家族になった人族のポムと魔族のポムの物語

純粋どくだみ茶

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家族になった人族のポムと魔族のポム

32.関税と温泉

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今日も朝からポムくん、ポムさん、悪魔さんと水牛の"みのたうろす"は、食材の配達のため街道をココの街に向かってゆっくりと荷馬車を走らせていました。

朝から晴れて気持ちのいい街道には、魔獣が出る様子もなくのんびりした雰囲気で皆、水牛の荷馬車に揺られています。

起きたばかりなのに、ポムくんとポムさんは荷馬車のゆっくりとした揺れにつられてうとうとしています。
たまに馬車とすれ違うと"はっと"して目を覚まします。

そうこうしているうちにポムくんとポムさんも段々と目が覚めてきたようです。

街道を行く他の馬車をすれ違うたびにみんなで挨拶を交わします。

馬車の事故があるとポムくんが魔法で治療をして助けることがたびたびあったため、すれ違う馬車の御者さん達とも顔なじみです。

今日は、何事もなく"ココ"の街へ到着しました。

食材はアイテムバックに入っているので、荷馬車の荷台には荷物はありません。

悪魔さんは荷馬車の御者席、ポムくんとポムさんは荷馬車の荷台に乗っています。

いつもの様に門番さんと挨拶を交わして街へと入ろうとすると、ふたりの男がやってきました。

「君たちは、榊さんのレストランに食材を運んでいるんだろう。調べはついているんだ。君たちが運んでいる食材を街に入れるためには税金を払ってもらわないといけないんだよ。税金は銀貨5枚だからね。」

いつもは門番さんしかいない街への入り口の門に今日に限ってみた事のない男達から税金を要求されるなんてびっくりです。

「ちょっと、いきなりなんですかあなた達は。身分も明かさない人達から税金を要求される覚えなどありません。」

ポムさんが、素性も話さないで突然税金を払えと言ってきた男達に抗議をしています。

「ああ、そうだね。俺達は飲食ギルドの者なんだ。榊さんがギルドに払うはずの上納金を払わないから、君たちから取ることが決まったんだよ。これは決まりだからね。払えなかったら街には入れないから帰ってもらうしかないんだ。」

いつも門の前にいる門番さんがポムくん達に近寄ってきて耳元で話始めました。

「俺達も、こんな話は聞いた事がないんだ。こいつら他の馬車からは全く税金なんて徴収しないだよ。まるで、君達の荷馬車だけを狙って税金を徴収しようとしているみたいだろ。」

たしかに、先ほどから他の馬車が街に出入りしていますが、この男達は他の馬車から税金を取ろうとはしていません。

悪魔さんが男達に文句を言おうとしましたが、ポムくんが止めに入りました。

「分かりました。では税金は銀貨5枚ですね。」

ポムくんはお財布から配達で稼いだ中から銀貨を5枚出しました。

門番さんも困った顔をしていましたが、文句を言える立場ではないようなので、黙っていました。

「それから税金は街に入るたびに払う必要があるからね。明日から毎回銀貨5枚が必要だから忘れずに持ってくるんだ。」

税金を徴収した飲食ギルドの男達は、大変な事を言い出しました。配達のたびに毎回銀貨5枚を税金として取られたら配達すればするほどお金が無くなってしまいます。

ポムくん達は急いでレストランに行くと、今あった事をレストランを経営している榊さんへと話始めました。

「そうか、彼らはそこまでやる覚悟があるんだ。なら、最後まで付き合おうじゃないか。」

榊さんは、そう言うと僕にある物を渡してくれました。

「ポムくん、これは転移石といってこの石に少しだけ魔力を注ぐと、反対側の転移石の場所へ移動することができる魔法のアイテムなんだ。そういえば、セール王国の店への食材配達で使っていたね。忘れていたよ。」

「今、飲食ギルドと揉めていてね。彼らは金銭の要求をするばかりで、そのくせ見返りが全く
ない連中でね。それについて抗議をしているんだけど、やっぱり金銭しか要求しないんだよ。」

「それと、これ銀貨5枚を返しておくよ。」

榊さんは、僕達が払った税金分のお金を返してくれました。

「これからは、転移石を家に置いて村で配達する食材を受け取ったら家から転移石で配達してくれればいから。」

「そうだ、言っておく事があったんだ。また面倒な事をお願いして悪いんだけど、食材の配達先がもう2箇所増える事が決まったんだ。だからいつかは転移石を渡そうと思っていた所なんだ。」

「食材を運ぶ場所が増えるって、もしかしてお店が2箇所も増えるんですか。すごいです。」

ポムくんは、配達先が増えた事を素直に喜んでいました。

「なんならこれから行ってみるかい。」

榊さんに言われるがまま、転移石で新しい配達先へとやってきました。

「まず最初にやってきたのは、エルネス王国の火龍神殿というところにあるお店だよ。」

転移石で転移するといつもと同じようなお店の中にいました。

「まだ、お店は準備期間中だからお客さんは誰もいないんだ。」

榊さんの案内でお店の中を見て回りました。

お店で働く人達に挨拶をしながらお客さんが入るテーブルと椅子が並ぶ場所へと来るとひとりの女の子がなにやら食べていました。

「ああ、あそこで一生懸命にピッツァを食べているのが、この先にある火龍神殿の主の龍神様だよ。俺の冒険者チームの仲間なんだけどね。いろいろあって龍神様になったんだよ。」

