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20リオの贖罪
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パーティを首になった。
レンジャーの僕のかわりに、賢者を入れるらしい。
……仕方ないよね。僕は、攻撃も、派手な魔法もできない。
ただ、みんなの補助をしていただけだ。
それでも、正直、胸の奥がずきんと痛んだ。
これからも、みんなの隣で笑っていられると思っていたから。
僕たちは アレクス勇技総合大学 の同期だ。
統合実践の授業で初めてパーティを組んで、
そのまま卒業後も一緒に冒険を続けた。
戦士のアレクス。
魔法使いのオルフィナ。
僧侶のエリオット。
三人とも、本当に、よくしてくれた。
特にオルフィナは、僕のことをよく気にかけてくれた。
……頼りなく見えてたんだろうな。
僕たちは順調に実力を伸ばし、気がつけば Sランク に到達していた。
でも、あれは――僕の力じゃない。
みんなの力だ。
僕なんて、ただ、ちょっと手伝っただけだ。
みんななら、僕がいなくても、もっと高いところへ行けるだろう。
本当は、僕もその旅路を一緒に歩きたかったけど……。
これからどうしよう。
――少しだけ、ひとりになりたい。
◇
聖騎士のフィーナさんと出会った。
冒険者ランクでいうとAランク。実力も気品もある、すごい人だ。
彼女が魔獣と戦っている気配を察して、思わず駆けつけた。
少しだけ手助けしただけなのに、彼女は驚くほど感謝してくれた。
美しい人だ。オルフィナと同じくらい……いや、それ以上かもしれない。
それ以来、彼女は「あなたと旅がしたい」と言って、
僕と一緒に行動するようになった。
……本当に僕なんかでいいのかな。
フィーナさんを見ていると、不安と同時に、どこか申し訳なさすら湧いてくる。
そう思うたび、彼女は言う。
「リオさんの力は……すごいです。今まで出会った誰とも違います」
そんなふうに言われたのは、生まれて初めてだった。
フィーナさんは“鑑定士”の力を持っているらしい。
人の潜在能力を見通す力――。
◇
今日、新しい仲間が加わった。
リアナさん。若くして大司祭に就いた聖女。
柔らかい微笑みと、すべてを見透かすような気配をまとった女性だ。
「神の導きで、あなたのもとへ来ました」
そう言われた時、僕は思わず言葉を失った。
しかも、彼女もフィーナさんに負けないくらいの絶世の美女だ。
ふたりが横に立つだけで、僕はいたたまれない気持ちになる。
それなのに――。
「リオさんはこちらへ!」
「いいえ、今日は私と行きます!」
なんで、ふたりとも僕を取り合うの……?
人生でこんなこと、一度もなかったのに。
◇
フィーナの分析によって、僕の“力”の正体がわかってきた。
彼女いわく、
「他者の能力を極限まで引き上げる、希少どころか前例のない支援能力」
らしい。
リアナもまた、最初から気づいていたという。
僕が持つ“異質な祝福”に。
そういえば――。
アレクスたちがSランクになった速さ。
僕は、誰でもあのくらいで強くなるものだと思っていた。
でも、違ったらしい。
今日、さらに新たな仲間が加わった。
大魔導士ヴァレンティナ。
フィーナ、リアナに並ぶほどの、美しくも強大な魔導士だ。
◇
俺は、自身の力を自分へと還元できると悟った。
なぜ、これほど単純なことに気づかなかったのか。
これで俺は、剣聖にも、大賢者にも、願うなら、王にもなれるだろう。
◇
今では、三人とも俺に忠誠を誓ってくれている。
俺は、ようやく理解した。
――俺の能力は、ただの“補助”ではなかった。
誰かの力を、限界のその先まで押し上げてしまう“規格外”の力。
それでも、たまに思い出す。
かつての仲間のことを。
俺と対等に接してくれた、あの三人のことを。
彼らと旅した日々を。
俺の無自覚な力が、
彼らに自分の実力を誤らせてしまったのかもしれない。
……可哀想なことをした。
それに気づけなかった彼らの未熟さ――
そう言ってしまえばそれまでだが。
