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第20章 人の心
6.人の心
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城の者たち向けの説明はこうだった。
『あの時は殺されたように見えたがあれは幻術だった。
許容を超えた魔術を使ったため記憶を失い、今は自分の事を<ヴァティール>と言う名だと思っている。体が小さくなったのも魔力の使いすぎからだ』
と。
俺的にはツッコミどころ満載なのだが、魔術の知識にうとい城の皆はそれで一応納得したようだ。
「……俺、リオン様が城の者に気さくに話しかけるところなんて見たこと無かったけど、ヴァティール様は違うよな」
「ああ、厨房のおばちゃん達にも大人気みたいだぜ」
「ヴァティール様、小さくて可愛いしな。毎日厨房におやつをたかりに行ってるみたいだけど何か罪が無いよな」
何も知らない兵士たちが無神経に囁く。
何が『ヴァティール様、可愛い』だ。
可愛いのはリオンの体『だけ』だろう。
罪ならある。ヴァティールはリオンの体を奪った。
中身は魔獣だというのになぜ皆、今になってそういうことを言うのだろう。
確かにリオンは愛想の良い子供ではなかった。
でも、いつもいつも一生懸命だった。
見ていて可哀想になるぐらい。
そのリオンがヴァティールと比べられては悪く言われている。
もちろん皆は、リオンとヴァティールが完全に別人であることを知らない。
だから悪く言っているつもりなど無い。
でもこんなのはあんまりだ。
そして、この状態をなんともしてやれない俺自身が一番嫌だ。
ボ ク ヲ ワ ス レ ナ イ デ
あんな苦しい死に方をしたのだから、最後に言うなら恨み言でも良かったのだ。
でもリオンはそういうことを何も言わなかった。
ただ『忘れないで』とそれだけを望んで逝った。
なのにたった数ヶ月で、もう皆から忘れ去られようとしている。
こんな残酷な事があるだろうか?
せめて俺だけはちゃんと覚えていて、お前が居ないことを悲しんでやろうと思っても俺には一人の時間がほとんど無い。
朝から晩までアリシアやウルフが抜けた分まで働かねばならないし、アレス帝国がいつどんな手を使って攻めてくるかわからないので気が抜けない。
夜は夜で戻ってきたヴァティールが当たり前のようにリオンのベッドを使う。
俺はそれを止められなかった。
国のために止められなかった。
すべての命令を聞くわけではない、気ままなヴァティールの機嫌を損ねることが怖くて出来なかった。
リオン、ごめん。
こんな情けない兄を許してくれ。
密かに涙を流すしか出来ない俺を許してくれ。
『あの時は殺されたように見えたがあれは幻術だった。
許容を超えた魔術を使ったため記憶を失い、今は自分の事を<ヴァティール>と言う名だと思っている。体が小さくなったのも魔力の使いすぎからだ』
と。
俺的にはツッコミどころ満載なのだが、魔術の知識にうとい城の皆はそれで一応納得したようだ。
「……俺、リオン様が城の者に気さくに話しかけるところなんて見たこと無かったけど、ヴァティール様は違うよな」
「ああ、厨房のおばちゃん達にも大人気みたいだぜ」
「ヴァティール様、小さくて可愛いしな。毎日厨房におやつをたかりに行ってるみたいだけど何か罪が無いよな」
何も知らない兵士たちが無神経に囁く。
何が『ヴァティール様、可愛い』だ。
可愛いのはリオンの体『だけ』だろう。
罪ならある。ヴァティールはリオンの体を奪った。
中身は魔獣だというのになぜ皆、今になってそういうことを言うのだろう。
確かにリオンは愛想の良い子供ではなかった。
でも、いつもいつも一生懸命だった。
見ていて可哀想になるぐらい。
そのリオンがヴァティールと比べられては悪く言われている。
もちろん皆は、リオンとヴァティールが完全に別人であることを知らない。
だから悪く言っているつもりなど無い。
でもこんなのはあんまりだ。
そして、この状態をなんともしてやれない俺自身が一番嫌だ。
ボ ク ヲ ワ ス レ ナ イ デ
あんな苦しい死に方をしたのだから、最後に言うなら恨み言でも良かったのだ。
でもリオンはそういうことを何も言わなかった。
ただ『忘れないで』とそれだけを望んで逝った。
なのにたった数ヶ月で、もう皆から忘れ去られようとしている。
こんな残酷な事があるだろうか?
せめて俺だけはちゃんと覚えていて、お前が居ないことを悲しんでやろうと思っても俺には一人の時間がほとんど無い。
朝から晩までアリシアやウルフが抜けた分まで働かねばならないし、アレス帝国がいつどんな手を使って攻めてくるかわからないので気が抜けない。
夜は夜で戻ってきたヴァティールが当たり前のようにリオンのベッドを使う。
俺はそれを止められなかった。
国のために止められなかった。
すべての命令を聞くわけではない、気ままなヴァティールの機嫌を損ねることが怖くて出来なかった。
リオン、ごめん。
こんな情けない兄を許してくれ。
密かに涙を流すしか出来ない俺を許してくれ。
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