102 / 437
第13章 親衛隊候補生
3.親衛隊候補生
しおりを挟む
親衛隊候補生としての3ヶ月が過ぎた。
いつもは城内で戦闘訓練や掃除をして過ごしているのだが、今日は王城の貴賓室にみんなして呼び出されている。
何か重要な使命でも与えられるのかと思って背筋を伸ばしていたら、全く違う。
「はい、こっち向いてエル君。
リオン君はもうちょっとお兄さんに寄り添って……そうそう、そんな感じ!!」
眼鏡をかけた中年の男が、親衛隊見習い用の制服を着た俺たちをガン見しながら指示を出す。
じぃぃ~~~~~~っと穴があくかと思うほど見つめられると、正直背中がモゾモゾする。
ぎこちない笑顔を浮かべたまま、待つこと3分。
「はい、出来ました!」
男が一枚の紙を渡す。
そこには俺とリオンの姿が見事に写っている。
念写と言うものを初めて見た俺は、さっきの不快さも忘れて写真に見入った。
我が国にはクロスⅦとリオンしか魔道士はいなかった。
その彼らも神官魔道士として『善の結界』を張ることのみが職務なため、念写師というのはエルシオン王国内には存在しない。
それでも城には宮廷絵師がいたし、町にも安価な似顔絵描きが大勢いたので特に困るということはなかった。
ただ絵師ではこんな短時間に、これだけ精密な絵を書くことはまず不可能だ。
腕の良い念写師になると不自然にならない程度に美形度をアップさせて念写することも出来るらしく、需要は高いという。
俺も暇を見てリオンと習ってみようかな?
今は組織『ガルーダ』にお世話になっているが、もし麻薬などヤバイ仕事を扱わされそうなら、すぐに逃げねばならない。
しかし、他国で働き口を見つけるのは中々難しい。
就業には年がどうしても足らないのだ。
ただ専門性の高い技能を持っていたら、また話は変わってくるのではないだろうか?
俺だってリオンの兄弟なのだし、魔剣の刃も出せた。
魔力はあるはずだ。
国で習ったところによると、それなりの魔力を持つ人間は、世界的に見てもとても少ないらしい。
でも俺には、血統により生まれ持った魔力がある。
それを利用して、何か全世界で使える『就職に有利な特技』を身に付けたいものだ。
ちなみにリオンに戦闘魔法を習って、どこかの軍に入るなどという案は無い。
白系魔法師は世界中どこでも歓迎されるが『戦闘系魔道士』だけはまっとうな職にはつけない。
300年前のアレス帝国とエルシオン王国の大魔道戦では、エルシオンが圧倒的勝者となった。
これ以上の戦闘は不可能と判断した当時のアレス王は、なんとか戦争を早期に終わらせようと、我が国に和平交渉を試みた。
その結果、大魔道士アースラはアレス帝国内での魔道士育成、全てを禁じる事を言い渡した。
アレス王は、生き残った魔道士も全てアースラに引き渡し、大切な世継ぎさえも人質として差し出し、かろうじて停戦は成ったのである。
和平条約が結ばれた後は、エルシオン王国内でも魔道士の育成が禁止された。
魔道行為も禁じられ、転職するか、アースラの管理下に入るかを選ぶしかなかったようだ。
身を立てる方法を奪われた魔道士たちが、アースラに反発したかというと、否である。
大魔道士たるアースラの命令だから従った……と、俺は解釈していたが、それも『善の結界』の作用で、アースラの言葉に対して反発することができなかっただけなのかもしれない。
アースラ自身も以後の魔道士育成は表立ってしておらず、そのことにより『最大の魔法大国』であった二国から魔道士が消えた。
何故『世界最強の魔道士アースラ』を抱える戦勝国エルシオンまで道士育成を禁じたのかは、正確には伝わってない。
魔道合戦により両国の国土が極端に荒廃したので、それを王たちが悲しんだのだとか、若い魔道士による下克上を防いで国を安定させるためとか……後世の人々たちが勝手に推測して書き立てているだけだ。
その他の国では別に禁止されちゃいなかったけど、その後いくつかの国で戦闘系魔道士による国家転覆騒動が持ち上がったため、他国でも段々と戦闘魔道士は忌まれるようになり、姿を消していった。
だから、戦闘魔道士になってもまっとうな職につくのは難しい。
せいぜいマフィアぐらいしか就職先はないだろう。
偏見というのは本当に怖い。
魔剣士といっても、リオンは優しい良い子なのに。
……いやまぁ……俺も一度はその偏見の目でリオンを見、傷つけた側なのでアレコレおこがましく言うことはできないが。
いつもは城内で戦闘訓練や掃除をして過ごしているのだが、今日は王城の貴賓室にみんなして呼び出されている。
何か重要な使命でも与えられるのかと思って背筋を伸ばしていたら、全く違う。
「はい、こっち向いてエル君。
リオン君はもうちょっとお兄さんに寄り添って……そうそう、そんな感じ!!」
眼鏡をかけた中年の男が、親衛隊見習い用の制服を着た俺たちをガン見しながら指示を出す。
じぃぃ~~~~~~っと穴があくかと思うほど見つめられると、正直背中がモゾモゾする。
ぎこちない笑顔を浮かべたまま、待つこと3分。
「はい、出来ました!」
男が一枚の紙を渡す。
そこには俺とリオンの姿が見事に写っている。
念写と言うものを初めて見た俺は、さっきの不快さも忘れて写真に見入った。
我が国にはクロスⅦとリオンしか魔道士はいなかった。
その彼らも神官魔道士として『善の結界』を張ることのみが職務なため、念写師というのはエルシオン王国内には存在しない。
それでも城には宮廷絵師がいたし、町にも安価な似顔絵描きが大勢いたので特に困るということはなかった。
ただ絵師ではこんな短時間に、これだけ精密な絵を書くことはまず不可能だ。
腕の良い念写師になると不自然にならない程度に美形度をアップさせて念写することも出来るらしく、需要は高いという。
俺も暇を見てリオンと習ってみようかな?
