堕神剣 神剣と名乗る少女が住み着いて戦わせようとしてくるんだが

ペロロンチーノ

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最悪の4階層

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「卵なにが産まれるのかちょっと楽しみだな」

「そうですね!私は可愛いのがいいんですけど」


お宝部屋で見つけた虹色卵を孵化させることを決めてアイテムボックスに閉まってからずっと何が産まれてくるか楽しみになっている。

出来れば戦闘をサポートしてくれる様なのが産まれてくれればいいがなにせ今までダンジョンで宝箱から卵など取れたことがない前代未聞の出来事なので何が産まれるか想像がつかない。


恐怖こそあるが神剣であるダンちゃんがあそこまで必死に育てようとしているのだからきっとなにかあるのだろう。
なら俺はそれを信じて大切に育ててみるだけだ。


「あ、マスターなにか音しません?」


「ん?確かにちょっとなにか音するな、これは人の声か?」

「多分そうだと思いますけどこのダンジョンて人気ないんですよね?特に4階層は人気が全くないから人と会うことなんてないと思ってたんですけど」

「確かにそうなんだけど一応確認だけしてみるか」


声の聞こえる方に神剣になったダンちゃんと一緒に向かっていく。
『聖鎧』は既に使っているので不意に攻撃を受けてもまず大丈夫だろう。
それでも一応『神眼』を使い辺りの警戒は怠らないようにしておく。


しばらく走っているとその声はどんどん大きくなってきた。聞き間違いではなさそうだが声は悲鳴へと変わっていた。
ここまで来るとさすがにモンスターに襲われていることに気づいたので全速力で声の方向に向かっていく。
移動しながらコメントを確認する。 こういう時高性能のカメラを買ってよかったと思う。
このカメラは自動で追尾してくる他にコメントなんかをホログラムのように映し出してくれるので簡単に見れるようになっている。


:近づくと悲鳴大きくなってるな

:虫系モンスターと戦う時に悲鳴とか1番最悪だな、その声で更にモンスター寄ってくるから悪循環にしかならない

:これ最悪マスター君も寄ってきた虫に囲まれてやられないか?

:普通に有り得る、いくら強くなっても数の暴力はやばいからな

:これ助けに行かなくてもいいと思うけどな、冒険者は全て自己責任だし他人を助けに行って自分死ぬとか最悪だよ


コメントでは助けに行く派と冒険者は自己責任だから助けに行かない派で別れていた。

助けに行く派はダンジョンに潜ったことが無い人が多くそのためか助けない派を薄情だの無責任だのと言ったコメントが多い。
一方助けない派は冒険者が多いためかダンジョンに潜っている以上は自己責任、パーティーメンバーでもないのに助けに行って怪我したらそれこそ自分が死ぬだけ、現実を見ろなど冒険者ならではのコメントが数多く見られる。


確かに冒険者である以上はダンジョンに潜ったら全てが自己責任になる。例えダンジョンで死んだとしてもそれは自分の力に見合わない相手と戦った方が悪いとされる。そもそもダンジョンに潜る以上死ぬリスクは常にあるので仕方ないと世間では思われているがそれでも実際その場面に出くわすのと画面越しに見るのでは全く違う。


少なくとも俺は無視することが出来なかった。
結局の所この行動も自己満足と言われればそうなのだがここで見捨てて後で死んでしまったことが分かればきっと後悔する。だからこそ自己満足と言われても行くことにした。


相変わらずコメントは俺の行動を止めようとする人とそのまま助けに行くことを願う人で別れてるが結局は実際その場面にいる人がどう思うかでしかない。
俺はそのまま移動を続けた。



悲鳴の発生源と思われる場所に着いたが状況は最悪だった。
恐らく先程悲鳴を上げていたと思われる今も大声で喚き散らしている若い男性と既に満身創痍で今にも倒れそうになっている同年代ぐらいの男性がいた。

その周りには大小様々な虫系統のモンスターが2人を囲んでいた。
先程倒したジャイアントゴゼムシや通常サイズのG、3mはあろうかと思われるカマキリやアリ、百足など様々なモンスターがいる。


その光景を目の当たりにして吐き気を覚える。ここまで揃っていると気持ち悪さがこれまでとは比較できないほどあり、今にでも逃げ出したい気持ちがでてくる。


:グロいグロいグロい

:これはダメだわ、見てるの辛いレベルで気持ち悪い

:ここまで揃ってるのは見たことないわ、悲鳴に寄せられて集まってきたんだろうけどさすがに多すぎる

:マジでマスター君引き返した方がいいよ!こんな状況なら誰でもそうするし誰も責めないよ

:てかこの若い男の近くにある魔道具て虫集めのお香じゃね?

:検索したけど多分それだわ、なら自分で虫誘き寄せたのか?

:確かに効率よく魔石とか魔道具ドロップさせるために使うことはあるけどそれはあくまで上位の冒険者がやることであって4階層とかの冒険者がやったら死ぬだけだぞ


コメントが衝撃的な光景をみて騒ぎ始める。
確かに若い男性の方に魔道具と思われる物が置いてある。お香系は特定の系統のモンスターを誘き寄せる効果がありきっとコメントの言う通りそれを使ったんだろう。

だがそれで想像以上に集まったモンスターに対処しきれないで男性が悲鳴を上げてしまった。
その悲鳴で更にモンスターが集まってしまいこんな状況になったんだろう。
現状から推測される限り自業自得でしかない。
だがこのまま見捨てたくないと思うのも確かだ。

「マスター彼らを助けるんですか?」

ダンちゃんが心配そうな声で話しかけてくる。
ダンちゃんからしたら彼らを助ける理由などない、ましてや自分たちで招いた自体なのだから自業自得でしかない。

「私は正直反対です、確かに今のマスターならあのモンスター達を倒すことは出来ると思います、けど万が一ということがあります。それでマスターが死ぬようなことになるのは絶対にあってはならないことだと思います」

いつになく真剣な声で話しかけてきた。それだけ強い意志でマスターである俺に反対して助けるのを辞めさせようとしているのがわかる。
そんなにも心配してくれているのかと嬉しく思う。けどそれでも見捨てることがどうしても出来なかった。


「悪いけど俺は助けに行きたいと思う。ここで見殺しにすればきっといつまでも後悔する。それにきっと愛なら助けに行くと思うんだ。」

「愛さんですか?」

「うん、俺にわざわざ修行をつけてくれたのにそれを自分のことだけに使うなんてそれは違うと思う。せめて修行をつけてくれた愛に恥じないようにしたいんだ」


「マスターの決意はわかりました。私はあくまでマスターのスキルですからね、マスターの意見は尊重します。けど絶対に死なないでくださいね、やばいと思ったら逃げてください!」

「ありがとう、ダンちゃんが相棒でよかったよ。無理はしないようにするから」


あんなにも大量のモンスターと戦うのは初めてだ。それでも不思議と緊張はない。きっと愛ならあの量のモンスター相手にも簡単に勝つのだろう。ならそんな愛に修行をつけて貰った者としてモンスターを倒して彼らを救ってみせるぐらいのことはしてみせる。
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