異世界に憧れた少年の末路がこちらである

焼き芋さん

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第5話 青い壁

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 その日は昨日よりも森の奥深くを探索し、出来れば森を抜けようと考えていた。

 森の中を走って行く海人、そして後ろから付いてくる健二だった。

 森は深く、1時間以上は走っているのに出口が見付からない。

「もう無理だよ海人氏、戻ろうよ…」

 健二が泣き言を言うが、海人は却下して先を進んだ。

「おい、ようやく抜けたぞ…しかし、あれはなんだ?」

 森を抜けたその場所に、見た事もない不気味な青い壁が存在する。



 壁の無い場所を探したのだが、まるで見付からない。

(まさか今までの行動範囲すべてをこの壁に囲まれていたんじゃ…)

 海人は少し怖くなりながら、この触ると呪われそうな壁を眺めていた。

「うわあぁあぁぁああああっ!!!」

 遠くのほうで健二が悲鳴を上げる、見ると青い壁に1つ顔があった。



 よく見ると目はない、今のところ動きそうな気配は無かった。

「気持ち悪い形の穴だな…まるで顔みてぇだ」

「いや、違う、海人氏、これ現れたんだよ…突然!」

「な…に?」

 健二によればこれは、青い壁から浮き出した顔だと言う。

 彼が俺に嘘を付くメリットは無いし、信じるしかないのだが…

(まさか、この世界のモンスターか何かなのか?)

 するとその時、浮き上がった顔に目玉が現れた。



「「ぎゃああああああああああっ!!!」」

 俺と健二、二人して大声で悲鳴をあげてしまう。

 健二は後ろに回転しながら転げ周り、俺は受身の態勢をとる。

(まさか、これが奴らの言ってた「試作品」って奴じゃ…)

 テロリストの中の将軍を名乗っていたデザート・アジールと言う男を思い出す。

 日本各地に送り込まれた試作品から逃げ回り、生き残れば配下に加えてやると…

 何を持って試作品と呼んでいるのかさっぱりわからないが、まさか、これがその試作品の1つなのではないだろうか?

「試作品ってのはこういう妖怪のことかよ!」

 海人は鞘から剣を抜いて、壁の顔に剣の切っ先を向ける。

 すると青い顔は壁の中を左右上下に移動して、高速移動を始めた。

 いいや、それだけでは終わらない…

 壁の顔は、1つ、2つ、3つ…10、20、30…

 どんどん増えていき海人の背筋が凍りついた…

 顔になった部分は伸びて来て、海人に食らい付こうとして来る。

「うわっ!!あぶねぇ!!!」

 命懸けで避ける、昨日のゾンビとは違う、これは本気でやばい相手だと実感した。

 海人は鞘から剣を抜いて、青い顔に剣を突き刺した。

「グオオオオオオオオッッ!!!」

 不気味な声を上げて、顔の1つが消えてしまう。

 しかし他の顔は動き続け海人に噛み付こうと壁を動き回る。

「この距離を保てば噛み付かれる事は無いのか!弱点見付けたぜ!」

 奴らが顔を伸ばしてくるのは、約5メートルの距離だった。

 しかし…海人はその考えが甘かったことにすぐに気付かされる。

「う…ぎゃあぁぁああああっ!!!」

 腕の肉が食いちぎられ、海人は驚いて腰を抜かす。

 見ると顔が2つ合体し2倍の距離伸びていた。

 健二を見るがもういなくなっている。

(あの野郎、俺だけ置いて逃げやがった!見付けたらタダじゃおかねぇ!!)

 腕から血をポタポタ垂らし、海人はひとまず撤退しようと壁沿いを橋って逃げていく。

 すると奴らは動けないのか壁の中を追っては来なかった。

 ただ、目でこちらを見つめているのが不気味で仕方がなかった…

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 傷口は抉れ激痛が走っている、風が染みてヒリヒリした。

(このままじゃやばい…今すぐ傷薬で回復しないと…)

 海人は慌ててリュックサックの中身を探る、すると何故か傷薬は見付かった。

(今朝入れてこなかったのに不思議だ、どうして増えているんだ)

 仕組みはわからないが、俺はこの世界に感謝をして傷薬のビンを開けようとする。

 その時だった…俺の背後から恐ろしい気配がした…

「みーつけた!」



 聞いた事も無い低い男の声…俺は振り向くのが怖かった…

 何故なら俺がもたれ掛かっている青い壁、そこから声がしたのだから…

 振り向くと案の定、あの不気味な青い顔がいた。

「ひぃぃいい!!ぎゃあああああああっ!!!」

 次は青い顔に肩の肉を食いちぎられる。

 そして奴は俺から奪った肉を美味しそうに食べているのだった。

 その丸い目でこちらを見つめながら―――
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