荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう

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20リオの贖罪

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 パーティを首になった。

 レンジャーの僕のかわりに、賢者を入れるらしい。
 ……仕方ないよね。僕は、攻撃も、派手な魔法もできない。
 ただ、みんなの補助をしていただけだ。

 それでも、正直、胸の奥がずきんと痛んだ。
 これからも、みんなの隣で笑っていられると思っていたから。

 僕たちは アレクス勇技総合大学 の同期だ。
 統合実践の授業で初めてパーティを組んで、
 そのまま卒業後も一緒に冒険を続けた。

 戦士のアレクス。
 魔法使いのオルフィナ。
 僧侶のエリオット。

 三人とも、本当に、よくしてくれた。
 特にオルフィナは、僕のことをよく気にかけてくれた。
 ……頼りなく見えてたんだろうな。

 僕たちは順調に実力を伸ばし、気がつけば Sランク に到達していた。
 でも、あれは――僕の力じゃない。
 みんなの力だ。
 僕なんて、ただ、ちょっと手伝っただけだ。

 みんななら、僕がいなくても、もっと高いところへ行けるだろう。
 本当は、僕もその旅路を一緒に歩きたかったけど……。

 これからどうしよう。
 ――少しだけ、ひとりになりたい。



 聖騎士のフィーナさんと出会った。
 冒険者ランクでいうとAランク。実力も気品もある、すごい人だ。

 彼女が魔獣と戦っている気配を察して、思わず駆けつけた。
 少しだけ手助けしただけなのに、彼女は驚くほど感謝してくれた。

 美しい人だ。オルフィナと同じくらい……いや、それ以上かもしれない。
 それ以来、彼女は「あなたと旅がしたい」と言って、
 僕と一緒に行動するようになった。

 ……本当に僕なんかでいいのかな。
 フィーナさんを見ていると、不安と同時に、どこか申し訳なさすら湧いてくる。

 そう思うたび、彼女は言う。

「リオさんの力は……すごいです。今まで出会った誰とも違います」

 そんなふうに言われたのは、生まれて初めてだった。

 フィーナさんは“鑑定士”の力を持っているらしい。
 人の潜在能力を見通す力――。



 今日、新しい仲間が加わった。

 リアナさん。若くして大司祭に就いた聖女。
 柔らかい微笑みと、すべてを見透かすような気配をまとった女性だ。

「神の導きで、あなたのもとへ来ました」

 そう言われた時、僕は思わず言葉を失った。

 しかも、彼女もフィーナさんに負けないくらいの絶世の美女だ。
 ふたりが横に立つだけで、僕はいたたまれない気持ちになる。

 それなのに――。

「リオさんはこちらへ!」
「いいえ、今日は私と行きます!」

 なんで、ふたりとも僕を取り合うの……?
 人生でこんなこと、一度もなかったのに。



 フィーナの分析によって、僕の“力”の正体がわかってきた。

 彼女いわく、
「他者の能力を極限まで引き上げる、希少どころか前例のない支援能力」
 らしい。

 リアナもまた、最初から気づいていたという。
 僕が持つ“異質な祝福”に。

 そういえば――。
 アレクスたちがSランクになった速さ。
 僕は、誰でもあのくらいで強くなるものだと思っていた。

 でも、違ったらしい。

 今日、さらに新たな仲間が加わった。
 大魔導士ヴァレンティナ。
 フィーナ、リアナに並ぶほどの、美しくも強大な魔導士だ。



 俺は、自身の力を自分へと還元できると悟った。
 なぜ、これほど単純なことに気づかなかったのか。
 これで俺は、剣聖にも、大賢者にも、願うなら、王にもなれるだろう。
 


 今では、三人とも俺に忠誠を誓ってくれている。
 
 俺は、ようやく理解した。

 ――俺の能力は、ただの“補助”ではなかった。
 誰かの力を、限界のその先まで押し上げてしまう“規格外”の力。

 それでも、たまに思い出す。

 かつての仲間のことを。
 俺と対等に接してくれた、あの三人のことを。
 彼らと旅した日々を。

 俺の無自覚な力が、
 彼らに自分の実力を誤らせてしまったのかもしれない。
 ……可哀想なことをした。

 それに気づけなかった彼らの未熟さ――
 そう言ってしまえばそれまでだが。

 ……だが、心配ではある。

 願わくば。
 彼らが、過信のせいで身を滅ぼさないことを。
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