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おしくらまんじゅう
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5月も最終週の昼下がり、座道部の部室はいつものように畳の香りに包まれていた。窓の外からは、運動部の掛け声や、遠くで鳴るチャイムの音がほのかに聞こえてくる。今日は部活の予定もゆるっとした日で、私、かおりん、奈々りん、ゆはりんの三人で、部室の畳に座って、いつものお茶会(お菓子パーティー)を開いていた。
テーブルの上には、奈々りんが持ってきたチョコクッキーと、ゆはりんお手製の抹茶マフィン。私がコンビニで買ってきたアイスティーも並んで、なんだか贅沢な雰囲気。
「ねえ、かおりん、なんかいつもよりまったりしてるよね」
奈々りんが、ショートカットの髪を揺らしながら、クッキーをポリポリかじりつつ言う。
「でしょ? テストも終わったし、なんか心が解放されてる感じ!」
私はアイスティーをぐびっと飲みながら、ニコニコ答えた。
「でも……こうやってお菓子食べてるだけだと、ちょっと座道っぽくないかも……?」
ゆはりんが、ふわっとしたロングヘアを指でくるくるしながら、ちょっと心配そうに呟く。彼女のちっちゃい体が、畳の上で正座してる姿は、まるで小さなお人形みたいだ。
「うーん、ゆはりんの言う通り、座道部としては何か修行っぽいことしないとね!」
私は胸を張って、頭の中でアイデアをぐるぐる。そしたら、ふと思いついた。
「ねえ、ねえ! 座道式で『おしくらまんじゅう』やらない?」
「おしくらまんじゅう!?」
奈々りんとゆはりんが、ほぼ同時に目を丸くして声を揃えた。
「うそ、かおりん、それどうやるの!? 座道で!?」
奈々りんが、クッキーを口にくわえたまま身を乗り出す。
「ふふ、ルールは簡単! 三人で円になって正座して、合図で一斉に押し合うの。姿勢を崩さず、畳から出ちゃった人か、正座が崩れた人が負け! 座道の心を保ちつつ、力とバランスの勝負!」
「か、かおりん、めっちゃ斬新……!」
ゆはりんが、ちょっとドキドキした顔で言うけど、目がキラキラしてる。
「いいじゃん、面白そう! 座道部っぽいし、なんか青春っぽいし!」
奈々りんはもうノリノリで、クッキーを置いて畳の上で正座の位置を整え始めた。
「よーし、じゃあ、早速やろう! 三人で円になって……せーの、スタート!」
*
私たちは畳の上で円形に正座し、肩を寄せ合った。奈々りんが右、ゆはりんが左。畳のざらりとした感触が膝に心地よく響き、夕陽の柔らかな光が部室を淡いオレンジに染める。長く伸びた影が、まるで私たちの心の輪郭をなぞるように揺れる。空気が少し熱を帯び、胸の奥でざわめくような、甘い緊張感が漂っていた。
「じゃ、最初は私が合図するね。準備いい? せーの……おしくらまんじゅう、押されて泣くな!」
私が声を上げた瞬間、三人で一気に力を込めて押し合った。肩がぶつかる瞬間、ほのかな体温が伝わり、胸がドキッと高鳴った。
「うわっ、奈々りん、めっちゃ力強い……!」
奈々りんの肩が私の体をぐっと押してきて、思わず体が傾く。彼女のショートカットの髪が夕陽に揺れ、鋭い眼差しがキラリと光っている。その自信に満ちた表情に、ゾクッとするような熱が走る。
「かおりんこそ、めっちゃ本気で来るじゃん……!」
奈々りんが微笑みながら押し返してくる。その声には、どこか挑発的な響きがあって、負けられない火花が胸の中で弾ける。肩と肩が擦れ合うたび、畳の上で小さな電流が走るような感覚。
「ひゃっ、ゆ、ゆはりん、ちょっと、優しく……!」
ゆはりんが、ちっちゃい声で喘ぐように叫び、必死に正座をキープしてる。彼女の細い肩が私の腕に触れるたび、ふわっとした温もりが伝わってくる。守ってあげたいような、でもこの勝負に溺れたいような、相反する気持ちが胸を締め付ける。ゆはりんのロングヘアが夕陽に透けて、まるで薄絹のように揺れる姿に、思わず息を呑む。
