Short stories

美希みなみ

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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣

第八話

「麻衣ちゃん、おはよう」
にこやかな笑みを浮かべてくれた、職場である花屋の店長の村上店長に私は頭を下げた。
村上彰浩店長、30歳。整った顔をしているが、こうちゃんとは違うイケメンでだ。柔らかで、穏やかな雰囲気でフラワーショップの店長にもってこいの人だ。

「おはようございます。店長、今日は早いですね」
意外そうな顔を私はしていたのかもしれない、店長はジッと私の顔をみた。

「麻衣ちゃんが最近早すぎるんじゃない?」
確かに私は最近、こうちゃんの事を考えたくなくていつもより早く仕事にきて花たちの世話をしていた。

そうすることで、何も考えずにいられたし、花を見ていると心が穏やかでいられる気がした。

「そうかもしれないですね……」
呟くように言った私に、店長はクスリと笑い声をあげた。

「麻衣ちゃんが、花を見て元気になってくれれば僕はそれでいいからね」

「え?」


元気になってという言葉に私は驚いて店長を見た。

「さあ、僕も麻衣ちゃんに負けないように仕事しようかな」

優しい雰囲気を纏いながら店長は、私の頭をポンと優しく触れると事務所へと戻っていった。

私はいま店長が触れたところに、手を当ててこうちゃんの手とは全く違う感触に驚いていた。

そしてこんなにも今までこうちゃんしかいなかった自分にため息が出た。

店長には、私が落ち込んでいたのなんてお見通しだったのかもしれないな……。

前に進まなきゃ……。

長すぎる片思いに終止符を打たなければ意味がない。

そんな事を思いながら、店長の後姿を見送った後、私はパンと自分の顔を軽くたたくと、気合を入れた。
なぜか少しだけ温かい気持ちになって、私はバケツの中に入っているバラたちに目を向けた。


「麻衣ちゃん」
アルバイトの子たちが帰り、後片付けをしていた私は店長の声に振り向いた。

「おつかれさまです」

「一人暮らしでご飯どうしてるの?」
相変わらずの優しい微笑みに、私は少し苦笑しながら答えた。

「まあ、努力中です。実家暮らしだったので」
その答えで、あまり料理ができないうえに、こうちゃんのこともあり食欲がなく、最近まともな物を食べていなかった私は、小さくため息をついた。

「やっぱり」
私の答えなど分かっていたようで、店長も小さくため息をついた。

「仕事をするうえできちんと食事はとらなきゃ。今日の昼も菓子パン一つだけだったよね」
珍しく少し強い口調に、私はうなだれた。

「はい……すみません」

「じゃあ、業務命令ね。今から食事に行こうか。明日は定休日だし」

「え?」

ここに勤めだして1年以上たつが、初めて店長に誘われたことに私は驚いて店長を見上げた。

こうちゃんほど高くはないが、176㎝という身長は決して低くない店長は私を優しい瞳で見ていた。

「はい……店長のおごりですか?」
少しだけふざけて言ってみた私に、店長はくすくすと笑うと何度が頷いて見せた。

「その調子その調子、僕のもちろんおごりだよ。かわいい女の子にごちそうできるなんて光栄だな」
サラリと初めて店長にこんなセリフを言われた私は、顔が熱くなるのがわかった。



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