神様を育てることになりました

菻莅❝りんり❞

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4 最初の依頼は“ごみ拾い”

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ランクを上げるには

G~Dランクまでは5~10回依頼を受ければ上がる。(1ヶ月以内に一度も依頼を受けなければ失効する)

DランクからCランクに上がるには、試験官役のギルド職員(元冒険者)を連れて、ウルフ系の魔物を最低でも3匹討伐すれば上がれる。(2年以内に、、以下同文)

B~Aランクは最低でも依頼を20回以上受けてから、一年に一回にあるランク上げの試験を合格することで上がる。(5年以内に、、以下同文)

AランクからSランクに上がるには、ギルド長の指名依頼の試験を合格し、貴族向けのマナーや言葉遣いの試験を合格することでなれる。

SSランクは国から指名依頼をミス無くこなす事でなれるが、SSランクになれば国に縛られる事になるので、SSランクの冒険者は余りいない。

希に高ランクもしくは、ギルド長に実力を認められれば、低ランクから一気に高ランクへ昇格もある。

****

俺は今依頼ボードの前にいる。

ボードの右端Gランク用の依頼は、主に薬草摘みや街の人達のお手伝い、街のごみ拾いなど。

「もう少し街を散策したいし、ごみ拾いにするか」

と、ごみ拾いの依頼をボードから剥ぎ、受付へ持っていった。

ーーーー
依頼 街のごみ拾い (常時依頼)

依頼主 マキシム コリーナ(領主) 

内容
 できるだけゴミのない街にしたいので、ご協力下さい。

依頼料 銅貨1枚/g 指定ゴミ袋一枚支給

期限 1日

ーーーー

「これをお願いします。それと、もしあれば街の地図もほしいのですが」

俺が依頼書をカウンターへ出すと、受付のお姉さんは俺と依頼書を何度も見て

「本当にこれでいいんですか?誰も受けたがらなくて困っていたのでこちらは助かるのですが。それと簡単な地図ならこちらにあるのでご自由にお取りください」

そう言って、お姉さんの横にある紙の束を指した。それを一枚取り見てみると、、本当に簡単だった。言っては悪いが子供が書いたような地図だった。それでも無いよりはとそれをもらった。

「はい。この街は初めてなので、散策のついでにしようかと。なにもせずにブラブラするよりも、依頼をこなしながら街を見てみようかと思いまして」

「それはいい考えですね。低ランクだとすぐに期限が来ますので、出来る依頼は積極的に受けてください。でも無理はダメですよ?依頼失敗にはペナルティがありますので。依頼失敗のペナルティは依頼料と同額の金額を支払うことになります。お金がないときは、ギルドに借金って形になりますので気をつけてください。では、こちらを受理します。期限は1日です。そしてこちらが支給のゴミ袋になります。行ってらっしゃいませ」

お姉さんは、依頼書に判子を押してから返すと、笑顔で見送ってくれた。

俺はギルドを出ると、まず露店が立ち並んでいる場所に向かった。

「さっさとゴミを集めて、街を練り歩くか」

さっき通ったときも、道端に露店のゴミがそのまま捨てられていて汚いなと思ったのだ。

俺はまず、なるべく人目につきにくい場所を探し、一つの路地に目をつけた。人の波を避けながらその路地に入ると、地面スレスレに風魔法を、まるで蜘蛛の糸のように張り巡らせた後は、なるべく人に気を付けながら、ゴミを手繰り寄せた。

「うげっ、どんだけあんだよ。ゴミ袋一つじゃ足りねぇぞ、これ」

まるで壁のようにゴミが路地の入り口に集まった。触りたくないので、風を操って広げたゴミ袋に入るだけ入れた。

そして、当然のごとくその場にいる全員の視線を集めていた。

(目立たないように路地に来たのに、意味な!)

これをどうするか、遠い目になりながら考えていると、

「お前はまた、とんでもないことをやったな」

声の方を見ると、強面の上司だった。

「あっ、さっきぶりですね。、、そうだ、ゴミ袋持ってません?」

ここの兵士なら持ってないかなと思って聞くと

「持ってるわけないだろう。おい、ジム。ギルドへ行ってあるだけゴミ袋を持ってこい」

そうして、門番の兵士達と善意の人達で、俺が集めたゴミを、ギルドへ走ったジムという兵士が持ってきたゴミ袋にせっせと詰めていった。

集めたゴミはなんと、ゴミ袋20袋分あった。

「お手伝いいただき、ありがとうございます。そして、申し訳ないんですがもう少しお付き合いください。これをギルドまで持っていかないといけないので」

俺がそういうと、「いいよ、いいよ。暇だしな」と快く快諾してくれ、門番の兵士達もついでだと言って、了承してくれた。

手分けしてゴミ袋をもって、皆でギルドへ向かった。

そして当然ギルドは

「裏へ、裏へおねがいします!中に入らないで!」

と、ギルドの前で待ち構えていた受付のお姉さんが叫んだ。

皆で裏へ回り、裏でゴミ袋の重さを量った。

20袋で4キロあった。そして街にはまだまだゴミが溢れている。皆、この量と重さを見て

「俺達、ゴミの中で生活してたんだな」

「この中で、、」

「・・・・・」

門番の兵士達も、手伝ってくれた人達も、ギルドの職員も唖然としていた。

(g銅貨1枚だったら、小銀貨4枚になるのか。中々の小遣い稼ぎになるな)

