彼を好きな理由

神木カロ

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15、強引なキス

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「ごめんなさい」

完全に気持ちが盛り上がっている三月に、頭を下げた。

「.....いいよ」

「え?」

いいよ、の意味が分からず頭をあげる。

「俺のこと好きじゃないって知ってる。最初が最初だし。仕方ない」

随分悲しそうな顔をするな、と思った。

好きじゃないって分かってるのに告白するだなんて勇気のいることで、現に今も握った拳が少し震えている。

「誰か好きになったの初めてだから、どうやれば俺のこと好きになってくれるか分かんねぇ」

.....ああ...この人は真剣だ。

私のどこを好きになってくれたのか全く分からないけど、真剣に私を好きでいてくれている。

「だから、とりあえず気がついたら俺のこと考えてるようにしてやろうって思ってさ」

得意気に笑う三月に、私はここ最近の自分を思い出した。

もう気づいたら三月のこと考えてるようになっちゃってるよ。

人が多い所に行けばいつの間にか三月を探してるし、図々しいって言われてすごく傷ついた。

でもそれはたぶん恋とかじゃなく、危険を察知するような、、、なんかそんな感じのものだと思いたい。

こんな暴力男を好きになっちゃったって認めたら、イケメンならなんでもいいみたいじゃないの。

ふと目を移すと、彼の拳はもう震えていない。

それどころか、椅子から立って私の目の前に立っていた。

「俺、本当に初めてだけど、よく兄ちゃんがしてるの見てたから、たぶん大丈夫」

吐息が感じられるほど近くに来て、顔をより一層近づける。

もしかして、私今やばいのでは??

無意識に胸の前で腕を交差して何もされませんようにと防御する。

後ずさりしようにももう後ろは壁で、右も左も彼の腕で通せんぼされて、前にはもちろん綺麗な顔が視界いっぱいに広がっていた。

「大丈夫」

急に耳元で囁かれて体がビクッと縮こまったところで、唇に湿ったものが押し当てられた。

これは、間違いなく、キスをされている。

胸に手を当てて突き飛ばさなきゃって思うのに、びくともしない。

両腕も壁から離されて私の肩と頭にまわされていた。

息を止めていたけど、唇はすぐに離されたから全然息苦しくはなかった。

その代わり、あまりにも無邪気な笑顔が目の前にあってクラクラして胸が苦しくなった。

中学生みたいに触れるだけのキスでこんなに喜んで、なにこれこんなにかわいいものなの?

もしかして最後までやられちゃうんじゃないかと、少しでも思った自分が恥ずかしい。

「Hされるんじゃないかって思ったの?」

思っていたことを当てられて体が硬直する。

三月は私が動けないようにがっちり固めていた腕を解いて、私の腕を下ろした。

「しないよ。六花は処女のまま俺とバージンロードを歩くから」







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