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同期ってなんですか?
第4話
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気まずい空気をどうにかすることができず、私はお酒と料理を無言で食べ勧めていた。
だんだんと、お酒も入りお腹も膨れてきたこともあり、私はチラリと涼真をみた。
「ねえ?どうしてこないだの社食で無視したのに、こうやって誘うの?」
いつまで前の事を気にしているんだと思われそうだが、あの時の事がひっかかっていて、お酒の力もかりて私は涼真に尋ねた。
「別に無視なんてしてないだろ」
いい捨てるようにいった涼真に苛立ちが募る。
「したよ!」
涼真の言葉についむきになってしまい、私は慌ててビールで濃厚なエビクリームパスタを流し込んだ。
どうして最近すぐこうなってしまうのだろう?
「お前は水田課長と仲良くしてたから、邪魔したら悪いと思ったんだよ」
「はあ?なにそれ。自分だって女の子がまとわりついていたじゃない」
「俺はいいんだよ」
「なんでよ!」
「はい、そこまで」
最後はもう喧嘩のようになった私たちは、加瀬さんの一言でお互い黙り込んだ。
「加瀬さん、すみません」
静かに言った私に、加瀬さんは涼真を見た。
「涼真、もう帰れ。少し頭冷やせ」
加瀬さんに言われ、涼真は小さく頷いた後、私を見た。
「ちな、送ってく」
静かに言った涼真に、私は小さく首を振った。
「大丈夫。一人帰れるから」
そう言った私に、涼真は驚いたような表情をした。
「そんな訳に行くわけないだろ……」
小さくな声で、うんざりするようにいった涼真に、私はもう泣きたかった。
「千夏ちゃんもう遅いから、送ってもらって。俺も心配だし」
強面なのに、きっとこの人も優しいのだろう。
私はこんな自分が恥ずかしくなり、小さく呟いた。
「すみません……」
「おい、涼真お前が悪いんだろ。なんで千夏ちゃんに謝らせてるんだよ。まったく……」
髪をクシャとして、涼真は席を立つと何もいわず私の荷物を手に取った。
「ちな。行くぞ」
その言葉に、私も席を立つと、加瀬さんに頭を下げると涼真の後をゆっくりと追った。
涼真は店の外にでると、なにも言わずタクシーを止めて、私をのせ、行き先を告げるとそのまま外を見続けていた。
「じゃあ」
小さく言った私の言葉に、涼真は私を見ることなく「ああ」とだけ言うと、タクシーは行ってしまった。
もう、なによ……。
せっかく涼真との時間を過ごせたのに、また喧嘩になってしまった私はやりきれない気持でいっぱいになった。
だんだんと、お酒も入りお腹も膨れてきたこともあり、私はチラリと涼真をみた。
「ねえ?どうしてこないだの社食で無視したのに、こうやって誘うの?」
いつまで前の事を気にしているんだと思われそうだが、あの時の事がひっかかっていて、お酒の力もかりて私は涼真に尋ねた。
「別に無視なんてしてないだろ」
いい捨てるようにいった涼真に苛立ちが募る。
「したよ!」
涼真の言葉についむきになってしまい、私は慌ててビールで濃厚なエビクリームパスタを流し込んだ。
どうして最近すぐこうなってしまうのだろう?
「お前は水田課長と仲良くしてたから、邪魔したら悪いと思ったんだよ」
「はあ?なにそれ。自分だって女の子がまとわりついていたじゃない」
「俺はいいんだよ」
「なんでよ!」
「はい、そこまで」
最後はもう喧嘩のようになった私たちは、加瀬さんの一言でお互い黙り込んだ。
「加瀬さん、すみません」
静かに言った私に、加瀬さんは涼真を見た。
「涼真、もう帰れ。少し頭冷やせ」
加瀬さんに言われ、涼真は小さく頷いた後、私を見た。
「ちな、送ってく」
静かに言った涼真に、私は小さく首を振った。
「大丈夫。一人帰れるから」
そう言った私に、涼真は驚いたような表情をした。
「そんな訳に行くわけないだろ……」
小さくな声で、うんざりするようにいった涼真に、私はもう泣きたかった。
「千夏ちゃんもう遅いから、送ってもらって。俺も心配だし」
強面なのに、きっとこの人も優しいのだろう。
私はこんな自分が恥ずかしくなり、小さく呟いた。
「すみません……」
「おい、涼真お前が悪いんだろ。なんで千夏ちゃんに謝らせてるんだよ。まったく……」
髪をクシャとして、涼真は席を立つと何もいわず私の荷物を手に取った。
「ちな。行くぞ」
その言葉に、私も席を立つと、加瀬さんに頭を下げると涼真の後をゆっくりと追った。
涼真は店の外にでると、なにも言わずタクシーを止めて、私をのせ、行き先を告げるとそのまま外を見続けていた。
「じゃあ」
小さく言った私の言葉に、涼真は私を見ることなく「ああ」とだけ言うと、タクシーは行ってしまった。
もう、なによ……。
せっかく涼真との時間を過ごせたのに、また喧嘩になってしまった私はやりきれない気持でいっぱいになった。
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