気が付いたら異世界で孤児だったけど、立派な宇宙海賊になってみせます~貧民惑星から始める転生成り上がり銀河無双~

渋谷千立

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銀河の片隅で小さな幸せを

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「ちょっと疲れたな、休憩にしよう」

「賛成~。足が棒だよ」

「……おなか、ぺこぺこ」

「キョウカさんがおなかを空かせています。至急食事の用意を」

「なんか過保護になってないか?アイカのやつ」

「キョウカちゃん可愛いもんね。しょうがない」

「さて、どこか飯食べれるところはっと」

「ここ!ここにしよう!」

そういってマリナが指さすのは居酒屋。昼間から営業している飲兵衛御用達の店だ。

「やめとけ。ろくな未来が見えん」

「ここ……くさい」

「キョウカさんの体に悪いです。却下します」

「なんだよ!ちくしょ~……」

「ここでいいだろ」

そういって俺は銀河チェーン店の看板を指さすのだった。



「いらっしゃいませ~! 何名様でしょう?」

「4人でお願いします」

「あちらの席にどうぞ~」

そういって案内された席に座る。

「何食べよっかな~」

「ごはん……いっぱい!」

「キョウカさんには、お子様ランチが栄養バランス的にも最適です」

そうして頼んだのは、俺がハンバーグ定食、マリナがパンケーキセットにワイン、キョウカはお子様ランチ。そして……

「お前、飯食えるのか?」

アイカがカレーライスを頼んでいた。

「可能です。私は摂取した食物を、100%効率的にエネルギーへ変換できます」

 「なお、カレーは“おいしい”とされていますので」

「おまちどおさまです~、ハンバーグ定食に、パンケーキセット、お子様ランチ、カレーライスです」

「ありがとうございます。キョウカさん、ごはんが来ました」

「おいしそ~!」

「は~、ワイン美味い」

「結局飲むのかよ……」

 「……味、把握しました。スパイスバランス、良好です」

「……なんか、普通に食レポしてるな」

「おにいちゃん、これなに?」

キョウカが、キラキラした目でおまけのおもちゃを見つめている。

「これは……ヨーヨーか」

「どうやってあそぶの?」

「これはな、指にこのひもを引っかけて、こうやって下に下ろすと……」

コウキが手本を見せると、ヨーヨーはするすると伸びて、下でくるくると回り続ける。

「すごい!まわってる!わたしもやりたい!」

キョウカが大はしゃぎだ。

「じゃあ貸してみ。ほら、ここに指を通して……そう、それで軽くふわっと下に──」

ビュン!

ヨーヨーは回ることなく、派手な音を立てて床に落ちた。

「あれぇ……?」

「ははっ、力入れすぎ。もっとこう、優しくな」

「がんばる……!」

横で見ていたマリナが、くすっと笑った。

「いいねぇ。こういうの、なんか“子供”って感じで」

「お前が言うなよ。誰よりもはしゃいでたじゃねぇか、酒屋で」

「それとこれとは別~!」


キョウカは何度も何度も挑戦していた。

「えいっ!」

ストン。

「うー……もういっかい!」

彼女は真剣な表情で、ヨーヨーを見つめ、ぎゅっと小さな拳を握る。

「そうそう、その調子だ。少しずつコツがわかってくるからな」

「がんばる!」

その姿に、マリナが顔をほころばせる。

「ねぇ……あれ、可愛すぎない?」

「そりゃあ、初めての遊びに全力で挑んでるからな。見てて飽きないわけだ」

すると、すっと横から静かな声が割り込んできた。

「解析完了。ヨーヨーの構造と運動力学、再現可能です」

「……再現?」

「はい。空間制御アームを利用して、最適回転数・最適上下タイミングを自動演算しました」

そう言って、アイカの手元に浮かび上がった簡易モニターには、スロー再生されたヨーヨーの軌道解析と、3Dモデルのシミュレーション。

「いやいやいや、そこまでやらんでいいだろ……!」

「キョウカさん、こちらの映像をご覧ください。ここでリリースタイミングを0.4秒遅らせると、回転持続時間が1.6倍に」

「わかった!がんばる!」

「おお、覚えが早ぇ!」

「AI+子ども=天才の誕生では?」

マリナが半分本気で呟いたその瞬間──

キョウカのヨーヨーが、今度は見事に回りきった。

「できた!できたよ、おにいちゃん!」

くるくると回るヨーヨーを見て、キョウカが両手を上げて小さく飛び跳ねる。

「おぉ、やったな!でもお店の中だからはしゃぐのはやめような」

「はーい!」

「解析の勝利です」

「いや、それ“努力の勝利”でしょ、普通」

「食後のデザートです」

「わーい!アイス!」


キョウカがデザートのアイスまでしっかりと食べ終え、店を出る。

「次はどうするんだ?」

俺がそう尋ねると、キョウカは少しだけ首をかしげてから──

「おかいもの、もっとしたい!」

と、にっこり笑った。

「お洋服まだ見たいの? それともオモチャ?」

「ぜんぶ!」

「ぜんぶ、か……ま、今日は休暇って決めたしな」

マリナも頷く。

「こういう時間も大事だよ。ね、艦長?」

「否定はしない。財布の中身さえ見なければな」

「そのへんは気にしな~い! 今日だけは! アイカ、戦利品運搬準備お願いね~!」

「了解。ドローン部隊、回収ルート確保中です」

「“部隊”……?」

「必要です。あの量では一機では搬送しきれません」

「わたし、ぬいぐるみ、ほしい」

「はい、ぬいぐるみ売場、座標マークしました。誘導ルート表示中」

「なんかかっこいい!」

アイカのAR誘導に従って、キョウカは小走りで先を行く。

その背中を見つめながら、俺はぽつりと呟く。

「……まぁ、こういうのも悪くないな」

銀河の辺境、ボロいステーションの一角。
けれどそこには、確かにあった。

笑って、食べて、遊ぶだけの、平和な時間が。

──これがずっと続くなんて、思っちゃいない。
だが、今だけは。

「よし、次行くか」

俺たちは、まだ終わらない“お買い物冒険”の続きを踏み出した。
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