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51 ツーリング2
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僕たちを乗せたバイクは山間の高速道路をひた走り陽が完全に昇りきった頃には海沿いにまでたどり着いた。
「うわーっ、海だー」
「キュー♪ キュー♪」
海を見たのはこの間ゆまは姉ちゃんと海水浴に行って以来でそう前のことじゃないけれど、やっぱり何度見てもその広さは圧倒される。
海のない山ばかりの場所に住んでるひとはみんなそうなんじゃないかな?
時々山に隠れちゃったり、高速道路の風避けの壁で見えなかったりするけど、見えた瞬間、毎回僕とアオちゃんは「海だー、海だー」「キュー♪ キュー♪」って大騒ぎしている。
それにバイクの側車ってのも面白い。
最初は視点が低くってちょっと怖かったけど、慣れるとスピード感があるし、風を直に感じられるのもキモチイイ。
考えてみればスーパーセブンだって似た感じだったんだよね。
モトラもこのウラルくらいスピードが出ればこんな感じなのだろうか?
僕がモトラで坂道を降った時はもう夢中でスピードの楽しさなんて感じてる余裕なんてなかったんだよね。
僕とアオちゃんは時折追い越したり追い越されたりする自動車やバイクに手を振ったりしながら高速道路ツーリングを楽しんだんだ。
「さて、高速道路ばかりじゃつまらないしね、この後は下道でのんびりと行こうか」
そう吹田さんが言って料金所に降りたのは海が見える場所を走り出してしばらくして、なんか海の上に建てられた大きい橋の途中だった。
海の上の橋を通るってのはなんだか空を飛んでいるみたいな気分で僕もアオちゃんもゴキゲンだっただけにちょっぴり残念だったけど、ツーリング自体が楽しいから『それもいいかな』って同意した。
ツーリングなら何でも楽しいような気分になっていたんだ。
海と並走する国道をしばらく走って途中にあった道の駅で休憩。
「ガソリンも心許なくなってきたし、給油がてら僕たちも休憩にしようか」
駐車場にウラルを停めてバイクから降りた吹田さんはそう言って大きく伸びをした。
「んん~、さすがに長時間同じ体勢で居ると身体が凝るよ」
僕とアオちゃんも吹田さんに倣ってストレッチをその場で行う。
「んん~」
「キュ~」
走ってる間はそう感じなかったけど、意外に僕の身体も凝ってたのか伸びをして深呼吸は気持ちがよかった。
「キュ! キュキュキューッ」
僕と吹田さんが暑くなってきたしアイスでも食べようかなんて話してるとアオちゃんがなんだかひどく興奮して僕のシャツをグイグイと引っ張ってくる。
「? どうしたの? 宝物になりそうなものでもあったの?」
僕がアオちゃんを抱き寄せてそう尋ねると、アオちゃんは「あっちあっち」って駐車場の一角を指差す。
そこには何台ものバイクが停められている。
何だろう? アオちゃんは感情の起伏が激しい性分なんだけどここまで興奮するってのも珍しいことだ。
そんなことを考えてたらアオちゃんは僕の腕からピョンって飛び降りて地面に着地、そのままトテトテと走り出した。向かっているのはアオちゃんがさっき指差した場所だ。
「アオちゃんッ!?」
「ッ、ナツくん、おいかけよう!」
「は、はいっ」
アオちゃんの脚はそう速くはない、いや、むしろ鈍足もいいとこなんだけど、僕はかなりの時間ぼんやりしていたのかその距離はかなり離れてしまっていた。
だってさ、アオちゃんが僕の腕からムズがるみたいに飛び出したのって初めてだったんだよ?
普段だったら僕の腕を叩いて「おろして」って合図をするのに。
そりゃぁショックで思考停止に陥るのなんて当然じゃない?
なんだか年頃の娘さんに「もうパパとお風呂入らない」って言われたお父さんみたいな気分になっちゃったよ。
ともあれ、僕たちがアオちゃんまでたどり着く前にアオちゃんはバイクの傍らで立ってジュースを飲んでいたひとの元までたどり着き。
「キューーー♪」
「うおっ!?」
ジャンプ!
向こうを向いていたキンパツのひとの背中にしがみついたんだ。
「ス、スミマセンッ、うちの竜が失礼なことを…」
僕は突然のことにビックリしている相手に謝ったんだけど、相手は僕の顔を見てまたビックリしたみたいだ。
「え? あ? ああっ! オマエこの間のアオちゃんとムエタイ女連れてたガキんちょ!!」
そう掠れた声で言ってきた相手は誰あろう以前ゆまは姉ちゃんと海に行ったときに親切にしてくれた海の家のお兄さんだったんだ。
てか、ムエタイ女? ああ、お兄さんゆまは姉ちゃんにケツキックされてたもんね。
「うわーっ、海だー」
「キュー♪ キュー♪」
海を見たのはこの間ゆまは姉ちゃんと海水浴に行って以来でそう前のことじゃないけれど、やっぱり何度見てもその広さは圧倒される。
海のない山ばかりの場所に住んでるひとはみんなそうなんじゃないかな?
