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16話
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聖域を包んでいた静寂が、内側から響く「鼓動」によって打ち破られました。
氷の中に閉じ込められたはずのエリス。しかし、その瞳は黄金色に輝き、彼女の神気はアルカード様の黒い魔力と完全に融け合い、螺旋を描いて聖域全体に広がっていました。
「……公爵様。さあ、目を開けて。私たちを邪魔する者たちを、すべて消し去りましょう」
エリスの囁きに応えるように、アルカード様の氷像にひびが入ります。 パキパキと音を立てて砕け散った氷の中から現れたのは、かつての「死神」を超えた、人ならざる美しさを纏った「魔王」の姿でした。
彼の漆黒の髪には銀の霜が降り、背後にはエリスの神気が形を成した、巨大な光の翼が揺らめいています。
「……ああ、エリス。君を抱く腕が、これほどまでに熱い。私の命は、今や君そのものだ」
アルカード様はエリスを横抱きにすると、砕かれた聖域の入り口へと視線を向けました。 そこには、生き残った教祖が、自らの信徒たちの命を捧げて召喚した、伝説の災厄「冥界の巨神」を従えて立っていました。
「化物め……! だが、その命を共有する歪な結合こそが弱点だ! どちらか一方が倒れれば、二人とも終わりなのだからな!」
教祖の号令と共に、巨神が地を揺らす一撃を放ちます。 しかし、アルカード様は避けることさえしませんでした。彼が軽く手をかざすと、空間そのものが凍りつき、巨神の腕は霧散するように砕け散りました。
「弱点? 違うな。エリスが私の中にいる限り、私は無敵だ」
アルカード様の影が伸び、教団の生き残りを一人ずつ影の底へと引きずり込んでいきます。 エリスは彼の腕の中で、まるで愛の言葉を聞くかのように、その断末魔の叫びを楽しそうに眺めていました。
「公爵様、見てください。あの方たちが、あんなに綺麗に散っていきますわ」
かつての健気で儚いエリスは、もうどこにもいません。 アルカード様の狂愛に侵食され、彼を癒やすためだけに存在する「氷の女王」へと変貌した彼女にとって、彼以外の命など、踏み潰される草花と同義でした。
「ひ、ひぃぃっ! 来るな、来るなァ!」
教祖が逃げ出そうとした瞬間、エリスの足元から伸びた黄金の鎖が、彼の四肢を縛り上げました。エリスの足首に嵌められた「黄金の枷」が共鳴し、鎖は教祖の魂を直接焼き始めます。
「貴方が、私たちの『永遠』を邪魔しようとした報いですわ。……さあ、死よりも深い暗闇の中で、後悔し続けてくださいな」
アルカード様はエリスの額に優しく口づけを落とすと、最後の一撃を教祖に叩き込みました。 教団は、その存在の痕跡すら残さず、聖域の冷気の中に消え去ったのです。
戦いは終わりました。しかし、カシアンが震える声で呟いた通り、事態は終わってなどいませんでした。
「……あいつら、本当に『向こう側』へ行っちまったのか……。もう誰も、あの二人を止めることはできない」
聖域の玉座に座る二人の周りには、もはや雪さえも寄り付かず、ただ永劫の愛と執着だけが、重く冷たく積み重なっていきました。
氷の中に閉じ込められたはずのエリス。しかし、その瞳は黄金色に輝き、彼女の神気はアルカード様の黒い魔力と完全に融け合い、螺旋を描いて聖域全体に広がっていました。
「……公爵様。さあ、目を開けて。私たちを邪魔する者たちを、すべて消し去りましょう」
エリスの囁きに応えるように、アルカード様の氷像にひびが入ります。 パキパキと音を立てて砕け散った氷の中から現れたのは、かつての「死神」を超えた、人ならざる美しさを纏った「魔王」の姿でした。
彼の漆黒の髪には銀の霜が降り、背後にはエリスの神気が形を成した、巨大な光の翼が揺らめいています。
「……ああ、エリス。君を抱く腕が、これほどまでに熱い。私の命は、今や君そのものだ」
アルカード様はエリスを横抱きにすると、砕かれた聖域の入り口へと視線を向けました。 そこには、生き残った教祖が、自らの信徒たちの命を捧げて召喚した、伝説の災厄「冥界の巨神」を従えて立っていました。
「化物め……! だが、その命を共有する歪な結合こそが弱点だ! どちらか一方が倒れれば、二人とも終わりなのだからな!」
教祖の号令と共に、巨神が地を揺らす一撃を放ちます。 しかし、アルカード様は避けることさえしませんでした。彼が軽く手をかざすと、空間そのものが凍りつき、巨神の腕は霧散するように砕け散りました。
「弱点? 違うな。エリスが私の中にいる限り、私は無敵だ」
アルカード様の影が伸び、教団の生き残りを一人ずつ影の底へと引きずり込んでいきます。 エリスは彼の腕の中で、まるで愛の言葉を聞くかのように、その断末魔の叫びを楽しそうに眺めていました。
「公爵様、見てください。あの方たちが、あんなに綺麗に散っていきますわ」
かつての健気で儚いエリスは、もうどこにもいません。 アルカード様の狂愛に侵食され、彼を癒やすためだけに存在する「氷の女王」へと変貌した彼女にとって、彼以外の命など、踏み潰される草花と同義でした。
「ひ、ひぃぃっ! 来るな、来るなァ!」
教祖が逃げ出そうとした瞬間、エリスの足元から伸びた黄金の鎖が、彼の四肢を縛り上げました。エリスの足首に嵌められた「黄金の枷」が共鳴し、鎖は教祖の魂を直接焼き始めます。
「貴方が、私たちの『永遠』を邪魔しようとした報いですわ。……さあ、死よりも深い暗闇の中で、後悔し続けてくださいな」
アルカード様はエリスの額に優しく口づけを落とすと、最後の一撃を教祖に叩き込みました。 教団は、その存在の痕跡すら残さず、聖域の冷気の中に消え去ったのです。
戦いは終わりました。しかし、カシアンが震える声で呟いた通り、事態は終わってなどいませんでした。
「……あいつら、本当に『向こう側』へ行っちまったのか……。もう誰も、あの二人を止めることはできない」
聖域の玉座に座る二人の周りには、もはや雪さえも寄り付かず、ただ永劫の愛と執着だけが、重く冷たく積み重なっていきました。
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