イレンディア・オデッセイ

サイキ ハヤト

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第一章 幼い冒険者

同じ屋根の下の二人

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 暖かい陽の光が降り注ぐレムリス。付近には多くの怪物が棲んでいるが、街を守る城壁を越えると、そこには平和な人々の営みを見ることができる。
 そんなレムリスのとある石造りの家では、二人の子供がそれぞれ一枚の紙に向き合っていた。

「ねえ、ジャッシュ、なんて書いた?」
 マーシャは、今しがた書いた紙を手に取りながら、幼馴染みであるジャシードが書き終えた紙を覗き込んだ。

「ぼくは、強い戦士になりたいって書いたよ。怪物をたくさん倒して、みんなの役に立つんだ」
 ジャシードは、自分で書いた紙を両手に持ち、少し離して見直した。その所作で、後ろに結んでいる栗色の髪が揺れた。

「ジャッシュならなれるよ!」
 マーシャは、赤毛でちょっと癖がついたおかっぱ頭を揺らしながら、反射的に言った。

「うん、頑張るよ。マーシャはなんて書いた?」
「ないしょ!」

「教えてよ」
「やーだ!」
「ぼくは教えたのに!」
 二人は、部屋を行ったり来たりして、紙を見ようと、見せまいとしていた。

 イレンディアでは八歳になった年に、将来どんな大人になりたいか、その思いを紙にしたためる風習がある。
 ジャシードとマーシャは、それぞれその風習に従って、たった今、それぞれのなりたいものを紙に記したところだ。
 二人とも頑張って綺麗に書こうと努力したが、なかなかそうも行かないのが現実だ。少しぐらいへにゃへにゃした文字の方が子供らしい、と言うのは偏見かも知れないが。

 マーシャは思いをしたためた紙を背中に隠していたが、あいにく、後ろにいる大人達には丸見えだった。

『ジャッシュを助ける人に、なる!』

 紙には『助ける』と『なる』の部分が強く書かれていた。マーシャの強い思いが文字に表れているようだ。ここで安易に『お嫁さんに』と書かないのは、仮にそうなれなかったとしても、ジャシードを助ける人でいたい、というマーシャのちょっと自信が無い部分が出ていた。

 マーシャの紙が見えた大人達は、微笑みながら、肩をすくませながら、互いに顔を見合わせた。

 ジャシードとマーシャは、同じ家に住んでいる。
 そう言うと彼らは家族なのかと思うかも知れないが、イレンディアでは、複数の家族が大きな家で共同生活することは特段珍しいことではない。
 と言うのも、街の外は怪物たちが多く存在するため、人々は城壁に囲われた街に暮らしている。つまり、居住可能な場所は少なく、狭いからだ。

 こと、この街レムリスは街の規模も他の街に比べて小さく、周辺の環境ゆえに度重なる怪物の襲撃があるため、城壁は滅多に拡張できない。
 人口が増加すると、街を出て行くか、家を共有しなければならなくなるのが必然だ。
 とは言え危険な街の外へ出ていく者は少なく、家は町の所有物となっているため、共同生活が当たり前だと人々は思っている。

 街から見えるのは、高く綺麗な空、街の近くにある平原、そびえ立つ岩山、そして森林地帯のみだ。
 実は城壁の外には湖があるのだが、間近で見たことのある者は多くない。町から出ていくのは危険が伴うからだ。
 では城壁に上れば良いかと言えば、城壁の上は衛兵しか立ち入りできない事になっている。

 多くの人々にとって、街の外はある意味『ないに等しい』場所なのだ。

「さあ二人とも。紙を埋めてきな」
 ジャシードの父親、セグムが二人を促した。
「はーい」
 二人は元気よく外へ出て行った。

「さて、そろそろ時間だ。我々も仕事に行くとしようか」
 セグムは立ち上がりながら、マーシャの父親であるフォリスに目配せした。
「そうしよう」
 セグムの言葉を受けてフォリスもゆっくりと立ち上がり、壁に掛けてある、長い柄の付いた槍と斧の特徴を併せ持つ武器ハルバードを手に取った。

