Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第三章 シルヴァマジア編

怪物と人間

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数十分前 シルヴァマジア北西部 宇宙能力の頂点と星の竜との戦い

 巨大な竜の咆哮と共に、向かって来る。男は花仙さんに向かって行っている。

 「そっち頼む!」

 「...わかった!」

 花仙さんは私たちを見てそう言うと、清雅さんは向かってくる竜の前に立って、氷の壁を張って受け止める。その隙に、私と光琳で攻撃を加える。

 「!!」

 「硬い...!!」

 私たちがそう言うと、そのまま氷の壁は割られて、清雅さんが吹っ飛ばされた後に、私たちは尻尾で吹っ飛ばされる。

 「!」

 花仙さんは男を蹴り飛ばして、私達を受け止めてくれる。

 「すいません。」

 「感謝は後にしな。何か強くなってる。同じように助けてやれないからな。」

 「はい!!」

 そう返事をすると、受け取ったワスプナイフに手をかける。

 「(ガスには限りがある。)」

 そう考えていると、体勢を光琳が私を見て頷く。それを見て頷き返して、竜に向かって走り出し、飛び立って突進してくる竜にしがみつく。

 「!!」

 私はそうやって腹に銃口を当てて、引き金を何度も引く。

 「グォォ!?」

 それに怯んだ竜は私をはがそうと結界に急降下していく。そこに光琳が槍を構える。私は銃を撃って亀裂の入った腹部を指さす。すると、私が降りると同時にその箇所に槍を突き立てる。

 「どう!?」

 「届いてない!」

 銃弾で少しひびが入った箇所に槍で内部を貫いたところに、私がワスプナイフで内部から破壊するという作戦だったけど、思った数倍竜の体は硬かった。

 「零距離で全く同じところに当てたのに。」

 「即席にしては結構良さそうだったけど。」

 そう言ってると、槍を突き立てられて怯んで落ちた竜は口を大きく開けて何かを溜め始めた。

 「光琳!」

 「!! .....え!?」

 なぜか槍が抜けない。そこまで刺しこめてないはずなのに。

 「...まさか、再生して固定してる!? ...仕方ない...。」

 光琳が槍から手を放そうとすると、清雅さんが走ってきて、片手に冷気を放ちながら言う。

 「光琳さんそのまま!!」

 「わかった!」

 清雅さんの言葉を信じて光琳は槍を強く掴んで前に体重をかける。そうしていると、私とすれ違いざまに清雅さんが

 「そのナイフ用意してて。」

 と言って、刺している槍の箇所を冷気を放つ手の平で触れる。同時に私はワスプナイフを掴んで光琳の元に走る。

 「棘氷きょくひょう!」

 清雅さんがそう叫ぶと、竜の体の内部から無数の氷の棘が飛び出してくる。その後、光琳は槍を抜いて、清雅さんもそこから放れたと同時に私はワスプナイフを奥まで刺しこむ。

 「!!」

 ナイフからガスが勢いよく出ている音と共に、目の前の竜の腹部が破裂して大きな穴が開く。

 「ぐああああああ!!!!」

 すると、花仙さんの方から絶叫が聞こえる。

 「爆千刃!」

 赤熱した刃が男を真っ二つにする。

 「ぐっ...! ふぅ...ぅぅ...ぅぅああああ。」

 「!?」

 真っ二つになった体はスライムのようにくっついていき、人間とは思えない形状に姿が変化していく。その光景に驚きすぎて呆然としていると、清雅さんが私と光琳を押し倒して、背後に氷の壁を張る。その寸前で竜は体を再生させて口から爆発寸前の惑星を形成して放ってくる。

