【完結】レルプスの花冠

Nansiro

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 レルプス家新当主の戴冠式に先立って、学院ではレオンの帰国と爵位継承を祝う夜会が開かれていた。
 会場となる学院の広間は、最高級の香水と着飾った生徒たちの熱気に満ちている。しかし、主役であるレオンがその傍らにノエルを連れて現れた瞬間、広間の空気は一変した。
 かつて『無能』と噂されたノエルは、今やレオンが心血を注いで仕立てさせた純白の礼服を纏い、首元にはあの白詰草の刺繍が施されたチョーカーを誇らしげに輝かせていた。
「……あの方が、噂のノエル様?」
「なんて清らかで、美しいんだ……」
 かつての蔑みは消え失せ、今やノエルは男女ともに誰もが手を伸ばしたくなる高嶺の花として映っていた。
 そして当然、誰もが見惚れる花にはその輝きに群がる羽虫たちが現れ始めた。
「ノエル様! 以前、学院でお見かけした時から、いつかお話ししたいと思っておりまして……」
「ノエル様、よろしければ次の一曲を。貴方の手を取れるなら、私は……」
 ノエルが困ったように微笑み、一歩後ずさると、その背後から絶対零度の殺気が立ち昇った。
「―――おや。僕の兄様に、何かご用でしょうか?」
 いつの間に移動したのか、レオンがノエルの腰を抱き寄せるようにして背後に立っている。その顔には完璧な貴族の微笑みが貼り付いているが、瞳の奥は一切笑っていなかった。
「レ、レオン様!いえ、その、ノエル様があまりに美しかったので……」
「ええ、僕の兄様は世界で一番美しい。それは認めましょう」
 レオンは女生徒の差し出した手を、手袋を嵌めた指先で冷たく払いのけた。
「ですが、兄様の繊細な指先を汚していいとは言っていません。……貴女の家門は確か、我がレルプス家といくつかの通商契約を結んでいたはずですね? 兄様に不快な思いをさせるということは、我が家との関係を断ちたいという意思表示と受け取っても?」
「ひっ……! 申し訳ございません!」
 顔を真っ青にして逃げ去る姿をレオンが鼻で笑うと、今度は反対側からノエルの手を取ろうとしていた別の若手貴族に視線を向けた。
「次は君か? 兄様の喉がまだ本調子でないことを知っていて声をかけているのなら、それは無礼を通り越して侮辱だ。その厚かましい舌を私が直接、二度と動かないようにしてあげましょうか?」
 レオンが低く囁くたびに貴族たちが蜘蛛の子を散らすように去っていくのを見て、ノエルは驚いてレオンを見上げた。
「レオン、そんなに怖がらせなくても……みんな、仲良くしようとしてくれてるだけだよ?」
「兄様は優しすぎます。あれは仲良くしたいのではありません。貴方という奇跡を、自分の欲のために利用したいだけの連中だ」
 レオンはノエルの肩を抱き寄せ、会場の隅に視線を送る。そこには料理をつまみつつもこちらから目を離さないカイルとメアリがおり、ふたりは小さく頷いてレオンにハンドサインを返した。
「兄様。今夜、兄様の隣に立つことを許されるのは、僕……と、まあ、そうですね。あの二人だけです。いいですね?」
「うん……うん?ねえ、カイルとメアリも何かしてるの?」
「当然です。羽虫を払う腕は多いに越したことはない。それに、もし失敗すれば自分たちの責任で相手の家門が消し飛ぶとあって、彼らも必死にやってくれていますよ」
「ええ……大げさすぎるよ……」
 ノエルはレオンの過保護ぶりに苦笑しながらも、その腕の温もりに安心し、そっと身を預ける。レオンはそんなノエルの身体を少しだけ強く抱き寄せつつ、窓の外に浮かぶ月を見つめた。
「兄様、お話したいことがあります。少し場所を変えても?」 