「ゆはりん、姿勢、めっちゃ綺麗……さすが元茶道部!」
私が囁くように褒めると、ゆはりんは「う、うう、ありがとう……!」と頬を桜色に染めて、恥ずかしそうに目を伏せる。その仕草があまりにも愛らしく、胸の奥がキュッと疼いている。
畳の上で、三人の肩がぶつかり合うたびに、クスクスと笑いが漏れるけど、その裏にはピリッとした熱っぽい空気が漂ってる。力を入れるたび、汗ばんだ肌が触れ合い、座道の心を保つのが、まるで誘惑に抗うような試練。背筋をピンと伸ばし、呼吸を整えるけど、心臓の鼓動は抑えきれず、ドクドクと響く。
「うっ、かおりん、強すぎるって……!」
奈々りんが、ほんの少し押され気味で声を上げる。彼女の声に、微かな甘さが混じってる気がして、なぜか顔が熱くなる。
「奈々りん、油断したら負けるよ……?」
私はニヤリと微笑み、さらに肩に力を込める。奈々りんの体温が肩を通じて伝わり、ほのかな香水の匂いが鼻をかすめる。思わず、意識が彼女の近さに引き寄せられる。
その瞬間、ゆはりんが「ひゃっ!」と小さく叫び、畳の上でバランスを崩した。ロングヘアがふわりと舞い、正座が崩れる瞬間、スカートが若干まくれ上がり、太ももが夕陽に照らされる。その光景が一瞬の幻のように美しく、胸が締め付けられた。
「ゆはりん、アウト!」
奈々りんと私が同時に叫び、笑いながらゆはりんを指差すけど、心臓はまだドキドキと疼いたまま。
「うう、ごめんなさい……! 正座、崩れちゃいました……」
ゆはりんは恥ずかしそうに頭を下げ、スカートを直しながら畳にぺたんと座り込む。その華奢な背中が、守りたいような、でも勝負の熱に飲み込まれたいような、複雑な感情が胸を駆け巡る。
「ゆはりん、めっちゃ頑張ったよ! でも、次は私が勝つから!」
奈々りんが、気合を入れて正座を直す。その燃えるような闘志に、胸がまた熱くなる。
「よーし、第二ラウンド! 今度は奈々りんが合図ね!」
私はドキドキしながら、改めて正座の位置を整えた。夕陽が畳に長い影を落とし、部室の空気が一層熱を帯びる。次の勝負が、どんな甘い緊張感を連れてくるのか、体の奥で期待がざわめいていた。
*
「おしくらまんじゅう、押されて泣くな!」
奈々りんの元気な声が部室に響き、夕陽の光が畳に温かな影を落とす。私と奈々りん、二人だけの勝負。ゆはりんは畳の端っこで、アイスティーをちびちび飲みながら、目をキラキラさせて応援してる。彼女のちっちゃな笑顔が、なんだか心をくすぐる。
「かおりん、負けないよ!」
奈々りんが、ぐっと肩を押してくる。さっきより力強い。彼女のショートカットが動きに合わせてパタッと揺れ、Tシャツの裾が少しめくれて、白いキャミソールの端がチラリと見えた。思わず目を逸らすけど、なんか顔が熱い。
「うわ、奈々りん、本気すぎ!」
私は笑いながら、負けじと押し返す。畳の上で膝が少し滑りそうになるけど、座道の心で姿勢をキープ。肩がぶつかるたび、奈々りんの温もりが伝わってきて、なんだか妙に意識しちゃう。
「かおりん、めっちゃ強いじゃん! でも、絶対勝つから!」
奈々りんの笑顔が、夕陽にキラキラ輝いて、なんかこう、胸がドキッとする。彼女の動きで、ショートパンツの裾が少しずれて、スポーティなインナーのラインがほのかに見えた瞬間、思わず息を呑む。
「二人とも、すごい! 座道の極意、めっちゃ感じるよ!」
ゆはりんが、ちっちゃい拍手しながら、ふわっとした声で応援してくれる。彼女のスカートの裾が、畳に座る動きでちょっとめくれて、ピンクのレースの縁がチラッと見えた。慌てて目を逸らすけど、なんか心臓がバクバクしちゃう。
押し合ってるうちに、私の膝がほんの少しズレた。畳のひんやりした感触が、汗ばんだ肌に心地いいけど、バランスを崩しそうになる。
「うっ、危ない!」
