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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣
第四話
その日は最悪だった。
あの後、結局パンを買って家に戻ると、家族でそのパンを食べて団らんするしかなかった私は、相変わらず仲が良い結衣とこうちゃんの前で、張り付いた笑顔を向けても心は悲鳴を上げ続けた。
「おやすみなさい」
その言葉を最後に、ようやく解放され一人夜、自分の部屋に閉じこもる。
目の前にはこうちゃんにもらったミニブーケがひっそりと咲いている。
ちぎれそうになりそうな心が悲鳴を上げる。
消せない過去の思い出が胸を締め付けて苦しくて、ようやく笑う必要がなくなった私はぼんやりと花を視界にとらえていた。
いつ私を好きだったのかな……。
聞こえないぐらいの声で呟いて、涙が零れ落ちる。
幼稚園や、そんな子供の淡い初恋の思い出だろう。
私の今の気持ちとは全く違う。
明日この咲き誇る花のように笑うから……。
今日は……。
あの日以来、私はますますと心を閉ざすしかなくなったように思う。
今までなら、休日しかいなかったこうちゃんが仕事から帰ると家にいることが増えた。
玄関を開けてすぐに、目に入る男物の見慣れない靴が、私の心を締め付ける。
やっぱり無理……。
そう思って無語で帰ってきてよかったと、踵をかえしてもう一度玄関のノブに手をかけた。
「麻衣、お帰り」
そう思ったのを束の間、トイレにでも用事があったのが廊下で聞こえたこうちゃんの声に私は動きを止めた。
ゆっくりと仕方なく振り返ると、不思議そうな顔をしたこうちゃんの視線とぶるかる。
「ただいま」
「どうして帰ってきたのに、また後ろ向いてるんだ?」
当たり前の疑問だろう、その答えを私は一生懸命さがしながら、顔は笑顔を張り付けた。
「えっと、コンビニ!コンビニに行こうかと思ったの。そうえば甘いもの食べたかったなって」
取ってつけた割にはまともな答えだったような気がして、私は出かけようとした。
「ああ、それなら俺がケーキ買ってきた。麻衣の好きなモンブランもあるぞ」
その言葉に、私はもう何かいう元気もなくなり小さくうなだれる。
「……ありがとう。じゃあ着替えてくるね」
だんだんと今までのような、ポーカーフェイスができなくなりつつあるのが自分でも分かったが、もうどうにもできなかった。
俯いたままこうちゃんの横を通ろうとしたとき、不意におでこに暖かいものが触れて、私は顔を上げる。
「熱はないな」
そう呟きながら、ジッと私を見つめる急なこうちゃんの行動に、私も反射的にその手を払っていた。
「やめて!」
しまった……!!
そう思った時にはすでに遅かった。
何かを繕っても、ぼろが出そうになり私はただそのまま2階へと駆け上がった。
どくんどくんと大きな音を立てる私の心臓の音が、やたら大きくて耳をふさぎたくなる。
「麻衣!どうした?」
心配そうに聞こえるたった1枚の扉の向こうのこうちゃんが遠い。
家を出よう。
私はそう心に決めた。
これ以上はもう自分の心が悲鳴を上げるのを、どうにもできなかった。
ただ好きで、もらった花のようにただ好きなだけでいい、そう思っていたかった。
でも笑顔で隠せる限界が来たのかもしれない。
そんなに私は強くない。
あの後、結局パンを買って家に戻ると、家族でそのパンを食べて団らんするしかなかった私は、相変わらず仲が良い結衣とこうちゃんの前で、張り付いた笑顔を向けても心は悲鳴を上げ続けた。
「おやすみなさい」
その言葉を最後に、ようやく解放され一人夜、自分の部屋に閉じこもる。
目の前にはこうちゃんにもらったミニブーケがひっそりと咲いている。
ちぎれそうになりそうな心が悲鳴を上げる。
消せない過去の思い出が胸を締め付けて苦しくて、ようやく笑う必要がなくなった私はぼんやりと花を視界にとらえていた。
いつ私を好きだったのかな……。
聞こえないぐらいの声で呟いて、涙が零れ落ちる。
幼稚園や、そんな子供の淡い初恋の思い出だろう。
私の今の気持ちとは全く違う。
明日この咲き誇る花のように笑うから……。
今日は……。
あの日以来、私はますますと心を閉ざすしかなくなったように思う。
今までなら、休日しかいなかったこうちゃんが仕事から帰ると家にいることが増えた。
玄関を開けてすぐに、目に入る男物の見慣れない靴が、私の心を締め付ける。
やっぱり無理……。
そう思って無語で帰ってきてよかったと、踵をかえしてもう一度玄関のノブに手をかけた。
「麻衣、お帰り」
そう思ったのを束の間、トイレにでも用事があったのが廊下で聞こえたこうちゃんの声に私は動きを止めた。
ゆっくりと仕方なく振り返ると、不思議そうな顔をしたこうちゃんの視線とぶるかる。
「ただいま」
「どうして帰ってきたのに、また後ろ向いてるんだ?」
当たり前の疑問だろう、その答えを私は一生懸命さがしながら、顔は笑顔を張り付けた。
「えっと、コンビニ!コンビニに行こうかと思ったの。そうえば甘いもの食べたかったなって」
取ってつけた割にはまともな答えだったような気がして、私は出かけようとした。
「ああ、それなら俺がケーキ買ってきた。麻衣の好きなモンブランもあるぞ」
その言葉に、私はもう何かいう元気もなくなり小さくうなだれる。
「……ありがとう。じゃあ着替えてくるね」
だんだんと今までのような、ポーカーフェイスができなくなりつつあるのが自分でも分かったが、もうどうにもできなかった。
俯いたままこうちゃんの横を通ろうとしたとき、不意におでこに暖かいものが触れて、私は顔を上げる。
「熱はないな」
そう呟きながら、ジッと私を見つめる急なこうちゃんの行動に、私も反射的にその手を払っていた。
「やめて!」
しまった……!!
そう思った時にはすでに遅かった。
何かを繕っても、ぼろが出そうになり私はただそのまま2階へと駆け上がった。
どくんどくんと大きな音を立てる私の心臓の音が、やたら大きくて耳をふさぎたくなる。
「麻衣!どうした?」
心配そうに聞こえるたった1枚の扉の向こうのこうちゃんが遠い。
家を出よう。
私はそう心に決めた。
これ以上はもう自分の心が悲鳴を上げるのを、どうにもできなかった。
ただ好きで、もらった花のようにただ好きなだけでいい、そう思っていたかった。
でも笑顔で隠せる限界が来たのかもしれない。
そんなに私は強くない。
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