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純粋どくだみ茶

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13.王都が陥落しました

03.王都が陥落しました。(その3)

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「騎士隊の隊長さん。俺達が城門を開けますよ。」

歩いて移動するのが面倒になって"風神"と"雷神"の雲に乗って移動して来た俺達は、城門を開ける役を買って出た。

「しかし、このような危険な役割を一介の冒険者に頼むなどできかねる。」

騎士隊の隊長は、俺の申し出を即答で拒否した。

「忘れてはこまる。"バーラ"の城塞都市で魔族軍23万を討ち破ったのは俺達だ。」

「俺達が城門を開けたら、後は騎士隊に任せる。」

騎士隊の隊長は、少し考えた後、俺の作戦を飲んだ。

「…分かった。君たちに任せよう。」

「ただし、絶対に死ぬなよ。こんなところで死んでもらっては次に魔族軍と戦うときに協力してもらえんからな。」

騎士隊の隊長は、半分冗談、半分本気と思える言葉を返してきた。
俺達は、"風神"と"雷神"の雲にのり空から王都の城門を越えた。
"雷神"の雷撃とベティの"覇者の槍"で遠距離攻撃を行い城壁の上にいた魔獣を駆逐していく。
城門の内側にた多数の魔獣へは"風神"の竜巻と特大の雹による攻撃で撃退した。
城門を開け、騎士隊を城壁内へ引き入れる。

「隊長、魔族軍は2箇所に分かれているようです。」

「ひとつは城内です。もうひとつは転移門らしき門がある場所です。」

"探査"で確認した内容を隊長へ伝える。

「分かった。後続の部隊が到着しだい転移門と思われる門がある場所へ向かわせる。」

「騎士隊の1部隊を城門に残す。それ以外の騎士隊を全て城内に向かわせる。魔族軍の目的は、国王の命だろう。」

「王の命さえ奪えれば、混乱した王国の占領など容易いだろうからな。」

「分かりました。俺達は城門に残ります。」

騎士隊は、国王救出のため城へ向かった。
ほどなくして国王軍が城門をくぐり城壁内に入った。

「部隊長、このままだと転移門から魔族軍が大量に湧き出して闘いにならなくなってしまう。」

「一刻も早く、転移門へ向かって王都城下へ侵入する魔族軍を食い止めるのが最優先だと思うが。」

「俺達も一緒に行くが、よろしいか。」

「"バーラ"の城塞都市の英雄がそう言うなら、喜んで御同行願おう。」

部隊長は、王国軍の兵士の数の少なさを挽回できる援軍を得た気分だった。

「転移門は、この通りの先にある。こちらから向かうと丁度門の裏側になる。」

「とにかく時間との闘いだ。行きましょう。」

俺達は、"風神"と"雷神"に乗って先行した。
街のあちこちから炎と煙が上がっている。
あちこちの通りで魔獣が住民を蹂躙している。悲惨な光景が起こっている。
しかし、魔族軍が湧き出る転移門をどうにかしないと、これからもこれと同じ光景が王国中で起こるのだ。

"風神"の雲に乗りながら急に思い出してしまった。
以前に見た映画に同じ様な光景があった。
そう、モガディシオで米軍のデルタフォースとレンジャー部隊が仲間の救援に向かい、部隊が次々に分断されて最後は行動不能に陥り、米軍の司令官がパキスタンの山岳部隊に救援を求めて助けられたという実話を元にした映画だ。

俺達がそうならないよう全力で対応しようと心に誓った。
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