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風のスクリーン 5
ごらん
パレードが行くよ。
窓辺に腰掛けて
夕陽を見ていた。
窓の外をパレードが通る。
表通りを北に向かって行く。
先頭のMが
奇妙な笛を吹く。
「さぁ みんな
ボクと 美しいところに
行こう。
ついておいで。」
甲高い 悪意を隠した 囁き。
「あのひとがリーダー。
あのひとは大丈夫。
とても信頼できるひと。」
列の最後尾の若いWは
先頭のMを見つめる。
「キミたちが
向かっているのは
昔
ずっと昔
わたしたちの
父の父 母の母 が
進んだところ。」
年老いたMが諭すが
誰も聞かない。
…………………………
はるか昔の
伝説のように
無知蒙昧の
有象無象は
踊りながら
行進していく。
先頭のMは信じている。
「ボクのお爺さんは
間違っていない。
ボクは みんなを
導く。」
……………………
すべてのものが
なにかの
メタファーとしてのみ
存在する「世界」。
それが わたしたちの
世界。
CとVのあとの世界。
……………
ブルーに
こんがらがって。
傑作の
描き方。
川のながれを
見つめて。
誰かに
仕えなくては
ならない。
仕えなくては。
それが悪魔 であれ
神であれ。
……………
祭祀と政治を分離する?
ばかげている。
政治は祭祀そのもの。
祈ることでのみ
政は成される。
JNの皇帝は
それを知っていた。
自分がまがいものであることを
当然 知っていた。
皇帝はぬかづき
祈る。
……………
皇帝はひとではない。
皇帝は神。
わたしはひと。
わたしは神。
あなたはひと。
あなたは神。
わたしたちはひと。
わたしたちは神。
皇帝はわたしたちだ。
……………
99は 「堀」の外に
雲をおろした。
CNの探査装置は
雲を捉えることはできない。
雲は「物体」ではない。
雲は思念の「塊」 だから。
雲を離れた99を
CNの探査装置が捉えた。
その一瞬前
99は「堀」を警備する「兵士」たちの
首を刃で次々に掻き切った。
……………
兵士たちの生体反応が消えると
CPのブランチから
数百匹の
「鳥」と「蜂」が放たれた。
鳥は小型
蜂は超小型の
飛行型探査機。
侵入するものを
見つけしだい
嘴と針で 消す。
99は ケースから
小さなカプセルを取り出し
空に向かって放り投げた。
空でカプセルが弾け
白煙が広がった。
白煙がたなびき消えると
下弦の月に照らされ
巨大な「竜」が現れた。
金色の鱗に覆われ
頭には二本の角が
聳える。
長い牙を剥き
手足にはかぎ爪。
竜は大きな翼を はためかせ
宙に舞った。
竜が口から吐いた
紅蓮の炎を 浴びて
鳥と蜂は
一羽 一匹 残らず
溶けて消えた。
99は竜の背に乗り
堀を飛び越えた。
……………
パレードが北に消えて
先頭のMのたくらみは
見事に成功した。
「ボクのお爺さんは
正しいひと。
ボクは みんなを
美しいところに
導く。」
先頭のMは
満足げに 笑う。
きみのわるい 俗悪な一族。
Mはその末裔。
デモクラシーは
幻になった。
……………………………
わたしは 許さない。
母 と 父 と
先頭のMに
騙された みんなの
仇をうつ
必ず。
美しい ところ
それは どこ?
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