転生を繰り返してたら神様に惚れられました

丸太

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1章 

42. 魔力鑑定の結果

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瞼の裏に差し込む光が落ち着いて、皆が目を開けると、そこには虹色に輝く魔石があった。

「・・・えーと、さすがソフィアだなぁ。見たこと無い。こんなきれいな魔石」

場を繕うような次男のアドライトの声。

「うん、・・・綺麗だね」

長男のアレクサンドライトも、驚いて立ち尽くすソフィアの肩を抱いて、こんな事は大した事ないとでもいう雰囲気を出す。
ソフィアは兄たちの気遣いに安心した様子で傍らのレオンを振り返る。

しかしレオンは目を見開いて魔石を注視している。
グレーアイがいつになく揺らめき強く輝いていた。

「た、た、た、大変な事が起きました!!!」

いつもは声を荒げることなど無い司教が、驚愕の表情でパニックを起こしていた。

「落ち着け、司教! 鑑定の結果は?」

凛とした辺境伯の声に場は静まり、緊張が走る。

「わ、わかりません・・・」

なんじゃ、そりゃ?
と、物凄く訝し気な表情で司教を見る辺境伯。
司教も慌てて付け加える。

「このような反応は見たことも聞いたこともないですし、何より魔力の数値が、ぜ、ぜ、ぜ、ゼロなのです!」

ハンカチで汗を拭きながらしどろもどろに鑑定結果を話す司教を横目に、夫人は自らの手を魔石にかざす。

「何をおっしゃるの? わたくし、魔力は持っていないわ。ほら見て。魔力が無いと魔石は透明になるのよ」

乳白色に戻った魔石が、ダニエラの手に反応してキラキラと水晶のように透明になる。
手を下すと魔石はまた乳白色に戻った。

次にアレクサンドライトが手をかざす。
魔石は青く輝き、次第に赤く色を変え、それを繰り返す。

「若様の魔力は風と火です。力はどちらも『強』」

司教が鑑定を下す。

次にアドライトが魔石に手をかざすと、魔石は赤く、次に黄色く変化した。

「アドライト様は火と大地。若様と同じく力はどちらも『強』」

司教は正確に鑑定する。

「うん、去年の鑑定と同じだよ」

アドライトは昨年10歳になり魔力発現の儀式を受けたばかりだ。
どうやら魔道具の故障という事ではないらしい。

何を思ったか、辺境伯まで魔力鑑定を始めた。

魔石は赤く、青く、色を変えた。

「伯様は火と風。力はどちらも『中』」

司教の判定に辺境伯は顔をしかめる。

「ふむ、二十年以上経っても変わらないものだな」

ならば、魔石は故障も変化もしていないという事だ。

ソフィアは自分の小さな両手を見つめた。何の変哲もない、子供の手だ。
その手を、一家の後ろから成り行きを見守っていたレオンが、がっしりと掴む。
目を上げると、グレーアイを輝かせた甘い笑顔のレオンが、ソフィアを見つめていた。

「何ですか?」

ソフィアが問うと

「何でもないよ。でも今、何故だかとても幸せな気分になった」

レオンが場違いな事を言うので、ソフィアは思わず笑ってしまう。
つないだ手から伝わって来る温かさに、ソフィアの強張った心が徐々に柔らかくなってきた。

「確かに」

コホンと咳ばらいをしながら司教は冷静さを取り戻す。

「魔石の変色は見たことが無い色になりましたが、嫌な気配は感じません。魔力は間違いなく、ゼロです。ソフィアお嬢様は、何か・・・」

司教は一旦言葉を区切った。

「ソフィアお嬢様はきっと魔力ではなく、人間的魅力があまりにも突出していますので、それがこのような魔石の変化を生んだとしか考えられません。とにかく、鑑定の結果は魔力ゼロに確定です」

かなり強引なこじつけだが、司教による正式な魔力判定の結果が告げられた。

「ははは!」

と辺境伯は笑った。

「うちのお姫様は魔力の無い状態でなんだもんな。これで魔力最強とか鑑定されたらたまったものじゃなかったよ」

言葉を受けて夫人も笑う。

「ふふふ。ソフィアはどこまで行ってもソフィアね」

そう言うとまだ小さな娘を安心させるように抱きしめた。

いつものソフィアなら家族を心配させないように振舞うだろう場面だったが、この時は言葉も行動も流されるままだった。
もちろん家族はそれに気付いていたが、鑑定の結果を覆す事は出来ない。
事実を受け止め、受け入れる時間が必要だとわかっていた。





史上初めて、シルエット家の直系から魔力を持たない者が出た。
この事実は国に正確に報告された。
生まれながらにして、その存在感も能力も、まさしくシルエットの子であったソフィアなのに、魔力がないという事実は、この後瞬く間に国中に知れ渡ったのである。





1章   完





お読みいただきありがとうございます。
表題のとおり、忘れていました。
魔力発現の儀式を行わないと2章が始まらないのです。
というわけで、41.と42.を付け足して1章の完結とします。
ご容赦下さい。
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