「二人とも気をつけて」
 ジャシードの母親ソルンは、編み物を脇に置いて立ち上がり、家を出て行こうとしているセグムを見送りにドアまでやってきた。
 セグムはソルンを軽く抱きしめてから、フォリスとともに家を出て行った。

 セグムとフォリスはこの街レムリスの衛兵だ。彼らは街に怪物が近づいてきたときに先陣を切って戦う任務に就いている。
 怪物はどんな時に襲ってくるか分からないため、昼夜を問わず警備することが必要だ。今日のセグムとフォリスは昼からの交代要員となっていた。

「パパ頑張ってね!」
 仕事に行くフォリスの背中が見えたマーシャは、フォリスに向かって大きく手を振った。
「いい子にしているんだぞ」
 フォリスは軽く手を上げ、マーシャに応えた。

 マーシャは願いを込めた紙を、彼女の母親であるカレンの墓の傍らに埋めた。
 墓と言っても、イレンディアに於いては、死者を記憶にとどめるためのものでしかない。遺体は海へと還すのが習わしになっており、墓を掘り起こしても何も出てこない。

「ママみたいな素敵な大人になれるといいな……」
 マーシャは立派とは言えない墓標を眺めながら、だいぶん遠くに行ってしまった記憶を辿っていた。
 カレンは怪物に襲われそうになったマーシャを庇って死んだ。それ故マーシャにとってのカレンは、あらゆる女性の頂点に立つ、最も素晴らしい母であり最も素晴らしい女性である。

「埋めた?」
 マーシャの背後から、ジャシードが声を掛けた。

「うん」
 マーシャは地面をぽんぽんと叩きながら、いつの間にか目に浮かんでいた涙を軽く拭って立ち上がった。
 マーシャは母親の死を乗り越えることができていない。母親を思い出す度に、母親が血塗れになる映像が頭の中を駆け巡るのだ。
 それを子供心に理解しているジャシードは、マーシャの涙を見なかったことにし、小さな手を引いて家へと向かった。

「今日も特訓するの?」
 幼くも頼れる背中に手を引かれながら、マーシャはいつもの質問をした。

「もちろん」
「毎日頑張るね」
 マーシャは隣にある、前をじっと見据えた顔を、短い時間見つめた。

「『なりたいものには、自分でなろうとしなきゃなれない』……って、父さんが言ってるから」

 ジャシードは、父親が酩酊状態で言ったこの言葉が大好きだ。
 先輩の戦士であり、街の役に立っているセグムは、ジャシードの憧れの存在であり目標でもある。
 彼からすれば酩酊状態であろうと何だろうと、尊敬している人物の言葉は、心に響けばそれで十分なのだ。

「うん……そうだよね」
 マーシャは、ジャシードの真っ直ぐさを羨ましく思っていた。自分は何も夢中になっている物事はないし、できるとも思っていなかった。ジャシードが汗を流す姿を、いつも近くで見守るのが日課だった。

 ジャシードが物心がつく前のほんのお遊びに端を発する、もう数年は続けている毎日の特訓は成果となって現れ始めていた。

 ジャシードはまだ八歳にもかかわらず、木刀を使った剣の模擬戦では十二歳までの相手では負け知らずで、周囲の大人達を呻らせていた。走れば同年代の誰よりも早く、誰よりも遠く走れる。

 対するマーシャは、ごくごく一般的な女の子だ。カレンによく似た可愛らしい雰囲気を醸し出しており賢い子だが、それ以外に特段秀でたものは無い。
 そんなマーシャだからこそ、同じ屋根の下に暮らすジャシードに、強い憧れを抱くのは仕方の無いことだろう。

 他より秀でている憧れの人物を、助けることができる人物になる、と言うのはマーシャにとってかなり高い目標であることは言うまでもない。

 だからこそ、紙に強く書くほどのことはある。マーシャは、特訓をしているジャシードの姿を見ながら、決意を新たにした。



 時折、城壁の外が少し騒がしくなる。だいたいこのような時は怪物が町に迫ってきており、衛兵達が怪物を撃退しようと戦っているのだ。

 怪物の襲撃はある程度、定期的に発生する。怪物はどこからともなく発生して、数が飽和すると町へと侵入しようとしてくることがある。
 全く迷惑な話だが、街を守るために衛兵達は、この怪物たちを看過することはできない。

