いてしまったロクサーヌたんが、原因の可能性が高いから……」
「どういう事だ?」
矛盾しているような妻の推察を聞いた夫が、更に不思議そうに首を傾げる。
「ロクサーヌたんって、伯爵令嬢であると同時に隣国の教会関係の幹部の姪っていう設定があってね? 男性版『恋まほ』のゲーム内でも浄化や回復魔法を使うシーンとかあるんだけど、実はかなりの広範囲で精神異常系魔法を和らげる結界なんかも使えちゃったりするんだわー」
「ほぉ?」
「でね、実は……アレス君の婚約者として、この国で暮らすようになったロクサーヌたんに私はこっそり、その結界を王都周辺だけでいいから張って欲しいとお願いしていてね? その範囲に王立アカデミーも入っていて……」
何やら後ろめたそうな言い方してきた妻に夫が白い目を向ける。
「…………国王である俺に内緒でか?」
「だって! ハル君がロクサーヌたんのその広範囲結界能力を知ったら、アレス君と一緒に国内の色々な場所に二人を頻繁に派遣しそうで嫌だったんだもん!」
「『だもん!』じゃない! 当たり前だ!! 国王として、未来の息子の嫁予定の令嬢が、そんなありがたい能力を持っていたら、利用するに決まってんだろ!! というか……何でその事を俺に隠してしてたんだよ!!」
「だって……アレス君とセットでロクサーヌたんを派遣されたら、生で見られる二人のラブシーンスチル映像をかなり見逃してしまうかと思って……」
「お前な……。ここはゲームの世界設定だけど、実際のゲームそのままの世界じゃないんだぞ? そんなシーン見たって、スチルみたいにそのシーンは保存出来ないんだからな!」
「そんなの分かってるよ!! だから私の心の眼に焼き付けようと……」
「18禁ゲームの主人公である息子のラブシーンのスチルを目に焼き付けてどうすんだよ!! お前は痴女か!? 痴女なのか!?」
「ここは健全ゲームの女性版『恋まほ』の国ですぅー! 18禁ラブシーンなんて、早々に発生しませんー!」
すでに30代後半な上、どこからどう見ても品位ある貴婦人にしか見えない容姿の妻が放つ幼稚な反応に夫が、盛大に呆れ返る。
「何を根拠にそう言い切れるんだよ……。それで? そのロクサーヌの結界が、フリッツにどう影響したんだ?」
「多分、魔法耐性が極端に低いフリッツ君は、ロクサーヌたんの結界魔法の効果をかなり受けたんだと思う。その影響でフェシリーナの魅了魔法が、他の三名と比べて掛かりにくくなっていたんじゃないかな? そんなフリッツ君に対してフェシリーナは、好感度がなかなか上がらないと何度も差し入れなどをして、過剰に接触してしまった……。フェシリーナが攻略しようとしていたエセル君は、側近候補三名の好感度をそれなりに上げないと落とせないキャラだからねー……」
そこまで語ったエスティーナは、一度喉を潤す為に紅茶を口にした。ついでに先程、夫から死守したチョコレートケーキも一口堪能した後、再び語り始める。
「で、その結果……本来のゲーム展開では、フリッツ君の方から徐々にヒロインに惹かれて行く展開だったのに、今回はフェシリーナがフリッツ君に猛アタックして彼が心変わりをしたように見える展開になってしまい、激怒したマリーベルが暴走してしまったんだと思う……。本来のフリッツ君ルートだと、勝手に心変わりをしてしまったフリッツ君を奪い返そうと、マリーベルがマナー勝負をヒロインに言い出して、その三択クイズに8割くらい正解すると、主人公の事を認める形でマリーベルが身を引くという展開だったから……」
その妻の推測に夫が顎に手を添えながら、納得する。
「なるほど。でも今回のようにヒロインから過剰にフリッツに接触を図ってしまうと、どう見てもフェシリーナが、フリッツを略奪しようと猛アタックしていたようにしか見えないもんな……。それじゃ、エセル達が急に泣き出した状況もロクサーヌの結界が作用して、魅了魔法が弱まっていたからか?」
質問しながら、アルベルトがこっそりとチョコレートケーキの皿を自分の方に引き寄せようとしたが、それを再びエスティーナが阻止する。
