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前章
練習終わりの更衣室
「マジで今日の練習、えぐ鬼すぎ」
「顧問、合宿前になると脳内アスリートになるからなぁ~」
「しかも詩弦が本気出したら地獄じゃん!マジ膝ガクガクなんだけど!」
がちゃがちゃとロッカーが開く音、シャワーの音、そしてひときわ目立つ3年生たちの陽気な笑い声。テニス部の更衣室は、部員全員がのびのびと着替えられるくらい広い。
夕焼け色に染まる窓の外では、まだ誰かがランニングのラストメニューをこなしている。
「でさ、今年のインハイの選抜メンバーって、ぶっちゃけどうなると思う?」
「個人的には1年の神田ちゃん入ると思うなぁ。最近のスマッシュえぐいし」
「でも1年はまだ連携ヤバいって。ミス多すぎ~。ダブルスで組むの不安すぎ~」
「じゃあ誰と組みたいの?」
「うーん、やっぱ彩里?」
「え~ズルいっ!!彩里は全員の憧れ枠だから!早い者勝ちじゃん!」
「あはは、やめてよー。わたしみんなにモテても使い道ないよ~」
タオルで髪を拭きながら笑う彩里に、周囲から「きゃー!」という悲鳴と拍手が飛ぶ。その中心で、詩弦はタオル片手に、苦笑混じりにため息をついた。
「___騒がしい」
「そう言いつつ、笑ってんじゃん」
「うるさい」
軽口に、笑いがまたひとつ広がる。
詩弦が練習の時とオフモードで別人なのは、もはや誰もが知っている事実だった。
「は~い後衛のスターがデレました~!今夜は隕石注意報でーす!」
「やっぱ詩弦先輩、顔整いすぎでしょ、あれであの腹筋でしょ?無敵じゃん」
詩弦はすでに練習着を脱ぎ終え、スポブラに黒のショーツ姿で汗を拭いていた。引き締まった腹筋に加え、日の当たらない腹部の肌は白くてツヤがある。
そのくせ胸元は___控えめ。
ちらっと隣のロッカーにいる彩里を見ると、例のFカップを隠す気もなくスポブラ姿で「ドリンク足りなーい」とか言ってる。
「ほんとあいつ、バランスおかしい」
詩弦は小さく呟いて、自分の胸元にそっと目を落とした。
このへん、別に張り合う気はない、と毎回言い聞かせてるけど、毎回ちょっと引っかかる。
そんな視線にも気づかず、蓮は近くのベンチでスポーツタオルを両肩にかけて、黙々と汗を拭いていた。
彼女の姿は少し違っていた。
他の部員がさっさと上着を脱ぐ中、蓮はスポブラの上にまだタンクトップを着ている。
「ねえ蓮、そのタンク暑くない?脱いだら?」
「え?あ、うーん別にいいかな。これ空気抵抗減らしてくれるし」
「あのさ、それ上に着てるんだからむしろ増えてるんだけど」
ケロッとした顔で答える蓮に、広瀬はため息交じりに返す。
「でも、胸あると走る時ブレーキになりそうじゃん?私ないから助かってるんだ~」
「は?」
広瀬は目をしばたたかせたあと、爆笑した。
「何その理論!逆逆ぅ!」
「相変わらず蓮は何考えてるかわかんないねほんと」
「それな?もう蓮ワールド爆発!って感じでチョー好き」
「なにそれ笑」
同級生たちが楽しそうに笑う姿に交じって、蓮は鈴を転がすような笑顔で笑った。
「顧問、合宿前になると脳内アスリートになるからなぁ~」
「しかも詩弦が本気出したら地獄じゃん!マジ膝ガクガクなんだけど!」
がちゃがちゃとロッカーが開く音、シャワーの音、そしてひときわ目立つ3年生たちの陽気な笑い声。テニス部の更衣室は、部員全員がのびのびと着替えられるくらい広い。
夕焼け色に染まる窓の外では、まだ誰かがランニングのラストメニューをこなしている。
「でさ、今年のインハイの選抜メンバーって、ぶっちゃけどうなると思う?」
「個人的には1年の神田ちゃん入ると思うなぁ。最近のスマッシュえぐいし」
「でも1年はまだ連携ヤバいって。ミス多すぎ~。ダブルスで組むの不安すぎ~」
「じゃあ誰と組みたいの?」
「うーん、やっぱ彩里?」
「え~ズルいっ!!彩里は全員の憧れ枠だから!早い者勝ちじゃん!」
「あはは、やめてよー。わたしみんなにモテても使い道ないよ~」
タオルで髪を拭きながら笑う彩里に、周囲から「きゃー!」という悲鳴と拍手が飛ぶ。その中心で、詩弦はタオル片手に、苦笑混じりにため息をついた。
「___騒がしい」
「そう言いつつ、笑ってんじゃん」
「うるさい」
軽口に、笑いがまたひとつ広がる。
詩弦が練習の時とオフモードで別人なのは、もはや誰もが知っている事実だった。
「は~い後衛のスターがデレました~!今夜は隕石注意報でーす!」
「やっぱ詩弦先輩、顔整いすぎでしょ、あれであの腹筋でしょ?無敵じゃん」
詩弦はすでに練習着を脱ぎ終え、スポブラに黒のショーツ姿で汗を拭いていた。引き締まった腹筋に加え、日の当たらない腹部の肌は白くてツヤがある。
そのくせ胸元は___控えめ。
ちらっと隣のロッカーにいる彩里を見ると、例のFカップを隠す気もなくスポブラ姿で「ドリンク足りなーい」とか言ってる。
「ほんとあいつ、バランスおかしい」
詩弦は小さく呟いて、自分の胸元にそっと目を落とした。
このへん、別に張り合う気はない、と毎回言い聞かせてるけど、毎回ちょっと引っかかる。
そんな視線にも気づかず、蓮は近くのベンチでスポーツタオルを両肩にかけて、黙々と汗を拭いていた。
彼女の姿は少し違っていた。
他の部員がさっさと上着を脱ぐ中、蓮はスポブラの上にまだタンクトップを着ている。
「ねえ蓮、そのタンク暑くない?脱いだら?」
「え?あ、うーん別にいいかな。これ空気抵抗減らしてくれるし」
「あのさ、それ上に着てるんだからむしろ増えてるんだけど」
ケロッとした顔で答える蓮に、広瀬はため息交じりに返す。
「でも、胸あると走る時ブレーキになりそうじゃん?私ないから助かってるんだ~」
「は?」
広瀬は目をしばたたかせたあと、爆笑した。
「何その理論!逆逆ぅ!」
「相変わらず蓮は何考えてるかわかんないねほんと」
「それな?もう蓮ワールド爆発!って感じでチョー好き」
「なにそれ笑」
同級生たちが楽しそうに笑う姿に交じって、蓮は鈴を転がすような笑顔で笑った。
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