「あの、これは冒険者だけではなく、街の孤児や浮浪者の人達、子供達にも協力してもらった方が街からゴミがなくなるのでは?もちろん、労働に対する対価を払ってですが。子供にはちょっとしたお小遣いになるし、仕事のない浮浪者の人達もこれでお金が手に入ります。孤児の子達も仕事やお金が手に出きれば、悪さをせずにすみますし」

俺の提案に、ギルドの職員は何処かに走っていき、強面の上司も

「そうだな。早速領主様に提案してみよう。君は何処に泊まるんだ?これは君の案だ。領主様が会いたがるかもしれん」

げっ。それは遠慮したい!

「いえいえ。ただの思い付きなので、そちらの良いようにしてもらって構いません。お構い無く」

俺が辞退しようとしたら

「いや、ぜひ色々と話をしてみたい。泊まる所が決まっていないのなら我が邸へ泊まっていきなさい」

とてもいい声が後ろから聞こえた。俺は恐る恐る振り返ると、そこには仕立ての良い服を着た見目の良い男性と、がたいの良い大男が立っていた。
大男の後ろには、さっき走っていった職員がいる。

「マキシム様!なぜこちらに」

強面の上司が、見目の良い男性に向かって言った。

(やっぱり、領主様か。そして、お貴族様。面倒な事になったなぁ。一平民が貴族の誘いを断るのはできないよなぁ。いやだなぁー)

俺は、相手が偉い人だと認識した途端、無意識に顔に笑みを浮かべた。若干口の端が引きっている気がするけど。

 (反射的に笑顔を作るって、生前の俺って何してたんだろう?そういえば、無意識に口調も使い分けてるな)

そんな俺の反応に、マキシム様は

「ほぅ。君は貴族社会に精通しているのか?街の人達のような親しみのある笑顔ではなく、商人のような媚びた笑みでもない。そんな笑みが自然と出来るとは」

アルカイックスマイル。通称作り笑い。
 主に相手に感情を見せないようにする為に被る笑顔の仮面。

「さぁ?どうなんですかね。そこの所はなにも覚えていないのでなんとも言えません。それと、大変失礼になると思いますが、高貴な方に話す話など持ち合わせていないので、先程の話は出来ればお断りいたします。案については、先程も言いましたが、そちらの良いようにしてください。ここは領主様の土地なので」

若干早口になった。なのに長文を噛まずに言えた!なんか嬉しい

笑顔の俺と笑顔の領主様。笑顔で暫く睨み合っていると、先に目線を外したのは領主様だった。

「私の誘いを断るか。私だから良いようなものの、他の貴族なら首と胴を切り離されている所だよ」

「肝に命じます。そして、寛大なお心痛み入ります」

「やっぱり貴族だろう?君。所々稚拙だか、言葉遣いや教育がしっかりとされている。はぁ。案は本当にこちらでもらっていいんだな。まぁ、無いとは思うが、後から文句を言ってきても取り合わないからな。ではギルト長、先に失礼するよ。先程の件、一考しておいてくれ」

そういうと、領主様はその場を後にした。兵士達や手伝ってくれた人達も後にしようとしたので

「あっ、皆さん待ってください。手伝ってもらったので、依頼料の折半をしたいんですが」

「私達はこの街の兵士です。仕事での給金以外は一切、金銭は受けとりません。そんなことをすれば首になりますしね。なのでお気遣いなく。これで失礼する」

強面の上司はそう言うと、部下の兵士達と一緒に領主様を追って行った。

善意の一般人はどうするべきかと、顔を見合わせていた。貰えるなら貰いたいと言ったところだろう。

「すみませんが急ぎ処理をお願いできますか?」

そう言って依頼書を職員に渡した。

「はい。直ぐに処理します。少々お待ちを」

そう言って依頼書を持ってかけていった。
少しして職員が戻ってきて、依頼料をもらった。

俺は、一枚の小銀貨を手持ちの銅貨と両替して、銅貨5枚を手元に残して、残りを手伝ってくれた人達に渡した。

「どうぞ、こちらを受け取ってください」

「いやいやいや!どう考えても貰いすぎだ!人が良すぎるぞ、あんた!俺達はそっちの銅貨5枚でいい」

一人の人がいうと、残りの人達もコクコクと頷いていた。
俺はどうしようか考えていると、大男が俺から銅貨5枚を奪うと、手伝ってくれた人達に渡した。

「ほら。でもな、これはこいつの善意だ。すべての冒険者が同じと思うなよ。そしてこれは今回だけだ。次はない。俺が許可しない。こいつの案が通れば誰でもこのくらいは稼げるからな。お前らも余り言いふらすなよ。こいつがカモられる」

手伝ってくれた人達は、首が取れるんじゃないかというほど首を縦に振ると、俺に「ありがとうございます!」と言って走っていった。

さぁ、遅くなったしとっとと宿を探しに行くか。「では俺も失礼します」と言ってこの場を後にしようとしたが

「ちょっとツラかせ」

と大男に首根っこを捕まれ、引きずられていった。
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