「本人達が抗っていた部分もあるけれど、その可能性は高いかなー。本来のエセル君ルートだと、あの断罪劇が攻略イベントの要だからねー。あの断罪イベントで、ヒロインに対する嫌がらせ行為をエセル君が読み上げている時に実際にオレリアが行った事と、他の人間が行った嫌がらせをヒロインが見極めて訂正するって流れの攻略イベントなの。今回、影からの報告で、断罪劇中にフェシリーナが長手袋を何度か下げていたという報告があったのだけれど、恐らく彼女は断罪劇中に訂正するべき内容を腕に書いて、カンペを用意していたんだと思う。本来のエセル君ルートは、その断罪劇をヒロインが正確に訂正する事で、オレリアの冤罪が減るんだけど、結局二人は婚約を解消してしまうんだよね……。でも断罪イベントで全て正確な訂正の仕方をすると、断罪イベントの後日、自分から身を引く形でオレリアの方からエセル君に婚約解消を言い出す展開になって、エンディングの結婚式スチルにオレリアが招待客として登場するっていうオマケ要素があったの。そのオレリアの衣裳が、すんごくカワイイんだー。フェシリーナも相当『恋まほ』をやり込んでそうだったから多分それを狙って、今回卒業式での婚約解消宣言を阻止したかったんだと思う」
そこまで長々と語り切ったエスティーナは、再び紅茶を口にする。
その隙にアルベルトが、こっそりとチョコレートケーキを自分の方に引き寄せながら、今回の状況を短くまとめた。
「よーするにマリーベルが大暴走した所為で、断罪イベントが滅茶苦茶になって、エセルの攻略ルート自体が消えてしまったと……。そもそもここはゲームの世界であっても、その登場人物達はここでは感情を持った一人の人間だという事がフェシリーナの中で、すっぽりと抜け落ちてしまっていたんだろうなー……」
「さっき話した時に本人もそう言ってて、凄く反省してた……。だから本当は、フェシリーナの方も、うちのアレス君の時みたいにゲームのシナリオが始まる前に何とかしたかったんだけどねー……」
「そうだなー。だが今回、前世で人気要素だったヒロインの容姿を多少カスタマイズ出来る仕様だった事が仇になった感じだな……。これじゃ、王家の権力を駆使しても、どこの子爵令嬢がヒロインなのか見つけ出す事なんて不可能だろ……。しかもアレスの時と違って、ノーヒントだし」
そう言って二人は、盛大にため息をつく。
実は『恋まほ』のヒロイン対策に関しては、一年前どころかエセルフリス達が14歳の頃から、何か対策が出来ないかと二人は奮闘していたのだ……。
しかし、ゲームの人気要素だったヒロインをオリジナルでカスタマイズ出来る機能がヒロイン捜索を難航させ、しかも男性版主人公のアレステイの時のようにヒント的な要素も一切なかった為、結局ヒロインを見つけ出す事が出来ずにゲームシナリオが開始してしまったのだ……。
ヒロインが誰か発覚するのは、最初に起こる雛鳥を巣に戻そうとしてエセルフリスと出会うイベントの時である。
もちろん、エスティーナ達も鳥の巣を別の場所に移動させたり、それらしき令嬢がエセルフリスと出会う事を阻止させる為、現場に王家の影を何人も配置させていたりと、かなり対策を取っていたのだが……。
恐ろしい程のゲームの強制力がかかり、撤去した鳥の巣は目を離すとすぐに元に戻され、しかも二人の出会いを阻止する要員だった王家の影達は、タイミングよく学園内で暴力事件が発生したという誤情報が出回ってしまった事で一瞬だけ持ち場を離れてしまう。
結果、二人の出会いイベントが発生してしまい、女性版『恋まほ』のゲームシナリオが開始されてしまったのだ。
その瞬間、エセルフリス達は、ゲームのシナリオに乗っ取った動きを何かに操られるように自ら行うようになり、今回のような婚約者を蔑ろにする行動を繰り返し始めた……。
しかも間の悪い事に今回魅了魔法を見抜いたロクサーヌは、フェシリーナが王立アカデミーに入学する一年前に国の決まりで、自国の魔法学園に三年間通う為、婚約者のアレステイと共に隣国に留学してしまう。
ちなみにこれが男性版『恋まほ』のシナリオの舞台だったのだが……。