 「!!」

 清雅さんはそれを凍らせて被害を押さえようとする。

 「清雅そのまま!!」

 そう叫んで、地球外に飛ばそうとする花仙さんを男だったものは邪魔しようとする。

 「どけぇ!!!」

 花仙さんはオレンジ色の火を纏った拳で男を叩きつけた後、凍らせた惑星を持ち上げて、上に勢い良く投げた。そうして、大気が揺れるような爆発が起きた。

 「本物じゃなかったとしてもあんな規模洒落になんねえぞ!!」

 「...だい...じょう...ぶ...?」

 清雅さんは息も絶え絶えでそう訊いてきた。立ち上がって無事を伝えようとする。でも、なぜか体が動かない。

 「どうした...? 限界か...?」

 「...うん...これ以上は無理かも...。ごめん...能力使い過ぎた。」

 「あたしもそれやったから気持ちわかるよ。でも、あたしはまだ戦えそうだ。そこの2人も無理そうだな。」

 花仙さんはそう言うと竜と原型をとどめていない男を見て、苦笑いをする。

 「2対1いいじゃん。やってやるよ!! あたしが退路を開く。避難してろ。」

 花仙さんはそうして敵を挑発した後に私達にそうやって耳打ちした。

 「来いよ!! まともに攻撃が効く分あいつよりだいぶ戦える!」

 花仙さんは足から炎を噴射して、竜の頭部を掴んで男の方に投げ、そのまま炎を纏わせた刃で攻撃する。その隙に私と光琳は清雅さんを連れて、その場から離れる。

 「逃がすかぁ!!」

 「ガキがよそ見してんじゃねえよ!!」

 そこに攻撃を仕掛けてくる男を止めてくれる。

 「行こう!!」

 そう声掛けして、何とか清雅さんを倒木を背に座らせる。

 「ありがとう。少し楽になった。」

 「それは良かった。」

 清雅さんの言葉に私は微笑んで返すと、光琳が立ち上がって戦っていた方向を見る。

 「ワスプナイフのガスは...あとちょっとある。でも弾丸はないかな。そもそも、攻撃を当てても大して反応がなかった。行っても意味ないかも...」

 「だからこそ、行って私達で注意を引いて、あの人に攻撃してもらおう。」

 「うまくいくかな?」

 「わからない。でも、やらなかったらあの人一人で戦うことになる。」

 「...。」

 「...。」
 
 私たちは息をのんで戻ろうとすると、上から声が聞こえてくる。

 「そこまでわかってていくなんてリスクしかねえだろ。」

 「?」

 虎牙さんと立神さんが私たちの前に現れた。

 「無事だったんですね。」

 「まぁ何とかな。」

 「君らはここにいろ。」

 「え?」

 「僕らが代わりに加勢に行く。君らはその人が回復するまで待つんだ。」

 「でも!」

 私は立神さんの何か引っかかる言い草に反射的に反論しようとしてしまう。

 「無駄死にしたいのか!?」

 「...。」

 「...力が覚醒して強くなった気なんだろうが。それでも上には上がいる。戦い方を知らなきゃ、引き際を知らなければ、結局無理をして不必要に死ぬことになる! 君がなぜそんなに他人の役に立ちたいのかも、どんな目的があるのかも、僕は知らない。だが、生きてなきゃ意味なんてない。死んだら全て無意味だ!! 他人も同じだ! 自分の無理で、他人を巻き込んで、最悪な結果をもたらしたら、君はその時折れないで立ち上がれるのか!! それがわからないのなら、君は黙ってここにいて、彼女を守るんだ!」

 「わかりました。清雅さんを守るのも大事な役目です。だからそれはわかりました。でも、清雅さんが回復しきったら私は戦いに参加します。」

 「言われたことが...。」

 「確かに、死んだら全て無意味になると私も思います。他人を巻き込んで最悪な結果をもたらしたら、折れて立ち上がれなくなるかもしれないとも思います。でも、だからと言って最悪な場合ばかりを考えて、行動を放棄することは、私にはできません。守るためなのはもちろん戦うと心で決めたなら、私はこれを変える気はありません。」

 「...。」

 私がそう言うと、立神さんは黙って見下ろしてくる。すると、虎牙さんが肩を叩いて言う。

 「だそうだ。早く行こうぜ。人は多くいた方がいい。だろ?」

 「...お前。」

 「俺達がわざわざ応援に来た理由は、彼女達に同じ結果を招かないためだ。過去の俺達に似た選択を否定するためじゃない。」

 虎牙さんはそう言って、立神さんを連れて花仙さんの方に向かう。

一方、異形の男と竜を相手取っている花仙は...

