SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~

しばたろう

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第3章 SE、命を救われる。

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「《火球呪文》!」

甲高く、威厳に満ちた声が響いた。
次の瞬間、あたりが光に包まれ、猛烈な熱が体を覆った。

オオカミは俺の体から一斉に飛びのいた。
どうやら周囲が炎に包まれているらしい。
体が燃えるように熱い。
いや、すでに火がついているのかもしれない。

そのとき、
森の奥から雄たけびが響き、誰かが突進してくる気配がした。

どうやら、オオカミとの戦闘が始まったようだ──
そこで、意識が途絶えた。

***

「《初級回復》」

温かく、おおらかな声が聞こえた気がした。
次の瞬間、体が急に軽くなり、
目覚めの良い朝のような感覚で意識が戻る。

「気が付いたようだ。」

図太い声が響く。
誰かに支えられ、体をゆっくり起こされた。
目を開けると、森の木々に朝日が差し込み、
あたりが淡く照らされていた。

目の前には焚火を囲んで座る三人の男がいた。

ひとりは鎧のような重装をまとい、がっしりした体格。
もうひとりは杖を手に落ち着いた雰囲気で周囲を見渡している。
最後のひとりは白い装束を思わせる服で、静かにこちらを観察していた。

俺は声が出ず、ただ怪訝そうな表情を浮かべることしかできなかった。

鎧の男が口を開く。

「オオカミは追っ払った。君はあちこち噛まれて重傷だったが、
 リオンの治癒で一命は取り留めた。

 俺たちはギルドの依頼でこの森のオオカミ狩りのクエストを受けていた。
 巡っている途中で、君が襲われているのを見つけたんだ。」

鎧の男は戦士で、レオと名乗った。
皮鎧を身にまとう大男だ。

白装束の男は僧侶で、リオン。
治癒と守護に長けており、優しげな笑みを浮かべている。

杖の男は魔法使いで、ルナと名乗った。
先ほどの炎の魔法を放った張本人らしい。
ついでに俺も燃えていたらしい。

「た、たすけてくれて……ありがとう」

なんとか礼を言い終えて、改めて三人を見回す。
戦士、僧侶、魔法使い
──まるでファンタジー世界そのものだ。

そういえば、
こうした“職業”が定番になったのはいつからだろう。

海外RPGの始祖「ウィザードリィ」。
戦士・僧侶・魔法使い・盗賊など、
後のRPGに通じるパーティー構成を確立した作品だ。
『ドラゴンクエスト』の設計にも影響を与え、
職業や戦闘システムにその痕跡がある。

同時期の「ウルティマ」シリーズでは、
商人や盗賊など多彩な職業が存在し、
世界との関わり方まで変わる高い自由度が特徴だった。

日本では、
やはり「ドラクエ」と「ファイナルファンタジー」だろう。
特に『ドラゴンクエストIII』ではパーティー自由編成が可能で、
発売日には全国で大行列。
社会現象となった熱狂は、今では考えられないほどだった。

……まさか、自分が“その職業の人たち”と出会うことになるとは。

気づけば、俺は無意識に微笑んでいた。
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