Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第三章 シルヴァマジア編

シャインティアウーブのトップ3

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シルヴァマジア~シャインティアウーブ移動中

 シルヴァマジアのトップに連絡を済ませた私はすぐにシャインティアウーブに戻るために、ルークの元を離れたときと全く同じ速度で移動している。しかし...

 「ここはシルヴァマジアの迷いの森の区間ではないはず...それにシステムの動作は異常なし。それなのに...なぜ景色がずっと変わらないの?」

 シルヴァマジアに向かっていたときはかなりの速度で移動していたから、すぐにジーク・ヴィネアの元に着けた。だから、ルークの元に戻るのも彼の予想より早く戻れると踏んでいたのに...。

 「(やはり...ジーク・ヴィネアが危惧していた通り...なにかが起ころうとしている。その...前兆? それとも...私がルークのAIであることを知っている者が私は排除しようとしている?)」

 私は今の現状におかれた異常性に色々なことを勘繰ってしまう。そうしていると...

 「?」

 背後から不自然に木々が揺れる音が聞こえる。しかも、等間隔に...

 「(ちゃんと戦える状態ではないが声をかけてみるべきか...いつ終わるかも分からない現状の中で逃げに徹するべきか。)」

 どちらもマイナス要素が大きい。じゃあルークたちに助けを求めようとしても、このあたりの森の深さから考えても、シルヴァマジアの領地だろう...それで彼ら呼んでしまえば、良からぬ輩に戦争の理由として利用されかねない...。

 「(相手が複数人でないことにかけて...戦う...より、抜け出せることに鉄猫の燃料を懸けて逃げに徹した方がいい。実際、ここまでの移動である程度燃料は減っている...。そちらの方が、得になる可能性が高いとマーシィは判断した。)」

 私はさっきよりも早い速度でその場を駆け出す。

 「...。...。...。」

 おかしい。音が全く遠くならない...ずっと同じ距離感で同じ間隔で木々の揺れる不自然な音が聞こえてくる。

 「(故障か?)」

 そう思って移動中に診断を行っても、全く異常がない。

 「まずい。」

 これでは悪戯に燃料減らすだけにしかならない。だからといって、止まっても何一つ現状が変わらない。

 「くっ... (現状を何とかしなければ...燃料が底を尽きてしまう。二択を間違った。いや...答えなぞ無かったのかもしれない。)」

 私は立ち止まってずっと音がする方向を見つめて声をかける。

 「誰だ。」

 すると、深い森の中から、青みがかった黒髪を束ね、高いヒールを履いて、ロングタイトスカートと肩から胸の谷間まで露出している服を着た大人の色気をこれでもかと放つタレ目な女性が口角を上げた状態で出てきた。

 「そんな怖い声を出さないでよ。とって喰う訳じゃないんだから。」

 「先程から私に何か用ですか?」

 「用って程じゃないけど...ルーク・ギルデアのAI何だよねぇ?」

 「だからなんです?」

 「いやさ...さっきジーク・ヴィネアから何か受け取ったでしょう? 連携してほしくないんだよねぇ。聖王様と機人殿には...。」

 おっとりとした声で私を見る。

 「それで? 私にどうしろと?」

 「...そうだねぇ...。取り合えず、ルーク・ギルデアとリーフ・イン・クライヴスの元に案内してもらって...2人の居場所を奪い、私の手駒になってもらおうかしら...。」

 「断れば?」

 「それはもう...わかるでしょ...?」

 女性は胸の谷間からゆっくりと杖を取り出す。

 「... (ルークの元まで案内すれば、取り合えず今の現状から脱することはできる。でも...。どうしよう...お兄ちゃんならこう言うときどうしてたんだろう...。ルークを信じて案内したのかな...?)」

