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1.婚約破棄を言い出した少年
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初夏のさわやかな風が頬を撫でる季節。
雲一つない青空を背景にした王城の中庭では、この国の王太子と年の近い令息令嬢を中心に招いたお茶会が開かれていた。
呼ばれた令息達は、将来王太子の側近候補として。
令嬢達の方は、王太子の婚約者候補と王族専属の侍女候補として。
ある程度の篩に掛けられて選抜された優秀な子供達が、このお茶会には呼ばれていた。
だが子供達は、このお茶会にその様な目的があるとは全く意識はしていない。各自が自由にそれぞれやりたい事を行い、このお茶会を満喫している。
ある子供は、会場内を駆け巡って友人と、はしゃぎ合い。
ある子供は、本日着てきたドレスや服装を自慢し合い。
ある子供は、王家専属のパティシエが作ったスイーツを堪能する。
そんな子供達の明るい声で賑わっている中庭のお茶会で、一人の少年が気張った表情を貼り付けながら、ある少女の前に立ちはだかる。
だが少女はその事に気付かない。
何故なら彼女は、スイーツを堪能している子供の一人だったからだ。
そんなスイーツに夢中な少女に少年が、突如ある事を宣言し始めた。
「アベリア! 僕は、今日をもって君との婚約をハキする!」
突然大きな声で呼びかけられたアベリアという少女は、誰にも見られていないと思い、手に持っていたお皿から一口サイズのケーキを口の中に突っ込んだ直後だった。その為、ケーキが口いっぱいに広がり、返答が出来ない……。
慌ててケーキをモグモグと咀嚼しきろうと必死になっていたら、何故かその様子を婚約者のルシオが、ジッと見つめてきたので、しゃべれないアベリアも無言で見つめ返す。その際、アベリアはルシオが自分の従姉であるフィルマと、しっかりと手を繋いでいる事に気付いた。
フィルマはアベリアの父親の妹……つまり叔母の娘で子爵令嬢だ。
伯爵令嬢でもあるアベリアとでは二人は身分差があるが、物心が付いた頃から姉妹のように仲が良く、アベリアの婚約者でもあるルシオを含め、よく三人で遊んでいた。
そのルシオとアベリアが婚約したのは、二人が3歳の頃だ。
その時に元々仲が良かったアベリアとフィルマの中にルシオが加わるという状況が、生まれた。その後は三人で一緒に遊ぶ事が増えたが、フィルマは二人よりも一つ年上だったので、自然とお姉さんぶる事が多かった。
そんな姉のような存在でもあったフィルマにやっと口の中のケーキを食べきったアベリアは、ルシオから言われたよく分からない『ハキ』という言葉の意味を聞いてみる。
「フィルマ。婚約を『ハキする』って、何をする事?」
「『破棄』っていうのは、約束した事をやめちゃう事だよ。だから今ルシオ様が言ったのは、もうアベリアとの婚約はやめたいっていう意味なの」
フィルマの説明を聞いたアベリアは、瞬時にはその言葉の意味が理解出来ずに茫然とした。だが、徐々にルシオが自分との婚約を嫌がっているという事を理解し始めた瞬間、アベリアの大きな琥珀色の瞳にブワリと涙が溜まり出す。
「な、なんでぇー……? だってルシオ様、ずっと私と一緒にいるって言ってたでしょ? なんで婚約やめちゃうのぉー……?」
アベリアの瞳に溜まり出した涙は、すぐにボロボロと零れ落ちる。
人前で泣くなんてお母様に怒られてしまう……。
そう思っていてもまだ6歳の幼いアベリアには、その深い悲しみの感情を抑える事など出来なかった。
そんなアベリアの反応にビクリと肩を震わせたルシオは、何故か手を繋いでいるフィルマに救いを求めるような視線を送る。
するとフィルマは、何かを促すようにルシオに向かって、大きく頷いた。
その合図のようなフィルマの反応にルシオも何かを決意したように大きく頷き返す。
「だって……僕はフィルマと結婚したいんだ。アベリアよりもフィルマの方が可愛いし、物知りだし、僕の事好きでいてくれるから……」
最後は何故か尻すぼみになったルシオの言葉を聞いたアベリアは、大きく瞳を見開き、更に大粒の涙をボタボタとこぼす。
「わ、私だって、お勉強頑張ってるもん! 私だって物知りだもん!」
そう言い返したアベリアだが、どうしても『自分よりフィルマの方が可愛い』という部分では反論が出来なかった……。
淡いピンクの髪色をしたお姫様のようなフワフワヘアーのフィルマの容姿は華やかさを感じさせ、幻想的な菫色の瞳は彼女に柔らかい雰囲気を与える。
パステルカラーの特徴が多いフィルマのまとう色合いは、幼い少女達にとって理想的な愛らしさの塊であり憧れだ。しかも彼女は、顔立ちまで愛らしい。
くっきりとした二重の下にはバサバサで髪と同じ色の睫毛が生えており、頬は化粧もしていないのに陶器のように白く、頬はほんのり薔薇色。
ピンク色の薄い唇は、更にフィルマの甘い可憐さを演出している。
対してアベリアは、地味なこげ茶のストレートヘアーだ。オレンジに近い琥珀色の瞳は髪色と同系色なので、更に地味さが増長される。肌の色も伯爵令嬢にしては活発な方であるアベリアは、色白ではなく健康的な色合いだ。顔立ちはフィルマと少し似ている為、可愛らしいと言われる事が多いが、比べられてしまうと、どうしてもアベリアの方が見劣りしてしまう……。
幼いながらも容姿に関しての劣等感を抱いているアベリアは、どうしても愛らしさに関しては反論出来なかったのだ。そんなアベリアに困った笑みを浮かべたフィルマが、追い打ちを掛ける一言を放つ。
「でもね。ルシオ様はアベリアよりも私の方が可愛いんだって。アベリアだって婚約者にするなら可愛い女の子の方がいいでしょう?」
悪気は一切ない様子で、ニコリと微笑みながら主張してきたフィルマの言葉で、容姿にコンプレックスを抱えていたアベリアの劣等感は、酷く刺激された。
「で、でも……でも! フィルマより私の方が絶対にルシオ様の事が好きだもん!」
それでも胸を張れる部分で精一杯反論したアベリアの言葉を聞いたルシオは、何故か顔を真っ赤にしながら、石像のように動かなくなった。
そんな状態のルシオの腕をフィルマが急かすようにグイグイと引っ張る。
すると、我に返ったルシオが何かを決意したように小さく息を呑んだ。
「だ、だけど! アベリアは今まで僕を好きだなんて言った事ないじゃないか!」
「そんな事ない! ちゃんと言ってたもん!」
「いつ!? 僕、聞いてない!」
「お誕生日の時とか、たまにするお泊まり会の時とか……。ずっと仲良しでいようねって、私ルシオ様に言った!」
「それだと『好き』って言ってないよ!!」
「同じ意味だもん!」
何故か変なところに拘り出したルシオと、意地でも好きと言ったと言い張るアベリアの謎の論争が始まる。そんな騒がしい二人の様子に周りの子供達も興味津々となって集まり出した。
「アベリアの嘘つき!!」
「嘘なんてついてない!!」
「そうやって嘘をつくから僕に婚約ハキされるんだ!!」
「――――っ!」
ルシオのその言葉で、アベリアが息を詰まらせるようにピタリと口を噤む。
そのまま小刻みに震えながら、更にボタボタと大きな瞳から涙を零し始めた。
そのアベリアの様子から感情的になっていたルシオが、急に顔色を無くしながら慌てふためく。
そんなルシオの様子に気付かないアベリアは、令嬢である事を忘れたかのようにお茶会用のフリルがたくさん付いているワンピースの袖部分でグイッと涙を拭い、鋭い視線でルシオとフィルマを睨みつけた。
「もういい……」
静かに呟いたアベリアは、クルリと体の向きを変えて会場の使用人達が控えているスペースへと歩き出す。
「ア、アベリア……? どこに行くの!? 僕、まだ話が――」
「ルシオ様に渡す物があるから、ちょっと待ってて!」
まだ瞳の縁に涙を溜めながらルシオを一瞥したアベリアは、足早に自分の侍女のところへと向かい、何かを耳打ちした後、そのまま会場から出て行ってしまった。