 そうして二人が訪れたのは、夜会の喧騒が遠く響く、月明かりに照らされたバルコニー。
 冷たい夜風がノエルの火照った頬を優しく撫で、首元のシルクのチョーカーをかすかに揺らした。
「……ふう。レオン、外は静かで気持ちいいね」
 ノエルが手すりに身を乗り出し、夜空を仰いで微笑む。レオンはその隣に静かに立ち、愛おしそうに兄の横顔を見つめた。
「ええ、そうですね。……兄様、これからのことですが」
 レオンが少しだけ声を潜め、真剣な眼差しを向けた。
「父上から爵位を継いだ今、次は正式な当主戴冠式が執り行われます。王家から授かる宝冠を戴き、僕は名実ともにレルプスの当主となるでしょう。……ですが、兄様」
 レオンはノエルの手に自分の手を重ね、指先を絡める。そして、熱を孕んだ瞳で囁いた。
「僕が本当に欲している冠は、王家が用意する金銀財宝を散りばめたものではありません。僕が人生を懸けて戴くべき、たった一つの冠は……兄様が僕のために編んでくれた、あの白い花冠だけなんです。……それを一生戴き続ける権利を、僕にいただけませんか?」
 それは、レオンなりの最高に情熱的で、一途なプロポーズ。
 王の冠を捨ててでも、貴方の作る脆く小さな愛を、僕の終着点にしたい―――そう、告げた。
 しかし。
「……えっ?」
 ノエルはぱちくりと瞬きをして、不思議そうに小首を傾げた。
「あの……レオン? 花冠なら、明日もお庭でたくさん編んであげるよ? 戴冠式にはちょっと地味かもしれないけど……レオンがどうしてもって言うなら、一番いい白詰草を選んで、当日の朝に新しく作っておくね。それでいいのかな?」
「…………」
 ノエルの瞳はどこまでも澄み切っていて、悪気一つない。 彼は『僕の花冠をそんなに気に入ってくれてるなんて可愛い弟だ』と、心から親愛の情を込めて微笑んでいた。
「……ぷっ、あははは!」
 レオンは思わず、顔を覆って噴き出した。
 あれほど冷徹に、武力と知略を巡らせて他家を潰してきた天才の本心からの求愛が、この天然で心優しい兄には笑えるほど全く届かない。その事実がおかしくて、そして、たまらなく愛おしかった。
「ああ……。ええ、そうですね。兄様が編んでくれるなら、それが最高に価値のある冠です。ぜひ、僕のためだけに作ってください」
「うん! 任せて。レオンに一番似合うやつを作るからね」
 そう言って、ノエルはレオンの手をぎゅっと握り返した。
 まだ、何も伝わっていない。けれど、この温もりが離れないのなら、何度でも、何年かけてでも伝え続ければいい。
 レオンは、兄がいつか自分の真意に気づいて赤面してくれる日を想像しながら、今はただ、月光の下で笑い合うこの穏やかな時間を噛みしめていた。