 「ん?」

 そう私が思考していると、女性が首を傾げているのが目に入った。私はその方向に目を向けてみた。

 「戻ってきてみたら変な結界ができてて、中に入ってみれば...何やらただ事では無さそうだね。」

 すると、そこには白い軍服に身を包み青い竜の紋章が描かれた白いマントをなびかせた白髪で赤と青のオッドアイの黒いベルトのついたグローブを手にはめているかなりの美形の男性が立っていた。クレイ・オブ・エンシェンターだ。会う度思うが、やはり見た目と声が若干合わない。

 「鉄猫...ってことはマーシィちゃんか。おひさだねぇ~。でもこの感じはやることはやって帰ろうとしているところで面倒事に巻き込まれたって感じ?」

 「大体あってます。助けていただくことって可能でしょうか?」
 
 「ここまで来といて助けないは嘘すぎるでしょ。」

 クレイさんがそう言うと、女性はおっとりとしているが威圧するような声で口を挟む。

 「勝手に話を進めないでくれる? 坊や。」

 「坊やって...お姉さん、俺とそう歳変わらないでしょう?」

 「あら、嬉しいこといってくれるのねぇ?」

 「そうですか? 本当にそう思ったんですが...。」

 2人はそう言って、互いを威圧し合う。そうして、痺れを切らしたのか女性はため息をついて杖を強く持ち始める。

 「はぁ~。シルヴァマジアのNo.2となんて、やりあう気なかったんだけど...。仕方ないわよね。私...あいつの女なんだし...。」

 「あいつ? お姉さん...何か事情ありそうだね。」

 「坊や達には...関係ないよ...。」

 女性はそう言って強く握っていた杖をクレイさんに向ける。

 「雷轟トニトゥルースルジートゥス!」

 「おっと。」

 女性は杖から轟音と共に巨大な雷撃を放つ。クレイさんは即座に私を抱き上げながら攻撃を回避し、女性を見据える。

 「疾風ゲイル脚力フォースレッグ。」

 クレイさんは両脚に風を纏わせて、空を駆けるように走り、女性の背後に回り込むと、

 「迅雷ライトニング拳力フォースフィスト。」

 雷を纏わせた腕で雷と同速で拳打を放つ。

 「...?」

 しかし、当たる寸前で女性は一瞬で別の場所に移動して回避した。

 「(テレポート? だが、魔力を使った感じは無い。超能力者....? いや、超能力者は魔力を持たないはず...。)」
 
 「驚いたかな? 私...ただの魔術師じゃないんだよねぇ。」

 女性は余裕そうな態度を店ながらも、冷や汗をかいている。

 「どうやらそうみたいですね。」

 その事を知りながらも、クレイさんは女性の言葉に乗っかって、拳と脚に纏わせている雷と風の規模を上げている。それを感じとったのか、女性は

 「でも...今の一瞬でわかるよ...このまま戦ったら私に勝ち目はないこと...。」

 お手上げと言うようにそう言った。その潔さに、クレイさんは怪訝な表情を浮かべる。

 「だったらどうするんです?」

 「そりゃあ逃げるに決まっているでしょう。」

 「!!」

 女性はそう言って、クレイさんと私の目の前から一瞬にして消える。同時に、女性が作ったと思われる結界が解けていくのが見える。

 「...取り合えず...一時的に難は逃れたって感じか? まぁ、すぐにジークとエリナに報告だな。」

 「助けていただきありがとうございました。」

 私を下ろしながら、辺りを見回しているクレイさんに私は感謝の言葉を述べた。

 「いやいや。この程度お礼されるまでもないよ。...君はルーク・ギルデアの元に戻って、ジークから預かった書面を見せて、今あったことを伝えておいてくれ。俺も伝えておくからさ。」