「え……? もしかして帰った? ぼ、僕の話は……?」
「ルシオ様、落ち着いて! さっきアベリアは『ちょっと待ってて』と言っていたでしょ? きっとすぐに戻って来るわ」
オロオロし出したルシオを落ち着かせようと、フィルマは繋いでいた手を更に強く握る。しかしルシオの方は、先程ボロボロと涙を零していたアベリアの顔が頭の中にこびりついており、それどころではない。
今まで喧嘩は何度かした事はあったが、あそこまで泣かせてしまった事はなかったからだ。そもそも二人は喧嘩をしてもすぐに謝り合って和解出来てしまう程、仲が良かった。
しかしここ最近のアベリアは、ルシオ以外にも同性の令嬢達と仲良くする事が増えてきた。特に従姉のフィルマとは姉妹のように仲が良く、三人で遊んでいてもアベリアがフィルマにベッタリになる事が多かった。
現状、まだ6歳の幼いルシオには恋心などという感覚はない。
だがアベリアにとって、一番の親友は自分であるという自負が強かった為、最近のアベリアの交友関係が気に入らず、このような行動に出てしまったのだ。
ただ一言。アベリアから自分が一番だという一言が聞きたかった、たったそれだけの為にアベリアの気持ちを試そうとしてしまったルシオ。
それがこの婚約破棄宣言である。
婚約破棄を言い出せば、ルシオが大好きなアベリアは必死でそれをやめて欲しいと訴え、ルシオがどれだけ自分の中で大事な存在か気付くはず……。
ルシオは、その事をある人物から助言されたのだが、その人物というのが実は今ルシオと手を握り合っているフィルマだった。
屈託のない笑顔でこの婚約破棄を提案して来たフィルマに対して、ルシオは、まだそこまで乗り気ではなかった。もし本当にアベリアが婚約破棄を受け入れてしまったら……という恐怖心があったからだ。
その事をフィルマに伝えると、心配はいらないと言われた。
その時のフィルマは「もしアベリアが婚約破棄をしてもいいと言ったら、私が『それは良くない事だ』って、アベリアに言い聞かせるから!」と自信満々に言い切ったので、ルシオはそれを信じ、この提案を実行する事を決意した。
しかし、今のルシオは何故か嫌な予感が募る一方だった……。
あんなにもアベリアを泣かせてしまったのに仲直りが出来るのだろうかと。
すると、侍女と一緒にアベリアが戻って来た。
先程溜めていた涙は、すでに瞳には残ってはいなかったが、泣きじゃくった所為でスンスンと鼻を鳴らしている。
そんなアベリアの様子から罪悪感に襲われたルシオが一瞬だけ目を逸らす。
しかし次の瞬間、アベリアの後ろに付いている侍女が持っている小箱の存在に気付き、一瞬で顔色を失う。
「アベリア……。それ……」
やや茫然とした様子でルシオが問うと、アベリアが侍女から小箱を受け取り、パカリと開いて中身を披露する。
「これ……ルシオ様に返す!」
キッとルシオを睨みつけながら、アベリアがズイッと差し出したその小箱の中には、蝶のデザインの銀細工にアベリアの瞳の色でもあるアンバーと、ルシオの瞳の色でもあるエメラルドが装飾された髪飾りが入っていた。
二カ月前、誕生日にルシオから贈られたこの髪飾りをアベリアは大変気に入り、毎日枕元に置いて眺める程、大切にしていた。
だが豪華な装飾が施されたデザインの為、両親からは特別な日以外は着けてはダメだと言われてしまったので、仕方なく外出する際にこうやって小箱に入れた状態で一番信頼のおける侍女に管理させ、持ち歩いていたのだ。
「そ、それ! 僕がこの前、君の6歳の誕生日にあげた髪飾りだよね!? な、何で返したりするの!?」
「だってルシオ様言っていたでしょ!? これは婚約者の証だって! でも婚約ハキしたら私はもうルシオ様の婚約者じゃなくなるから、持っていたらいけないの!」
「で、でも! これは僕が一生懸命アベリアに似合う髪飾りを考えて、作って貰ったんだよ!?」
