わがままな妹の正体は

Haru

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不審者と知らない女

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「一体何なの?あの女」

時期外れの転入生は元平民で我が国では珍しいというか
隣国でも珍しい光の魔法を使う少女
リゼット・コーネリア男爵令嬢
学園に入るために男爵家の養女になったのだと聞いた。

それは別に私には関係ないが

扉1枚隔てた向こうでは、私の姉が泣いている。

リゼットがレオナルドを見て魔法が体を蝕んでると言い出したのだ
確かに間違いでは無いが、リリーが知らぬ内に解毒され
レオナルドは今、リゼットの取り巻きの1人だ。

リリーは何も知らない

というか、向こうからの申し出で婚約して婚約者と仲良くしていただけなのに割り込んできたあっちの方がおかしいんじゃないの?

「………お姉様」

聞こえたら嫌だから小さく声をかけてみる

だか、予想に反してガチャリと扉が開いた。

「レイナ……
レイナああああ」

私にしがみつき泣き始めたリリーに「ドレスが汚れるじゃない!!ハンカチ!ほらハンカチを使ってくださいな」と言いながらも

許すまじレオナルドと復讐を誓った。





翌日、学園ではリゼットが王太子や公爵家の嫡男と共に歩いていた。
レオナルドもそこに居た。

復讐はしたいが王太子達が居てはめんどくさいし
複数人の男に囲まれて歩く女と関わりたくない

何が良いのかしら?リリーの方が可愛いわよ
だって私の姉だもの。

とにかくその場から離れようと踵を返した時

「リンロット嬢」

伯爵家はこういう時嫌だわ
呼ばれた声に立ち止まり、集団に振り向いた。

声を掛けてきたのはレオナルド
一体何しに?

カーテシーと思っていない挨拶を述べる

「リリーの事なんだが」

「はい、姉なら邸で泣いておりますわ。身に覚えの無いことで
疑いをかけられ、それに縁談はサジスタン侯爵家からだったと記憶していますが」

私はそこでリゼットをちらりと見た
知らなかったのか驚いていて余計に腹が立つ

「すまない。改めて謝罪を」

「父が許しませんわ。それでは。」


私は今、父に頼んで武力で有名な国に嫁げるよう取り計らって
貰っている

他人にリリーを泣かせられるなんて耐えられない
リリーを泣かせていいのは私だけなのに

レイナの身勝手な怒りは新たな女に向かっていた。






レオナルドとリリーの縁談は両家の当主による話し合いのもと
破談となり、私は密かにレオナルドの女癖の悪さとリゼットに乗り換えるため2人が手を組んでリリーを捨てたと広めた。

両思いで、レオナルドとリリーが中睦まじかった所に
突然現れて魔法を使い2人の仲を引き裂いたリゼットは、リリーに
謝罪し、リリーも許したが
周りの令嬢は警戒し王太子や公爵家の嫡男の婚約者も今、婚約解消に動き出しているらしい

リゼットと一緒にいる男から離れないと
犯罪者にされる
娘が可愛い親たちが我が子を守るため解消されていく婚約
男達はリゼットが魔法を使える重要人物だからと説明したらしいが
リリーとレオナルドを見てしまった彼女達には言葉が届かない。


そうそう、肝心のリリーはね


「フォイ様」

ひっそりリリーを影から見ていた男と愛を育んでいる。
レオナルドが謝罪しようと近付いてきた時には


「まだお姉様を責めるのですか?!姉はやっと立ち直ったのに……
一体、お姉様が何をしたというの」

私の話を聞いていたリリーが駆け寄ってきて
「レイナ…貴女が私の為に泣いてくれるなんて
やっぱり貴女寂しかったのね」と後半変な事を言っていたが
レオナルドとリリーの仲は完全に壊れた。


リゼットは王宮に蔓延る悪事を暴けばもっと上手くやれたでしょうに
よりによって恋人を引き裂くからこうなったのよ




レイナは自分の事を棚上げして、リリーを泣かしたリゼットとレオナルドを恨み続けた。
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