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第43話 聖女、恋の奇跡を起こす――“祈りよりもキスの方が効く!?”
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神殿の朝は、今日もざわついていた。
「聖女さまの“キス”で風邪が治ったらしい!」
「えっ、それ本当!?」
「神の加護より即効らしいぞ!」
「わたしも祝福されたい~~!!」
……というわけで、
神殿の廊下には“聖女キス希望者”の行列ができていた。
「……なにこれ。」
「新しい信仰が誕生しましたね。」
「どうしてそうなるの!?」
「昨日のあの出来事が、噂になっているようで……」
◇ ◇ ◇
事の発端は、昨日の夜。
ユウヒが書類整理中、指を紙で切った。
ほんの少しの傷。
けれど真由は反射的に、彼の手を取って――
「痛くない?」
「平気です。すぐ治ります。」
「……治れ。」
ぺた、と軽く唇を当てた。
「っ!? ま、真由さん!?」
「……よし、これで完治。」
「そ、そんな……! 急に……!」
そして本当に、傷はすぐに消えたのだ。
「……え、うそ。冗談のつもりだったのに。」
「聖女のキスに、癒しの奇跡が……?」
「……え、ええぇ……!?」
◇ ◇ ◇
その“偶然の奇跡”が翌朝には神殿全体に伝わっていた。
人の口に戸は立てられない。
――特に恋バナが絡むと尚更だ。
「真由さん、どうしますか……?」
「どうしようもないね。」
「希望者、すでに三十人超えです。」
「いや多っ!?」
「皆さん、“キスで風邪を治したい”と……」
「もう薬局いけよ!?」
◇ ◇ ◇
結局、こたつの間で緊急対応会議が開かれた。
「つまり、私のキスが“治癒の儀式”扱いされてるわけね。」
「はい。ですが、聖女の力が“愛情と共鳴する”という解釈も……」
「要するに、“恋が薬”ってこと?」
「……はい。神学的にも、間違ってはいません。」
「いやいやいや……! 間違ってる方向で合ってるやつだよそれ!」
ユウヒは困ったように笑った。
「……でも、僕は信じていますよ。」
「え?」
「真由さんの“想い”が、本当に誰かを癒せる力を持ってるって。」
「……もう、そういうこと言うと……」
「……?」
「実験、したくなるじゃん。」
「っ!?」
真由は身を乗り出し、ユウヒの頬にそっと触れた。
「じゃあ、次の奇跡、見せてあげる。」
唇が触れる。
一瞬の静寂。
風鈴が、やわらかく鳴った。
「……どう? なんか変化あった?」
「え、えっと……胸が……熱いです……!」
「それ恋の症状です。」
「奇跡じゃないんですか!?」
「奇跡でもあるけど、たぶん恋の副作用。」
真由はくすくす笑って、彼の手を握った。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「“愛で癒す”って、悪くないね。」
「……はい。とても、素敵です。」
◇ ◇ ◇
その日の午後。
「聖女さまが恋人に“癒しの口づけ”を授けた!」
「あぁ……愛こそ最大の奇跡……!」
「神殿中がときめきに包まれている……!」
もはや信仰というより恋愛祭りだった。
でも、そんな中で真由は思う。
――もしこの想いが、誰かの心をあたためるなら。
――それも“聖女の奇跡”なんだろうな。
◇ ◇ ◇
夜。
「……ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「次に“奇跡”が起きたらさ。」
「はい。」
「ちゃんと“ご褒美”くれる?」
「……ご褒美?」
「うん。“おやすみのキス”とか。」
「っ……そ、それはその……!」
「じゃあ、私が先にしちゃうね。」
言葉より早く、唇が重なった。
雪の音が静かに溶ける。
それは、夜に灯るもうひとつの奇跡。
次回予告
第44話 「聖女、恋の副作用――“仕事にならない甘すぎ生活”」
――お楽しみに!
「聖女さまの“キス”で風邪が治ったらしい!」
「えっ、それ本当!?」
「神の加護より即効らしいぞ!」
「わたしも祝福されたい~~!!」
……というわけで、
神殿の廊下には“聖女キス希望者”の行列ができていた。
「……なにこれ。」
「新しい信仰が誕生しましたね。」
「どうしてそうなるの!?」
「昨日のあの出来事が、噂になっているようで……」
◇ ◇ ◇
事の発端は、昨日の夜。
ユウヒが書類整理中、指を紙で切った。
ほんの少しの傷。
けれど真由は反射的に、彼の手を取って――
「痛くない?」
「平気です。すぐ治ります。」
「……治れ。」
ぺた、と軽く唇を当てた。
「っ!? ま、真由さん!?」
「……よし、これで完治。」
「そ、そんな……! 急に……!」
そして本当に、傷はすぐに消えたのだ。
「……え、うそ。冗談のつもりだったのに。」
「聖女のキスに、癒しの奇跡が……?」
「……え、ええぇ……!?」
◇ ◇ ◇
その“偶然の奇跡”が翌朝には神殿全体に伝わっていた。
人の口に戸は立てられない。
――特に恋バナが絡むと尚更だ。
「真由さん、どうしますか……?」
「どうしようもないね。」
「希望者、すでに三十人超えです。」
「いや多っ!?」
「皆さん、“キスで風邪を治したい”と……」
「もう薬局いけよ!?」
◇ ◇ ◇
結局、こたつの間で緊急対応会議が開かれた。
「つまり、私のキスが“治癒の儀式”扱いされてるわけね。」
「はい。ですが、聖女の力が“愛情と共鳴する”という解釈も……」
「要するに、“恋が薬”ってこと?」
「……はい。神学的にも、間違ってはいません。」
「いやいやいや……! 間違ってる方向で合ってるやつだよそれ!」
ユウヒは困ったように笑った。
「……でも、僕は信じていますよ。」
「え?」
「真由さんの“想い”が、本当に誰かを癒せる力を持ってるって。」
「……もう、そういうこと言うと……」
「……?」
「実験、したくなるじゃん。」
「っ!?」
真由は身を乗り出し、ユウヒの頬にそっと触れた。
「じゃあ、次の奇跡、見せてあげる。」
唇が触れる。
一瞬の静寂。
風鈴が、やわらかく鳴った。
「……どう? なんか変化あった?」
「え、えっと……胸が……熱いです……!」
「それ恋の症状です。」
「奇跡じゃないんですか!?」
「奇跡でもあるけど、たぶん恋の副作用。」
真由はくすくす笑って、彼の手を握った。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「“愛で癒す”って、悪くないね。」
「……はい。とても、素敵です。」
◇ ◇ ◇
その日の午後。
「聖女さまが恋人に“癒しの口づけ”を授けた!」
「あぁ……愛こそ最大の奇跡……!」
「神殿中がときめきに包まれている……!」
もはや信仰というより恋愛祭りだった。
でも、そんな中で真由は思う。
――もしこの想いが、誰かの心をあたためるなら。
――それも“聖女の奇跡”なんだろうな。
◇ ◇ ◇
夜。
「……ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「次に“奇跡”が起きたらさ。」
「はい。」
「ちゃんと“ご褒美”くれる?」
「……ご褒美?」
「うん。“おやすみのキス”とか。」
「っ……そ、それはその……!」
「じゃあ、私が先にしちゃうね。」
言葉より早く、唇が重なった。
雪の音が静かに溶ける。
それは、夜に灯るもうひとつの奇跡。
次回予告
第44話 「聖女、恋の副作用――“仕事にならない甘すぎ生活”」
――お楽しみに!
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