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13.決戦①
「いらっしゃいませ。アンハルト様。お待ちしておりました。」
アンティーク調のチェアとテーブルが素敵なお店です。
なんとこんな素敵なお店を貸し切りにしてくださいました。
席に案内され、席に着きます。
程なくして前菜が運ばれて来ました。
私がお料理を味わっていると、
また、旦那様が微笑みながらこちらを見ています。
「旦那様もお食べになってくださいな!とっても美味しいですわ!」
「ふふ、本当だ。美味しいね。
実は、私は母が亡くなってから気付いたら味覚が無くなってしまっていてね。何を食べても美味しいと感じられなかったんだ。でも、エリーゼが美味しそうに食べている姿を見て、少しずつ"美味しい"がわかるようになってきたんだ。
ありがとう。」
味覚が無くなるなんて…。
幼い時に母を亡くし、義母ができても両親に愛情を注がれる事なくどれだけ寂しく辛い想いをされたのでしょうか…。
小さい頃の旦那様を抱きしめてあげたいです…。
次々と運ばれてくるお料理は全て美味しくて、いよいよメインのお料理が運ばれてきて、ワクワクしていると…。
貸し切りなはずなのに、お店のドアが開きました。
「あら?ウィルじゃない!偶然ね!」
カレン様がいつもに増して煌びやかな格好で入って来られました。
やはり…。誰かがカレン様に伝えていました。
「カレン?どういうつもり?今日はエリーゼとデートなんだ。このレストランも今日は貸し切りだよ。
それより、私の大切なエリーゼを随分と傷付けてくれたようだね。誰が誰と夜を共に過ごす仲だって?」
「あら?エリーゼ様ったらウィルに話したの?旦那に泣きつくなんて、自分では何もできないのね?
てっきり、ウィルには何も言えずに泣いて実家に逃げ帰るものだと思っていたわ。」
「おあいにくさま、あれだけ馬鹿にされて黙っているような私ではありませんの。わざわざお2人がデートしている姿を見せつけようとしたり、陰湿ですこと!!」
まぁ、実は少し離縁は考えましたが…。
旦那様が立ち上がり、私の肩を抱き寄せます。
その姿を見てカレン様は"クッ"と悔しそうな表情を浮かべます。
「カレン?全て聞いている。このような事をしておいて、タダで済むとは思うなよ!!」
そう言って、カレン様を睨みつけました。
普段物静かで何事にも興味が無さそうな旦那様が怒るととても怖いです。
カレン様も今までの威勢は何処へやら。少し俯き震えています。
「なぜこんな事をしたのか答えろ!!」
「ウィルが!!ウィルが悪いのよ!!私はずっと小さい頃からウィルが好きだった!ずっと結婚したいわって貴方に言ってきたのに!!貴方は、私に何も興味が無かったじゃない!!」
「カレンをそういう目で見たことは無い。それに君にはマジューがいるじゃないか。」
「貴方にいくらアプローチしてもなびかないから何か理由があると思って調べたのよ!!そしたらね!!貴方が屋敷の裏にある木の上でマジューと2人で寄り添う姿を見たのよ!!」
「………寄り添う……?」
旦那様の顔が青ざめます。
「そうよ!だからウィルは、女は愛せずマジューの事がずっと好きだったのでしょう!?」
あぁ、旦那様の顔が嫌悪感でいっぱいになっていきます…。
「私がマジューと結婚したら、ウィルが悔しがると思って結婚したのよ!
そしたら何よ!!マジューと私の結婚式ではマジューに笑顔でお祝いしてるし、その後すぐ結婚してるし!!」
「……………。」
旦那様、声も出ません…。
「マジューとは、、良き友人だ。お互いそのような感情は抱いた事は無い…。」
「何よ!!
この間デートしてると見せかけて、奥様に嫌がらせしたのも、ウィルと奥様が上手くいって無いから、ちょっとちょっかいかけたら2人が別れるって聞いて、全然私に振り向かなかったウィルに仕返ししようとしただけなのよ…。ちょっとした悪戯よ。」
「悪戯なんかで済むか!!お前は、人を1人殺しかけたんだぞ!?
それに、マジューにもこの事が知られたらどうなるだろうな?
お前は、エリーゼを!マジューを傷付けたんだ!!悪戯で許されるわけがない!」
「人を殺しかけた?ちょっと大袈裟過ぎない??それに!マジューに言うのはやめてよ!私、こう見えてマジューの事もちゃんと愛してるのよ!
ま、まぁ、マジューは私の事を愛しているからきっとウィルの言うことなんて信じないわ!」
「それは…どうかな??
マジュー?君の奥さんはこう言ってるけどどうなの?」
旦那様が振り返って奥に向かって言いました。
「えっ!?」
奥の部屋から、マジュー様が
悲しげな表情で現れました。
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