 「はい。では、またいつか会いましょう。クレイ・オブ・エンシェンター。」

 「うん。じゃあね、マーシィさん。」

 私はクレイさんに別れの言葉を告げて、残りの燃料を考えて節約しながら自国に戻る。

同時刻 シャインティアウーブ地下監獄

 現状できる仕事を全て終わらせて、俺はリーフとアスカを連れてまた地下監獄まで来た。

 「いやぁ~今日の一日濃いですなぁ。」

 「こんなもん濃くもなんともねえよ。全盛期忘れのかよ。」

 「いや、あれは濃いなんてもんじゃない。」

 俺が頑張ってテンションを上げて言うが、同じようなことをしたリーフとアスカがそれに乗り切れずに少し機嫌が悪くなっているのが垣間見える。

 「つかさぁ...。それさぁ、明日に仕事回してからすぐだった方がよかったくね?」

 「まぁお前の監視カメラもあるし、今も見張ってて異常ないんだろ? じゃあ結果オーライ。」

 俺が明るくそう言うと、アスカがジト~とした目で俺を見て

 「ルーク。」

 「ん?」

 「フラグまた建ててるんですけど...。」

 と呟くように言った。俺は即座にリーフに視線を移す。

 「リーフ。」

 「大丈夫。抜け出してないぞ。」

 「あぁそう...。こえ~。」

 リーフの言葉に俺はホッと胸を撫で下ろす。

 「ビックリさせんなよアスカぁ~。」

 「思ったことを言ったまでです。」

 白澤光のいる監獄に行くまでの道には浦坂千波と七瀬愛翔の牢獄を過ぎ去る必要がある。だが、時間が時間なためか...皆寝静まっている。そうして、白澤光の牢獄の場所に行く為の扉を開ける。

 「私、ちょっと千波さんの方見に行ってきますね。」

 「あぁ頼む。じゃ、ちょっくら行ってくるわ。リーフ、監視頼むな。」

 「任せとけ。」

 俺はリーフにそう言って、扉の中に入っていった。

 「さぁて...何ともなかったら、俺の杞憂だけで終わる話だ。...終わってくれぇ~。」

 俺は半ば懇願するように手を合わせて扉の前まで来た。

 「よし。スパッと終わらそう。」

 俺は扉のノブに手を掛けて、いつも通りに入るように開ける。

リーフ側

 扉の中に入っていったルークが何やら手を合わせながら白澤光の牢獄の扉まで歩いていっている。

 「喋んな喋んな。フラグ乱立するって...。」

 俺はそんなことを言いながら、白澤光の牢獄内を注視している。そうしていると、音声で扉の前まで来たルークの声が聞こえた。

 「あぁあぁスパッと終わらせて寝よう。」

 俺はルークの声に聞こえてもいないのに返答をして、ルークが扉を開けきるまでの牢獄内を見ていた。

 「...は?」

 扉が開けきり、ルークが牢獄内の監視映像に写った瞬間...変なことが起きた。

ルーク側

 扉を開けたら...そこには誰1人として居なかった。

 「...。」

 俺は牢獄内を見回して、何か怪しい箇所がないかを確かめるが、そんなものは見当たらない。俺はすぐに牢獄から出て、リーフのもとに走って戻る。

 「リーフ!」

 俺がすぐに指示を出そうとすると、すでにリーフは監視映像を確認しながら、映像に細工された痕跡がないかを調べていた。

 「何があったかわかったか?」

 俺はいてもたってもいられなくて質問をした。

 「いや。ルーク、お前牢獄に入った瞬間に白澤光が逃げたような感じがあったか?」

 リーフは俺の質問に短い返答をしつつ、俺に質問を投げ掛けてきた。

 「いや全くだ。開ける前から居なかったみたいになってた。逃げた痕跡も何もない。」

 俺は思ったことと事実を交えながら答える。

 「だよな。お前が扉を開けて牢獄内の監視映像に写った瞬間に、映像に変なことが起きた。」

 「変なこと?」

 「これを見てくれ。」

 リーフはそう言って、俺に監視映像の電子映像を見せる。すると、そこに写っていたのは...。

 「...消えた。」

 俺が牢獄内の映像に写ったとほぼ同時に映像に写っていた白澤光が消えた。この感じは唐突に動画がカットされたような感じがする。だが、映像には俺が写るまでなんの違和感の無い映像が流れている。つまり、扉が開いている最中は白澤光は牢獄内にいるし、何なら扉が開いていることに反応している仕草すら見せている。