「そんなの知らない! だってもう婚約者じゃなくなる私は、持ってちゃいけない物なんだから! だから……だから、もうこんなのいらない!!」
そう叫んだアベリアは小箱をパンと閉じて、ルシオの両手に押し付けてきた。
すると、今度はそのアベリアの叫びを聞いたルシオが、エメラルド色の大きな瞳にブワリと涙を溜め出す。
「何……で!? 何でいらないとか言うの!? 僕……僕一生懸命考えたのに……。アベリアと僕の瞳の色の石で、アベリアが好きな蝶々の形にして貰って……。アベリアだって、これをあげた時、すごく喜んでたでしょ!!」
「今はもうこんなのいらない!! 婚約ハキするルシオ様から貰った物なんか、使いたくないもん!! だから返す!!」
「やだやだやだぁぁぁぁー!! 返さないで!! アベリア、ちゃんと使って!!」
「使いたくない!! もうこんなのいらないんだからぁぁぁー!!」
「嫌だ! 返してこないで!! これは……これは僕がアベリアにあげたんだから!!」
もう互いに何を言っているか分からない状態になった二人が、泣きわめきながら小箱を押し付け合い出した。
そんな二人をフィルマも含め、周りの子供達が茫然としながら傍観し始める。
しかし二人の小箱の押し付け合いは、アベリアのある行動で一瞬だけ中断した。
「だったら……これ、フィルマにあげる!」
「「ええ!?」」
アベリアのその宣言にルシオとフィルマが、同時に驚きの声を上げた。
そしてアベリアは、今度はその小箱をルシオではなく、フィルマの方に押し付ける。すると少しニヤけたフィルマが、素直に小箱を受け取った。
「い、いいの!? これ、すっごく高そうな宝石が付いているけれど……」
「私はもうルシオ様の婚約者じゃないもの! だからこれは新しい婚約者のフィルマが使って!」
そう言ってアベリアは、フィルマに小箱を強く握り締めさせた。
しかし、それをバッと横取りしたルシオが、再び小箱をアベリアに押し付け出す。
「ダ、ダメだよ!! これは僕がアベリアにあげたんだから!! アベリアが使わなきゃいけないんだ!!」
「もう婚約者じゃなくなる私は、こんなのいらない!!」
「またいらないって言った……。何で!? 何でそんな酷い事言うの!? 僕、凄く一生懸命アベリアに似合う髪飾り考えて、これにしたのに!!」
「酷い事言ったのはルシオ様の方だもん! もう……もう私とは婚約するのは嫌って言ったくせにぃ……」
「嫌だなんて言ってない!!」
「言った!! フィルマの方が可愛いって言ってた!!」
「そ、それは……フィルマが……」
「ルシオ様はフィルマと婚約するのだから、もう私の婚約者じゃないもん!!」
二人が泣きわめきながら激しく小箱を押し付け合っていると、三人の貴婦人達が駆けつけ、その内の一人が二人を引き離す。そしてその貴婦人は、しゃがみ込みながらルシオの両肩を掴み、射貫くように目線を合わせた。
「ルシオ! どうしてアベリア嬢に意地悪をしているの!!」
「意地悪なんてしてない! アベリアが……アベリアがお誕生日にあげた髪飾りをいらないって言うから……。僕に返すって言うから!!」
その言葉を聞いたもう一人の貴婦人が、ギョッとしてアベリアに視線を向けた。
こちらはアベリアの母だ。
「ア、アベリア! ルシオ様にそんな事を言ったの!?」
「だって! だって……ルシオ様が私と婚約ハキするって言って来たんだもん!! もう婚約者じゃなくなる私は、これを持ってちゃいけないんだもん!!」
「「何ですって!?」」
二人の母は同時に叫び、今度はルシオの方を凝視する。
「ルシオ!! 婚約破棄って……。あなた意味が分かっていて、そんな酷い事をアベリア嬢に言ったの!?」
すると、先程から大粒の涙をボロボロとこぼしているルシオが、その涙を拭いながら、震える声で小さく呟く。
「だってフィルマが……。婚約ハキするって言えば、アベリアが僕の事一番大好きだって気付いてくれるって言うから……。僕の事、一番好きってアベリアが言ってくれるって言われたから……」