すでにロクサーヌと婚約をしていたアレステイには、ゲームシナリオが発生しなかった。何故なら彼に近づいて来る攻略対象の女性キャラをロクサーヌが、片っ端から解呪魔法で無双し、全員撃退していたからだ。
つまり……この国の王太子アレステイも、フェシリーナ同様に魅了魔法保持者なのである。
その事をエスティーナ達が知ったのは、二週間前の断罪劇未遂事件後だった。すなわち、断罪劇中にロクサーヌがフェシリーナの魅了魔法に気付いた直後だ……。
それまでの三年間、二人はフェシリーナが何か薬物的な物を使って、エセルフリス達に魅了を掛けていると考え、彼ら全員の食事や生活環境にそれらしき異物の存在がないかを徹底的に影達を使って調べさせていた。
しかし、調査は難航……。
エセルフリス達は、ゲームのシナリオ通り着々とヒロインに攻略されていく展開を見せ、ついにはエセルフリス攻略の最大の要である卒業パーティーの断罪イベント発生まで到達してしまったのだ。
しかもその際、エスティーナ達は今回の卒業生の有力貴族の子女のあざとい両親達数組に関係醸成目的で捕まり、別室で食事会を強いられるという、いかにもゲームの強制力に妨害されている状況に陥り、断罪劇を止めに入る事が出来なかった……。
だがその時、たまたまアレステイと帰国したばかりのロクサーヌが、会場内で断罪劇を繰り広げているエセルフリス達を目にし、その際ロクサーヌがある事に気付いて一言、呟いたのだ。
「まぁ! 珍しい! アレス様と同じ魅了魔法保持者の方がおりますわ!」
その瞬間、隣にいたアレステイは、初めて自身が魅了魔法保持者だったという事を知り、顔面蒼白になりながら近くにいた影に両親に報告するよう指示。
そして大慌てでロクサーヌを引き連れて会場に突撃したのが、あのロクサーヌによる魅了魔法解呪の救済展開までの流れである。
それまでは300年以上も魅了魔法保持者が現れなかった背景もあり、エセルフリス達の魅了状態を引き起こしている可能性の一つに、魅了魔法という存在もあるという考えに二人は至れなかったのだ……。
ちなみに王太子のアレステイが魅了魔法保持者という事は、厳しい緘口令が敷かれ、けして公表しない方向で黙認する事をエスティーナ達は選んだ……。何故ならロクサーヌがアレステイの隣にいる限り、その魅了魔法は発動する事がないからだ。
そんな三年にも渡る息子の魅了状態の調査に大苦戦していた国王夫妻だが、まさか解決を担うキーパーソンが、偶然王妃が選んだ長男の未来の嫁であったという灯台下暗しな結果に終わった為、大分無駄に空回りしてしまった状態である……。
だが、もしアレステイの婚約者にロクサーヌ以外の女性を選んでいたら……エセルフリス達は、最愛の婚約者達と引き裂かれる運命から逃れる事は出来なかっただろう。
今回はたまたま前世の『ヒナ』ことエスティーナが、長男のクズ男ルート回避の為に前世でプレイしていた男性版『恋まほ』で唯一気に入っていたヒロインの一人であるロクサーヌを早々に息子の婚約者にした事で、奇跡的にエセルフリス達の未来を守る事が出来たという感じだ。
ちなみに『ヒナ』ことエスティーナが、ロクサーヌの事を気に入っていた理由が『胸のサイズが普通』、『露出が少ない服装』、『聖女設定と二人の身長差が萌え』という理由だったらしい。
今回ほど『ハル』ことアルベルトは、前世の妻がガチヲタ勢であった事に感謝した事はなかった……。
そんな両親が陰で奮闘してくれていた事など知らないエセルフリスは、テラスから見渡せる王族専用のプライベートガーデンで、いつの間にか侍女達にお茶の支度をさせ、オレリアと二人で楽しそうにお茶に興じている……。
その人騒がせな次男の様子を先程エスティーナから、こっそり奪ったチョコレートケーキを口にしながら眺めていたアルベルトが、おもむろに愚痴る。
「親の心子知らずとは、まさにこの事だな……」
「そうだね……。エセル君、ある意味大物なんじゃない?」
「優秀なのはアレスの方だぞ?」
「いや、肝の据わり具合はエセル君の方が上でしょ……」
そう言って、幸せそうに自身の婚約者と過ごしている次男に二人が白い目を向けていると、突然部屋の扉がノックされた。
