32 / 169
06.火龍です
04.武器屋で交渉しました。
しおりを挟む
右手の人指し指に結ばれた"赤い糸"をたどってバルデ皇国の"ライツァ"の街までやってきた。
下町の路地裏にある武器屋の前に来ている。
同行したクリスとサティに近くで待っているように伝え武器屋のドアを開けた。
"カラン"とベルの音が鳴った。小さなさびれた武器屋だった。
カウンターに"おやじ"がひとりで店番をしている。
"赤い糸"が店の奥へ続いているのを確認したが直ぐに店の奥へは行かない。
まず、近くの棚に置いてある剣を見る。
おやじさんにひとことふたこと確認するふりをして声をかける。
いよいよ店の奥にある棚のところに来た。やけに埃を被っている棚だ。
「若いの、その棚のもんに触れるなよ。全部呪われた武具じゃ。触れただけで呪いが発動して死ぬぞ。」
おやじが警告の意味を込めて脅しともとれる言葉をかけてきた。
「おやじさん。まさかこの棚全部、呪われたアイテムですか。」
「そうじゃ。絶対さわるなよ。」
俺は、カウンターの前に移動しておやじさん欲しい武具を5品ほど列挙した。
「若いの、あんた冒険者の身なりをしているが商人か?」
年齢によって刻まれた"しわ"がよく似合うおやじた。
「はい、セイランド王国から来ました。まだ駆け出しで自分の店も持っていません。お得意様の注文を聞いて武具の仕入れをしています。」
「この5品か、全部"呪われている"がいいのか。」
「はい。お得意様は、この手の品を好まれるのですが、この街でこの手の品揃えが"いちばんよい店"と踏んでここに来ました。」
「この街の武器屋を何件が回りましたが、どこも品揃えがいまいちでした。」
俺は、嘘と本当の話を織り交ぜておやじさんの品揃えを褒めた。
武器屋のおやじさんは、よく"しわ"の入った顔を少し綻ばせた。
「若いの、この品揃えの良さがおまえさんに分かるのか。」
「いえ、偉そうなこと言ってすんません。まだ修行中で仕入れた品をお得意様へ持っていっても半分も売れません。」
「なので、勉強を兼ねてあちこち出向いてどんな品があるのか見ています。」
おやじさんは、"ふん"と鼻を鳴らした。若いのに殊勝なやつじゃと聞こえないくらいの小声でそう言うと、呪われたアイテムが置かれた棚の前に移動して、俺が言った5品を確認した。
「若いの、この5品をお前さん"いくら"で売って欲しいんじゃ。」
俺は、考えるふりをして少し間を置いた。
「5品合計で金貨20枚でどうですか。」
「だめじゃ、せめて金貨25枚は出せ。」
このおやじさんがめついな。しかし、金貨25枚でも悪くはない。
「おやじさん、支払いは商業ギルドの口座引き落としじゃなく、現金で払います。なのでもう少しどうにかなりませんか。」
「なぜ、ギルドの口座を使わん。」
「ギルドの口座を使うと売買の記録が残ります。お得意様からは、商売の記録から誰が買ってどこに流れたか詮索されないように注意しろと念を押されています。なので売買は必ず現金で行っています。」
「面倒な客じゃな。」
俺は、笑いながらごまかした。
「おやじさんも、この手の武具をこれだけの種類で扱うのには、だいぶ苦労されいるんじゃないですか。」
「それこそ、俺のように現金で買い取りしないと売ってくれない客を相手にしていると推察します。」
「どうです、金貨22枚で。」
「おやじさんも棚に埃を被らせて"大切に置いておく"より、新しい品を仕入れたいとは思いませんか。」
おやじさんは、俺の言葉を聞いて"うーん"と唸った。
「分かった若いの。あんたの言い値で売ろう。」
カウンターで金貨を積んで確認してもらう。
「おやじさん、この商売が上手くいったらまた仕入れに来ます。その時いい品があったら買わせてもらいます。」
嘘と本当の話を織り交ぜて次の商売がある素振りを見せる。
「わかった。あてにしないで待ってるぞ。」
おやじさんが"呪い無効の小手"を装着して武具を木箱に詰めはじめた。
「若いの。おまえさん"呪い無効"のアイテムを持っているか。こんな商品を扱うなら持っていて当然だろうがの。」
「実は、"呪い無効化の加護"を持っているんです。なので素手で触っても平気です。」
「なんと、そんなやつがこの世におったとはびっくりじゃ。」
「そりゃ天職だな。」
俺は、笑って返した。
おやじさんから商品の入った木箱を受け取り、帰り際におやじさんに向かって金貨1枚を指ではじいて渡した。
「おやじさんのおかげで、いい商売ができそうなんでこれで美味い酒でも飲んでください。」
俺はそう言って武器屋のおやじさんにチップを渡した。
「ふん、若いくせにやることが臭いぞ。」
「今日は、店じまいじゃ。いきつけの店で酒でも飲んでくるわい。」
武器屋のおやじはそう言うと店じまいの準備を始めた。
あまり深酒しないようにと言ってみたが。
「大きなお世話じゃい。」
そう言いながら笑って店のドアに鍵を掛けて小走りに走っていった。
俺は、木箱を持って店から少し離れたところで待っているクリスとサティの元へ向かった。
お、路地のすみにチンピラが2人倒れていた。
「こいつらは?」
「いつものナンパです。」
クリスが涼しい顔で言い放った。
ああ、またか。クリスをナンパしたお前らの運が無かっただけだな。