 あくまで清雅が回復して加勢するまでの間の時間稼ぎ、その中でワンチャン倒せたらいいなって思いながら戦ってる。

 「(個々の相手は全然できるが、流石に2対1は厳しかったか。)」

 心の中で愚痴を吐きながら、原型も何も残っちゃいない男の攻撃を往なし続け、ドラゴンを先に攻撃し続ける。

 「チッ...。」

 あたしの攻撃でドラゴンは多少怯むが、男の方は慣れてきてるのか、リアクションがねえ。それどころか、自分のダメージを考えずに突っ込んでくる。

 「てめえは完全に人間を止めたのかよ。」

 そう訊くと、男はニヤリとした顔を浮かべてあたしに向かってくる。同時にドラゴンは、口から何か出そうと構え始めてるのが見える。

 「何溜めてんだよ。粉塵ふんじん焔刹えんさつ。」

 スレイバーの刃を熱して、そこから出た火花を纏わせて、ドラゴンの首を斬る。斬られた箇所から火花がドラゴンの体を喰った。

 「よっしゃ!」

 あたしが小さくガッツポーズしてるとなんか無からドラゴンが再生した。

 「嘘こけよ。」

 あたしはそう言いながら、男の攻撃にカウンターを合わせる。

 「で再生すんだろ?」

 そう言うと、答えるように再生してきやがる。

 「ふざけんなよ。」

 うんざりするようにそう言ってると、再生しきったドラゴンの頭部が矢で撃ち抜かれた。

 「んあ?」

 それに反応してると、銀髪の知ってる男と黒髪の弓持った知らねえ男があたしの前に現れた。

 「加勢する。」

 「俺も遅れたが加勢するぜ!」

 「わかった。じゃあドラゴンの方を頼む。」

 その言葉を信じて即行で2人に指示を出して、男の方との戦いに集中する...前に

 「一応名前は? あたし陽葉山花仙。」

 「立神獅業。」

 「一応俺も、虎牙奈終夜。」

 名前のやり取りを挟んで今度こそ戦いに集中する。

星竜と2人の深天極地の戦い

 とりあえず陽葉山さんと合流できた。僕らは指示通り星竜との戦いを始める。

 「俺らでも攻撃通せるか怪しくねえか?」

 「怪しいが、来たからにはやるしかない。そうだろ?」

 「そうそう。その通り。」

 僕らはそうやって、ハイタッチを交わして、弓を構え、武道の構えを取る。

 「天空ノ修羅。」

 「極限ノ鬼哭。」

 髪の色が更に黒く緑色のインナーカラーが入り、奈終夜の髪の色も更に銀色が目立ち、赤いインナーカラーが入る。

 「グォォォォォォォ!!」

 大地が震えるほどの咆哮と共に、星竜が僕らに攻撃を仕掛けてくる。

 「いつも通り僕が援護だ!」

 「了解任せろ!」

 奈終夜はそう言って、星竜の懐に潜り込んで下から、殴打を叩き込む。

 「烈火掌れっかしょう!! 猛火もうか。」

 深天極地の力によって熱を纏った拳で星竜の体を浮かせている間に、僕は少し距離を取って、矢をつがえる。

 「風塵弓ふうじんきゅうりん。」

 つがえた矢に風を纏わせ、星竜の目に向かって放つ。

 「グォォ!!??」

 目を撃ち抜かれた星竜が怯んだ隙に奈終夜が両手で星竜の頭を掴み、地面に叩きつける。

 「業火拳乱ごうかけんらん。」

 星竜の顔に乗って、燃え盛る炎のような熱波を纏った両手で頭がつぶれるまで殴る。

 「(かってえが、全然砕ける。)」

 「風塵弓・穿うがち。」

 そうして、ある程度つぶれ切ったところで、僕の弓で胴体に風穴を開けた。

 「...。」

 「...。」

 完全に無力化できたように見えた星竜はすぐに再生をはじめ、再生途中の段階でを攻撃を仕掛けてくる。

 「こりゃ持久戦だな。」

 「わかってたことだろ?」

 そう言い合って、星竜から距離を取って、攻撃を避ける。

その頃、富士浪清雅と橘薫、入町光琳は...

 私と光琳が清雅さんの周りを警戒しながら、落ち着かせているとしだいに清雅さんの顔色が回復してきて、ある程度動けるようになる。

 「回復早くないですか?」

 「多分能力を使い切る前に休んでたから、異能力者スペアネル特有の再生能力? が働いたのかもね。」

 「なるほど。」

 清雅さんの答えに納得していると、急に立ち上がって私と光琳を見る。

 「じゃあ、行こっか。」

 「はい。」

 清雅さんの言葉に続いて、私と光琳は花仙さんと立神さん、虎牙さんの元に走り出す。

 「私は男の方と戦うから、竜の相手を頼むけどいい?」

 「はい。」

 「もちろん!!」

 走りながら清雅さんが出した指示に私と光琳は返事をして答える。そうして走っていると、すぐに到着した。

 「じゃあそっちは頼むよ。」

 「「はい。」」

 私と光琳は立神さんと虎牙さんの戦っているところを目の当たりにする。

 「...すごい。」

 竜の攻撃をすんでで避けてカウンターを決めている。でも、やはり再生し続けられているのか、少し疲れているように見える。

 「攻撃が激しく過ぎんだけど。」

 「この巨体でここまで縦横無尽に動き回られて、再生もされるとなると、流石にきついな体力的にも精神的にも。」

 2人の会話が聞こえる。私はバタフライナイフを強く握って、竜に向かって行く。

 「羅刹。」

 「刹鬼。」

 2人が攻撃を避けているところに光琳が弓を撃って、目を潰し、私は口の中に入って舌を刺す。

 「(目と舌なら、攻撃が通る!)」

 私がそう考えていると、

 「なるほど口内か、考えたなあんた。」

 と言いながら虎牙さんが竜の口を無理矢理こじ開けて、喉の奥の方まで入っていく。

 「流石に内部からのダメージは想定してねえだろ。」

 そう言って両手両足が赤熱し始める。

 「獄烙焦土ごくらくしょうど!!」

 そう言いながら、虎牙さんは両手両足を使って竜の内部を進みながら攻撃していき、その速度が次第に上がっていく。最初の方は殴った時や蹴った時の鈍い音しかしていなかったのに、もう衝撃がこちらに伝わってきている。

