ラノベ主人公と呼ばれても。

いある

文字の大きさ
上 下
2 / 2

ボクとお出かけの話。

しおりを挟む
「にぃに…今日は何処に行くの?」
「そうだよ黒羽!お出かけすると決まったなら急いで決めるべき!」
ボクは今現在、ベッドの上で女性二人に迫られていた。いや別にいやらしい意味ではないけれど。
そもそもそんな意味で迫られたのなら冷静に思考を繰り広げる余裕など微塵もない。
別段今も落ちつけているわけでは無いが。
結局のところドキドキしてんじゃねえかとかいうツッコミは無視して今日のプランを考える。
正直この子達は何処に行っても楽しそうにしてくれるので逆にどこに連れていこうか迷ってしまう。
この間は動物園、その前は港町、ショッピングモールにも何度か連れていったが、いずれも楽しんでくれているようだから全て問題は無かったのだが…。一つ問題があるのだ。この子達と出掛けると。

放っておいてもナンパにあうし、かといってずっと一緒にいると両手に華状態になって周りの視線が痛い。
伊織の場合ならば、へらへらと笑いながら受け流すこともできるのだろうが、人見知りであまり人とコミュニケーションが取れる方ではない歩夢が狙われた場合が最悪である。
最近は高校生とかでもそういうのをしてるやつは多いらしく、中学生の歩夢であっても標的になり得る、らしい。
あくまで人づてに聞いたものだから確証は得られないが、警戒しておくに越したことは無い。
「んー、ボクは別にすっごくお金がかかるところじゃなければどこでもいいけど…。逆に二人は何処に行きたいの?」
「「黒羽(にぃに)と一緒ならどこでも」」
「…そういわれるのが一番困るんだけど」
「「じゃあ水族館」」
「決まっているなら最初から言ってくれればいいのに…。水族館だね。でもどうして?」
「「お腹が空いたから」」
「釣り堀ではないんですがあの」
「冗談だよぅ!もー、冗談が通じないなぁ相変わらず!」
「うむ、にぃには頭が固い」
…どうやらネタ合わせをされていたらしい。だが正直に言って悪くないアイデアだと思う。
お金がかかるといっても高校生に支払いはできるくらいの金額だし、歩夢に至っては子供料金で半額だ。
平気で一日、少なくとも半日は潰せる優秀なスポットである。デート…というのだろうか。
正直本人たちはそこまでボクのことを恋愛対象として見ていないとは思うが、そのように言われてしまうと少し気恥ずかしい。自分しか意識していないのだろうから尚の事。
本人たちが水族館といったのは間違っても空腹だったからではなく、ボクの懐事情に優しくなるような場所を選んでくれたのだろう。そうに違いない。本当に食べるつもりだったとか言わないでほしい。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...