滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)本編完結・以後番外編

結城 

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エルとリオンのトホホ外伝

エルとリオンのトホホ外伝9

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 次に向かったのはアリシアの奴隷、ウルフのところだ。
 彼は強烈過ぎる個性のアリシアと比べれば、大変影が薄い。

 大男であるのに、本当に薄いのだ。

 しかし最近彼女が出来たらしい。(城に来た当初はウルフがアリシアの彼氏役だったが、もちろん、とっくにアリシアに振られている)

 何故アリシアの奴隷かつ、とても薄い彼には彼女が出来て、俺には出来ないのだろう?

 そんな馬鹿な。

 ウルフに出来るなら、俺にだって一人ぐらい彼女がいてもいいはずだ。
 彼はいったい、どんな秘策を使ったというのだろう?

 俺はウルフのところに行くまでの道すがらにも、キョロキョロとあたりを見渡した。
 でも、やっぱりリオンにせまるほどに可愛い少女はいなかった。

 う~ん。
 どこかに素敵な彼女でも落ちていないものか……。
 リオンに年齢=彼女居ない暦がバレて軽蔑される前に、なんとかしたいのだが。

 今のところ、城で一番の美女はアリシアと言われている。
 しかし中身が男らしすぎるアリシアは、俺にとってそういう対象ではない。

 あれで楚々としていて性格も可愛らしければいいのに、男であるリオンと比べても格段に男らしい。
 いや、俺と比べてすら男らしい。

 アリシアも人間なので、悩み事の一つぐらいはあると思うのだが、彼女はいつも豪快で、そういう顔を見せることはまずない。
 俺を頼ることも全く無い。(こき使う事なら多々ある)

 涙を流したのだって母親が死んだとき一回きりで、後は実にサバサバとしたものなのだ。


 ウルフは雑務室に居た。
 噂の彼女と共に。

 うん、そばかすが似合う、素朴で可愛い雰囲気の女性だ。
 ウルフにお似合いの、ちょっと薄めな感じだが……どうやって知り合ったのだろう?

 今も差し入れを持ってきていたらしいが、穏やかに話す姿が感じ良くて、見た目の優劣はともかく性格は良さそうだ。

「初めまして。親衛隊所属のエルです」

 薄めのその女性に話しかけてみる。
 俺が話しかけると、大抵の女性は側に彼氏が居ようと俺にぼ~っとなるものだ。

「まあ! エル様。お会いできて光栄です!」

 ほらな。
 女性は俺を見て顔を輝かせた。

「先週の週刊『親衛隊の全て』私も買いましたわ❤
 遠目から見ても信じられないぐらい麗しいけど、近くで見ると、益々美形ですのねっ!」

「それはどうもありがとう」

 雑誌は定期的に数種類出ているようだが、親衛隊員ではないリオンが写っていることはほとんど無い。
 だから実は俺は、パラパラめくる程度にしか見ていない。

 『週間売り子』を読む方で忙しいからだ。(これには毎回リオンが多数出ている)

 でも、俺の代わりにリオンが熱心に読んでいたから、出来はマズマズと思われる。

 どうもウルフの彼女は『俺のファン』のようだ。
 俺は高嶺の花なので、俺と親交のあるウルフと仕方なく付き合ったのだろうか?
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