すると、今度は三人の貴婦人達が真っ青な顔色になりながら、フィルマの方へゆっくりと視線を向けた。
雲一つない青空を背景にした王城の中庭では、この国の王太子と年の近い令息令嬢を中心に招いたお茶会が開かれていた。
呼ばれた令息達は、将来王太子の側近候補として。
令嬢達の方は、王太子の婚約者候補と王族専属の侍女候補として。
ある程度の篩に掛けられて選抜された優秀な子供達が、このお茶会には呼ばれていた。
だが子供達は、このお茶会にその様な目的があるとは全く意識はしていない。各自が自由にそれぞれやりたい事を行い、このお茶会を満喫している。
ある子供は、会場内を駆け巡って友人と、はしゃぎ合い。
ある子供は、本日着てきたドレスや服装を自慢し合い。
ある子供は、王家専属のパティシエが作ったスイーツを堪能する。
そんな子供達の明るい声で賑わっている中庭のお茶会で、一人の少年が気張った表情を貼り付けながら、ある少女の前に立ちはだかる。
だが少女はその事に気付かない。
何故なら彼女は、スイーツを堪能している子供の一人だったからだ。
そんなスイーツに夢中な少女に少年が、突如ある事を宣言し始めた。
「アベリア! 僕は、今日をもって君との婚約をハキする!」
突然大きな声で呼びかけられたアベリアという少女は、誰にも見られていないと思い、手に持っていたお皿から一口サイズのケーキを口の中に突っ込んだ直後だった。その為、ケーキが口いっぱいに広がり、返答が出来ない……。
慌ててケーキをモグモグと咀嚼しきろうと必死になっていたら、何故かその様子を婚約者のルシオが、ジッと見つめてきたので、しゃべれないアベリアも無言で見つめ返す。その際、アベリアはルシオが自分の従姉であるフィルマと、しっかりと手を繋いでいる事に気付いた。
フィルマはアベリアの父親の妹……つまり叔母の娘で子爵令嬢だ。
伯爵令嬢でもあるアベリアとでは二人は身分差があるが、物心が付いた頃から姉妹のように仲が良く、アベリアの婚約者でもあるルシオを含め、よく三人で遊んでいた。
そのルシオとアベリアが婚約したのは、二人が3歳の頃だ。
その時に元々仲が良かったアベリアとフィルマの中にルシオが加わるという状況が、生まれた。その後は三人で一緒に遊ぶ事が増えたが、フィルマは二人よりも一つ年上だったので、自然とお姉さんぶる事が多かった。
そんな姉のような存在でもあったフィルマにやっと口の中のケーキを食べきったアベリアは、ルシオから言われたよく分からない『ハキ』という言葉の意味を聞いてみる。
「フィルマ。婚約を『ハキする』って、何をする事?」
「『破棄』っていうのは、約束した事をやめちゃう事だよ。だから今ルシオ様が言ったのは、もうアベリアとの婚約はやめたいっていう意味なの」
フィルマの説明を聞いたアベリアは、瞬時にはその言葉の意味が理解出来ずに茫然とした。だが、徐々にルシオが自分との婚約を嫌がっているという事を理解し始めた瞬間、アベリアの大きな琥珀色の瞳にブワリと涙が溜まり出す。
「な、なんでぇー……? だってルシオ様、ずっと私と一緒にいるって言ってたでしょ? なんで婚約やめちゃうのぉー……?」
アベリアの瞳に溜まり出した涙は、すぐにボロボロと零れ落ちる。
人前で泣くなんてお母様に怒られてしまう……。
そう思っていてもまだ6歳の幼いアベリアには、その深い悲しみの感情を抑える事など出来なかった。
そんなアベリアの反応にビクリと肩を震わせたルシオは、何故か手を繋いでいるフィルマに救いを求めるような視線を送る。
するとフィルマは、何かを促すようにルシオに向かって、大きく頷いた。
その合図のようなフィルマの反応にルシオも何かを決意したように大きく頷き返す。
「だって……僕はフィルマと結婚したいんだ。アベリアよりもフィルマの方が可愛いし、物知りだし、僕の事好きでいてくれるから……」
最後は何故か尻すぼみになったルシオの言葉を聞いたアベリアは、大きく瞳を見開き、更に大粒の涙をボタボタとこぼす。
