滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)本編完結・以後番外編

結城 

文字の大きさ
23 / 437
第3章 王家の秘密

4・王家の秘密

しおりを挟む
 我が国は過去、偉大なる魔法王国であったらしい。
 それは母上の日記を読むまでもなく、伝承として知っている。

 ……が、なぜか痕跡はほとんど残っていない。

 だから俺も国民も、遠い昔に作られた、ただの『おとぎばなし』を聞くような感覚でそれらを認識していた。

 しかし他国では、まだまだ魔道は行われている。
 過去の魔術を使った大戦も、動かしがたい事実として存在する。

 なのに妙に現実味が無いのは『大魔道』を使う者が、世界的に見ても、現在一人もいないからだ。

 『大魔道』と言われる伝承の中に出てくるような大技は、300年前の大戦を境に世界から姿を消した。

 我が国に限って言うと、魔道を使えるものは国内には一人もいない。
 他国の王宮には必ず居るはずの『治癒魔道士』すら、全く居ない。

 実際にはリオンやクロスⅦが存在するのだが、ずっと隠されてきたために皇太子である俺でさえ、全く知らなかった。

 母上の日記には、色々なことが詳細に書かれていた。

 この国の始祖王である『シヴァ王』
 その従兄弟であり親友・腹心でもあった『大魔道士アースラ』
 同じく魔道士であり、後に王の妻となる『アースラの妹リリーシャ』

 この3人は国の者なら、子供ですら知っている有名人だ。
 金貨の表裏には、この3人の姿が彫り込まれている。

 彼らが創り上げたのが、今のエルシオン王国。
 国を興すための戦いでは、魔道士兄妹により何度も『大魔道』と言われる法術が使われたらしい。

 そして見事アレス帝国を倒し エルシオン王国に平和が訪れた。
 めでたし、めでたし……と、ここまでは伝承の通りだ。

 しかし母上の日記を読むと、その先が少し違う。

 王家の3人は戦が終了した後、城と領土を包み込むような巨大な『善の結界』を作り上げた。

 その結界はもちろん、常人の目には見えない。
 でも、どんな悪意・戦意もその結界内では極端に薄らぐ。

 その結界があるが故に、エルシオンはまるで神々の住まう国のごとく、平和で善良で、敵からも侵略されない国として存在することが出来ているというのだ。

 夢みたいな話だが、全て事実らしい。

 ただし善なる結界を造り上げ、維持するには恐ろしく強大な魔力が必要だったようだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 2025.4.28 ムーンライトノベルに投稿しました。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

処理中です...