その瞬間、二人はピンと姿勢を正し、アルベルトは口にしていたチョコレートケーキの皿をエスティーナの方へ滑らせた。そして軽く咳払いをした後、先程とは打って変わった威厳のある声で入室を許可する。
「入れ」
「失礼致します」
入室して来たのは、先程フェシリーナを連れ出した女性監視官だった。
「ご歓談中のところ大変申し訳ございません。実は先程リードヴェルト殿下より、フェシリーナ様を隣国にて保護する件で、陛下にもお話に参加して頂きたいとのお言付けを頂きまして……。恐れ入りますが、お手すきになりましたらご足労頂けますでしょうか?」
すると、アルベルトは胸ポケットの中の懐中時計で時間を確認した。
「分かった。あと10分ほどしたら伺わせてもらうとリードヴェルト王子に伝えてくれ。ちなみに妻を同伴させても構わないか?」
「恐らく問題はないかと……」
「ならば10分後に妻と二人で伺うと伝えてくれ」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
二人がプライベートな時間を過ごしている事を察した女性監視官は、速やかに退出していった。
その事を確認したアルベルトが、先程エスティーナの方へやったケーキを自分の方へ引き寄せ、再び口に運び出す。そんな夫に妻エスティーナは、呆れ気味な表情で視線を送る。
「ハル君、本当に甘い物好きだよね……。普通に出して貰えばいいのに……」
「あいつら、イケメンは甘い物が苦手だって勝手に思い込んでて、毎回茶の時、俺にだけケーキ出してこないんだよ……。そんな状態で言い出せるか!」
「だからって私の分を食べないで欲しい……」
ケーキを奪った事を妻に咎められ始めたアルベルトは気まずさから、さも今思い立ったかのように急に話題を変えだす。
「そう言えば、これから話し合うフェシリーナの事だが……正直なところ俺、少し同情しちゃうんだよなー。折角大好きな乙女ゲームのヒロインに転生出来たのに誰一人攻略出来ないまま、ある意味隣国へ追放みたいになっただろ? 救いなさすぎじゃないか?」
「いや? そうでもないよ? 実はまだ一人、フェシリーナが失敗していない攻略対象がいるんだよねー」
妻のその予想外な発言にケーキを食べ終わったアルベルトが、驚きから持っていたフォークを皿の上に落とした。
「はぁ!? 他にもそんな奴がいたのかっ!?」
「実はそのキャラ、男性版『恋まほ』で少し登場してただけで人気が出たキャラで、後に女性版の方に追加配信された攻略対象キャラなんだよねー。しかも課金しないと、そのルートは開かないという有料攻略対象キャラ!」
「それって、まずいんじゃないか……? もしそいつが、この世界でフェシリーナと接触したら、また魅了魔法の被害者が出るって事だろ?」
「あー。多分その心配はないかなー。そのキャラ、魔法耐性がチート並みに高いから、多分フェシリーナの魅了魔法は効かないと思う」
「それ……フェシリーナにとって無理ゲーじゃないか……?」
「確かにエセル君達みたいにサクサク攻略出来なかったキャラだから、難しいとは思うけれど……。魅了魔法が効かない相手だからこそ、この世界では唯一フェシリーナと普通に恋愛出来るんじゃないかなー。ゲーム上では、そのキャラだけ敢えて好感度の溜まり具合が表示されない仕様で、かなりリアルに疑似恋愛出来る作りだったし」
そこで一端、言葉を溜めたエスティーナは、ニヤリとして笑みを浮かべる。
「しかもフェシリーナは、すでに学園入学と同時にその有料攻略対象キャラとは接触しているよ? でも彼女、前世ではそのキャラが配信される前に私達みたいに亡くなったみたいだから、その事を知らないんじゃないかな? それか、年齢的に課金出来なかったか……。だって彼女、さっき話した感じからだと、中身が中高生くらいな雰囲気だったし」
面白がるようになかなか正解を言い出さない妻にヤキモキし始めた夫が、その有料攻略キャラの正体が誰なのか、答えを催促し始める。
「誰だよ……。その課金必須の攻略キャラって……」
「三年間、エセル君やフェシリーナと一緒に王立アカデミーで勉学に励んでいた隣国の男爵令息の留学生のリードっていう子」
