Short stories

美希みなみ

文字の大きさ
6 / 13
咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣

第六話

「うん、そう。明日お姉ちゃんが。え?うそ?本当?」
私にチラリと視線を送りながら、結衣は驚いたように私を見ていた。

「なに?」
小さく呟くように結衣に聞くと、結衣は私に向かって言葉を発した。

「お姉ちゃん、光輝に引っ越す事言ってないの?」

なんで私がそんな事を言う必要があるのだろう?
話していない事に結衣が驚く意味が解らず、私は少しいらだった。

「いう必要ある?」
こうちゃんにも聞こえているのかもしれないのに、つい出てしまった言葉に、私はしまったと言葉を止めた。

「ああ、うん。うん」
そんな私の返事に、二人は何かを話しているようだった。

「お姉ちゃん、明日の引っ越し屋さん何時だっけ?」

結衣のその言葉から本当にこうちゃんに手伝わせるつもりなのかと、私はさっきの感情のまま声を出していた。

「結衣!こうちゃんに迷惑かけないで!必要ないから!」

ようやくこうちゃんと結衣から明日離れられる、それまでの我慢だと思っていたのに、ここで自分の感情を出してしまった事に、後悔が押し寄せる。
しかし、言ってしまったものはもうどうにもならない。

私は今日で終わり。
そう言い聞かせて泣きたくなるのをグッと押し込んだ。

次の日、引越しは安いこともあり午前中の早時間にしたことが本当に良かったと思いつつ、最後の荷物がトラックに乗せられるの確認して、私も新しい家へと向かった。

職場から駅一つ離れた私の新しい家は、こじんまりとしたマンションで、築15年ほどたっているが、壁紙とかも変えられていたため、真新しい雰囲気があり気に入っていた。

築年数が古いこともあり、間取りが1LDKあっても家賃もお手頃だったのも嬉しい。
ベッドなどが運ばれたのを確認して、一人になると私は大きく息を吐いた。

「後は、電気屋さんとが来るのを待てばいいよね……」
一人暮らし用の小さな冷蔵庫や必要な家電は、今までの貯金と、両親が半分だしてくれた。
それだけでも感謝をしないといけないなと思う。

テーブルなどの家具はすでに配送が終わっていることから、少なからず住めそうな感じがしたが、肝心の照明やテーブルがないと、夜には困ってしまう。

そんな事を思いながら、備え付けの棚に家から持ってきたものや、買い集めていた食器をしまいながら、私はまだテレビさえない無音の中で作業をしていた。

初めて感じる、音の無い部屋に少しだけ感傷的な気持ちになりそうになり、慌ててスマホで音楽を掛けた。

まだ始まったばかりなの、こんな気持ちになっていてどうするの?と自分を奮い立たせた。

そんな時、インターホンがなり電気屋さんが来たことがわかり、私は急いでドアを開けた。

「きちんと誰か確認しろよ」
不意に上から聞こえた声に、私は驚いて顔を上げた。
無意識に扉を閉めようとしていたのを、こうちゃんの足が滑りこみ阻止される。


「麻衣!!」
今までの私がこんなことをすることが信じられないのだろう。
でも、家を出たときから私はもう、こうちゃんとは関わらないと決めた。
そうしないと、私は1歩もどこにも勧めない気がしていた。

感想 4

あなたにおすすめの小説

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。 幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。 一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。 ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。

カモフラージュの恋

湖月もか
恋愛
容姿端麗、文武両道、しかも性格までよし。まるで少女漫画の王子様のような幼馴染な彼。 当たり前だが、彼は今年も囲まれている。 そんな集団を早く終わらないかなと、影から見ている私の話。 ※あさぎかな様に素敵な表紙を作成していただきました!

君に何度でも恋をする

明日葉
恋愛
いろいろ訳ありの花音は、大好きな彼から別れを告げられる。別れを告げられた後でわかった現実に、花音は非常識とは思いつつ、かつて一度だけあったことのある翔に依頼をした。 「仕事の依頼です。個人的な依頼を受けるのかは分かりませんが、婚約者を演じてくれませんか」 「ふりなんて言わず、本当に婚約してもいいけど?」 そう答えた翔の真意が分からないまま、婚約者の演技が始まる。騙す相手は、花音の家族。期間は、残り少ない時間を生きている花音の祖父が生きている間。

愚かな恋

はるきりょう
恋愛
そして、呪文のように繰り返すのだ。「里美。好きなんだ」と。 私の顔を見て、私のではない名前を呼ぶ。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

【完結】時計台の約束

とっくり
恋愛
あの日、彼は約束の場所に現れなかった。 それは裏切りではなく、永遠の別れの始まりだった――。 孤児院で出会い、時を経て再び交わった二人の絆は、すれ違いと痛みの中で静かに崩れていく。 偽りの事故が奪ったのは、未来への希望さえも。 それでも、彼を想い続ける少女の胸には、小さな命と共に新しい未来が灯る。 中世異世界を舞台に紡がれる、愛と喪失の切ない物語。 ※短編から長編に変更いたしました。

不器用な氷の王子は幼馴染を離さない。元婚約者は勝手に破滅中!

ムラサメ
恋愛
王太子エドワードから「無能な書類女」と蔑まれ、公開婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢エルナ。絶望する彼女の前に現れたのは、隣国の「氷の王子」アルフレッドだった。 強引に彼に連れ去られたエルナだが、実は彼はかつて彼女の後ろをついて回っていた泣き虫な幼馴染で……!? 「昔の俺は忘れろ」と冷徹に振る舞おうとする彼だけど、新生活の準備が過剰すぎて溺愛がダダ漏れ! 一方、エルナを失った母国は経済崩壊の危機に陥り、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが――。

「氷の公爵子息は、平凡令嬢を手放さない」

白瀬しおん
恋愛
ただぶつかっただけのはずだった。 なのに気づけば、氷の公爵子息は隣に座り、手を取り、名前を呼ぶ。 そして—— 「逃げてもいい。でも、逃げ切れない」 平凡令嬢を静かに囲い込む、逃げ場なしの溺愛。 最後に待つのは、拒否権のない婚約だった。 ※初投稿のため、至らない点があるかもしれませんが、温かく見守っていただけると嬉しいです。