   ◆

 数日後、レルプス家の歴史に、否、王国の貴族史に永遠に刻まれるであろう前代未聞の戴冠式が始まった。
 会場は、歴代当主の肖像画が見守る厳粛な大広間。国王の代理人や名だたる貴族たちが列席し、若き天才レオン・レルプスの門出を祝うべく、厳粛な空気が漂っていた。
 王国からの使者が差し出すクッションの上には、数多の宝石が埋め込まれた、目が眩むほど豪華な金色の宝冠が鎮座している。これこそがレルプス家の権威の象徴であり、新当主がその正統性を示すために戴くべきものだった。
 しかし、儀式の最高潮、大司教がその重々しい宝冠を持ち上げ、レオンの頭上に掲げようとした、その時。
「お待ちください」
 レオンの透き通った声が、静寂を切り裂く。 彼は跪くのをやめ、真っ直ぐに立ち上がった。
 参列者たちがどよめく中、レオンは黄金の王冠を冷徹な目で見つめ、静かに、しかし断固として告げた。
「私は、その金細工を戴くつもりはありません。レルプスを継ぐ者として、私が頭を垂れるに値する冠は……この世に、ただ一つしか存在しない」
 レオンは視線を列席者の最前列へと向ける。そこには、緊張で震えながらも、大切な弟のために『あるもの』を膝の上で抱えている、純白の兄・ノエルの姿があった。
 レオンはゆっくりと階段を下り、驚きに目を見開くノエルの前で、優雅に片膝をついた。
「兄様。……約束を、果たしに来ました」
「れ、レオン……でも、これは……」
 ノエルが持っていたのは、黄金でも宝石でもない。今朝、屋敷の庭で一番綺麗に咲いていた白詰草を彼が心を込めて編み上げた、素朴で不器用な花冠。
「兄様が、僕の幸せを願って編んでくれたこの冠こそが、僕が何より求める王冠です。これ以外の重荷を背負うつもりはありません。……さあ、僕にその祝福を」
 ノエルは、周囲の視線に戸惑いながらも、レオンの真摯な瞳に導かれるように、震える手でその花冠を弟の頭に乗せた。
 純白の花冠を戴いたレオンは立ち上がり、参列者たちの方を向き直る。軍礼装の凛々しさと、頭上の素朴な花のコントラスト。それは、彼が何のためにその『力』を行使するのかを、残酷なまでに象徴していた。
 招待客の席にいたメアリは扇子を落としそうになり、カイルは口をあんぐりと開けたまま硬直している。彼らはレオンがやると言えばやる男だと重々知っていたが、まさか国家的な儀式の場ですら国宝級の宝冠を放置し、兄の手作りを選ぶとは流石に夢にも思っていなかった。
 一方、最前列で隠居の身として見守っていたギルバートは、一瞬だけ眉をひそめたものの、すぐに「はは……」と力なく笑って天を仰いだ。
「……本当にやりおった。執着もここまで来れば、もはや芸術的だな。『レルプスの渇き』とは、これほどまでに男を無鉄砲にするものだったか……」
 ギルバートの呆れ顔には、どこか誇らしげな、そして自分にはできなかった愛の貫き方への降参の色が混じっていた。
 困惑が会場を包む中、レオンは白詰草の冠を戴いたまま、壇上でゆっくりと手を広げた。
「さて。もう一つ、この場を借りて我がレルプス家の『新たなる誓い』を宣言します」
 レオンの合図とともに、背後に掲げられていた巨大なタペストリーが、重々しい音を立てて滑り落ちた。そのタペストリーに記されていたのは、建国以来レルプス家が誇りとしてきた『交差する双剣』の紋章。
 それが床に落ち―――代わりに現れたのは、柔らかな曲線で描かれた、一輪の白詰草の紋章だった。
 その瞬間、会場に今日一番のどよめきが走った。
 武門の名家がその誇りであった剣を捨て花を紋章に選ぶなど、前代未聞の事態だった。
「……レオン、あれって……」 
「今この瞬間から、我らレルプス家はこれまで携えてきた双剣を棄て、新たにこの白詰草を掲げることを宣言します」
 ノエルが驚きに目を見開く中、レオンは父ギルバートと一瞬だけ視線を交わす。父は静かに頷き、その変更が隠居した前当主との合意の上であることを示した。
「白詰草の花言葉は『幸福』、そして『約束』。私はレルプスの当主として、この紋章の下、この国の『幸福』を『約束』しましょう。敵を討ち、富を築き、一族の義務を果たしましょう。……ですが、それはすべて、今私が戴いている冠を編んだ、最愛の兄を守るための手段に過ぎないことはご理解いただきます」
 レオンの声は慈愛に満ち、その場にいる貴族たちの心を一時的に鎮めた。
 しかし、その直後、彼の瞳には『レルプスの渇き』特有の、冷たく底知れぬ狂気が宿った。
「そして……皆様、ゆめゆめ忘れないでいただきたい。白詰草には、もう一つの花言葉があるということを」
 レオンは口角を吊り上げ、会場を埋め尽くす貴族たちを、獲物を定める魔王のような眼差しで見据えた。
「もう一つの花言葉。それは―――『復讐』です」
 低く、けれど背筋を凍らせるような声が響き渡った。
「もし、この花を踏みにじろうとする愚か者が現れたなら。その時は、レルプス家が持つ全財産、全戦力、そして私の全知略を以て、その者の血の一滴までを代価として支払わせます。……それもまた、私が兄と交わした『約束』なのですから」
 慈愛の象徴である花の後ろに、絶対的な報復の牙を隠し持っている。 その歪で強固な、宣戦布告ともとれる決意表明に参列者たちは息を呑み、二度とこの白い花を侮るまいと心に刻まざるを得なかった。
「ふふっ。兄様、素敵な紋章でしょう?」
「うん。僕、この紋章大好き!」
 外に吹くそよ風の音が聞こえるほど静まり返った広間で、レオンがノエルに微笑みかける。状況の深刻さをいまひとつ理解していないノエルが、誇らしげな弟を見て、いつものようにふんわりと微笑んだ。
「兄様。どうですか?この格好は似合っていますか?」
「うん!世界で一番かっこいいよ、僕の自慢の弟だね」
 周囲のことなど目に入っていないかのようにノエルと話していたレオンは、その言葉に満足げに目を細める。格式高い宝冠が台座の上で寂しく光っていたが、レオンにとってはノエルのその一言こそが何よりの祝福だった。