時々山に隠れちゃったり、高速道路の風避けの壁で見えなかったりするけど、見えた瞬間、毎回僕とアオちゃんは「海だー、海だー」「キュー♪ キュー♪」って大騒ぎしている。
それにバイクの側車ってのも面白い。
最初は視点が低くってちょっと怖かったけど、慣れるとスピード感があるし、風を直に感じられるのもキモチイイ。
考えてみればスーパーセブンだって似た感じだったんだよね。
モトラもこのウラルくらいスピードが出ればこんな感じなのだろうか?
僕がモトラで坂道を降った時はもう夢中でスピードの楽しさなんて感じてる余裕なんてなかったんだよね。
僕とアオちゃんは時折追い越したり追い越されたりする自動車やバイクに手を振ったりしながら高速道路ツーリングを楽しんだんだ。
「さて、高速道路ばかりじゃつまらないしね、この後は下道でのんびりと行こうか」
そう吹田さんが言って料金所に降りたのは海が見える場所を走り出してしばらくして、なんか海の上に建てられた大きい橋の途中だった。
海の上の橋を通るってのはなんだか空を飛んでいるみたいな気分で僕もアオちゃんもゴキゲンだっただけにちょっぴり残念だったけど、ツーリング自体が楽しいから『それもいいかな』って同意した。
ツーリングなら何でも楽しいような気分になっていたんだ。
海と並走する国道をしばらく走って途中にあった道の駅で休憩。
「ガソリンも心許なくなってきたし、給油がてら僕たちも休憩にしようか」
駐車場にウラルを停めてバイクから降りた吹田さんはそう言って大きく伸びをした。
「んん~、さすがに長時間同じ体勢で居ると身体が凝るよ」
僕とアオちゃんも吹田さんに倣ってストレッチをその場で行う。
「んん~」
「キュ~」
走ってる間はそう感じなかったけど、意外に僕の身体も凝ってたのか伸びをして深呼吸は気持ちがよかった。
「キュ! キュキュキューッ」
僕と吹田さんが暑くなってきたしアイスでも食べようかなんて話してるとアオちゃんがなんだかひどく興奮して僕のシャツをグイグイと引っ張ってくる。
「? どうしたの? 宝物になりそうなものでもあったの?」
僕がアオちゃんを抱き寄せてそう尋ねると、アオちゃんは「あっちあっち」って駐車場の一角を指差す。
そこには何台ものバイクが停められている。
何だろう? アオちゃんは感情の起伏が激しい性分なんだけどここまで興奮するってのも珍しいことだ。
そんなことを考えてたらアオちゃんは僕の腕からピョンって飛び降りて地面に着地、そのままトテトテと走り出した。向かっているのはアオちゃんがさっき指差した場所だ。
「アオちゃんッ!?」
「ッ、ナツくん、おいかけよう!」
「は、はいっ」
アオちゃんの脚はそう速くはない、いや、むしろ鈍足もいいとこなんだけど、僕はかなりの時間ぼんやりしていたのかその距離はかなり離れてしまっていた。
だってさ、アオちゃんが僕の腕からムズがるみたいに飛び出したのって初めてだったんだよ?
普段だったら僕の腕を叩いて「おろして」って合図をするのに。
そりゃぁショックで思考停止に陥るのなんて当然じゃない?
なんだか年頃の娘さんに「もうパパとお風呂入らない」って言われたお父さんみたいな気分になっちゃったよ。
ともあれ、僕たちがアオちゃんまでたどり着く前にアオちゃんはバイクの傍らで立ってジュースを飲んでいたひとの元までたどり着き。
「キューーー♪」
「うおっ!?」
ジャンプ!
向こうを向いていたキンパツのひとの背中にしがみついたんだ。
「ス、スミマセンッ、うちの竜が失礼なことを…」
僕は突然のことにビックリしている相手に謝ったんだけど、相手は僕の顔を見てまたビックリしたみたいだ。
「え? あ? ああっ! オマエこの間のアオちゃんとムエタイ女連れてたガキんちょ!!」
そう掠れた声で言ってきた相手は誰あろう以前ゆまは姉ちゃんと海に行ったときに親切にしてくれた海の家のお兄さんだったんだ。
てか、ムエタイ女? ああ、お兄さんゆまは姉ちゃんにケツキックされてたもんね。
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