 当たり前の如く戦闘となるし、これこそが各街に衛兵が必要である所以となっている。ジャシードが目指すのはまさに衛兵であり、父親の背中を追うものだ。

「今日は特訓おやすみ?」
 テーブルの上で石ころを弄っていたジャシードにマーシャが尋ねた。
「やってるよ」
 ジャシードは何やらブツブツと言いながら、あちらの石をこちらへ、こちらの石をあちらへ、しきりに動かしていた。

「どこが?」
 マーシャは特訓の意味が分からず、もう一度聞き直した。
「これが」
「どこが特訓なの?」

 黒い石が怪物、白い石がぼくだ、とジャシードは石を手にとってマーシャに見えるように持ち上げた。灰色の石は助けるべき人らしい。

「どんな特訓なの?」
 納得がいかないマーシャは、追加で質問した。

「怪物から誰かを助けるためには、どう動かなきゃいけないかを考えるんだよ」
  ジャシードはぶつくさ言いながら、しきりに石の位置を変えている。とどのつまり、机上戦術訓練と言ったところだ。

「一人で戦うの?」
 マーシャは、ジャシードが操る石に『仲間』が存在しないことに気づいた。

「この訓練はそうだよ」
 ジャシードは石の盤面から、白い石を取り上げつつ顔を上げた。

「そんなの無理よ」
「きっと強くなるさ」
「一人じゃ無理よ」
「やるだけやるさ」
「……」
 ジャシードはマーシャが押し黙ったのを見て、再び机上の石ころに向き合い、白い石を一つ追加した。

「これは?」
 盤面の変化を見たマーシャは、二つ目の白い石の役割を聞いた。

「マーシャ」
 ジャシードは、白い石二つをくっつけて簡潔に答えた。

「私は戦えないよ」
 いつもジャシードの特訓を見ているだけで、何もできない自分。それを最も良く分かっているマーシャは、ジャシードの『采配』にビックリした。

「できるさ」
 ぶっきらぼうに、何の根拠もなくジャシードは言った。

「……どうしたら……ジャッシュの役に立てる?」
 マーシャは、先ほど記した紙を思い出していた。助ける人になりたいが、どうしたらなれるのか、マーシャには分からなかったからだ。

「マーシャは魔法を覚えるんだ」
 ジャシードは、マーシャの目を真っ直ぐに見つめながら、そう言いきった。
 マーシャはまだ魔法の『ま』も知らないような状態であるのを、彼は知っているはずなのに、彼はそう断言した。

「できないよ」
 マーシャは困った顔になった。まだちっともできない、できるかどうかも分からないことをやれ、と言われているのだから、困ってしまうのも無理はない。

「今はね」
 ジャシードは満面の笑みを見せた。彼は時折、根拠のない自信を見せる。
 もしかしたら想像の中の世界が現実であるかのように、あるいは未来を予測するように、自信満々に言う。
 これが始まってしまうと、いくら否定したとしてもジャシードには届かない。

「……どんな魔法がいいのかな」
 マーシャは仕方なく、魔法を覚えられる体で話を続けるように仕向けた。

「ドーンって、爆発するやつ!」
 ジャシードは、両手を何度も大きく広げた。

 現在少しもできていない現実をすっ飛ばして、何やら大魔法使いになれと言っている幼馴染みに、マーシャは苦笑いを返すことしかできなかった。

「頑張って覚えなよ。そしたら、ぼくがこっちに行って、マーシャがこっちからコイツをドーン、だよ。うわあ、楽しくなってきたぞ!」
 ジャシードは一人で妄想の世界へ行ってしまったようで、石を動かす動作が速くなってきた。

 マーシャはまた困った顔をして、ああだこうだと言いながら石を弄るジャシードを見つめていた。

「魔法なら、私が教えてあげるわよ」
 編み物をしながら二人の会話を聞いていたソルンが、手を止めずに言った。
「いいの?」
 マーシャは後ろにいたソルンを振り返った。

「ええ。フォリスが許してくれれば、だけど……。これでも昔は冒険者だったのよ」
「冒険者?」
 マーシャは首を傾げた。レムリスで生まれ、レムリスで生きてきたマーシャにとって、冒険という言葉は彼女の現在から見て対極にあるものだった。