   ◆

 戴冠式から月日は流れ、レオンの溺愛は日々加速し、レルプス家の領地も学院も着実にノエルを慈しむ優しい世界へと作り変えられていた。
「兄様がいない世界に価値なんてありません」
「兄様、僕が戴いているのは貴方の冠だけです」
「僕の隣に、一生分の幸福を約束してください」
「僕の生涯を兄様のために使わせて欲しいのです」
 などなど、レオンもあの手この手で情熱的な言葉を贈り続ける。しかし、ノエルは相変わらず「レオンは本当に家族思いだね」と、花の蕾のような純粋な微笑みを返すばかりだった。
 そして、連日の猛アピールがことごとく空振るレオンの想いが反映されているかのように、学院内でのレオンの過保護ぶりは更にエスカレートしていた。
「あ、あの……レオン様。ノエルがもうお腹いっぱいだって言ってますけど……」
 引き気味に声を上げるメアリの視線の先では、レオンが自らノエルの口元へ、細かく切り分けた最高級の果実を差し出していた。
「いいえ。兄様は今日、体育でいつもより少し多めに走ったのです。糖分を補給し、この後の授業に備えなければなりません。さあ、兄様……あーん、です」
「れ、レオン……恥ずかしいよ」 
 ノエルが言われた通り口を開けつつ顔を真っ赤にしている光景に、カイルはこめかみを押さえて溜息をついた。
「おい、レオン様。過保護にもほどがあるだろ。ノエルは赤ん坊じゃないんだからフォークくらい自分で持たせてやれよ」
「……カイル。君は、兄様の持つフォークが万が一にもその柔らかな指先を傷つける可能性を考えたことはないのか?」
「ねーよ!そもそもそのフォーク、先めちゃくちゃ丸くされてるじゃねーか!あとノエルが本のページめくるときに横から風送ってめくらせるのやめろ。読みにくくて仕方ねーだろ!」
「ほう。つまり君は兄様が紙の端で指を切っても構わないと考えているのか?」
 レオンの暴走気味な過保護ぶりにカイルとメアリが困惑し、ノエルが微笑みながら全て受け入れる。この一連のやり取りはもはや日常の風景となっており、近くを通る生徒たちも「またやってる」と微笑ましく見守るほど周知されてしまっていた。
 そして、そんなノエルとレオンのやり取りを見ながら、カイルとメアリはこっそりと二人から少しだけ距離を開けた。
(とはいえ、ここまで梨の礫だと可哀想ではあるな)
(まあね……それがノエルのいいところだとは思うけど)
(というか、ストレートに言えばいいんじゃないのか?)
(ばか。それだけじゃないときもあるのよ、恋愛って)
 隙を見てカイルとメアリが互いに耳打ちし合う。レオンから明言された訳では無いが、行動の全てや時折レオンがノエルにかける言葉が兄弟や家族のそれを遥かに超えていることは明らかだった。
 それに、二人としては貴族の歴史の中で近親婚がしばしば行われていた事実は当然理解しているし、日頃から行動をともにしているせいで自覚こそないものの軽く麻痺してきている感覚からさもありなんとも考えてしまっていた。
「……ちなみに、聞こえていますからね」
「も、申し訳ありません……」
 不服そうなレオンの一言に縮み上がりつつ、二人は苦笑いを浮かべた。