 「おら怯めやあ!!」

 奥の方で声が木霊して聞こえてくる。その瞬間、

 「グォォォォォォォォォォ!!!!????」

 と雄叫びを挙げて私たちを吐き出す。吐き出された私達が竜を見てみると大量の矢が刺さっている。

 「おっ。と離れろ!!」

 虎牙さんに私はついて行って竜から距離を取り、光琳の方まで走っていくと、何か立神さんが構えている。

 「千ノ矢・空貫くうがん。」

 そう言うと、竜に刺さった大量の矢がものすごい速度で回転を始め、竜の体にいくつもの風穴を開ける。普通な死んでいるように見える。

 「でも...。」

 「そう、あれじゃ死なねえの。」

 虎牙さんがうんざりした声で答える。それに対し光琳は首を傾げて、竜の方に指を差す。

 「でも何か...。」

 「「ん?」」

 「体が震えている?」

 光琳の言葉に続くように立神さんがそう呟いた。それを聞いて私と虎牙さんも竜をよく見てみると確かに体を震わせている。

 「倒したってことですか?」

 「いや、だったら消滅するはずだ。してねえってことは、再生を始めるはず。でもどっちでもねえ。ありゃ一体...。」

 虎牙さんがそう考えていると、体を震わせている竜は声のない咆哮をして、花仙さんと清雅さんの方に飛んでいく。私達は4人はそれを追って走り出した。

少し時間が戻って薫と光琳と分かれた清雅は...

 陽葉山さんの援護をしようと、分かれてみたものの戦いの規模がさっきよりも上がっている。

 「焔衣ほむらごろも千刃せんじん!!」

 「うああああああ!!!!!」

 1人は刃に炎を纏わせて敵を切り刻んでいるのに対し、もう1人は何か正直見た事もない物体を両手に生み出して殴っている。

 「(互角なように見える。けど、明らかに陽葉山さんが疲れてきている。)」

 私はタイミングを見計らって陽葉山さんの攻撃で怯んだ男を凍らせる。

 「え?」

 「援護します!」

 私がそう言うと、陽葉山さんは無言で頷いて武器に燃え盛る炎を纏わせる。

 「あたしも限界近い! 一気に決めよう!!」

 「わかりました!!」

 陽葉山さんの言葉に強く返事をすると、私は自分の刀を抜いて冷気を纏わせる。

 「爆千刃ばくせんじん乱舞らんぶ!!」

 「白天流 第一秘剣 晶閃!」

 陽葉山さんが凍り付いた男に伸縮する刃を振り下ろし、触れた瞬間にものすごい破裂音と共に爆発が起こる。そんな中私は居合い抜きの構えを取り、爆発の中を掻い潜りながら氷の解けた男の目の前で刀を一気に引き抜き、真っ二つに両断した。

 「どうだ?」

 「普通なら...終わってるはずです。」

 陽葉山さんの質問に私は両断した男の姿を見ながら、落ち着いて答える。

 「でも再生してくるんだよなぁ。」

 陽葉山さんがそう言うと男の体が震え始める。

 「ん?」

 本能的に危険を感じた私は男から距離を取る。

 「どうした?」

 「いえ、様子が変なんです?」

 私がそう答えると、その男を突然現れた竜が液状化して包み込み、黒い球体となって浮き始める。そこに薫たちも合流する。

 「何だあれ?」

 「...。」

 「竜と男が融合した?」

 「そんなことありえんのか?」

 陽葉山さんが首を傾げていると、後ろで男性2人が会話している。

 「知らん。少なくとも僕は見た事無い。」

 「だよな? 俺らの仲間もやってないもんな?」

 「あの人たちならもう仲間じゃなく知り合いだ。」

 「仲間は何十年経っても仲間だろ。」

 「時が経てば関係性は変わる友人がただの知り合いになるなんてのもある。」

 「...何かお前、結構冷たい人間になったよな。」

 しばらく聞いていたけど、会話から言い合いになってた。今の状況に言葉が出なくなっている。そんな事を考えていると黒い球体が小刻みに振動し始める。

 「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 「うあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 「ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 女性の悲鳴、男性の雄叫び、音割れした何かの鳴き声のような音を鳴らして、球体は私達に向かって押しつぶされそうな重力を与えてくる。

 「ぐっ...!!」

 そうして動きを止められたところに球体はあの不快な音を出しながら周りに小さな太陽のような物体をいくつも生み出している。それを見て、陽葉山さんは重力に抗って立ち上がり、武器は地面に置いたまま、拳に燃え盛る炎を纏わせる。

 「!!」

 それに感化されて、私も何とか重力に抗って立ち上がり、まだ立てずにいる4人の周りに氷の壁を作り始める。

 「皆守り切って見せる!」

 「来いよその光の球ごと吹っ飛ばしてやるよ。」

 私と陽葉山さんがそう言うと、球体は不快な音を更に大きくして小さな太陽を飛ばしてきた。

少し時が戻って、クリードと明純司は...

 背後からつけられているような音がする。恐らくこの先に戦闘が行われているが、その前に背後にいる奴を突き止めておいた方がいい。

 「誰だ。」

 俺がそう言って振り向くと、木の陰から七瀬愛翔と陽葉山花奈が出てきた。

 「なぜつけてきた。」

 「俺達も何か役に立てるかなぁ~と。俺は一応武装してるし、この子は回復魔法で治療できるし。」

 「この戦いは遊びじゃない~よ。死ぬときはほんっとに死ぬんだから。さっさと元の位置に戻りなっさい。」

 七瀬の言葉に司が冷たく断る。それに対して俺は回復魔法が使えるという点が気になった。

 「どれだけの精度で回復魔法を使える?」

 「ちょっとクリード!」

 「回復魔法が使えるのなら、遠くから支援してもらった方がありがたい。」

 「だからと言ってこんな子供を巻き込む気?」

 「言っておくがこれから戦いに行く相手だって恐らく15歳の子供、そこの2人と同年代だ。」

 「だから何? 敵と戦わなくてもいい人だったら話は別でしょ。子供戦わせるつもりはない。」

 「いくらお前がそう言おうと、決めるのは彼らだ。」

 「この子たちが決めたら簡単に戦いに巻き込むの?」

 「彼らが望んだ選択ならば俺はそれを尊重する。」

 「死んだらどうすんの?」

 「死んだらただそれだけだったというだけだ。なぜお前がそんなに嫌がるんだ? お前だって15歳の時には既に裏家業をしてただろ。」

 「境遇が違うでしょ。...本気で戦いに行く?」

 俺の答えと質問に司は頭を抱えながらも、諦めた様子で2人に訊く。

 「はい! 私の回復魔法が役に立つのなら、協力したいし、お姉ちゃんを助けたい!!」

 「行く。ここまで来たし、戻ったところで俺は牢屋だ。どうせただの囚人に戻るんなら、ここで一発、国を救った協力者になってやろうじゃねえか。」

 「一応聞いておくが、お前がついてきた理由はなんだ?」

 「何か、貴族の人が国民を守るから任しとけだとさ。」

 「...そうか。」

 司が少し考えている間、七瀬への質問を済ませた。すると、司が七瀬と陽葉山花奈の目を見て頷く。

 「...わかった。ただし! 戦う時は思い切ってやってね。」

 「「え?」」

 「そっちの方が助けやすいし守りやすいから。じゃ、行くよ....。あ!!」

 司はそう言って、歩き出そうとすると、急に大声を上げる。

 「青葉!! それにバンバいんじゃん!!」

 偶然にも青葉とバンバに合流したようだ。

 「何でここにいる?」

 「敵の襲撃に遭ってな。先に光琳たちを向かわせた。」

 「...話は目的地に向かいながらでいいだろ行くぞ。」

 バンバが答えた後、青葉が司と後ろの2人についてアイコンタクトを取った後に走り出す。そうやって走っている間、青葉が2人の戦闘の参加についてかなり訊いてきたが、司が守るという話に落ち着き、俺はバンバから戦いの状態の考えを聞いた。

 「青葉...終わったら俺を殺す気か?」

 「...そんな話は後にしろ。光琳ちゃんたちが殺される。」

 「もし殺さないなら、戦いが終わった後にバンバと一緒に魔工車の近くに来て欲しい。」

 「は?」

 「俺の今の目的を話しておきたい。」

 「そこに俺必要か?」

 「実際は必要ない。だが、お前個人の考えが個人的に欲しい。」

 「...いいだろう。あくまで殺さない場合な。」

 「ありがとう。」

 「...(ありがとう? クリードが? 噓でしょ。冗談きついんですけど。)」

 「...(これで変わってないとお前は本気で思ってるのか? クリード。)」

 「うるせえ。てめえに感謝を述べられると気分が悪い。」

 「「(何この重たい空気。)」」

 そうやって青葉と話していると、黒い球体に向かって陽葉山花仙と清雅が声を上げているところに遭遇した。

 「あの2人でも結構しんどそうに立ってるね。」

 「伏してるところを見て、恐らく重力で動きを止められてるな。」

 司の言葉にバンバが答える。その瞬間に俺がチェーンナイフを、青葉が鎖鎌を伸ばして、薫と光琳、恐らく立神獅業と虎牙奈終夜に鎖を巻き付けて、こちらに引き寄せる。

 「オッケー! じゃあ攻撃するね。」

 司がそう言った瞬間に、陽葉山花仙と清雅より早く球体に攻撃を加えた。

 「お前よく引き寄せられたな。」

 「もちろんバンバにも手伝ってもらった。」

 「流石に1人じゃきついなんてもんじゃないからな。」

 「最初から俺にまとめて回収させりゃよかったじゃねえか。」

 3人でそんな事を言っていると、喋る余裕が出てきた薫が俺達に頭を下げる。

 「助けてくれてありがとうございます。すいません。銃弾全部使い切っちゃってワスプ...ナイフ? もガスがほとんど残ってなくて。」

 「何か弱点らしい弱点は見つけたか?」

 「すいません。一応竜の方は倒すまでにはいったんですが...。」

 「何か本元と合わさって球体になった。」

 薫の説明の途中で陽葉山花仙がそう言った。

 「なるほど。」

 「薫ちゃんと光琳ちゃんそれとそこの2人はもう逃げろ。後は俺達でやる。」

 「待ってください。私にも戦わせてください!」

 青葉の言葉に薫がそう頼みこむ。

 「駄目だ。そもそも戦うにしても万全の状態じゃない。かなり消耗した状態だ。これ以上戦っても死ぬ可能性を高めるだけだ。」

 「でも!」

 「自分で戦う選択をして戦うのは別に何も言わない。それが君の選択だからな。でも、無謀に死ぬのなら流石に口を出させてもらう。君が死ぬことで悲しむ人はいないのかい?」

 「...。」

 「いるよね? 弟君がいるはずだ。それに、ここにいる光琳ちゃんだって悲しむ。君の命は君だけのものだが、君の存在は弟君にとっても光琳ちゃんにとっても、君を生んだ両親にとっても大事なものだ。だから、選んだうえで命を落とすのならともかく、焦った結果命を落とすのは俺は容認できない。死なない自信があるのなら今口頭で証明して見せてくれ。」

 「...。」

 青葉の言葉に薫は何も言えずにうつむいている。

 「司の姐さんには戦いに集中してもらってそこの後ろの2人を橘さんと入町さんと俺らで守るってのはダメか?」

 そこに虎牙奈終夜が連れてきた七瀬と陽葉山花奈の方を見ながら提案する。

 「おい。」

 「ここまで来て「はいお役御免だよ」って返されるくらいなら最後まで戦いたくね?」

 「そういう問題じゃないだろ!」

 「じゃあこのまま帰ったとしてあの子が帰ると思うか?」

 うつむいている薫の方を見て虎牙奈終夜は立神獅業に訊く。

 「......帰らない...気がする。」

 「だろ? じゃあ俺らの出番だ深天極地の力の先輩でもあるし、同じ経験もある。先輩風吹かせようぜ。」

 「...。一応言っておくが、死ぬぐらいだったらお前の四肢を折ってでも連れて帰るぞ。」

 「おっけ、それで行こう。」

 虎牙奈終夜が青葉の方を見ると、青葉は薫を一瞥して言う。

 「それでいいなら協力してくれ。一応目を光らせておくが、絶対に助けられるわけじゃない。絶対に無理はしないことだ。」

 「はい。ありがとうございます。」

 目の端で司の攻撃で壊れた球体が再生していくのが見える。それに警戒しながら陽葉山花仙はこちらを見ると、妹の存在に気づき驚いた表情をしたが、陽葉山花奈は姉に対し、覚悟を決めた顔をする。

 「おい! 4人共!! あたしの妹の陽葉山花奈を守り切れよ!!! ケガさせたら、あたしの拳骨をくらってもらうからな!!!」

 「え!?」

 「拳骨!?」

 「ははっ、マジかよ。」

 「冗談じゃない。」

 陽葉山花仙の声に薫はシンプルに驚き、光琳は目を見開き、虎牙は笑い、立神は頭を抱えた。

 「話はそれまで!! そろそろ再生し終わるよ!!」

 「再生する前に攻撃はしたか?」

 「したよ。でも効果なし。姿が球体っぽいけど、変わっていってるから多分こっから本番なんじゃない?」

 俺の言葉に司は少し距離取りながら、答える。

 「お2人さんよろしく。」

 そうして、司は陽葉山花仙と清雅に手を振って、鎖鎌を構える。

 「鎖鎌?」

 「一応俺に鎖鎌での戦いを習ったからな。でも別に鎖鎌だけで戦うわけじゃない。」

 薫の疑問に青葉は鎖鎌を構えながら説明した。そんな事をしている間に球体は異能力者スペアネルの男と星の竜が融合し、異形の姿となった。そうして、男は笑顔で口を開く。

 「さぁ見ろ!! この俺を!! 俺は、お前たち人間のふりをした異能力者とは違う!! 本物の化け物だ!!」

 男はそう叫び、狂い笑いをしている。ように見える顔で俺達を見る。

 「さぁ!! 殺してみろ!! 人間共!!!!」

 男はそう叫んで、周辺に小さな太陽、衛星を作り出す。

宇宙の頂点との戦い

 男は俺達全員を一瞥した後に、生成した無数ともいえる小型の太陽と衛星を放つ。

 「花奈は回復に徹しろ!! 七瀬、薫、光琳は立神と虎牙と共に、花奈を全力で守れ!!」

 「はい!!」

 「オッケーイ!!」

 「「「「了解!!」」」」

 七瀬を含んだ5人は花奈を取り囲んで武器を構える。

 「花仙は一番の火力だ。確実に攻撃を当てられるときを狙え! 清雅は花仙の援護、できるなら薫たちの守りのサポートも頼む。」

 「了解!」

 「任せろ!!」

 花仙は少し距離取って、武器を構え、清雅は刀をしまって氷をいつでも生成できるように準備する。

 「司は...。」

 「青葉のバックパップ!」

 命令を出そうとした瞬間に答える。それに続くように青葉やバンバも自分の役割を答える。

 「俺は攻撃の隙を作る。」

 「基本は青葉と同じで場合によっては薫たちの方にも気を遣う。」

 「そうだ。頼むぞ。」

 青葉は鎖鎌の鎚を回しながら、バンバは両手剣を手首で回しながら走り出し、降りかかる小型の太陽と衛星を壊して男に近づいていく。取りこぼしたのは司が一つ残らず破壊し、その間を俺は駆けていく。

 「こっちにもいるんだよ。本物の化け物が。」

 その中で一番早く男の方にたどり着いた青葉が鎖鎌を男の首に巻き付け、地面に勢いよく落とす。

 「ぐっ...!!」

 「殺してみろと言ったが、そんなことをする気は一切ない。」

 そこをバンバが剣の柄頭でうなじを押さえ、俺が翼を切り落とした。

 「降れよ隕石!!!」

 そうしていると、さっきのような巨大な隕石の雨をこちらに向かって降らせてきた。そこに意識を一瞬向けた隙に男は翼を再生して力ずくでバンバを吹っ飛ばして、薫の方に向かう。

