「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ

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13話

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 獣人国は、フィーアの浄化の力によって、急速に豊かになっていた。王都周辺の荒地は豊かな農地へと変わり、獣人たちの間にかつてない繁栄と歓喜が満ち溢れていた。

 この成功は、ガゼル王のフィーアへの愛情と執着を、もはや誰も止められないレベルまで高めた。彼は、フィーアが「真の女王」として民から慕われる姿を見るたびに、「彼女は私だけのものだ」という独占欲に苛まれた。

 その夜、ガゼル王は執務を終えると、すぐにフィーアの元へ向かった。

 フィーアが、王妃の間のテラスで、浄化された庭園から昇る清らかな月を眺めていると、ガゼル王が背後から彼女を強く抱きしめた。

 彼の力強い腕は、フィーアを離すまいとする強い意志を伝えてくる。

「フィーア……」

 ガゼル王は、彼女の首筋に顔を埋めた。彼の声は、獣人族特有の低く、熱を帯びた響きを帯びていた。

「君は、私の全てだ。君がこの国にもたらしたものは、私の想像を遥かに超えた」

 ガゼル王の心の声:(この温もり、この力、この美しさ、全てを独占したい。誰も君に近づかせない。君なしでは、私はもう王として立っていられない)

「王よ。わたくしも、あなた様とこの国を心から愛しております。わたくしの居場所は、ここにしかありません」

 フィーアは、王の腕の中で微笑んだ。

 ガゼル王は、フィーアを抱きしめたまま、玉座の間にある獣人族の古い誓いの石の前に連れて行った。

「フィーア。契約はもうない。だが、ここで改めて誓いを立てよう」

 ガゼル王は、フィーアを抱き寄せたまま、王としての威厳と、一人の雄としての情熱を込めて、激しく求愛した。

「君は、私の獣人族の血を引く者ではない。だが、君の力と心は、私とこの国に深く結びついた」

「フィーア。私は、君を一人の女として、私の生涯をかけて愛し、守り続ける。君の瞳に、二度と裏切りの影を宿させはしない」

 ガゼル王は、フィーアの顎に手を添え、まっすぐ彼女の目を見つめた。

「永遠に、我が傍を離れるな。君は、私の王妃であり、私の命であり、この国を統べる女王だ。君が望むものは全て与える。だが、君の温もりだけは、永遠に私だけのものだ」

 それは、支配的で、独占欲に満ちた求愛だったが、フィーアにとっては、人間国では決して得られなかった、絶対的な愛の宣言だった。

 フィーアは、王の熱い瞳を見つめ、涙が滲むのを感じた。

「はい、王よ。わたくしは、あなた様と共に生き、あなた様と共にこの獣人国を永遠に統治いたします」

 フィーアは、ガゼル王の種族を超えた激しい愛を、心から受け入れた。この瞬間、二人の絆は、契約から真の愛と運命共同体へと、完全に昇華したのだった。
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