その名前を聞いた瞬間、アルベルトがビシリと固まり、唇をワナワナと震わせながら、恐る恐るエスティーナの顔を凝視する。
「お前……それって……」
「そう……。彼は視野を広げる為に両国暗黙の了解で男爵令息と身分を偽って留学生に扮していた人物……。しかも今からフェシリーナの件で話し合いをする相手の……」
そこでエスティーナは、ニヤリとしながら敢えて言葉を溜める。
「隣国で王位継承権第三位である第三王子のリードヴェルト殿下」
「いや、それ絶対にまずいだろっ!!」
焦って大声をあげる夫を尻目に乙女ゲーム好きな妻は、カラカラと笑った。
そんな乙女ゲームという歪んだ世界に今回一番振り回されていた国王夫妻は、やっと『ゲームの強制力』という名の呪縛から解放されたと安心出来たのも束の間で、今度は隣国の方でその歪んだ世界が火を噴くのでないかという事を少しだけ懸念する……。
しかし、もうこの国では魅了魔法という名の『ゲームの強制力』の加護を受けている人間はいなくなる。今回その加護を大いに受けていたフェシリーナは、三日後には隣国へと旅立ちその後はこの国への入国が出来なくなる。そして同じくその加護を受けていた息子である王太子アレステイは、来年長く連れ添った最愛の婚約者のロクサーヌと式を挙げ、男性版『恋まほ』の舞台となった隣国には、もう長期滞在する事はない。
今後もその状態が維持出来るかは、正直なところ確証などない。
しかし、フェシリーナが唯一残った攻略対象キャラである魅了魔法が効かないリードヴェルトと隣国で恋に落ちるかどうかは、すでにこの国でのゲームシナリオが消滅してしまった為、彼女次第である。
そして不健全な方向に働く魅了魔法を発動してしまうアレステイは、ある意味最強チートとも言える大聖女ロクサーヌという最愛の伴侶が隣にいる限り、その魅了魔法が発動される事はないだろう。
やっとその歪んだ世界が自分達の中で終わりを告げた事に安堵した国王夫妻は、眼下の庭園で幸福そうな笑みを浮かべながら、呑気に婚約者との楽しい時間を過ごしている肝の据わった次男へと目をやる。
「ハル君……。子育てって本当に大変だね……」
「いや、大変だったのは子育ての方じゃなかったと思うぞ……?」
やや憔悴気味に呟いた二人は、歪んだ乙女ゲームの加護を未だに受けている可能性があるフェシリーナを隣国の第三王子に押し付ける為、重い腰を何とかあげて、彼らのもとへと向かった。
――――――【★あとがき★】――――――
以上で『涙あふれる断罪劇(未遂)』を完結させて頂きます。
こちらの作品、実は作者が現在メインで書いてる小説にドン詰まって気分転換で書き始めた作品です。(苦笑)
その際、物凄くハチャメチャ展開だけど、王道テンプレ要素と炎上しやすい展開を入れて何とか丸く収められる話を書いてみようと、かなり悪ノリしながら書いた作品になります……。
『断罪劇』『異世界転生』『乙女ゲーム』『聖女』が人気の王道テンプレ要素。
『ざまぁ無し』『元鞘』『魅了』が炎上しやすい要素ですね。
相容れなそうな展開をひたすら全部ぶっ込みました。(笑)
そして連載中に本当に多かったコメディーでない疑惑のコメントなのですが……。
正直なところ、筆者的には第一話で断罪劇が始まった場面と、三話でのマリーベルの大立ち回りが普通に黙認されている展開を書いてしまった時点で、もうこの作品はコメディーだと思っております。
まず王族が突然パーティーで断罪劇を始める有り得ない展開が笑える。
次に王族にあんなにも激しく反論しているマリーベルが放置されている有り得ない展開も。
(普通なら即しょっぴかれて、あんな大立ち回りは続けられませんww)
今回は『乙女ゲームの世界』という有り得ない世界観だったのでありで書けた感じです。
そんな筆者は断罪ざまぁ作品が読めない人間です。
どうしてもその辺、引っかかてしまうので。(苦笑)
ですが、もう少しあからさまにコメディーだと分かりやすくした方がいいかと思い、こういうハチャメチャな結末のお話を考えてみました。
ちなみに皆様、作品を読まれる前にその作品紹介欄や付けられている検索ワードはご覧になってますか?