「わ、私だって、お勉強頑張ってるもん! 私だって物知りだもん!」
そう言い返したアベリアだが、どうしても『自分よりフィルマの方が可愛い』という部分では反論が出来なかった……。
淡いピンクの髪色をしたお姫様のようなフワフワヘアーのフィルマの容姿は華やかさを感じさせ、幻想的な菫色の瞳は彼女に柔らかい雰囲気を与える。
パステルカラーの特徴が多いフィルマのまとう色合いは、幼い少女達にとって理想的な愛らしさの塊であり憧れだ。しかも彼女は、顔立ちまで愛らしい。
くっきりとした二重の下にはバサバサで髪と同じ色の睫毛が生えており、頬は化粧もしていないのに陶器のように白く、頬はほんのり薔薇色。
ピンク色の薄い唇は、更にフィルマの甘い可憐さを演出している。
対してアベリアは、地味なこげ茶のストレートヘアーだ。オレンジに近い琥珀色の瞳は髪色と同系色なので、更に地味さが増長される。肌の色も伯爵令嬢にしては活発な方であるアベリアは、色白ではなく健康的な色合いだ。顔立ちはフィルマと少し似ている為、可愛らしいと言われる事が多いが、比べられてしまうと、どうしてもアベリアの方が見劣りしてしまう……。
幼いながらも容姿に関しての劣等感を抱いているアベリアは、どうしても愛らしさに関しては反論出来なかったのだ。そんなアベリアに困った笑みを浮かべたフィルマが、追い打ちを掛ける一言を放つ。
「でもね。ルシオ様はアベリアよりも私の方が可愛いんだって。アベリアだって婚約者にするなら可愛い女の子の方がいいでしょう?」
悪気は一切ない様子で、ニコリと微笑みながら主張してきたフィルマの言葉で、容姿にコンプレックスを抱えていたアベリアの劣等感は、酷く刺激された。
「で、でも……でも! フィルマより私の方が絶対にルシオ様の事が好きだもん!」
それでも胸を張れる部分で精一杯反論したアベリアの言葉を聞いたルシオは、何故か顔を真っ赤にしながら、石像のように動かなくなった。
そんな状態のルシオの腕をフィルマが急かすようにグイグイと引っ張る。
すると、我に返ったルシオが何かを決意したように小さく息を呑んだ。
「だ、だけど! アベリアは今まで僕を好きだなんて言った事ないじゃないか!」
「そんな事ない! ちゃんと言ってたもん!」
「いつ!? 僕、聞いてない!」
「お誕生日の時とか、たまにするお泊まり会の時とか……。ずっと仲良しでいようねって、私ルシオ様に言った!」
「それだと『好き』って言ってないよ!!」
「同じ意味だもん!」
何故か変なところに拘り出したルシオと、意地でも好きと言ったと言い張るアベリアの謎の論争が始まる。そんな騒がしい二人の様子に周りの子供達も興味津々となって集まり出した。
「アベリアの嘘つき!!」
「嘘なんてついてない!!」
「そうやって嘘をつくから僕に婚約ハキされるんだ!!」
「――――っ!」
ルシオのその言葉で、アベリアが息を詰まらせるようにピタリと口を噤む。
そのまま小刻みに震えながら、更にボタボタと大きな瞳から涙を零し始めた。
そのアベリアの様子から感情的になっていたルシオが、急に顔色を無くしながら慌てふためく。
そんなルシオの様子に気付かないアベリアは、令嬢である事を忘れたかのようにお茶会用のフリルがたくさん付いているワンピースの袖部分でグイッと涙を拭い、鋭い視線でルシオとフィルマを睨みつけた。
「もういい……」
静かに呟いたアベリアは、クルリと体の向きを変えて会場の使用人達が控えているスペースへと歩き出す。
「ア、アベリア……? どこに行くの!? 僕、まだ話が――」
「ルシオ様に渡す物があるから、ちょっと待ってて!」
まだ瞳の縁に涙を溜めながらルシオを一瞥したアベリアは、足早に自分の侍女のところへと向かい、何かを耳打ちした後、そのまま会場から出て行ってしまった。
「え……? もしかして帰った? ぼ、僕の話は……?」
「ルシオ様、落ち着いて! さっきアベリアは『ちょっと待ってて』と言っていたでしょ? きっとすぐに戻って来るわ」