そう言えば、セール王国のお店に初めて行ったと時に、水神様と出会う機会がありました。

普通は、水神様と会う機会などなかなかないそうです。

「ベティ、こんどこの店の食材の配達をやってもらうポムくん、ポムさん、それに悪魔さんだよ。」

紹介されたベティさん(龍神様)は、お皿いっぱいのピッツァを口に頬張りながら僕達に挨拶をしてくれました。

「わひがるうひんのへひゃ、ろろひくなのひゃ。」

「ベティ、挨拶する時くらい食べるのを辞めなさい。俺が恥ずかしいだろう。」

榊さんの顔が真っ赤になっていました。

ベティさんがやっと手べていたピッツァを飲み込んで、僕達に話かけようとした時です。

お店の入り口のドアが開かれると、神官の服を来た女の人がふたり立っていました。

お店の中にベティさんを見つけると、神官さんらしき人がベティさんのすぐ近くに歩み寄ってきました。

「ベティ様、ここにいらしたんですね。探したんですよ。もうすぐ、朝の礼拝が始まります。すぐにお越しください。」

そう言うと、ベティさんの両手をひっぱって神官さんらしき人がベティさんを連れてい行こうとしています。

「まて、まだピッツァを食べ始めたばかりじゃ。それに"しゅーくりーむ"も"ちーずけーき"も食べておらんのじゃ。後生じゃピッツァだけでも食べさせてくれ。」

「だめです。朝の礼拝には、信徒さん達が大勢来ておられます。これ以上待つことはできません。」

神官らしき人達は、そう言うとベティさんを無理やり連れて行ってしまいました。

「頼むピッツァをもう一口だけ…もう…。」

お店のドアが閉められてしまいました。

僕もポムさんも悪魔さんも連れていかれた龍神様を見て唖然としてしまいました。

「御見苦しいところ見せたね。今、神官に連れていかれたのが、この火龍神殿の龍神様のベティなんだ。ちょっと食べ物に目が無くてね。神殿前に店を出したのは間違っていたんじゃないかと最近思い始めていてね。龍神様が神殿よりこの店にいることが多かったら信徒さん達もがっかりだろうからね。」

榊さんもいろいろ苦労があるようです。



榊さんに案内されて神殿内を見て回りました。

この神殿には、温泉というお風呂があるそうです。

僕は、お風呂に入った事はないけど悪魔さんは喜んでいました。

「この神殿には温泉があるのね。いいわね。これなら温泉にいつでも入れそうねぇ。」

「なんなら入っていきますか、誰でも入れるし無料ですよ。」

「榊さん、あんたなんて良い所に連れてきたのよぉ。こんな所があるならもっと早く教えなさいよぉ。」

榊さんと悪魔さんは見つめ合っています。すると今度は涙を流して抱き合い始めました。

「ちょっと、最近このふたり頭が変なんじゃないの。男同士で涙を流して抱き合うなんて。」

またポムさんがふたりの謎の行動に文句を言っています。

「じゃあ、私とポム様は男湯ね。私めがポム様のお背中を流させてもらいますね。ポムさん、あんたは女湯よ。おんなひとり寂しく温泉に入ってなさいよぉ。」

ぽむさんからは"キー"という声が聞こえてきそうなほど悔しいそうな顔をしています。

でも仕方ありません。この温泉は男女が一緒に入れるというお風呂ではないようです。



ポムくんと悪魔さんは、火龍神殿の温泉風呂に入っています。ポムくんは初めての温泉だったので熱い湯にちょっとびっくりしたようです。

「ポム様、温泉気持ちいいですね。」

「最初、こんなに熱いお湯に入るなんてビックリしたけど、入ったら気持ちいいい。」

「それにこの温泉は硫黄泉といってちょっと変な臭いがしますが、体には良いのですよ。」

「悪魔さん、温泉に詳しいね。」

「そりゃあもう何百年も生きているのですから、他の温泉にもたくさん入りました。」

「でも、あの榊さんという人、この温泉風呂を作った人のひとりなんですって。あの人、料理も作るし、レストランを経営したり温泉風呂を作ったり、いろんな事をする人ね。」

「ぼくも榊さんは凄い人だと思う。」

「ポム様、初めてのお風呂に長く入っているとのぼせますよ。そろそろ出ますよ。」

ブクブク…。

「あっ、ポム様。」

ポムくんは、初めて入った熱い温泉にのぼせてしまいました。

悪魔さんがポムくんを急いで湯船から引き揚げると、脱衣場の長椅子にポムくんを寝かせて魔法で体を冷やしてあげました。

「ここは…。」

どうやらポムくんは気が付いたようです。

「ポム様、初めての熱い温泉に入ったのでのぼせてしまったのです。でももう大丈夫ですよ。」

悪魔さんが優しくポム様に語りかけます。

「大丈夫かい。ポムくんが温泉に入った事がないって知らなかったから、いろいろ注注意することがあったのを忘れていたよ。ごめん。」

榊さんは、この世界にはお風呂に入るという週間がなかった事は知っていました。でも最近は、この火龍温泉に入るためにエルネス王国は元より、近隣の国々からも観光客が訪れるため、温泉の入り方についての注意する事があることなどすっかり忘れていたのです。

「でも気が付いて本当によかったよ。もう少し休んでいていいからね。」

「ありがとうございます。」

ポムくんは、自分は幸せだと思いました。皆から気を使ってもらっている自分が幸せすぎて怖いくらいだと感じていました。



「ちょっと、なんで誰も外にいないのよ。私だけひとりで温泉の外で待ちぼうけってどういうこと。」

ポムさんは、ポムくんが温泉でのぼせて休んでいる事を知りませんでした。

ひとり寂しく温泉の外でみんなを待つポムさんでした。
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