筆者は自分にとっての地雷作品を手に取りたくないので、必ず見ております。
それを踏まえて、もう一度当作品に付けられた検索ワードをご覧になってみてください。
全部、このお話のヒントとしてネタバレリスクがあるのに敢えて記載してますので。(笑)
今後はそこにも少し注目して頂けると作者側的には嬉しいです。
なお、この作品を緊迫した展開の作品として真剣に読んでくださった方々に対しては、こんな結末だったので物凄く罪悪感が……。
不快な思いをさせてしまう可能性が高い結末なので、もし該当される方がいらしたら申し訳ございません……。
ですが、もう一話目投稿した時点でこういう展開と結末で書くと決めていたので、そこはご理解いただけると助かります。
こんな作者の悪ノリで書かれたハチャメチャな展開のお話に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
こっちは全力で楽しんで書いてましたが、読み手側ではかなり先が読めなくてモヤモヤさせてしまったか思います。
それが好きという方には楽しんで頂けたかと思いますが、先読みできない話が苦手な方も多いと思いますので、もし当作品が地雷だった場合は、もう「ハズレ引いた……」と当たる確率がそこそこある抽選くじに外れてしまったくらいな感じで、サラッと流して頂けると助かります。(苦笑)
逆にこういう展開がお好きな方は、是非筆者の別作品『ままごと婚約破棄』という作品をお手に取ってみてください。
こっちもかなりふざけた展開で進んで主人公達がギャン泣きしてる話なので。(笑)
そしてあと一言だけ……筆者はこの作品は超ご都合主義展開のコメディー作品としてかいたつもりですが、それはコロコロ変わり過ぎるふざけた展開で筆者が書きすぎてるという意味です。
その辺であまりにもマリーベル達の場面をコメディではないとご指摘頂くので、その部分ではない事はご理解頂くようお願いします!
(当作品、何故かマリーベルを英雄視される方が多すぎるので、正直あの場面書かなければ良かったと後悔してます……)
最後になりますが、こんなふざけた作品に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました!
お気に入り登録、エール、誤字報告をしてくださった方々にも本当ぉぉぉーに大感謝です!
あとがきがながくなりましたが、作品だけでなく、ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
ハチ助
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みんなの感想(61件)
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picc0r0様
こちらこそ作品をお手に取って頂いただけでなく、大変嬉しくなる内容でのご感想を頂き、本当にありがとうございます!
マリーベルが出張っているシーンに関しては、本当に読者様それぞれで受け止め方が違うようで……。
作者的にはpicc0r0様のように物語に組み込まれた一つのエピソード的に受けてもらえたらという感覚で書いたのですが、人によってはマリーベルを主人公として読み進めたかった方も多かったようです。(苦笑)
なので作者が意図して書いた流れでこの作品を楽しんで頂けた事は、本当に嬉しいです!
こちらの作品を全力で楽しんで頂けた様子のご感想、本当にありがとうございます!
なつLUCA様
ご感想頂き、ありがとうございます!
楽しんで頂けて、良かった!
読み手によっては、コメディにもシリアスにもなってしまう展開のお話ですが、両方の視点から楽しんで頂いたご感想は、本当に嬉しいです!
しかも書き手にとって最高に嬉しい『面白い』と『読みやすい』というご感想まで頂き、本当にありがとうございます。(*´▽`*)
Sio様
はじめまして! ご感想頂き、ありがとうございます。
貴重なお時間を割いて作者が意図した方向で作品をお読み頂き、本当にありがとうございます。
そして楽しんで頂けて、良かった~!
やはり一気読みだと、そのまま最後まで行けるので読み手側も色々深読みしないで、ストンと落ちてくる話なのかな……。
ちょっと今回は、完成させてから一気に更新するか、完結するまで感想欄閉じてた方が良かったケース見たいです。(苦笑)
今後は作品展開によっては、完結するまで感想欄閉じる対応をしないといけない事がよく分かったので、一気読みした場合の貴重なご意見、非常に参考になりました!
こちらこそ、貴重なお時間を使って当作品を読んで頂き、本当にありがとうございます!