オロオロし出したルシオを落ち着かせようと、フィルマは繋いでいた手を更に強く握る。しかしルシオの方は、先程ボロボロと涙を零していたアベリアの顔が頭の中にこびりついており、それどころではない。
今まで喧嘩は何度かした事はあったが、あそこまで泣かせてしまった事はなかったからだ。そもそも二人は喧嘩をしてもすぐに謝り合って和解出来てしまう程、仲が良かった。
しかしここ最近のアベリアは、ルシオ以外にも同性の令嬢達と仲良くする事が増えてきた。特に従姉のフィルマとは姉妹のように仲が良く、三人で遊んでいてもアベリアがフィルマにベッタリになる事が多かった。
現状、まだ6歳の幼いルシオには恋心などという感覚はない。
だがアベリアにとって、一番の親友は自分であるという自負が強かった為、最近のアベリアの交友関係が気に入らず、このような行動に出てしまったのだ。
ただ一言。アベリアから自分が一番だという一言が聞きたかった、たったそれだけの為にアベリアの気持ちを試そうとしてしまったルシオ。
それがこの婚約破棄宣言である。
婚約破棄を言い出せば、ルシオが大好きなアベリアは必死でそれをやめて欲しいと訴え、ルシオがどれだけ自分の中で大事な存在か気付くはず……。
ルシオは、その事をある人物から助言されたのだが、その人物というのが実は今ルシオと手を握り合っているフィルマだった。
屈託のない笑顔でこの婚約破棄を提案して来たフィルマに対して、ルシオは、まだそこまで乗り気ではなかった。もし本当にアベリアが婚約破棄を受け入れてしまったら……という恐怖心があったからだ。
その事をフィルマに伝えると、心配はいらないと言われた。
その時のフィルマは「もしアベリアが婚約破棄をしてもいいと言ったら、私が『それは良くない事だ』って、アベリアに言い聞かせるから!」と自信満々に言い切ったので、ルシオはそれを信じ、この提案を実行する事を決意した。
しかし、今のルシオは何故か嫌な予感が募る一方だった……。
あんなにもアベリアを泣かせてしまったのに仲直りが出来るのだろうかと。
すると、侍女と一緒にアベリアが戻って来た。
先程溜めていた涙は、すでに瞳には残ってはいなかったが、泣きじゃくった所為でスンスンと鼻を鳴らしている。
そんなアベリアの様子から罪悪感に襲われたルシオが一瞬だけ目を逸らす。
しかし次の瞬間、アベリアの後ろに付いている侍女が持っている小箱の存在に気付き、一瞬で顔色を失う。
「アベリア……。それ……」
やや茫然とした様子でルシオが問うと、アベリアが侍女から小箱を受け取り、パカリと開いて中身を披露する。
「これ……ルシオ様に返す!」
キッとルシオを睨みつけながら、アベリアがズイッと差し出したその小箱の中には、蝶のデザインの銀細工にアベリアの瞳の色でもあるアンバーと、ルシオの瞳の色でもあるエメラルドが装飾された髪飾りが入っていた。
二カ月前、誕生日にルシオから贈られたこの髪飾りをアベリアは大変気に入り、毎日枕元に置いて眺める程、大切にしていた。
だが豪華な装飾が施されたデザインの為、両親からは特別な日以外は着けてはダメだと言われてしまったので、仕方なく外出する際にこうやって小箱に入れた状態で一番信頼のおける侍女に管理させ、持ち歩いていたのだ。
「そ、それ! 僕がこの前、君の6歳の誕生日にあげた髪飾りだよね!? な、何で返したりするの!?」
「だってルシオ様言っていたでしょ!? これは婚約者の証だって! でも婚約ハキしたら私はもうルシオ様の婚約者じゃなくなるから、持っていたらいけないの!」
「で、でも! これは僕が一生懸命アベリアに似合う髪飾りを考えて、作って貰ったんだよ!?」
「そんなの知らない! だってもう婚約者じゃなくなる私は、持ってちゃいけない物なんだから! だから……だから、もうこんなのいらない!!」
そう叫んだアベリアは小箱をパンと閉じて、ルシオの両手に押し付けてきた。