 そんなある日の放課後。
 レオンが領地の政務でどうしても一時間だけ目を離さなければならなかったその隙をついて、図書室のテラスで本を読んでいたノエルの背後にカイルとメアリが忍び寄った。
「……ねえ、ノエル」
  メアリが周囲をキョロキョロと警戒しながら、小声で囁いた。
「今日、レオン様は当主会議でしょ? 護衛も今は交代の時間……。今なら、行けると思わない?」
 カイルが懐からこっそり用意した質素な平民風の外套を取り出し、ノエルに手渡した。 
「レオン様には内緒でさ。三人だけで、街の市場に行ってみないか?美味しい焼き菓子のお店とか、新しい植物の種を売る露店が来てるって噂なんだ」
 二人からの予想だにしない提案にノエルは驚いて目を丸くした。 
「えっ、三人だけで? でも、レオンに怒られないかな……?」
「大丈夫よ! すぐに帰ってくればバレないはず。それに、ノエルだってたまにはレオン様の視界の外に出て、羽を伸ばしたいでしょう?」 
 そう言いながらメアリがいたずらっぽくウインクし、カイルがぶんぶんと首を縦に振る。ノエルは、チョーカーの下でほとんど消えかかった首の傷を無意識に指でなぞった。
 かつては外の世界が怖くてたまらなかった。けれど、今の自分には、こうして悪巧みに誘ってくれる、心から信頼できる親友がいる。
「……うん。行ってみたい! 三人だけの冒険だね」
 ノエルが勇気を出してそう答えると、カイルとメアリはパッと顔を輝かせた。
「よし、決まりだ! じゃあ、裏門の生垣の隙間から脱出しよう。レオン様の監視網に引っかからないようにな」
「ふふ、なんだかドキドキするね」
 三人は、まるで幼い子供がいたずらを企むような足取りで、夕暮れの校舎を駆け出していく。外套のフードを深く被り、三人は活気あふれる市場の喧騒に紛れ込んだ。
「わあ……!すごい、レオンと馬車で通る時とは全然違う……!」
 あちこちから聞こえる威勢のいい声や、焼きたてのパンの香ばしい匂い、普段なら訪れることのない路地を入った先の喧騒。
 初めて自分の足で歩く、石畳の街並み。馬車の窓越しに見ていた景色とは、音も、匂いも、風の感触さえも全く違っていた。
 かつての彼ならきっと、この人混みに怯えて立ちすくんでいたに違いない。しかし今、右にはカイル、左にはメアリがぴったりと寄り添い、彼を世界から守るように歩いてくれていた。
「ノエル、あっちに珍しい花の種を売ってる露店があるぞ!」
「ねえノエル!この服すっごくかわいい!きっとノエルにも似合うよ!」
「わぁ……!カイル、メアリ!街って、こんなにキラキラしているんだね……!」
 あたりをきょろきょろと見回しながら、はぐれないように手を繋いで駆け回る。そんな中で三人が足を止めたのは一軒のキャンディショップだった。
「見て! 星の形をした飴があるよ。メアリ、あれ、お空の欠片みたい!」
 ノエルは店先のガラスに顔をくっつけんばかりにして目を輝かせる。それを見て、カイルがノエルの手を引いて店内へ連れ込んだ。
「よし、今日という日の記念だ。一人一つずつ、一番好きなやつを買おうぜ!」
 カイルの掛け声で、三人は真剣に瓶を選び始める。様々な色、形、香り。どれか一つだけとなるとどれもが魅力的に見える。家にはもっと高価な菓子が溢れているが、自分たちで悩み、レオンに隠して貯めたなけなしのお小遣いで買う一粒の飴は、彼にとって何よりも特別なものだった。
「よっし、俺はこの黄色いやつに決めた!」
「私はこの、お花の香りがするピンクのにする!」
「僕は……この、お日様みたいなオレンジ色の!」
 外に出てさっそく口に含んだ瞬間に弾けるような甘さと酸っぱさが広がり、三人は顔を見合わせて「おいしい!」と笑い転げた。そこには公爵家の長男も、その恩人もなく、ただの仲良しな三人の子供がいるだけだった。
 次に、歩き疲れた三人は裏通りにある小さな木造のカフェに滑り込んだ。
 自宅のような豪華なシャンデリアも銀食器もないが、使い込まれた木のテーブルと、焼きたてのパンの香りが心地よかった。
「ふふ、レオンが知ったら、きっと驚いてひっくり返っちゃうね」
 ノエルは、マグカップに注がれたたっぷりのミルクティーを大切そうに両手で包みこむ。
「いやー、ひっくり返るで済めばいいけどな。バレた時の事とか考えたくねえわ」 
「そうね……でもさ、たまにはこういうのもいいでしょ?ドキドキして」
 カイルとメアリが苦笑いしつつそう言うと、ノエルは少しだけ真面目な顔をして、二人を見つめた。
「二人にはどれだけお礼を言っても足りないね。いじめられていたときからずっと、今だって僕の手を引いてくれているんだから。……僕ね、今、本当に、本当に何もかもが楽しいよ」
「……何言ってんだよ。俺たちだって、お前とこうして遊ぶのが一番楽しいんだぜ、ノエル」
 ノエルの言葉にカイルが照れくさそうに鼻を擦り、メアリが優しくノエルの手を握った。
 窓の外を流れる日常の風景。誰に敬礼されることもなく、誰に蔑まれることもない。
 ただの友達として街を駆け回り、笑い合ったこの時間こそが、ノエルが心の底から渇望していた普通という名の幸福だった。
 そして最後、家族にお土産を買おうとメアリが提案し、ノエルは残ったお小遣いを握りしめながら何を買おうかと目を輝かせていた。
そんな中、ふとノエルの足が止まる。市場の広場の片隅で、貧しい身なりのリスの少女が枯れかけた花を並べて力なく座り込んでいた。
「お花……いかがですか……?」
 周囲の人々は忙しなく通り過ぎて行く中、ノエルは迷わず少女の前で膝をついた。
「このお花、全部いただくよ。とっても素敵だね」
「えっ……でも、もう萎れちゃって……」
 ノエルは少女の手を取り、優しく微笑んだ。
「大丈夫。この子はまだ生きてる。僕が綺麗に咲かせてみせるから」
 ノエルが花を抱えて少女に銀貨を握らせると、少女の瞳にパッと光が宿る。その光景を横で見ていたカイルとメアリは、胸が熱くなるのを感じていた。
「ノエルはやっぱり凄いな。……どんな場所でも、誰にでも、その光を分け与えちゃうんだから」
 カイルが苦笑しながら言うと、ノエルは照れくさそうに笑った。
「僕も、みんなに助けてもらったから。だから、僕も誰かを笑顔にできたら嬉しいなって」
 その瞬間、時計塔の鐘が市場中に響き渡る。夕刻を伝えるそれは、同時にレオンの会議も終わったことを知らせていた。
「うわヤバいっ!急いで戻ろう! レオン様が軍を動かしちゃう前に!」
「冗談じゃないわよ、本当にやりかねないんだから!」
 三人は笑い合いながら、夕焼けに染まる市場を駆け抜ける。ノエルが抱えた枯れかけの花束は、彼の腕の中で、まるで魔法にかかったように、少しだけ元気を取り戻しているように見えた。

