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一年後の結末 1
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深いところ、海の底、土の中、洞窟の奥。
そういう場所でそれは見つかる。
半透明の鉱石、その中で彼らは永遠に眠っている。
あどけない少年、あるいは少女の姿形は僕たちによく似ていて、
僕たちはそれを神様と呼ぶことにした。
***
眼の前に祭られる半透明の鉱石、その中で眠る少年の姿を
ユウキはぼーっと見つめていた。
僕とそう違わなく見えるこの少年たちは、
僕らが生まれるずっとずっと前の時代を、生きていたらしい。
自然を操り、病を退け、死を克服したその超越種たちは僕ら人類の創造主でもある。
しかし彼らはやがて星から姿を消した。
長らく神話の中にしか存在しなかった神々が、
再び地上の光を浴びた考古学上の大発見からまだ数百年しかたっていない。
今や文明は、眠る彼らの夢を覗き見ることで栄華を極めようとしている。
「なにをしてるの?もう今日は帰っていいって言わなかったけ?」
祭壇の前に立つ僕の背に声がかかった。振り返る僕の視界に女性の姿が映る。
「もういいって、今日も結局何もしてないじゃないですか」
不満げな視線を返した。
「いいんだよ。私のやる気がでないんだ」
背は僕より頭2つ小さい。
いつものようにボサボサの波打つ髪と、ずり落ちそうな黒縁のメガネ
サイズの合ってない白衣を着た彼女はその容姿にぴったりな
やる気のない声をしている。
「何も気にすることはないよ。教会も三桁の番号をあてた神様から新しい発見なんてきたいしちゃいないしね。私も君も、ここの人間は出世街道から外れてるんだ。気楽にのんびりやるのが一番だよ」
「それはそうですけど、何もやることがないのはそれはそれで暇なんですよ。
せめて潜るぐらいはさせてくださいよ」
この人には呆れたものだ。
ここまで割り切れると逆に尊敬できるかもしれない。
「ダメ元だろうと、君を夢に送り込む労力は変わらないの。
エンジニアの苦労もわかってほしい。最低限本部に報告できる回数潜れば十分。
そんなに暇ならあっちを手伝ってやればいいでしょ」
そうやって彼女が指さした方向では、
法衣をまとった小太りの男が何かをいそいそと運んでいる。
彼はこちらの視線に気づくと笑顔を見せた。
「やあ、ユウキにリサこんなところにいたのか。
ちょうどいい、暇なら手伝ってくれ」
「ほら、出番」
白衣の彼女、リサは温度なくユウキを顎で指すが
自分は手伝う素振りすら見せない。
「明後日のミサの準備ですか、神父様?」
ユウキは男の持っていた荷物を半分貰い受ける。
「どうせこんな小さな神様を拝みにくる人なんて
いないと思うけどね」
白衣からやる気のない声が飛んでくる。
「うむ。小さいが立派な教会。一月に一度神様を拝むことのできる
この日を待ちわびてる信徒のために準備はかかせないよな」
神父様の快活な声はリサと微妙に噛み合わない。
「毎度そう言ってるけど、
私はこの三年で尋ねてきた人なんてみたことないんだけど」
リサの小言も神父様にはどこ吹く風だ。
「まあまあ、三人っぽっちの小さな教会
助け合っていきましょうよ」
いたずらっぽく笑いながら、僕は持っていた荷物をもう半分に分けて
彼女の小さな腕に押し込んだ。
「私の仕事は調査で、教会の運営じゃないんだよ」
そう言いながらも彼女は荷物を受け取る。
「僕だってそうですよ」
夢見である僕もまた彼女同様本部から派遣される身だ。
実質ここは神父様一人で切り盛りしてると言える。
「ここの運営は私の仕事だな」
神父様はそういうと快活に笑った。
僕たち三人は荷物を抱えたまま聖堂に向かって歩く。
街の外れにある小さな支部、142番の神様を祀る小さな神殿。
