ぜんぶのませて

八陣はち

文字の大きさ
6 / 34
ぜんぶのませて

いちばんおくまで

しおりを挟む
 張り詰めて皺が薄れるくらい拡がって、健気に羽鳥を咥え込む吉井の蕾。柔らかく熱いその内側は、腰を引く羽鳥を出て行かないでと引き留めるように締め上げる。
 それを振り切るようにゆっくりと粘膜をこそいでいく、羽鳥の張り出した段差。
 動くたびに羽鳥から止めどなく与えられる快感に、吉井は抗えない。

「ッア、たもつ、さぁ、きもちいい」
「っふ、ほまれくん、中、ぐちゃぐちゃだね」

 血管の浮き出した逞しい幹が愛液に濡れて、てらてらと妖しく光る。
 蕾は溢れる愛液で濡れ、受け入れた羽鳥の剛直を柔く締め付けた。

 羽鳥が動く度に、吉井の口からはひっきりなしに甘い声が漏れる。
 羽鳥は浅瀬から奥まで吉井の胎内を余すところなく擦り、最奥を隔てる襞に張り詰めた先端で何度もキスをする。
 羽鳥は優しく甘く快感ばかりを与え、吉井はただそれを享受するだけだった。

「ッア、たもつ、さん、っあ、おく……っ」

 羽鳥がごちゅごちゅと吉井の窄まりを突く。そうしている間にも、羽鳥の胸からは、白い雫がぽたぽたと垂れていた。
 吉井は頬に、口元に、垂れてくる白い蜜を指で掬って舐めた。

「ん、はぁ、止まんない、ね」
「っ、ほまれ、くん」

 羽鳥の欲情で濁った瞳が、吉井を見下ろしている。それを受け止めた吉井は、ねだるように蕩けた目で見上げた。

「もっと、飲ませて」

 吉井が見せつけるようにミルクまみれの唇を舐めると、羽鳥は愉しげに目を細めた。
 揺すられるたびに降りかかる、白く甘い蜜。
 浴びるたびに、もっと欲しい。満たされたい。そんな気持ちが胸にあぶくのように生まれてくる。

「たもつさん、中にも、出してよ」
「ふふ、いいの?」
「ん、いい、だして」
「じゃあ、奥、入らせて、誉くん」

 羽鳥は襞を捏ねるように腰を回す。まだ、奥があることを、吉井は知らなかった。今捏ね回されていることよりももっと奥があるのだろうか。
 そうしている間にも、羽鳥が丸く張り詰めた先端で無垢な襞を優しく撫でると、吉井の奥は少しずつ解けていく。
生まれたわずかばかりの不安は、快感への期待に容易く塗りつぶされる。

「いっぱい、出してあげる」

 羽鳥の低く柔らかな声が、欲望をたっぷりと滲ませて吉井の鼓膜を震わせた。

 身体を折り曲げられて、吉井の見上げた視界に自身の性器が揺れる。その向こうの窄まりには、濡れた音を立てて羽鳥の逞しい昂りが出入りしている。

「一番奥に、ね」

 Ωの本能まで揺さぶるような甘い響きに、吉井の身体は容易く緩み、最奥をこじ開けられる。

「ん、ひ、ぁ」

 吉井の薄い腹の奥で、ぐぽ、と濁った音がした。
 羽鳥の張り出した先端が最奥まで潜り込む。一番奥の柔い肉壁を突き上げられて、吉井の意識がふわりと揺れた。内臓を押し上げられるような苦しさは快感に上書きされ、熱い迸りが吉井の胸を濡らす。 無色透明な飛沫は羽鳥のミルクと混ざって、もう何が何だかわからない。

「あ、う」

 浅い呼吸をして、濡れたヘーゼルアイが溢れそうなくらい目を見開いて、喉を晒す。
 吉井は撓んだシーツを、枕の端を、必死で握った。腹の奥から全身へ、逃しても逃しきれない快感が伝わっていく。
 甘い痺れに身体は勝手に震え、不規則にびくびくと跳ねた。何かに縋っていないと、簡単に意識を飛ばしそうだった。

 最奥にはまり込んだ羽鳥を、吉井は甘えるようにしゃぶっている。吉井にその自覚はない。それなのに、腹の奥では吉井の意思とは関係なく熱い粘膜が羽鳥を歓待していた。

「ほまれくん、出すよ」
「ン、うん」

 小刻みに吉井を揺すっていたピストンが、大きなストロークに変わる。
 奥の襞を蹂躙して柔い最奥を突く羽鳥の動きに、吉井の胎は歓喜に震え、吐精を誘うように締め上げる。

 羽鳥が低く喉を鳴らした。

 期待に震える吉井の中で熱が爆ぜ、白濁が放たれる。
 脈打ち、何度も吐き出される熱い白濁を、吉井は最奥で受け止めた。柔い粘膜に打ち付ける熱い迸りはそれすら快感を呼び起こし、吉井の神経を灼く。
 同時に温かな白い蜜が降り掛かり、吉井を汚していった。シーツまで濡らし、部屋にはフェロモンとミルクの甘い匂いが満ちていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!

野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ 平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、 どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。 数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。 きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、 生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。 「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」 それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――

処理中です...