「世界を旅する人たちよ。色んな街に行って、困り事を解決したりね」
「父さんも冒険者だったんだよね」
 ジャシードが母親の発言を受けて言った。とは言え、彼も父親が冒険者であったことは断片的に聞いただけであり、実際を見たことはない。なんとなく知ったようなことを言いたかっただけのようだ。

「そうよ。私たちは同じパーティに居たのよ」
 ソルンは、セグムや他のメンバー達のことをぼんやり思い出していた。冒険者だった頃は毎日が輝いていた。
 ジャシードを身ごもったため、冒険者から一歩身を引いたが、できることならもっと続けていたかった。世界をもっと見てみたかった。そんな考えが頭の中を巡っていた。

「どんな街に行ったの?」
 マーシャは目を輝かせている。彼女にとって、現在の『世界』とは『レムリス』であり、他の街が存在していることは話には聞いていたが、実在のものとして考えたことはなかったのだ。

「北の国のグランメリスとロウメリス、地下の街ネクテイル、エルフの街ケルウィム、あとは一番大きな街エルウィンね。まだ行ったことがない街もあるけれど」
 マーシャは聞いたことのない街の名前が次々と出てきて、目を白黒させた。また、そんな経験があるソルンを羨ましく思った。
 できることなら、ジャシードを手助けしながら世界を巡りたい、そんな想いが幼い心に芽生えた。

「ジャッシュは冒険者にはならないの?」
 マーシャは幼馴染みの意向を確認しようとして聞いたが、返ってきた答えは、みんなの役に立つために衛兵になる、と言う言葉だった。
 世界を旅したいと思った矢先に、街の衛兵になると聞いて、マーシャは出鼻をくじかれた格好になった。

 ジャシードの役に立ちたいマーシャにとって、ジャシードが衛兵になるというのなら、選択の余地はない。

「あら、冒険者がみんなの役に立たないわけではないのよ」
 ソルンは、ジャシードに選択の幅を広げさせようとして言った。ジャシードは興味ありげに、誰の役に立つのかと聞いてきた。

 ソルンは、冒険者がどのようにみんなの役に立つのかを説明して聞かせた。
 冒険者には、街の人たちや、時には街そのものから、いろんな依頼が来る。簡単なものから、難しいもの、命の危険があるものまであるが、達成すれば感謝されるし、お金も稼げる。
 ただし、危険であるため、なり手はそう多くはない。それだけに、冒険者はより必要とされているのだ。

「そうなんだ! それならぼくは冒険者になるよ!」
 ジャシードは、ソルンの説明を少し聞いただけで、早くも将来の目標を転換することに決めた。

「でも、街の外は危ないんじゃないの?」
 イレンディアの子供達の多くは、街の外は限りなく危険だと親に言い聞かせられて育ってきた。
 子供を怪物の餌にされたくないと思うのは、親として至極当たり前のことであり、それ故に街の外にうっかりでも出ないように教育するのは当然の流れだ。

「強くなるよ」
 ジャシードは、またも根拠のない自信を見せながら言い切った。

「一人で行くの?」
「ちゃんと帰ってくるって」
「そういう事じゃなくて……」
 マーシャの求めていた答えは、たった一つだ。その答えを得られず、マーシャは口を尖らせて俯いた。

「それならマーシャも一緒に行こう」
 ジャシードがそう言うと、マーシャの表情がぱっと明るくなった。

「でも、魔法も使えないのに?」
「母さんに習えばいいよ。ドーンってやつ」
「えっ」
 ジャシードにとって、マーシャがソルンに魔法を教わることはもう決まったことのようだ。
 更に、ドーンという謎の魔法を使えるようになるのも、既にジャシードの予定に入っている。

「じゃあ、頑張ってみる。ソルンおばさん、お願いします!」
「まずはフォリスに聞かないと……」
「いいの! 私はやるって決めたの」
「そう……分かったわ。私が教えてあげる」
 ソルンはにっこり微笑んだ。

「よし、決まりだ。母さん、よろしく!」
 任せて、とばかりにソルンは二人にウインクした。

 こうして、二人での特訓が始まることになった。
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