   ◆

 一方その頃、レルプス家の屋敷では、この世の終わりかと思うほどの重苦しい空気が漂っていた。
「……いない。どこを探しても、兄様がいない……」
 執務室の机を拳で叩き、レオンは鬼気迫る表情で立ち尽くしていた。
 書類は散乱し、彼の足元には緊急招集された家臣たちが冷や汗を流しながら平伏していた。
「会議の間のわずか一時間だぞ!その隙に兄様を連れ去るなど……!どこのどいつだ、僕の光に触れた不届き者は!全近衛騎士団を動員しろ!街を封鎖し、家一軒残らず調べ上げろ。もし兄様の髪一本でも傷ついていたら、この国の半分を焼き払ってでも犯人を見つけ出し、死よりも酷い苦しみを与えてやる……!」
「落ち着け、レオン。お前のその『渇き』は、もはや公害の域だぞ」
 そう言いながらギルバートが呆れ顔で入ってくる。彼はその表情のまま、執務机に置かれた高級な酒を勝手にグラスに注ぎ、口をつけた。
「父上! 兄様が消えたんですよ!? 誘拐か、あるいは……」
「そんな度胸のある奴がこの国にいるか。カイルとメアリがノエルを連れ出して息抜きに行っただけだろう。あの子にも自由が必要だと言ったはずだぞ」
「自由!? 僕の隣にいることが兄様の自由であり、幸福なはずです!それを、あの二人は……!ああ、許せない。兄様を独占していいのは僕だけだ。あの二人、そんなに外に行きたいなら絶海の孤島にでも送ってやろうか……」
 嫉妬と独占欲で理性を失いかけている息子を、ギルバートはたしなめるように鼻で笑った。
「なんだその顔は?今のお前は『冷徹な当主』でも何でもない。ただの好きな子を遊びに誘い損ねたガキだ。……お前が本当にあの子から愛されている自信があるのなら、なおさら自由に羽ばたかせてやればいい。お前の気持ちが伝わっているのなら、どこへ行こうと、誰と笑おうと、あの子が最後に帰ってくる場所はここだ。……そして何より、一番に顔を見せたい相手は、お前のはずだからな」
「父上……」
「あの子の心には、お前が刻んだ『愛』という名の鎖が、お前自身が思っているよりも深く、優しく食い込んでいる。あの子は、外で楽しいことがあればあるほど、それを真っ先にお前に話したくて、走って帰ってくるはずだぞ」
 父にニヤニヤしながら窘められ、レオンは辛うじて理性を繋ぎ止める。しかし、握りしめた拳は小刻みに震えていた。
「……分かりました。あの二人の処遇はひとまず保留して出迎えに向かいます。ですが父上、もし兄様が少しでも怯えて帰ってきたら、僕は本当にこの街を更地にしますからね」
「はいはい、分かった分かった。ほら、早く行け。お前の『愛しいお兄様』が、もうすぐ帰ってくるぞ」
 レオンはマントを翻し、弾かれたように部屋を飛び出していく。一人残されたギルバートは、ノエルが編んでくれた白詰草のブローチを指で弾き、ため息をついた。
「……やれやれ。あんな狂犬を飼い慣らせるのは、世界でただ一人、ノエルだけだろうよ。運命とは不思議なものだな」

 夕闇が屋敷の庭を深く染める頃、閉ざされた大きな門の隙間をすり抜けるようにして、三人の影が飛び込んできた。
「はぁ、はぁ……!間に合った、かな……?」
 不慣れな運動に肩で息をしながら、ノエルが顔を上げる。しかしその視線の先には、街を更地にしそうなほど冷徹なオーラを纏ったレオンが彫像のように直立して待ち構えているのが見える。それを目の当たりにしたカイルとメアリが「終わった……」と言わんばかりに絶望の表情で膝から崩れ落ちた。
「兄様。……どこへ行っていたのですか」
 地獄の底から響くような低い声。しかし、ノエルはその威圧感に怯むことなく、むしろ頬を上気させ、腕に抱えた枯れかけの花束を大事そうに抱え直し、レオンのもとへ駆け寄った。
「レオン、ただいま!あのね、街はね、とってもドキドキして楽しかったんだ!美味しいお菓子もいっぱいあって、見たこともない種も売っていて!それでね、カイルとメアリがね、裏通りのキャンディショップに連れて行ってくれたんだ。それから、木のテーブルがあるとっても可愛いカフェでミルクティーを飲んで……!」
 ノエルがレオンのもとに駆け寄り、今日見たもの、食べたもの、笑ったことを堰を切ったように話し始める。レオンは渦巻く嫉妬心を抑えつつノエルの毛並みについた小さな埃を優しく払いながら、その声を一音も漏らさぬよう聞き入っていた。
「……街へ、行ったのですか。僕に黙って」
「うん、ごめんね。でもね、レオン。……不思議なんだ」
 ノエルは恥ずかしそうに視線を伏せ、けれども確かな熱量を持って語り始めた。
「おいしいものを食べるたびに、『あ、これレオンにも食べさせてあげたいな』って思ったの。きれいな景色を見るたびに、『レオンも隣にいたらもっと楽しいのに』って……。何を見ていても、僕、レオンのことばかり考えちゃって。……それでね、このお花もね、レオンにあげたいと思って……落とさないように、ずっと大事に抱えてきたんだ」
 ノエルは、少女から買い取った、しおれているけれどノエルの愛情で息を吹き返しつつある花束をレオンに差し出す。そして、耳の先まで真っ赤に染めながら、消え入りそうな声で囁いた。