今は組織『ガルーダ』にお世話になっているが、もし麻薬などヤバイ仕事を扱わされそうなら、すぐに逃げねばならない。
しかし、他国で働き口を見つけるのは中々難しい。
就業には年がどうしても足らないのだ。
ただ専門性の高い技能を持っていたら、また話は変わってくるのではないだろうか?
俺だってリオンの兄弟なのだし、魔剣の刃も出せた。
魔力はあるはずだ。
国で習ったところによると、それなりの魔力を持つ人間は、世界的に見てもとても少ないらしい。
でも俺には、血統により生まれ持った魔力がある。
それを利用して、何か全世界で使える『就職に有利な特技』を身に付けたいものだ。
ちなみにリオンに戦闘魔法を習って、どこかの軍に入るなどという案は無い。
白系魔法師は世界中どこでも歓迎されるが『戦闘系魔道士』だけはまっとうな職にはつけない。
300年前のアレス帝国とエルシオン王国の大魔道戦では、エルシオンが圧倒的勝者となった。
これ以上の戦闘は不可能と判断した当時のアレス王は、なんとか戦争を早期に終わらせようと、我が国に和平交渉を試みた。
その結果、大魔道士アースラはアレス帝国内での魔道士育成、全てを禁じる事を言い渡した。
アレス王は、生き残った魔道士も全てアースラに引き渡し、大切な世継ぎさえも人質として差し出し、かろうじて停戦は成ったのである。
和平条約が結ばれた後は、エルシオン王国内でも魔道士の育成が禁止された。
魔道行為も禁じられ、転職するか、アースラの管理下に入るかを選ぶしかなかったようだ。
身を立てる方法を奪われた魔道士たちが、アースラに反発したかというと、否である。
大魔道士たるアースラの命令だから従った……と、俺は解釈していたが、それも『善の結界』の作用で、アースラの言葉に対して反発することができなかっただけなのかもしれない。
アースラ自身も以後の魔道士育成は表立ってしておらず、そのことにより『最大の魔法大国』であった二国から魔道士が消えた。
何故『世界最強の魔道士アースラ』を抱える戦勝国エルシオンまで道士育成を禁じたのかは、正確には伝わってない。
魔道合戦により両国の国土が極端に荒廃したので、それを王たちが悲しんだのだとか、若い魔道士による下克上を防いで国を安定させるためとか……後世の人々たちが勝手に推測して書き立てているだけだ。
その他の国では別に禁止されちゃいなかったけど、その後いくつかの国で戦闘系魔道士による国家転覆騒動が持ち上がったため、他国でも段々と戦闘魔道士は忌まれるようになり、姿を消していった。
だから、戦闘魔道士になってもまっとうな職につくのは難しい。
せいぜいマフィアぐらいしか就職先はないだろう。
偏見というのは本当に怖い。
魔剣士といっても、リオンは優しい良い子なのに。
……いやまぁ……俺も一度はその偏見の目でリオンを見、傷つけた側なのでアレコレおこがましく言うことはできないが。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
【第1部完結しました。第2部更新予定です!】
処刑された記憶とともに、BLゲームの悪役会計に転生したことに気付いた主人公・カイル。
処刑されないために、チャラ男の仮面を被り、生徒会長に媚びを売り、能力を駆使して必死に立ち回る。
だが、愛された経験がない彼は、正しい人との距離感を知らない。
無意識の危うい言動は、生徒会長や攻略対象、さらには本来関わらないはずの人物たちまで惹きつけ、過剰な心配と執着、独占欲を向けられていく。
——ただ生き残りたいだけなのに。
気づけば彼は、逃げ場を失うほど深く、甘く囲われていた。
*カクヨム様でも同時掲載中です。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる