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心理戦
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山から帰ってきた夜。
シャワーも浴びて、夕飯も済ませて、ようやく布団にごろんと転がったとき――。
「しおりん」
隣からかおりんの低い声。やけに真剣。
「昨日の夜のドタバタ……結局、勝負つかなかったよね」
「勝負っていうか、ただの大混乱でしょ」
「ちがう! “我慢比べ”の続きだよ! だから、今夜こそ決着!」
やっぱり来たか……。
かおりんはニヤリと笑って、机の上に置いてあったトランプを手に取った。
「今日やるのは――“心理戦ジレンマゲーム”!」
*
机の上にトランプを5枚ずつ並べる。表は見えない。
毎ターン、一枚ずつめくる。
数字が大きい方が勝ち。
ただし――“ハートのカード”を引いたら、特別ルール発動。
「ハートを引いたら、“相手に質問タイム”。どんな質問でも答えなきゃダメ!」
「質問……?」
「うん。恋バナでも秘密でも。これで相手の動揺を引き出すの!」
……めんどくさい。けど、かおりんが目をキラキラさせてるから断れない。
「よし、やろう」
*
「せーのっ!」
二人同時に一枚めくる。
わたし:クラブの7。
かおりん:スペードの4。
「しおりんの勝ち!」
にやっとした瞬間――
「はい、ハートじゃなかったからセーフ! 次!」
気楽な調子で進めていく。
二枚目、三枚目……勝ったり負けたりを繰り返す。
ふたりで「やった!」「くぅー!」って声をあげながら、机の上のカードが減っていった。
*
そして四枚目。
わたし:ハートの3。
かおりん:クラブの10。
「やった! わたしの勝ち! しかも――ハート出たから質問ターイム!」
にやにや笑うかおりん。嫌な予感しかしない。
「じゃあ……しおりん。昨日の夜――ひかりんに絡まれたとき、ほんとはどう思ってた?」
「なっ……!」
核心を突いてきた。わたしは顔が熱くなる。
「べ、別に……ただ、困っただけ」
「ふーん、“困った”ねぇ?」
かおりんはじっと見つめてくる。
……やばい、完全に疑ってる目。
*
最後のカードをめくる。
わたし:ダイヤのキング!
かおりん:ハートのジャック!
「数字ではしおりんの勝ちだけど……ハートだから、また質問!」
かおりんが椅子をぐいっと近づける。
「じゃあ……わたしとゆはりん、どっちに抱きつかれるのが嬉しい?」
「そ、それは――」
言葉が詰まる。頭の中に昨夜の映像がフラッシュバック。
その瞬間。
「ドッキリ大成功~~!」
かおりんが机の下からスマホを取り出した。
録音アプリが光ってる。
「はぁ!? 録ってたの!?」
「もちろん! これは証拠として永久保存!」
わたしは真っ赤になって、必死にスマホを奪おうとする。
かおりんは逃げ回りながら、子どものみたいに大笑い。
*
結局、スマホは奪えなかった。
でも、かおりんは最後に「これは公開しないであげる。……わたしが勝った証だから」とウィンクした。
「ずるい……」
「でも楽しかったでしょ?」
たしかに、笑いすぎてお腹が痛い。
山の夜のドタバタよりも疲れたかもしれない。
(……次は絶対、逆に仕掛けてやる)
枕に顔をうずめながら、そう心に誓った。
シャワーも浴びて、夕飯も済ませて、ようやく布団にごろんと転がったとき――。
「しおりん」
隣からかおりんの低い声。やけに真剣。
「昨日の夜のドタバタ……結局、勝負つかなかったよね」
「勝負っていうか、ただの大混乱でしょ」
「ちがう! “我慢比べ”の続きだよ! だから、今夜こそ決着!」
やっぱり来たか……。
かおりんはニヤリと笑って、机の上に置いてあったトランプを手に取った。
「今日やるのは――“心理戦ジレンマゲーム”!」
*
机の上にトランプを5枚ずつ並べる。表は見えない。
毎ターン、一枚ずつめくる。
数字が大きい方が勝ち。
ただし――“ハートのカード”を引いたら、特別ルール発動。
「ハートを引いたら、“相手に質問タイム”。どんな質問でも答えなきゃダメ!」
「質問……?」
「うん。恋バナでも秘密でも。これで相手の動揺を引き出すの!」
……めんどくさい。けど、かおりんが目をキラキラさせてるから断れない。
「よし、やろう」
*
「せーのっ!」
二人同時に一枚めくる。
わたし:クラブの7。
かおりん:スペードの4。
「しおりんの勝ち!」
にやっとした瞬間――
「はい、ハートじゃなかったからセーフ! 次!」
気楽な調子で進めていく。
二枚目、三枚目……勝ったり負けたりを繰り返す。
ふたりで「やった!」「くぅー!」って声をあげながら、机の上のカードが減っていった。
*
そして四枚目。
わたし:ハートの3。
かおりん:クラブの10。
「やった! わたしの勝ち! しかも――ハート出たから質問ターイム!」
にやにや笑うかおりん。嫌な予感しかしない。
「じゃあ……しおりん。昨日の夜――ひかりんに絡まれたとき、ほんとはどう思ってた?」
「なっ……!」
核心を突いてきた。わたしは顔が熱くなる。
「べ、別に……ただ、困っただけ」
「ふーん、“困った”ねぇ?」
かおりんはじっと見つめてくる。
……やばい、完全に疑ってる目。
*
最後のカードをめくる。
わたし:ダイヤのキング!
かおりん:ハートのジャック!
「数字ではしおりんの勝ちだけど……ハートだから、また質問!」
かおりんが椅子をぐいっと近づける。
「じゃあ……わたしとゆはりん、どっちに抱きつかれるのが嬉しい?」
「そ、それは――」
言葉が詰まる。頭の中に昨夜の映像がフラッシュバック。
その瞬間。
「ドッキリ大成功~~!」
かおりんが机の下からスマホを取り出した。
録音アプリが光ってる。
「はぁ!? 録ってたの!?」
「もちろん! これは証拠として永久保存!」
わたしは真っ赤になって、必死にスマホを奪おうとする。
かおりんは逃げ回りながら、子どものみたいに大笑い。
*
結局、スマホは奪えなかった。
でも、かおりんは最後に「これは公開しないであげる。……わたしが勝った証だから」とウィンクした。
「ずるい……」
「でも楽しかったでしょ?」
たしかに、笑いすぎてお腹が痛い。
山の夜のドタバタよりも疲れたかもしれない。
(……次は絶対、逆に仕掛けてやる)
枕に顔をうずめながら、そう心に誓った。
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