 「一体こりゃ...」

 「取り合えず大急ぎで調べている最中だ。ちょっと待って...」

 「2人共!!」

 俺とリーフがそう会話をしていると、浦坂千波の所へ向かったアスカが大声で俺たちを呼ぶ声が聞こえた。俺とリーフは互いの顔を見て頷いた後にアスカの元に向かう。

 「「どうした!」」

 俺たちがそう言って、アスカの元に着くと、アスカは牢獄の扉を開けて浦坂千波の横に座って、座っている浦坂千波の体を揺すっていた。

 「...さっきから話しかけても返答がなくて、牢獄に入っている際も何の反応もなくて、こうやって体を揺すっても何も反応がないどころか、ただ一点を見つめたまま動こうとする気配がないんです。」

 アスカは俺たちに冷静に説明しているが、どこか動揺を隠し切れないでいる。

 「リーフ。」

 「わかっている。」

 リーフは即座に浦坂千波の牢獄の監視映像を巻き戻しながら見ている。

 「ルーク。浦坂さんにはこうなる兆しがあったか?」

 「いやない。全くだ。」

 「そうか...。ん?」

 そう会話をしていると、リーフが監視映像の違和感に気づいたようで、俺とアスカに浦坂千波の監視映像を見せる。

 「え?」

 「...。」

 そこにはいつも通りにしていた浦坂千波が突然、それも映像が切り替わるようにただ一点を見つめて動かない状態になってしまった。

 「アスカ。浦坂千波は脈あるんだよな?」

 「はい。脈は変わらず正常に動いています。」

 俺の問いにアスカは浦坂千波の脈を計りながら答えた。それと同時に、リーフがさっきの白澤光の監視映像と今の監視映像を比較しながら、思ったことを口にする。

 「さっきの映像といい、この映像といい画面が切り替わるのが似ている。」

 「画面が切り替わりかたが、その間の出来事だけ撮れていないみたいになっているんですよね。」

 アスカがそう言うと、俺とリーフは顔を見合わせる。

 「じゃあもしかしたら...」

 「「人の目も監視カメラを欺くことができる侵入者がいる。」」

 俺とリーフは全く同時に同じ言葉を言った。そして、俺たちは白澤光と浦坂千波の件はおおよそ同一だと考えて、2つの監視映像を見直してみる。

 「(または、認識を操ることができるか。) 絶対に助けるからな。」

 俺が動かない...廃人化している浦坂千波にそう言うと、アスカが少し低い感じの声で訊いてくる。

 「白澤光は?」

 「出来るなら、大事を起こす前に見つけて再度捕まえれば問題はない。」

 「でも物事そううまくは...。」

 「わかってる。だから、もしもの時は...俺がけじめをつける。元々俺が生きて捕まえるって指示出したんだからな。」

 俺がそう言うと、アスカが首を横に振って意見する。

 「私もそれに同意しました。彼女の過去を知った同情もありますが...。」

 「何勝手に背負おうとしてんだよ。一人で持つには重いだろ。手伝うぜ。」

 アスカの意見に同調するようにリーフはいつも通りに言う。

 「...はっ、たまには一人でかっこつけさせてほしいもんだな。」

 「美味しいところだけ持って行かせてたまるかって。」

 俺とリーフは拳を付き合わせる。すると、無言でアスカもそこに入って来た。

 「この件は俺たちで解決する。これ決まりな。」

 「立場的に極秘なのがやりづらいところですが。」

 「トップには立つもんじゃないな? ルーク?」

 「うるせえ。」

 アスカとリーフの皮肉に俺は少し笑みを浮かべながら突っ込んだ。
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