神様を育てることになりました

27 夢は現を見せる

「くそっ！俺は貴族だぞ！なんで庶民のような生活をしないといけないんだ！お前、神なんだろう！だったら俺に楽な生活をさせろよ！豪邸を出せ！使用人を用意しろ！」




「選定者様ですよね？我が主人がお会いしたいともうしています。よろしかった我が主人の屋敷へお越しくださいませんか？」

「ああ、良いだろう。行ってやる」





「おい！そいつを売ってやっただろう！なんだこれは！ここから出せ！」




(これは、、夢か？、、いや、あいつは、、)

「あいつは、、」

自分の声で起きた俺は、横になったまましばらくぼーっとしていた。

「あいつは？なに？」

ベッドの縁の上から俺を覗き込んでラグが聞いてきた。しかもレティやジェム、ルルまでも縁の上にいた。

ラグ達と目が合うと、霞かかっていた頭がハッキリしだした。
と同時に夢の内容を忘れてしまった。

俺は起き上がり

「おはよう。いや、なんだったかもう覚えてない。でもなんとなく不快な夢を見た気はする」

俺は眉を潜めて言い、一度頭を振って気持ちを切り替えた。

身支度を済ませ、鍵を返すと朝食を食べようと食堂へ寄った。

その後は、近場でできる依頼を数件こなして、お昼を適当に露店で済ませた。

「さて、と」

俺は世界地図を思い浮かべ、今いる場所の確認をした。

「やっぱりこの国の端っこか。神聖獣の森もこの近くなんだ、、」

まず、ジェムとルルの首輪をどうにかしないとなぁ

俺はう～んう～んと悩んで、とりあえずアケルの街に戻ることにした。

エリーの件が済んだのでここで登録してもいいけど、今さら戻って登録するのはめんど、、いやおっく、、いやいや、、アケルなら一度登録してるし、うんそうしよう！

誰に対して言い訳をしているのかわからないけど、とりあえず次の目的地は決まった。

「ジェムとルルの登録の為に一旦アケルに戻ろうか。そうだな、西側のアケルの門に転移しようか。レティ、人目がない場所にサポートよろしく」

「いいわよ、任せて」

マスター達に挨拶をしていないけど、冒険者は自由だから、いちいちギルドに挨拶をして街を出る人はいないだろう。

街を出て暫く歩き、身を隠せる場所まで来ると転移した。

秋だけど、テンティヴはイシムに比べてやや暑かった。

「テンティヴは南の国だから、やっぱり他の国よりは暑いのかな？って事は、、北の国は夏頃に行きたいな、、」

この調子で行くと、冬真っ只中で北の国の育成者の所へ行く事になりそうだ。と思った俺は、遠い目になってなるべく現実から目を反らそうとした。