その後、3人で宿に向かった。
下町の路地裏にある武器屋の前に来ている。
同行したクリスとサティに近くで待っているように伝え武器屋のドアを開けた。
"カラン"とベルの音が鳴った。小さなさびれた武器屋だった。
カウンターに"おやじ"がひとりで店番をしている。
"赤い糸"が店の奥へ続いているのを確認したが直ぐに店の奥へは行かない。
まず、近くの棚に置いてある剣を見る。
おやじさんにひとことふたこと確認するふりをして声をかける。
いよいよ店の奥にある棚のところに来た。やけに埃を被っている棚だ。
「若いの、その棚のもんに触れるなよ。全部呪われた武具じゃ。触れただけで呪いが発動して死ぬぞ。」
おやじが警告の意味を込めて脅しともとれる言葉をかけてきた。
「おやじさん。まさかこの棚全部、呪われたアイテムですか。」
「そうじゃ。絶対さわるなよ。」
俺は、カウンターの前に移動しておやじさん欲しい武具を5品ほど列挙した。
「若いの、あんた冒険者の身なりをしているが商人か?」
年齢によって刻まれた"しわ"がよく似合うおやじた。
「はい、セイランド王国から来ました。まだ駆け出しで自分の店も持っていません。お得意様の注文を聞いて武具の仕入れをしています。」
「この5品か、全部"呪われている"がいいのか。」
「はい。お得意様は、この手の品を好まれるのですが、この街でこの手の品揃えが"いちばんよい店"と踏んでここに来ました。」
「この街の武器屋を何件が回りましたが、どこも品揃えがいまいちでした。」
俺は、嘘と本当の話を織り交ぜておやじさんの品揃えを褒めた。
武器屋のおやじさんは、よく"しわ"の入った顔を少し綻ばせた。
「若いの、この品揃えの良さがおまえさんに分かるのか。」
「いえ、偉そうなこと言ってすんません。まだ修行中で仕入れた品をお得意様へ持っていっても半分も売れません。」
「なので、勉強を兼ねてあちこち出向いてどんな品があるのか見ています。」
おやじさんは、"ふん"と鼻を鳴らした。若いのに殊勝なやつじゃと聞こえないくらいの小声でそう言うと、呪われたアイテムが置かれた棚の前に移動して、俺が言った5品を確認した。
「若いの、この5品をお前さん"いくら"で売って欲しいんじゃ。」
俺は、考えるふりをして少し間を置いた。
「5品合計で金貨20枚でどうですか。」
「だめじゃ、せめて金貨25枚は出せ。」
このおやじさんがめついな。しかし、金貨25枚でも悪くはない。
「おやじさん、支払いは商業ギルドの口座引き落としじゃなく、現金で払います。なのでもう少しどうにかなりませんか。」
「なぜ、ギルドの口座を使わん。」
「ギルドの口座を使うと売買の記録が残ります。お得意様からは、商売の記録から誰が買ってどこに流れたか詮索されないように注意しろと念を押されています。なので売買は必ず現金で行っています。」
「面倒な客じゃな。」
俺は、笑いながらごまかした。
「おやじさんも、この手の武具をこれだけの種類で扱うのには、だいぶ苦労されいるんじゃないですか。」
「それこそ、俺のように現金で買い取りしないと売ってくれない客を相手にしていると推察します。」
「どうです、金貨22枚で。」
「おやじさんも棚に埃を被らせて"大切に置いておく"より、新しい品を仕入れたいとは思いませんか。」
おやじさんは、俺の言葉を聞いて"うーん"と唸った。
「分かった若いの。あんたの言い値で売ろう。」
カウンターで金貨を積んで確認してもらう。
「おやじさん、この商売が上手くいったらまた仕入れに来ます。その時いい品があったら買わせてもらいます。」
嘘と本当の話を織り交ぜて次の商売がある素振りを見せる。
「わかった。あてにしないで待ってるぞ。」
おやじさんが"呪い無効の小手"を装着して武具を木箱に詰めはじめた。
「若いの。おまえさん"呪い無効"のアイテムを持っているか。こんな商品を扱うなら持っていて当然だろうがの。」
「実は、"呪い無効化の加護"を持っているんです。なので素手で触っても平気です。」
「なんと、そんなやつがこの世におったとはびっくりじゃ。」
「そりゃ天職だな。」
俺は、笑って返した。
おやじさんから商品の入った木箱を受け取り、帰り際におやじさんに向かって金貨1枚を指ではじいて渡した。
「おやじさんのおかげで、いい商売ができそうなんでこれで美味い酒でも飲んでください。」
俺はそう言って武器屋のおやじさんにチップを渡した。
「ふん、若いくせにやることが臭いぞ。」
「今日は、店じまいじゃ。いきつけの店で酒でも飲んでくるわい。」
武器屋のおやじはそう言うと店じまいの準備を始めた。
あまり深酒しないようにと言ってみたが。
「大きなお世話じゃい。」
そう言いながら笑って店のドアに鍵を掛けて小走りに走っていった。
俺は、木箱を持って店から少し離れたところで待っているクリスとサティの元へ向かった。
お、路地のすみにチンピラが2人倒れていた。
「こいつらは?」
「いつものナンパです。」
クリスが涼しい顔で言い放った。
ああ、またか。クリスをナンパしたお前らの運が無かっただけだな。
その後、3人で宿に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる