Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第四章 バルジェリア皇国編

クリード:王子奪還戦

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 バルジェリア皇国で何でも屋と聖転騎士団による戦闘が行われている中、クリードは王子奪還のために王子が捉えられているという情報がある四方匡の領地に来た。

 「さて。」

 クリードは魔工車レグスを光学迷彩にして、隠した後に領地に歩いていきながら、マスクをしてフードを被り、弾薬を確認して銃の動きを確認する。ナイフの切れ味を確認して、気配を消す。そうしてしばらく歩いていくと、領地内が見える高台に来る。見えるのは辺りを警戒している兵士と、騎士が警戒しながら守っている箇所、そして姿を隠した領民が見える。

 「(兵士や騎士の警戒度からして、敵が来ることは報告されたか...。)」

 そんなことを考えながら、クリードは同じように高台から見張っている兵士を全て気絶させる。

 「(外を見張る兵士が肝だろうに。警戒心が足りないな。)」

 黒い外套を羽織って更にフードを被って国に侵入する。見かけた領民のふりをして潜入する。王子がいる場所を特定するためだ。

 「(恐らく一番警備の堅いあそこだろうが...報告を受けていた場合、罠の可能性が高い。)」

 そうして、領民とさりげなく会話をしながら、兵士の会話や騎士の会話を盗み聞きし、何とか情報を集めた。

 「(よし。)」

 クリードの予想通り、王子が軟禁されているのは警備の堅いあのドーム状の建物で間違いなかった。まだ辺りは明るく、暗殺向きではないが、早期解決のために実行することにした。国中に煙玉をばら撒く。すると、すぐに騎士や兵士が叫ぶ。

 「敵襲!!!」

 その叫びと共に混乱する領民たちを一瞬で昏睡させて、違和感を持って向かってきた兵士を静かに気絶させる。

 「!」

 チェーンナイフを投げて近くの兵士の首に引っかけて投げ飛ばし、近くにいた他の兵士を倒す。その音を聞きつけた騎士に気付かれずにすれ違い、王子の元へ行く。

 「ん?」

 すると、そのドーム状の建物には底の見えない螺旋階段が続いていた。

 「なるほど」

 即座にドーム状の建物の入り口を壊して、騎士が入ってこれないようにして螺旋階段の中心を飛び降りる。

 「............。」

 ずっと落ちているが、まるで着く気配がない。無限に落ちていると言っても過言ではないその光景に違和感を持ったクリードはすぐさま上にチェーンナイフを引っかけて戻ろうとすると、あっさりと戻れた。

 「(何か仕掛けがあるのか。)」

 クリードは床の下や裏側、螺旋階段の壁などを見たがそれらしきものは見つからなかった。すると、今いるドーム状の建物が全て壊された。

 「誰だ貴様!!」

 倒していなかった兵士達と騎士達を引き連れ、1人の男がそう言った。

 「...。」

 黙っていると、男が言葉を続ける。

 「貴様! 領民ではないだろう!! 何も答えぬのならこちらから行くぞ!!」

 男は剣を振り上げる。

 「突如この建物に来てする奴の目的などわかっている! バルジェリアの王子の奪還だろう! させぬぞ!!」

 男は勢いよく剣を振り下ろすと、凄まじい轟音と共に地面が抉れた。

 「よく避けたな! 侵入者!」

 男を援護するように騎士や兵士達がクリードを取り囲む。

 「はぁ!!」

 男は騎士や兵士と連携を取って攻撃してくる。クリードは周りのものにチェーンナイフを引っかけて飛ばすが、あっさりと斬られる。

 「無駄無駄ぁ!!」

 男は調子づいて攻撃を繰り出していき、騎士や兵士達もそれに合わせて連携をしてくるが...しばらくしていると流石に慣れてきた。

 「!」

 男は細かい攻撃をしながら大振りの攻撃が多く隙ができる。その隙を潰すために、騎士がいて、そこの援護と隙潰しの為に兵士がいる。

 「!!」

 だから、兵士と男の戦闘の連携をつなぐ騎士から潰す。騎士の首にチェーンナイフを引っかけて体勢を崩し、男の攻撃を避けながらライフルで騎士の足を撃ち抜く。そうして痛みに悶絶しているところに蹴りや殴打で気絶させる。

 「貴様ぁ!!」

 怒った男の攻撃を避けて、腹部に手を当てる。

 「烈。」

 男の内部を破壊する。

 「ぐぼぁっ...!!!!」

 あまりの激痛に男は血を吐いて倒れる。それを見て、動揺した兵士を全て気絶させていく。

 「ぐっ...!! 貴様...何者...だぁ!?」

 クリードは何も言わずに、元の場所に戻って仕掛けがないかを見る。

 「...試しに普通に降りてみるか。」

 歩いて螺旋階段を下っていくが、やはり変わらない。

 「やはり仕掛けが...。」

 男の方に目を向けて、男の私物からわかる情報を頼りに、男の家を特定し侵入する。

 「目ぼしいものはない...。ん?」

 棚の上に乗っている。金属片を手に取る。

 「これだけあの建物と同じ素材だな。」

 戻って金属片をはめてみる。すると、螺旋階段の色が変わり、遺跡のような風貌に変わる。螺旋階段を飛び降りると、意外と早くそこに着いた。そうして、無数ともいえる牢獄があり、中には白骨化した遺体が大量にあった。その中で、やつれた状態で目が虚ろな少年を見つける。

 「ん?」

 少年はクリードを見ると、牢屋の奥に後ずさる。

 「バルジェリアの王子ですか?」

 「へ?」

 クリードが優しい声でそう言うと、少年は困惑しながらもコクリと頷いて、手を伸ばす。

 「...後ろ!!」

 その声と共に、クリードは後ろに現れた影の攻撃を避けて距離を取る。

 「はぁ~ああ...駄目だなぁ? 少年...知らない人について行こうとちゃあ...ましてや助けるなんて...。」

 影はそう言いながら訊いてもない名前を名乗り出す。

 「四方匡の随一の剣闘士! アンファンス・ド・レイニーだぁ!」

 「訊いてない。」

 「ん? 声質的に女かぁ...あ~でも服に隠れちゃいるが...相当スタイルがいい。どうだ? 一杯やらねえか?」

 「斬りかかってきたくせによく言うもんだ。」

 「はぁ~つれないなぁ。」

 アンファンスはそう言いながら襲い掛かるが、クリードは後ろに跳んで壁を蹴り、後ろに回って牢屋の扉を開ける。

 「ん? 戦う気はないってかぁ?」

 「当たり前だ。無駄に戦って疲れたくはない。王子様、来て?」

 王子はコクリと頷いて、クリードに抱き上げられる。

 「でもさぁ...入口こっちだぜぇ?」

 「だからどうした?」

 クリードはあっさりとアンファンスの背後に回って、螺旋階段を上る。

 「待てぇ!」

 「追って来てます...!」

 「王子これを。」

 クリードは王子にレグスのキーと暗証番号や合言葉の書かれた紙を渡してどこにあるかを言う。

 「あなたは...!?」

 「俺はあの男を倒していきます。簡単です。あれは確かに強いですが...まぁ苦戦するほどじゃない。」

 王子はその言葉を聞いて躊躇いながらも走り去った。

 「やっと立ち止まってくれたか。王子は逃げたかぁ...。まぁあんたを捕まえちまえば終いだ。そろそろ顔見せてくれよ。そのボロ布脱いでさぁ...。」

 「じゃあ脱がせてみろ。」

 「本気かい?」

 「ああ。」

 「その余裕がいつまで持つかねえ!!」

 アンファンスは片手に大槌、片手に大剣を持って、軽々と振り回してくる。

 「...。」

 両方とも巨大で鈍重な武器に間違いないはずなのに、全く隙なく攻撃をしてくる。

 「ほらほらぁ!! どうしたどうしたぁ!! さっきの余裕はぁ!!」

 クリードが避けてばかりいると、アンファンスは調子づいて連撃を更に早くしていく。

 「おらぁ!!」

 勢いよくクリードに向かって振るが、当たらず隙を晒したところをクリードが落下しながら体を回転させる。

 「岩。」

 「!?」

 筋肉と骨を硬化させて一刀両断する。しかし、アンファンスは歯を食いしばって耐えて、大槌を薙ぎ払う。それを軽々と避けて距離をとる。

 「はぁ...はぁ...はぁ...やるなぁ。」

 「確かに強いが...薫には勝てないな。」

 「誰だそいつは?」

 「こっちの話だ。忘れろ。」

 「はっ。」

 アンファンスは苦笑いして攻撃を続ける。

 「殺す気じゃねえと!! 俺は倒せねえぞぉ!!!」

 そう言いながら大剣と大槌を軽々と振り回し、調子に乗って隙の大きい攻撃もしない。

 「オラオラァ!! 避けてばっかじゃ倒せねえぞぉ!!」

 凄まじい轟音と風切り音を立てながら、大剣と大槌を振り回す姿を見続けたクリードは流石に動きに慣れて数少なく一瞬の隙に懐に入り込む。

 「!?」

 「避けれないだろ?」

 「くっ...!!」

 クリードの挑発に乗ったアンファンスはクリードに向かって大槌で叩こうとする。

 「伝。」

 それを避けなかったクリードは受けた衝撃をアンファンスの体に逃がした。

 「ぐぉっ...!!!」

 咳き込む度に吐血しながら、アンファンスは倒れる。

 「ぅぅ...ぶっふぁぁああ!!!」

 しかし、意識があって立ち上がろうとするアンファンスをかかと落として気絶させた。

 「...。」

 辺りに王子以外の気配を感じなかったクリードは即座にその場を離れてレグスまで行き、光学迷彩を取ると中にいた王子から

 「大丈夫ですか!?」

 と心配されるが、目立った外傷の無いクリードを見て無言で納得した。

 「これから国に帰ります。」

 「ぁあ~はい。」

 「そして決めてください。」

 「え?」

 「騎士団への罰を、またはナイトメア・クラインへの処遇を。」

 「処遇...。」

 そうして、クリードは車を走らせてバルジェリア皇国に戻り始めた。

 その頃、バルジェリア皇国ではバンバとギアバシル、青葉とロンバート、ブリザとソフィアが戦っている間。光琳とティルジェイが戦っているところに薫が合流していた。

 「...!」

 そこには疲れ切った光琳と武器すら出していないティルジェイの姿があった。薫は目を見開いて驚きながら近づいていく。

 「しょうもねえ...。」

 「え?」

 「あ? 仲間...だよな。さっきからこの女の相手してんだけど...。弱い、弱すぎる。話になんねえよ。武器すら出さなくていいんだもん。」

 薫は光琳に駆け寄ってナイフを構える。

 「...お前もそんなに実力変わんねえ気がするけどなぁ...。勝率低い戦いに挑んでくるもんだから全員どれほどの実力者か楽しみだったんだが...こりゃ俺...ハズレ引いたな。」

 「ハズレ?」

 「お前も力持ってんのか? だったら出し惜しみせずにやってこいよ。そこのお仲間みたいにな。」

 「...。」

 ティルジェイの言葉に薫は少し後ずさる。

 「そうら...来いよ。」

 ティルジェイがつまらなそうに言っていると、光琳が立ち上がって薫の隣に立つ。

 「2対1? とてもマシになるとは思えねえが...。」

 「刹鬼!!」

 「羅刹!!」

 光琳の髪が金髪に変色し、目の色が黄色になる。薫の髪が白髪に変色し、目の色が青になる。

 「...。はい、来い。」

 依然として武器を構えない。薫は流れるように動き、光琳は力強く武器を持って動く。

 「「はああああっ!!!」」

 ティルジェイは2人の攻撃を受け止めて、軽く投げ飛ばす。それにくじけず攻撃をしていくが、依然としてまともに攻撃が当たらないどころか、相手にされている気もせず、光琳と薫は精神的に追い詰められていた。

 「止めだ。」

 「?」

 「え...?」

 「動きが読みやすすぎる。力の使い方が下手すぎる。力入りすぎなんだよ、もっとリラックスしろ。相手の動きを注意深く見ろ、そして慣れることに専念しろ。ただ我武者羅に攻撃すりゃいいってもんじゃねえよ。」

 急な指摘に薫と光琳は困惑していると、呆れたようにティルジェイが言う。

 「お前らに足りないのは圧倒的な経験値だ。対人戦がド下手くそだ。だから...。」

 「「...。」」

 「どうせつまんねえし、ここでてめえら実戦経験を死ぬほど上げてやるよ。ただし、殺す気で攻撃はする寸止めしてやるがな。だが、寸止めされたら死んでたと思え。ほら構えろ!!」

 「「!!」」

 ティルジェイの声に反応して薫と光琳は武器を構える。

 「大サービスだ。敵である俺がお前らを大幅に強くしてやるよ。そうら、かかってこい!!」

 光琳と薫は同時に攻撃を始める。

 「折角2人いるんだからちったぁタイミングをずらせ!!」

 言う通りにタイミングをずらしていく。

 「タイミングずらすのなんざ当たり前だ。本能でそうしろ、頭で考えるのは最適解だけだ。相手の動きも自分の動きも、隙を突くのも全て本能で体が勝手に動くようにしろ! 防御だけを必死に考えてんじゃねえ! 攻防一体本能で判断しろ! 頭で判断するのは周りの状況を最適解だけだ!」

 そう言われながら、薫と光琳は体を動かす。

 「そして...お前らのその力を使いまくれ!! 使いまくってさっさと慣れろ!!」

 薫と光琳はそれぞれの羅刹と刹鬼の力をフルで使って戦う。

 「おら!! 何回寸止めさせてんだお前ら!! もう60回は死んでるぞ!!」

 そうして戦っているうちに薫と光琳の動きの隙が少なくなっていく。

 「頭で考えれば動きがワンテンポ遅くなる! 本能を使え!!」

 今まで頭で判断していたことを本能で判断するために余計なことは考えずに武器を振るう。

 「よし...。そんじゃあ! 殺す気で来い!!」

 薫と光琳は無言でティルジェイを見て、持ちうる武器全てで戦う。

 「俺に武器出させてみろ!!」

 「!!」

 光琳が走って、剣を振り下ろす。

 「お?」

 避けられたところを薫がワスプナイフを刺そうとするが、受け止めて投げ飛ばし、光琳の槍での突きを避けて頭を掴んで地面に叩きつける。そこを薫が発砲するが、体勢を低くして避けて、光琳を薫の方に投げる。

 「!!」

 光琳は即座に閃光を投げて弓で撃つ。突然の光に目を覆うティルジェイを上からレーザーナイフのスイッチを入れる。その瞬間に高火力のレーザーが飛びだして襲い掛かるが、ティルジェイは本能で避けて、跳びあがり薫を蹴り落とす。そこを光琳が弓で撃つが、矢を弾かれる。

 「まだ力の扱いが甘いなぁ...。他はまぁマシになったが...。」

 「くっ...!!」

 「はぁ...はぁ...。」

 完全に手を抜いているティルジェイに薫と光琳は悔しがりながら、自分たちの体力の限界に気付きつつあった。

 「もう限界か? まぁ仕方ねえわな。元から差がありすぎる。経験値も力の使い方も判断力もお前らは10歩くらい劣ってる。仕方ねえわな。」

 ティルジェイの言葉に光琳は諦めかけている。だが、薫は立ち上がって武器を構える。

 「おぉ? まだ戦う気か? いいねぇそういうガッツは嫌いじゃねえよ。でも...」

 「...。」

 「現実を見ない無謀なのは...嫌いだ。」

 もはや壊れた建物を薫と光琳の方に蹴り飛ばす。

 「!!!」

 その瞬間、薫と光琳の前に荒い氷の壁が作り出される。

 「...清雅さん。」

 「また女かよ。でもまぁ...ちょっとは強そうだ。実戦経験が足りてなさそうだが...。」

 ティルジェイがそう言っていると、氷の壁が壊れるのを見ながら清雅が訊く。

 「2人ともまだ戦える?」

 「はい!」

 「......はい。」

 諦めかけていた光琳も頷いて立ち上がる。

 「そんじゃ来いよ。」

 清雅は刀を抜いて構える。薫は拳銃の弾数を確認して、バタフライナイフを構える。光琳は槍を構える。

 「槍...か。槍使いに槍構えるとは...いい度胸してんなぁ? お前。」

 「武器は出さないのですか?」

 「お前ら3人に...武器を出す必要があると思えねえ。そんなに武器出してほしけりゃ...出させてみろよ。」

 ティルジェイの言葉ととともに戦闘が再開される。

 その頃...花仙はナイトメアを前に...目の前に膝をついていた。

 「今の君では...どうあっても私には勝てない。」

 「くぅっ...!!」

 「さっきのは君の奥義と呼べるものだろう? それを片手で防がれたんだ。君に...今の君には勝ち目がない。」

 花仙はナイトメアを睨みつけながら

 「まだ...終わってねえ!!」

 向かっていく。その瞬間、城の天井を突き抜けて炎を纏った何者かが降り立った。

 「んぁ?」

 「......陛下...お逃げください。」

 「何!?」

 「〝あの男〟を相手に守りながら戦うことは不可能です。」

 ナイトメアがそう言うと、炎の中から一人の手枷、足枷、首輪をつけた男が出てきた。

 「フレア...!!」

 「よぉ。」
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