誰もがその存在を忘れてるのではないかと思うぐらい寂れたこの協会が、
僕の今の居場所だった。
そういう場所でそれは見つかる。
半透明の鉱石、その中で彼らは永遠に眠っている。
あどけない少年、あるいは少女の姿形は僕たちによく似ていて、
僕たちはそれを神様と呼ぶことにした。
***
眼の前に祭られる半透明の鉱石、その中で眠る少年の姿を
ユウキはぼーっと見つめていた。
僕とそう違わなく見えるこの少年たちは、
僕らが生まれるずっとずっと前の時代を、生きていたらしい。
自然を操り、病を退け、死を克服したその超越種たちは僕ら人類の創造主でもある。
しかし彼らはやがて星から姿を消した。
長らく神話の中にしか存在しなかった神々が、
再び地上の光を浴びた考古学上の大発見からまだ数百年しかたっていない。
今や文明は、眠る彼らの夢を覗き見ることで栄華を極めようとしている。
「なにをしてるの?もう今日は帰っていいって言わなかったけ?」
祭壇の前に立つ僕の背に声がかかった。振り返る僕の視界に女性の姿が映る。
「もういいって、今日も結局何もしてないじゃないですか」
不満げな視線を返した。
「いいんだよ。私のやる気がでないんだ」
背は僕より頭2つ小さい。
いつものようにボサボサの波打つ髪と、ずり落ちそうな黒縁のメガネ
サイズの合ってない白衣を着た彼女はその容姿にぴったりな
やる気のない声をしている。
「何も気にすることはないよ。教会も三桁の番号をあてた神様から新しい発見なんてきたいしちゃいないしね。私も君も、ここの人間は出世街道から外れてるんだ。気楽にのんびりやるのが一番だよ」
「それはそうですけど、何もやることがないのはそれはそれで暇なんですよ。
せめて潜るぐらいはさせてくださいよ」
この人には呆れたものだ。
ここまで割り切れると逆に尊敬できるかもしれない。
「ダメ元だろうと、君を夢に送り込む労力は変わらないの。
エンジニアの苦労もわかってほしい。最低限本部に報告できる回数潜れば十分。
そんなに暇ならあっちを手伝ってやればいいでしょ」
そうやって彼女が指さした方向では、
法衣をまとった小太りの男が何かをいそいそと運んでいる。
彼はこちらの視線に気づくと笑顔を見せた。
「やあ、ユウキにリサこんなところにいたのか。
ちょうどいい、暇なら手伝ってくれ」
「ほら、出番」
白衣の彼女、リサは温度なくユウキを顎で指すが
自分は手伝う素振りすら見せない。
「明後日のミサの準備ですか、神父様?」
ユウキは男の持っていた荷物を半分貰い受ける。
「どうせこんな小さな神様を拝みにくる人なんて
いないと思うけどね」
白衣からやる気のない声が飛んでくる。
「うむ。小さいが立派な教会。一月に一度神様を拝むことのできる
この日を待ちわびてる信徒のために準備はかかせないよな」
神父様の快活な声はリサと微妙に噛み合わない。
「毎度そう言ってるけど、
私はこの三年で尋ねてきた人なんてみたことないんだけど」
リサの小言も神父様にはどこ吹く風だ。
「まあまあ、三人っぽっちの小さな教会
助け合っていきましょうよ」
いたずらっぽく笑いながら、僕は持っていた荷物をもう半分に分けて
彼女の小さな腕に押し込んだ。
「私の仕事は調査で、教会の運営じゃないんだよ」
そう言いながらも彼女は荷物を受け取る。
「僕だってそうですよ」
夢見である僕もまた彼女同様本部から派遣される身だ。
実質ここは神父様一人で切り盛りしてると言える。
「ここの運営は私の仕事だな」
神父様はそういうと快活に笑った。
僕たち三人は荷物を抱えたまま聖堂に向かって歩く。
街の外れにある小さな支部、142番の神様を祀る小さな神殿。
誰もがその存在を忘れてるのではないかと思うぐらい寂れたこの協会が、
僕の今の居場所だった。
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