「……レオンが今まで言ってくれていた言葉。……その意味が、今日、分かった気がするんだ。僕も、レオンと一緒にいたい。家族としてだけじゃなくて……その、ずっと、特別に」

 その瞬間、レオンを覆っていた漆黒の殺気が霧散した。
 冷徹な新当主はどこへやら、彼は花束を受け取るのも忘れ、その場に跪いてノエルの手を握りしめる。あまりの衝撃と歓喜に、レオンの瞳にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。
「兄様……今、今なんとおっしゃいましたか……!? 僕と一緒に……特別に……?」
「う、うん……。だから、勝手に出かけてごめんなさい……」
 ノエルが申し訳なさそうに眉を下げると、レオンは弾かれたように立ち上がり、レオンの背後で震えていたカイルとメアリを呼び付けた。
「カイル! メアリ!」
「は、はいぃっ!大変申し訳ありませんでした!どうか何卒……」
「何を言っている! お前達は…お前達は我が永遠の盟友だ! 兄様にこれほどの自覚を促す素晴らしい『遠足』を企画した功績は計り知れない! 後日、二人の家門に特級の商権と、望むだけの褒賞を与える! よくやった、本当によくやってくれたッ!!」
「えぇ……!?」
 あまりの掌返しに呆然とする二人をよそに、レオンはノエルを壊れ物を扱うような手つきで抱きしめた。
「兄様。もう、どこへも行かせません。……いえ、どこへ行くにも、僕が隣にいます。一生、僕の冠でいてください」
「ふふ、うん。……レオン、大好きだよ」
 首元のチョーカーが、昇り始めた月の光を浴びてキラリと輝く。 かつて絶望の象徴だったその場所には今、世界で一番甘くて重い、幸福な約束が刻まれていた。

    ◆

 二人の想いがついに重なった、その日の夜。
 屋敷の広大な庭園の真ん中にある、月明かりに照らされたガゼボ。
 静まり返った中で、レオンは正装に着替え、ノエルの前に立っていた。
 幼い頃の大切な思い出、嵐の夜に抱き上げたか細い身体、バルコニーでのプロポーズ、そして、ノエルからの告白。
 それらすべてを噛み締めるように、レオンは深く息を吐き、これまでの人生で最も真剣な表情を兄に向けた。
「兄様。昼間の言葉……もう一度、僕の瞳を見て、聞かせてはいただけませんか」
 ノエルは少し緊張した面持ちでレオンの燃えるような瞳を真っ直ぐに見つめ返すと、首元のチョーカーに指を添えてゆっくりと言葉を紡いだ。
「……うん。レオン。僕、わかったんだ。君がいないと、どんなに綺麗なものを見ても、どんなに美味しいものを食べても、心が半分欠けてるみたいで寂しい。僕は、君の隣にいたいんだ。兄としてだけじゃなく、君が望んでくれるなら……君の伴侶として、君の心にだけ咲く花になりたい」
 その言葉を聞いて、レオンは静かに跪いた。
 そして彼は懐から、今日この日のためにずっと準備していた一筋の光を取り出した。
 それは、白詰草の花を象った、ダイヤモンドが美しく輝くリング。
「兄様。僕は、貴方を守るためだけに、地獄を歩いてきました。貴方が笑ってくれるなら、僕は神さえも欺き、この世界の全てを敵に回しても構わない。……貴方が僕の隣にいてくれることが、僕にとって唯一の救いであり、至上の幸福なのです」
 レオンはノエルの左手をそっと取り、指先に震えるような口づけを落とした。
 それは兄弟の親愛のそれではなく、ただ一人、心から愛する存在へ捧げる祈りと誓い。
「ノエル・レルプス。……僕の生涯たった一人の王として、僕を癒やす一輪の花として、僕のすべてを捧げるに値する光として、そして……僕の、伴侶として。僕の愛を、永遠に受け取っていただけますか? 貴方を、世界で一番幸せにすると誓います」
 ノエルの瞳から、一筋の涙が溢れ、頬を伝う。それは悲しみではなく、あまりにも深い愛に包まれたことへの安堵と歓喜の涙だった。
「……うん、レオン。喜んで。僕を……僕を見つけてくれて、愛してくれて、ありがとう」
 レオンは震える手で、ノエルの薬指に指輪を滑り込ませる。ぴったり収まったその輝きは、かつて絶望に染まったノエルの首の傷跡を、永遠の愛という名の光で上書きした瞬間だった。
「愛しています、兄様。……僕の、全てを捧げます」
 レオンは立ち上がり、ノエルの腰を引き寄せると、慈しむように額を合わせる。夜風が二人の間を吹き抜け、庭園に咲き誇る白詰草を揺らした。
 遠くの窓からその様子を見守っていた父ギルバートは、静かにワイングラスを掲げた。
 かつて自分を否定し消えたいと願った少年は、今、自分を狂おしいほどに必要としてくれる男の腕の中で、最高の幸福を手に入れたのだった。