……だが、心配ではある。
願わくば。
彼らが、過信のせいで身を滅ぼさないことを。
レンジャーの僕のかわりに、賢者を入れるらしい。
……仕方ないよね。僕は、攻撃も、派手な魔法もできない。
ただ、みんなの補助をしていただけだ。
それでも、正直、胸の奥がずきんと痛んだ。
これからも、みんなの隣で笑っていられると思っていたから。
僕たちは アレクス勇技総合大学 の同期だ。
統合実践の授業で初めてパーティを組んで、
そのまま卒業後も一緒に冒険を続けた。
戦士のアレクス。
魔法使いのオルフィナ。
僧侶のエリオット。
三人とも、本当に、よくしてくれた。
特にオルフィナは、僕のことをよく気にかけてくれた。
……頼りなく見えてたんだろうな。
僕たちは順調に実力を伸ばし、気がつけば Sランク に到達していた。
でも、あれは――僕の力じゃない。
みんなの力だ。
僕なんて、ただ、ちょっと手伝っただけだ。
みんななら、僕がいなくても、もっと高いところへ行けるだろう。
本当は、僕もその旅路を一緒に歩きたかったけど……。
これからどうしよう。
――少しだけ、ひとりになりたい。
◇
聖騎士のフィーナさんと出会った。
冒険者ランクでいうとAランク。実力も気品もある、すごい人だ。
彼女が魔獣と戦っている気配を察して、思わず駆けつけた。
少しだけ手助けしただけなのに、彼女は驚くほど感謝してくれた。
美しい人だ。オルフィナと同じくらい……いや、それ以上かもしれない。
それ以来、彼女は「あなたと旅がしたい」と言って、
僕と一緒に行動するようになった。
……本当に僕なんかでいいのかな。
フィーナさんを見ていると、不安と同時に、どこか申し訳なさすら湧いてくる。
そう思うたび、彼女は言う。
「リオさんの力は……すごいです。今まで出会った誰とも違います」
そんなふうに言われたのは、生まれて初めてだった。
フィーナさんは“鑑定士”の力を持っているらしい。
人の潜在能力を見通す力――。
◇
今日、新しい仲間が加わった。
リアナさん。若くして大司祭に就いた聖女。
柔らかい微笑みと、すべてを見透かすような気配をまとった女性だ。
「神の導きで、あなたのもとへ来ました」
そう言われた時、僕は思わず言葉を失った。
しかも、彼女もフィーナさんに負けないくらいの絶世の美女だ。
ふたりが横に立つだけで、僕はいたたまれない気持ちになる。
それなのに――。
「リオさんはこちらへ!」
「いいえ、今日は私と行きます!」
なんで、ふたりとも僕を取り合うの……?
人生でこんなこと、一度もなかったのに。
◇
フィーナの分析によって、僕の“力”の正体がわかってきた。
彼女いわく、
「他者の能力を極限まで引き上げる、希少どころか前例のない支援能力」
らしい。
リアナもまた、最初から気づいていたという。
僕が持つ“異質な祝福”に。
そういえば――。
アレクスたちがSランクになった速さ。
僕は、誰でもあのくらいで強くなるものだと思っていた。
でも、違ったらしい。
今日、さらに新たな仲間が加わった。
大魔導士ヴァレンティナ。
フィーナ、リアナに並ぶほどの、美しくも強大な魔導士だ。
◇
俺は、自身の力を自分へと還元できると悟った。
なぜ、これほど単純なことに気づかなかったのか。
これで俺は、剣聖にも、大賢者にも、願うなら、王にもなれるだろう。
◇
今では、三人とも俺に忠誠を誓ってくれている。
俺は、ようやく理解した。
――俺の能力は、ただの“補助”ではなかった。
誰かの力を、限界のその先まで押し上げてしまう“規格外”の力。
それでも、たまに思い出す。
かつての仲間のことを。
俺と対等に接してくれた、あの三人のことを。
彼らと旅した日々を。
俺の無自覚な力が、
彼らに自分の実力を誤らせてしまったのかもしれない。
……可哀想なことをした。
それに気づけなかった彼らの未熟さ――
そう言ってしまえばそれまでだが。
……だが、心配ではある。
願わくば。
彼らが、過信のせいで身を滅ぼさないことを。
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