私が慌てて姿勢を直すけど、その隙に奈々りんがグイッと押してきた。彼女の肩が私の胸元に触れる。
「かおりん、今だよ!」
奈々りんの声が、ちょっと楽しそうに響く。
「うわっ!」
私の体が、畳の外にずるっと滑り出した。スカートの裾が少しめくれて、慌てて手で押さえる。
「奈々りん、勝ち!」
ゆはりんが、ぴょこんと立ち上がって叫ぶ。
「やったー! かおりん、惜しかったね!」
奈々りんが、ニコニコしながら手を差し出してくる。その指先が私の手に触れた瞬間、温かさがじんわり伝わって、胸がまたドキッとする。私はその手をつかんで立ち上がり、笑いながら彼女の肩を軽くポンと叩いた。
「くっ、奈々りん、強すぎ! 次は絶対リベンジするから!」
「ふふ、いつでも受けて立つよ!」
奈々りんがピースサインを作って、得意げに笑う。部室の空気が、青春の甘酸っぱいドキドキで満たされてた。
*
ゲームの後は、いつものお茶会タイム。畳に座って、抹茶マフィンを分け合いながら、笑い声が絶えない。
「座道式おしくらまんじゅう、めっちゃ楽しかったね!」
私がマフィンをかじりながら言うと、ゆはりんがこくこく頷く。
「うん、なんか……心がほぐれた気がします。座道って、こういうのも大事ですよね」
「でしょ! 座道って、心を整えるだけじゃなくて、仲間と笑い合うのも大事な修行!」
私は胸を張って、アイスティーをぐびっと飲んだ。
「かおりん、ほんと座道部の部長っぽいね」
奈々りんが、クッキーを手にニヤリと笑う。
「え、奈々りんこそ、めっちゃ強かったじゃん! あの押し方、座道の極意その四:力と心のバランス、だね!」
「そんな極意、初耳!」
奈々りんが大笑いして、部室に笑い声が響く。
*
部室を出ると、夕暮れの空がオレンジ色に染まっていた。奈々りんとゆはりんは、並んで校門に向かって歩いていく。
「かおりん、また明日ね!」
奈々りんが振り返って手を振る。
「うん! ゆはりんも、またね!」
私は二人に笑顔で手を振り返した。
テーブルの上には、奈々りんが持ってきたチョコクッキーと、ゆはりんお手製の抹茶マフィン。私がコンビニで買ってきたアイスティーも並んで、なんだか贅沢な雰囲気。
「ねえ、かおりん、なんかいつもよりまったりしてるよね」
奈々りんが、ショートカットの髪を揺らしながら、クッキーをポリポリかじりつつ言う。
「でしょ? テストも終わったし、なんか心が解放されてる感じ!」
私はアイスティーをぐびっと飲みながら、ニコニコ答えた。
「でも……こうやってお菓子食べてるだけだと、ちょっと座道っぽくないかも……?」
ゆはりんが、ふわっとしたロングヘアを指でくるくるしながら、ちょっと心配そうに呟く。彼女のちっちゃい体が、畳の上で正座してる姿は、まるで小さなお人形みたいだ。
「うーん、ゆはりんの言う通り、座道部としては何か修行っぽいことしないとね!」
私は胸を張って、頭の中でアイデアをぐるぐる。そしたら、ふと思いついた。
「ねえ、ねえ! 座道式で『おしくらまんじゅう』やらない?」
「おしくらまんじゅう!?」
奈々りんとゆはりんが、ほぼ同時に目を丸くして声を揃えた。
「うそ、かおりん、それどうやるの!? 座道で!?」
奈々りんが、クッキーを口にくわえたまま身を乗り出す。
「ふふ、ルールは簡単! 三人で円になって正座して、合図で一斉に押し合うの。姿勢を崩さず、畳から出ちゃった人か、正座が崩れた人が負け! 座道の心を保ちつつ、力とバランスの勝負!」
「か、かおりん、めっちゃ斬新……!」
ゆはりんが、ちょっとドキドキした顔で言うけど、目がキラキラしてる。
「いいじゃん、面白そう! 座道部っぽいし、なんか青春っぽいし!」
奈々りんはもうノリノリで、クッキーを置いて畳の上で正座の位置を整え始めた。
「よーし、じゃあ、早速やろう! 三人で円になって……せーの、スタート!」
*
私たちは畳の上で円形に正座し、肩を寄せ合った。奈々りんが右、ゆはりんが左。畳のざらりとした感触が膝に心地よく響き、夕陽の柔らかな光が部室を淡いオレンジに染める。長く伸びた影が、まるで私たちの心の輪郭をなぞるように揺れる。空気が少し熱を帯び、胸の奥でざわめくような、甘い緊張感が漂っていた。
「じゃ、最初は私が合図するね。準備いい? せーの……おしくらまんじゅう、押されて泣くな!」
私が声を上げた瞬間、三人で一気に力を込めて押し合った。肩がぶつかる瞬間、ほのかな体温が伝わり、胸がドキッと高鳴った。
「うわっ、奈々りん、めっちゃ力強い……!」
奈々りんの肩が私の体をぐっと押してきて、思わず体が傾く。彼女のショートカットの髪が夕陽に揺れ、鋭い眼差しがキラリと光っている。その自信に満ちた表情に、ゾクッとするような熱が走る。
「かおりんこそ、めっちゃ本気で来るじゃん……!」
奈々りんが微笑みながら押し返してくる。その声には、どこか挑発的な響きがあって、負けられない火花が胸の中で弾ける。肩と肩が擦れ合うたび、畳の上で小さな電流が走るような感覚。
「ひゃっ、ゆ、ゆはりん、ちょっと、優しく……!」
ゆはりんが、ちっちゃい声で喘ぐように叫び、必死に正座をキープしてる。彼女の細い肩が私の腕に触れるたび、ふわっとした温もりが伝わってくる。守ってあげたいような、でもこの勝負に溺れたいような、相反する気持ちが胸を締め付ける。ゆはりんのロングヘアが夕陽に透けて、まるで薄絹のように揺れる姿に、思わず息を呑む。
「ゆはりん、姿勢、めっちゃ綺麗……さすが元茶道部!」
私が囁くように褒めると、ゆはりんは「う、うう、ありがとう……!」と頬を桜色に染めて、恥ずかしそうに目を伏せる。その仕草があまりにも愛らしく、胸の奥がキュッと疼いている。
畳の上で、三人の肩がぶつかり合うたびに、クスクスと笑いが漏れるけど、その裏にはピリッとした熱っぽい空気が漂ってる。力を入れるたび、汗ばんだ肌が触れ合い、座道の心を保つのが、まるで誘惑に抗うような試練。背筋をピンと伸ばし、呼吸を整えるけど、心臓の鼓動は抑えきれず、ドクドクと響く。
「うっ、かおりん、強すぎるって……!」
奈々りんが、ほんの少し押され気味で声を上げる。彼女の声に、微かな甘さが混じってる気がして、なぜか顔が熱くなる。
「奈々りん、油断したら負けるよ……?」
私はニヤリと微笑み、さらに肩に力を込める。奈々りんの体温が肩を通じて伝わり、ほのかな香水の匂いが鼻をかすめる。思わず、意識が彼女の近さに引き寄せられる。
その瞬間、ゆはりんが「ひゃっ!」と小さく叫び、畳の上でバランスを崩した。ロングヘアがふわりと舞い、正座が崩れる瞬間、スカートが若干まくれ上がり、太ももが夕陽に照らされる。その光景が一瞬の幻のように美しく、胸が締め付けられた。
「ゆはりん、アウト!」
奈々りんと私が同時に叫び、笑いながらゆはりんを指差すけど、心臓はまだドキドキと疼いたまま。
「うう、ごめんなさい……! 正座、崩れちゃいました……」
ゆはりんは恥ずかしそうに頭を下げ、スカートを直しながら畳にぺたんと座り込む。その華奢な背中が、守りたいような、でも勝負の熱に飲み込まれたいような、複雑な感情が胸を駆け巡る。
「ゆはりん、めっちゃ頑張ったよ! でも、次は私が勝つから!」
奈々りんが、気合を入れて正座を直す。その燃えるような闘志に、胸がまた熱くなる。
「よーし、第二ラウンド! 今度は奈々りんが合図ね!」
私はドキドキしながら、改めて正座の位置を整えた。夕陽が畳に長い影を落とし、部室の空気が一層熱を帯びる。次の勝負が、どんな甘い緊張感を連れてくるのか、体の奥で期待がざわめいていた。
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「おしくらまんじゅう、押されて泣くな!」
奈々りんの元気な声が部室に響き、夕陽の光が畳に温かな影を落とす。私と奈々りん、二人だけの勝負。ゆはりんは畳の端っこで、アイスティーをちびちび飲みながら、目をキラキラさせて応援してる。彼女のちっちゃな笑顔が、なんだか心をくすぐる。
「かおりん、負けないよ!」
奈々りんが、ぐっと肩を押してくる。さっきより力強い。彼女のショートカットが動きに合わせてパタッと揺れ、Tシャツの裾が少しめくれて、白いキャミソールの端がチラリと見えた。思わず目を逸らすけど、なんか顔が熱い。
「うわ、奈々りん、本気すぎ!」
私は笑いながら、負けじと押し返す。畳の上で膝が少し滑りそうになるけど、座道の心で姿勢をキープ。肩がぶつかるたび、奈々りんの温もりが伝わってきて、なんだか妙に意識しちゃう。
「かおりん、めっちゃ強いじゃん! でも、絶対勝つから!」
奈々りんの笑顔が、夕陽にキラキラ輝いて、なんかこう、胸がドキッとする。彼女の動きで、ショートパンツの裾が少しずれて、スポーティなインナーのラインがほのかに見えた瞬間、思わず息を呑む。
「二人とも、すごい! 座道の極意、めっちゃ感じるよ!」
ゆはりんが、ちっちゃい拍手しながら、ふわっとした声で応援してくれる。彼女のスカートの裾が、畳に座る動きでちょっとめくれて、ピンクのレースの縁がチラッと見えた。慌てて目を逸らすけど、なんか心臓がバクバクしちゃう。
押し合ってるうちに、私の膝がほんの少しズレた。畳のひんやりした感触が、汗ばんだ肌に心地いいけど、バランスを崩しそうになる。
「うっ、危ない!」
私が慌てて姿勢を直すけど、その隙に奈々りんがグイッと押してきた。彼女の肩が私の胸元に触れる。
「かおりん、今だよ!」
奈々りんの声が、ちょっと楽しそうに響く。
「うわっ!」
私の体が、畳の外にずるっと滑り出した。スカートの裾が少しめくれて、慌てて手で押さえる。
「奈々りん、勝ち!」
ゆはりんが、ぴょこんと立ち上がって叫ぶ。
「やったー! かおりん、惜しかったね!」
奈々りんが、ニコニコしながら手を差し出してくる。その指先が私の手に触れた瞬間、温かさがじんわり伝わって、胸がまたドキッとする。私はその手をつかんで立ち上がり、笑いながら彼女の肩を軽くポンと叩いた。
「くっ、奈々りん、強すぎ! 次は絶対リベンジするから!」
「ふふ、いつでも受けて立つよ!」
奈々りんがピースサインを作って、得意げに笑う。部室の空気が、青春の甘酸っぱいドキドキで満たされてた。
*
ゲームの後は、いつものお茶会タイム。畳に座って、抹茶マフィンを分け合いながら、笑い声が絶えない。
「座道式おしくらまんじゅう、めっちゃ楽しかったね!」
私がマフィンをかじりながら言うと、ゆはりんがこくこく頷く。
「うん、なんか……心がほぐれた気がします。座道って、こういうのも大事ですよね」
「でしょ! 座道って、心を整えるだけじゃなくて、仲間と笑い合うのも大事な修行!」
私は胸を張って、アイスティーをぐびっと飲んだ。
「かおりん、ほんと座道部の部長っぽいね」
奈々りんが、クッキーを手にニヤリと笑う。
「え、奈々りんこそ、めっちゃ強かったじゃん! あの押し方、座道の極意その四:力と心のバランス、だね!」
「そんな極意、初耳!」
奈々りんが大笑いして、部室に笑い声が響く。
*
部室を出ると、夕暮れの空がオレンジ色に染まっていた。奈々りんとゆはりんは、並んで校門に向かって歩いていく。
「かおりん、また明日ね!」
奈々りんが振り返って手を振る。
「うん! ゆはりんも、またね!」
私は二人に笑顔で手を振り返した。
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スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
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