辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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3話

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 ガイウスの強引な宣言に、ミサキは頭を抱えた。

「専属料理人?冗談でしょう!私はスローライフを送りたくてこの辺境に来たんです。あなたのような恐ろしい騎士団長に囲い込まれるために来たんじゃない!」

 ミサキは、テーブル越しにガイウスを睨みつけた。

「そもそも、あなたと私には何の契約もありません。私はあなたの部下でも領民でもありませんから、何を言われようと、拒否します!」

 ガイウスは、ミサキの抵抗を全く意に介さない様子で、ゆっくりとミサキの自作調味料の棚へ歩み寄った。彼は、醤油や味噌、マヨネーズといった、異世界では見たことのない瓶を手に取り、その香りを嗅いだ。

「この調味料……この純粋な旨味は、王都の錬金術師をもってしても再現不可能だ。君は、王国の至宝となるべき技術を持っている」

 ガイウスは振り返り、その黄金の瞳でミサキを射抜いた。

「拒否は許されない。君のこの技術が王都に漏れれば、王族や他の公爵が血眼になって君を奪いに来るだろう。彼らは君の意志など考慮しない。君は、戦争の火種になる」

 彼の言葉は、冷徹な現実を突きつけていた。ミサキは、自分のチートが平和なスローライフの妨げになるどころか、命の危険を招きかねないことを悟った。

「私は、君の技術、そして君自身を守る必要がある」ガイウスは、ミサキの言葉を遮った。「この辺境は、私の管轄だ。君が私の専属料理人となることで、君の存在は公的な庇護下に入る。誰が来ようと、『ガイウス・バルドの専属料理人に手出しするな』という鉄壁の盾を張ることができる」

「それは……私を道具として使うということでしょう?」

 ミサキは悔しそうに言った。

「道具ではない」

 ガイウスは、ミサキの目の前まで歩み寄り、顔を近づけた。彼の吐息がミサキの頬にかかるほどだった。

「君は、私の命の源だ。君の料理がなければ、私の味覚は再び麻痺し、私は冷たい鉄の塊に戻る。君の料理は、私の魂の安寧なのだ」

 彼の瞳は、冷酷な支配欲と、切実な渇望に満ちていた。ミサキは、この男が心から自分の料理を求めていることを理解した。

 ガイウスは、ミサキの抵抗を最終的に打ち砕く一手を打った。

「君がこのまま一人でいる限り、君の命は保証できない。仮に盗賊に襲われ、君の調味料のレシピが奪われたり、君が料理を作れない状態になったりしたら、どうなる?」

 彼は、ミサキのログハウスを見回した。

「今日から、私はこのログハウスに住む。君は私の専属料理人として、食事を作る義務を負う。その代わり、この辺境の最強の騎士団長が、君の調味料の秘密と安全を命をかけて守る」

 それは、交渉ではなく、絶対的な支配だった。

「私のスローライフが……」

 ミサキは絶望した。

 ガイウスは、ミサキが愛用していた、彼女が前の世界から持ってきた唯一の私物である調理用の木べらを掴んだ。

「君の道具は、私が守る。だが、君の生活は、私のルールに従ってもらう。さあ、ミサキ。今夜の食事は何だ?私の空腹は、騎士団長を非情にさせるぞ」

 こうして、ミサキの静かなスローライフは、冷酷で強引な騎士団長との、半強制的な同居生活へと変わってしまったのだった。
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