 「氷柱群衆つららぐんしゅう。」

 「赤刃せきじん!!」

 それを清雅が大量の氷柱で応戦する。同時に青葉は鎖鎌を伸ばして、男を捕まえて片手で引き寄せたところを花仙が熱で赤くなった刃で下半身を斬りおとす。

 「潰れろ!!!」

 体が真っ二つに分かれた男はそう叫んで、重力で俺達の動きを止め、自分の下半身を掴んで体は再生させながら、隕石の雨を食い止めている清雅に向かって投げる。

 「星爆!」

 そうして投げた下半身を清雅の近くで爆発させる。

 「くっ...!!」

 しかし、爆発する寸前で下半身は別のところに飛んで行った。

 「鎖鎌だけじゃないんだよ私は。いろいろ持ってるんだよ。例えば瞬間吸着する簡易ジェットとか。」

 司が自慢気に男に言う。

 「だから何だ!!」

 「は?」

 「違う司! 奴の狙いは!!」

 俺がいうより早く、青葉が薫たちの方に鎖鎌を伸ばして、全員に巻き付けて、別の場所に投げる。

 「バンバ!!」

 バンバは立神、虎牙、七瀬以外の4人を受け止める。その瞬間に爆発したはずの下半身の破片が一気に肥大化し、薫たちのいた場所を消し飛ばす。

 「俺も助けてくれよ。」

 「馬鹿言え、万全じゃない仲間と戦闘経験の少ない者救うのが優先に決まってる。」

 「あんたら2人はいいのかよ。」

 「1人で受け止めるのには6人はシンプルにきついし、俺と立神は割と平気だからこれで大丈夫だよ。お前には硬い装甲があるしな。」

 「硬いつっても痛いもんはいてえよ。」

 「戦いに来たんだろ? それくらい我慢してくれ。」

 「すいません師匠。」

 「青葉さん私たちは無事です。」

 起き上がった薫は手を振って青葉に無事を知らせてくれた。

 「ごめん。ちょっと調子乗った。」

 「あんなん初見で分かれって言っても無理だ。それともクリードはわかってたのか?」

 「いや、破片が残っていたのとこいつが平気そうだったからな。」

 そんな会話をしながら、動きの速度が上がった男の攻撃を往なし続ける。

 「これ倒せるのか!?」

 花仙がそう叫ぶ。清雅も隕石の雨をずっと食い止め続けて息切れしてきている。

 「確かに、ずっと再生されたら、いつか私達が負けちゃうよ。それに、弱ってる感じもないし。」

 司も苦笑いしながら同意する。

 「じゃあころ...。」

 「却下だ。殺す気はない。」

 青葉が俺の言葉を遮る。

 「かの者を癒したまえ、治癒サニターテム!」

 そんな中花奈が目をつむって俺達に回復魔法をかける。少しだけ傷口が塞がっている。

 「微量ですけど、どれだけかかっても倒すまでかけ続けます!!」

 花奈は顔色を悪くしながら言った。

 「ふざけんなよ花奈!! あんたがそんなこと言ったら、姉ちゃんもう弱音吐けないじゃん!!」

 その言葉に花仙は笑顔を浮かべて、距離を取って武器に燃え盛る炎を纏わせる。

 「あたしの一撃で終わらすために溜めてるから隙づくりお願いしまっす!!」

 「一応俺の装備、解析機能あるんだよ。でも俺馬鹿だから使いこなせないから、誰が力貸してくれ!」

 七瀬がそう言うと、青葉が司に呼びかける。

 「だとよ。司、あの子に手を貸してやれ。」

 「え!? いいの!?」

 「俺とバンバと、一応クリードがいるんだ。余裕で隙も作れるし、間違えて殺す事はねえだろ。多分。」

 それを聞くと、司はバンバとバトンタッチするように入れ替わって七瀬の元に行く。

 「猟星りょうせい!!!」

 俺と青葉、バンバに攻撃しながら男は大量に惑星を生み出す。

 「嘘...。」

 隕石を止めている清雅の呟きが聞こえる。

 「ぐっ...!」

 花仙の意識が逸れている。そんな中、立神が弓を引くを音が聞こえる。

 「たかが惑星を生み出した程度で絶望してられるか...。俺は立神獅業。昔の何でも屋の足手まといだった男だ。ここまで来て未だ足手まといになる気なんぞない!! 風牙槍翔矢ふうがそうしょうし!!!」

 その声と共に立神が放った竜巻を纏った矢は一本から無数の矢に姿を変え、惑星全てを正確に撃ち抜く。

 「ほんとだよな。たかだかこの程度の危機でいちいちで絶望してらんねえよ!! 虎牙奈終夜。昔は何の役にも立たねえカスだった! ここまで強くなったんだから役に立て!! 燎現りょうげんのほむら!!」

 そうして砕かれた惑星の破片を破壊する。

 「すごい...。」

 「私達も、ああなるんだ。」

 「...私たちは、同じ力を持ってるんだから!!」

 それでも飛んできた破片は薫と光琳が防ぎ、他は清雅が氷柱を生やし、飛ばすことで防いだ。その間に受けた傷を花奈が回復する。

 「くっ...邪魔だ!! (なんだこの3人...あえて攻撃する隙を見せることで逆に俺の隙を作って、的確に攻撃してくる。隙がありそうで、3人で隙を潰してる! くっ...俺は化け物なんだ...!! 化け物だから...今まで恐れられてきたんだ!! 化け物だから...殺されかけたんだ!! 化け物じゃなきゃ...今まで受けた仕打ちは何なんだ!!) うああああああああああああああああ!!!!」

 「精神が壊れてきたな。」

 男の体が崩れ始める。精神が安定性を失った。

 「何か腹に光ってるもんがある。」

 「それがあいつの核じゃない?」

 「3人共!! 腹に核っぽいもんがある。」

 七瀬の声が聞こえた瞬間、バンバが腹部を切り裂く。

 「!!」

 それに対し、男はバンバと青葉、俺を蹴り飛ばして、姿を何とか保とうとする。

 「俺は...この程度では負けない...!! 人類に恐怖を与える化け物なんだ!! 化け物はこの程度じゃ負けない!! 死なない!!」

 男がそう叫んだ瞬間、白い炎を纏わせた花仙が一気に距離を詰める。

 「!?」

 「焦って、化け物であることに固執してるてめえは体の構造が他と違うだけの人間だよ。開花・白幻はくげん火花ひばな。」

 そうして、腹の核と思われる箇所を切り裂く。その瞬間、男から黒い霧のようなものが晴れ、人間の姿に戻った。

 「まだだ...負けない...化け物だ...俺は...僕は...化け物だ...。化け物だから...子供のころから毎日四肢を斬られた。化け物だから...皆から叩かれた。化け物だから...誰も友達になってくれなかった。化け物だから...皆殺せた。何だよ...化け物には...化け物らしい生き方すら...与えてもらえないのか...。」

 「だから...化け物じゃないって...。人間だって。自分の今までに納得するために、化け物ってことに固執してんじゃねえ。」

 花仙がそう言った頃には男は気を失っていた。こうして戦いは終わった。
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