 月明かりに照らされた庭園は、二人の想いが通じ合ったことで甘い空気が漂っていた。
 そんな中、ノエルは指輪の輝きを幸せそうに見つめながら、ふと気になった疑問を口にした。
「……ねえ、レオン。僕、ひとつ聞いてもいいかな?」
「何でしょう、兄様。貴方の願いなら何でも叶えますよ。星が欲しいとおっしゃるなら、今すぐ天文台を買い占めてきましょう」
「あはは、そんなのいらないよ。そうじゃなくて……その、結婚式のときのことなんだけど」
 ノエルは少しだけ眉を下げ、首を傾げながら、純粋な好奇心と、伴侶としての責任感を込めて問いかけた。
「僕、レオンの『お嫁さん』になるんだよね? だったら、当主の伴侶として……やっぱり、僕もドレスを着たほうがいいのかな? 女の子たちが着るような、ふわふわした白いやつ……」
 その瞬間、レオンの思考が完全に停止した。
(―――兄様が、ウェディングドレスを?)
 レオンの脳内に、恐るべき破壊力の映像が展開されていった。
 ただでさえ清らかなノエルが、純白のレースに包まれ、透き通るようなベールの下で恥じらいながら自分を見上げる姿。
 露わになった鎖骨、重なるシルクの裾、そして自分だけのために装われた『花嫁』としての姿―――
「っ……!?」
 レオンは顔面を瞬時に沸騰させ、ボフッという音が聞こえてきそうなほど真っ赤になる。普段の冷徹な知略家ぶりはどこへやら、彼は眼球が零れ落ちそうなほど目を見開き、自分の口元を片手で覆い、ガタガタと震えながら数歩後ずさった。
「れ、レオン? 顔がすごく赤いよ? やっぱり変かな、僕がドレスなんて……」
「ち、違う……違います兄様、変だなんてそんな……っ! むしろ逆です!想像しただけで僕の心臓が限界を迎えました!もしそんな姿でバージンロードを歩かれたら、僕は誓いのキスの前に死んでしまいます……!!」
「……?よくわからないけど、ダメなのかな?」
 不安げに上目遣いで覗き込んでくるノエル。その無自覚な攻撃に、レオンは膝をつきそうになるのを必死で耐えていた。
「だ、ダメではありません……!ですが、その姿を他の参列者に見せるなど、言語道断です!兄様のドレス姿など、僕以外の人間が見たらその場で失神するか、あまりの美しさに奪い去ろうとする輩が出るに決まっています……! 儀式は正装で……ああでも見たい!自慢したい!見せつけたい……!」
 ノエルは取り乱しているレオンを不思議そうに笑っているが、当のレオンはもはや過呼吸寸前だった。
 普段の優秀な生徒や当主として振る舞っている時の冷徹かつ高貴な振る舞いとはかけ離れた、ノエルの一挙手一投足に悶えるレオンの姿。
 他の誰にも見せないであろうその仕草は、二人きりの時間がレオンにとってどれほど大事なものかを示していた。
「決めました。すぐに国中の腕利きの仕立屋を集めさせます。兄様のための、世界で最も清楚で、かつ僕以外には指一本触れさせない、鉄壁のドレスを特注します……!」
 レオンは荒い呼吸を整えながら、ノエルの手を取って必死に訴えかけた。
「兄様……貴方は自分がどれほど危険な提案をしたか分かっていない……。式の準備は、僕が……僕が命懸けで差配しますから、兄様はただ、笑っていらしてくださいね……!」
「うん、わかった。レオンにお任せするね」
 レオンの心情など露知らず、微笑みながら無自覚に弟の理性を粉砕し続けるノエル。
 二人の結婚式が、レオンの独占欲と動揺によって伝説になることは、もはや確定事項だった。
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