永遠というもの

風音

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「記念祝賀会?」
「そう。陛下の在位30年を記念して開催するんだって」
クロウドの疑問に、クリスが頷いて答えた。
ここはアディエイルの私室だ。
最近クロウドはよく王宮に遊びに来る。
今日は休日なので朝からここでクリスと他愛もない会話を楽しんでいた。
アディエイルは休日とはいえ執務は休んでくれないので、今日も仕事中だ。
会話の流れで、クリスがそう言えば、と言い出したのが件の記念祝賀会の話題である。
「周辺国からも来賓を招いて、結構大々的に開催するみたいだよ」
「へー」
グラン国は広大な国土を持ち、それに見合った肥沃な農地を持つ。
そのため周辺国の中ではかなり裕福な国であり、その大国の国王をすでに30年務めている現国王は穏やかで堅実な為政を行い、賢王としてその名を知られていた。
今回はその在位期間を祝い、またグラン国の平穏さを周辺に強調する目的で開催される。
アディエイルたちはその準備のため大忙しの毎日だった。
「また賑やかになるな」
「そうだね」
「お前はなにもしなくていいの?」
「今のところはね」
そういって苦笑する。
側近などといいいながら、クリスはそれらしいことをしたことがない。
アディエイルが手元に置いておきたいがための言い訳だから、何か仕事が割り振られることもないだろう。
忙しそうだな、と外側から眺めるしかない。
「いいさ。面倒なことはアディエイルに押し付けときゃいいんだ」
ニヤッと笑うクロウドを見て
「ね、クロウドとアルって、どれくらい仲がいいの?」
と不思議そうな顔をしている。
思い返せば今まで、この二人だけで何かしているとか、話し込んでいるなどといった場面を見たことがない。
「俺とアディエイルが?」
クロウドも腕を組んで考え込んでいる。
「そんなに考えないといけないこと?」
「いや、俺とあいつは仲良しっていうか・・・」
間にクリスがいなければ、会話もないだろう。
しかしそれを言うとクリスが悲しい思いをするので言えない。
幼いころからの付き合いではあるが、アディエイルとクロウドの間に友情などというものが芽生えたということもない。
「単なる腐れ縁みたいなもんじゃないか?」
「・・・なにそれ」
胡乱な目を向けるクリス。
「そういうことだな」
後から声がした。
「アル、お疲れ様」
執務から戻ったアディエイルが立っていた。
「アルもそう言うの?」
呆れたように二人を見比べる。
「いつもくっついているのが仲良し、というわけでもないだろう」
「それはそうだけど」
ここ最近、二人の間になにやら緊迫した空気が流れることがある。
それが気になっていたのだが、アディエイルが言うことももっともだ。
自分の気のせいかと思うことにしたクリスだった。

外国から来賓を招いて大規模な祝賀会が行われるということで、王都は何となくにぎやかで浮かれた雰囲気が漂っている。
外国から来る人が少ないわけではないが、今回のように様々な国から人が訪れることはそうそうない。
サーヴィゲイルもアディエイルも、招待客の調整から段取り、宿泊所の手配など、しなければならないことは山積みだ。
今更口を出すのも憚られ、結局ただの傍観者になってしまっていた。


「ぁぅっ…ぁあっ…あ…っ、あっ…」
お湯が跳ねる音に交じって甘い声が浴室に響く。
クリスが湯に浸かっていると、後からアディエイルが入ってきて、それに捉まってしまったのだった。
のぼせるから出ると言ったクリスを強引に浴槽の中で貫く。
「あぁっ、あっ…!あぅ…あ、あ、あっ…!」
お湯の熱さと胎内に挿入るアディエイルの熱さに頭がくらくらしてくる。
浴槽の縁に掴まるのが精一杯だった。
そんなクリスの様子に、アディエイルはクリスと繋がったまま浴槽から出る。
浴室の冷たい壁にクリスを押し付けて、なおも胎内を穿つ。
「あっ!あぁぁっ…ああっ!ぁんっ、あっ…」
冷たい壁は火照った身体には気持ちがいいが、つるつる滑って掴みどころがない。
結果として後ろを締め付けてしまい、胎内にあるアディエイルのものをはっきりと意識してしまう。
入口から奥までの壁をみっちりと擦り上げられ、クリスのモノはもうはちきれそうだ。
「ア、アル…ッ!もう…っ!」
首を振りながら背後のアディエイルに懇願する。
「どうした、クリス」
わかっていながら涼しい顔で聞き返すアディエイルが恨めしい。
悪戯に腰を揺すられ違うところを擦られて喉を反らす。
「やぁ…意地悪…っ」
「じゃあ言わないと」
欲しいものは口に出す、そう躾けてきたのに、恥ずかしがるこの生き物は素直に口に出せない。
敏感な場所を外すように動かすと、クリスの細い腰が揺らめいていい場所に当てようとする。
「身体は素直なのに。ほらどうして欲しい?」
低い声で囁かれ、中を突かれて、クリスは目を瞑って強請る。
「アル…いかせ…て…お願い…」
小さな声のおねだりはそれでもアディエイルに届いた。
「ひぅぅぅっ!ああっ、ああっ!あぁぁっ!」
細い腰を掴み直し、柔らかく膨らんだしこりをめがけて中のモノを押し付ける。
そこを突かれる度、クリスの目の前には火花が散り、頭の中が白く染まってゆく。
「あぁぁっ!だ、だめっ…!ああっ、ああっ!あっーーーっ!!」
しこりを押しつぶすようにアディエイルの大きなものが押し付けられて、クリスは背中を反らし白いものを吐き出した。
射精の余韻にひくつく胎内と、びくびく震える身体をなおも責める。
「ひぁっ!ああっ、ああっ!だめっ!そんな…っ!」
しこりを突かれる度に、白いものが溢れてくる。止めたいのに止まらない。
「アル、アル!だめ、だめっ…!」
必死にアディエイルの攻めから逃れようとするが、腰をしっかり捕まえられているためそれはできない。
身体の奥から熱い塊のようなものが押し上げてきて、クリスは身体を震わせる。
「あ、あ、あ…!あぁぁぁぁっ!!」
がくがくと身体を揺らし、クリスが大きな快楽の波に呑まれる。
胎内は激しくアディエイルに絡みつき、擦りあげ精を絞ろうとする。
その胎内に逆らわず、クリスのうねる中に熱い飛沫を叩きつけた。

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