すると、今度はそのアベリアの叫びを聞いたルシオが、エメラルド色の大きな瞳にブワリと涙を溜め出す。
「何……で!? 何でいらないとか言うの!? 僕……僕一生懸命考えたのに……。アベリアと僕の瞳の色の石で、アベリアが好きな蝶々の形にして貰って……。アベリアだって、これをあげた時、すごく喜んでたでしょ!!」
「今はもうこんなのいらない!! 婚約ハキするルシオ様から貰った物なんか、使いたくないもん!! だから返す!!」
「やだやだやだぁぁぁぁー!! 返さないで!! アベリア、ちゃんと使って!!」
「使いたくない!! もうこんなのいらないんだからぁぁぁー!!」
「嫌だ! 返してこないで!! これは……これは僕がアベリアにあげたんだから!!」
もう互いに何を言っているか分からない状態になった二人が、泣きわめきながら小箱を押し付け合い出した。
そんな二人をフィルマも含め、周りの子供達が茫然としながら傍観し始める。
しかし二人の小箱の押し付け合いは、アベリアのある行動で一瞬だけ中断した。
「だったら……これ、フィルマにあげる!」
「「ええ!?」」
アベリアのその宣言にルシオとフィルマが、同時に驚きの声を上げた。
そしてアベリアは、今度はその小箱をルシオではなく、フィルマの方に押し付ける。すると少しニヤけたフィルマが、素直に小箱を受け取った。
「い、いいの!? これ、すっごく高そうな宝石が付いているけれど……」
「私はもうルシオ様の婚約者じゃないもの! だからこれは新しい婚約者のフィルマが使って!」
そう言ってアベリアは、フィルマに小箱を強く握り締めさせた。
しかし、それをバッと横取りしたルシオが、再び小箱をアベリアに押し付け出す。
「ダ、ダメだよ!! これは僕がアベリアにあげたんだから!! アベリアが使わなきゃいけないんだ!!」
「もう婚約者じゃなくなる私は、こんなのいらない!!」
「またいらないって言った……。何で!? 何でそんな酷い事言うの!? 僕、凄く一生懸命アベリアに似合う髪飾り考えて、これにしたのに!!」
「酷い事言ったのはルシオ様の方だもん! もう……もう私とは婚約するのは嫌って言ったくせにぃ……」
「嫌だなんて言ってない!!」
「言った!! フィルマの方が可愛いって言ってた!!」
「そ、それは……フィルマが……」
「ルシオ様はフィルマと婚約するのだから、もう私の婚約者じゃないもん!!」
二人が泣きわめきながら激しく小箱を押し付け合っていると、三人の貴婦人達が駆けつけ、その内の一人が二人を引き離す。そしてその貴婦人は、しゃがみ込みながらルシオの両肩を掴み、射貫くように目線を合わせた。
「ルシオ! どうしてアベリア嬢に意地悪をしているの!!」
「意地悪なんてしてない! アベリアが……アベリアがお誕生日にあげた髪飾りをいらないって言うから……。僕に返すって言うから!!」
その言葉を聞いたもう一人の貴婦人が、ギョッとしてアベリアに視線を向けた。
こちらはアベリアの母だ。
「ア、アベリア! ルシオ様にそんな事を言ったの!?」
「だって! だって……ルシオ様が私と婚約ハキするって言って来たんだもん!! もう婚約者じゃなくなる私は、これを持ってちゃいけないんだもん!!」
「「何ですって!?」」
二人の母は同時に叫び、今度はルシオの方を凝視する。
「ルシオ!! 婚約破棄って……。あなた意味が分かっていて、そんな酷い事をアベリア嬢に言ったの!?」
すると、先程から大粒の涙をボロボロとこぼしているルシオが、その涙を拭いながら、震える声で小さく呟く。
「だってフィルマが……。婚約ハキするって言えば、アベリアが僕の事一番大好きだって気付いてくれるって言うから……。僕の事、一番好きってアベリアが言ってくれるって言われたから……」
すると、今度は三人の貴婦人達が真っ青な顔色になりながら、フィルマの方へゆっくりと視線を向けた。
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