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ヒュジャックジョンソン誘拐事件
わくわく体験、お使いと観光プラン
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「先輩、お仕事ですよ。」
「あぁ、サナちゃんありがとう。
で、どんなお客さんかな?」
「そうですねぇ、流行りのシェアホテルで相手が見つからずに、渋々こっちに流れて来た余り者様すよ。」
「シェアホテル?」
「はい、持ち合わせの少ない旅人が多少なりともグレードの高いホテルに泊まりたいと言う時、見ず知らずの他人とシェア前提で泊まれるホテルですよ。」
「メリットは?」
「安い、美味い、広い、綺麗、おまけにペアになった妖精とのひと時のコミュニケーションが売りなのですよ。」
「ふ~ん 旅人3箇条はどうしたんだよ。」
「ノリですよ。
飲み屋と同じです。その場限りの付き合いです。」
「その内、旅人3箇条とかも死語になるのかな。」
「いえ、シェアホテルなんて一過性のブームですよ。
今は、私共木の組合が、あたかもブームを装って旅人を騙し・・・いえ、先導しているのですよ。」
「けど、楽しそうじゃん。
で、どうして今日来るお客さんは、余り者になったの?」
「あぁ、面倒臭そうな方でしたからね。
あっ、そうそう感知出来る方が少ないんですよ。 その方」
「君が見えたなら、君に近い石の僕なら多分見えるだろうな?」
「はい。 おそらくは。」
3737は、ヒューが自分に近いと聞くと、顔全体が満面の笑みで広がった。
傍目には、エイジヒルに向ける嫌味な笑顔とそう変わらないが、サナサナがヒューに抱く崇拝に近い感情がビシビシと伝わりヒューには、少し重たい。
「参ったなぁ、今日はエイさん取材なんだよね。」
「ほぅ、取材とはエラソーに、けど大丈夫です。
大人しい系で少しお頭が弱いだけのお客様ですので。」
「ふ~ん。」
「そうそう! その方は珍しい
虹の妖精なんですよ。」
「何と!」
「11時に来ますから、ハリー君に準備させといて下さい。」
ヒューは、珍しく興奮していた。
虹の妖精の存在は知っていたが、そう会えるものでも無い。
ひょっとしたら、ヒューには感知出来ないかも知れないのだが
何故にヒューは、虹の妖精に興奮するのかは、単に珍しいとかそう言う感情だけでは無い。
それは、幽街画廊オーナーとは別の顔の画家としてのヒューをときめかせるのだ。
何故ならヒューは、客が支払った妖石を顔料にして絵の具を作り絵を描いているのだ。
妖石は妖精の種類と個体差で色が違い一つとして同じ色は無いらしい。
それは、その妖精の人生が色付けているとヒューはそう考えている。
つまりそれは、同じ妖精の妖石でも出す度に色が違うということだ。
見た目では、分からないとしてもだ。
そして、その虹の妖精は、どんな色の妖石を出し、どんな色の絵の具が出来るのだろうか、ヒューの興味は尽きない。
「あの~」
「お客様、チェックインは11時ですよ。」
「ごめんなさい。」
「サナちゃん、彼は?」
「はい、例のお客様ですよ。」
幽街画廊の玄関に、ボーっと立っているのが虹の妖精だと言う。
その妖精は、髪は無く丸坊主、くりくり瞳のまんまる顔で、白いTシャツ一枚の飾り気も、主張も無い姿だった。
「ようこそ、幽街画廊へ。」
「いいんですか先輩。」
「えぇと君? 散らかってるけど良いかな?」
「ぼ、僕、ここ泊まって良いの?」
「君が良ければ良いよ。」
「あああありがとう!」
「ありがとうは、おあいこだね。
ゆっくりして行くと良いさ。」
「や、優しい。」
「君は、お客さんだからね。」
「それでは先輩、後はお任せしますよ。」
「ありがと、サナちゃん。」
「さなちゃん?」
「あぁ、彼のあだ名だよ。
本名は、組合員だからNo.3737だよ。」
「ぼ、ぼくはそのえと」
「よろしいですよ。
名前など殆どの妖精が持っていませんから。」
「う、うん。」
「で、僕の名前がヒュジャックジョンソンさ、ヒューと呼んでくれ。」
「ヒューさん。」
「そ、変な名前だろ。
友達が付けてくれたんだ。」
「と、友達いる! 凄い!」
「君は、友達が欲しいのかな?」
「うん、友達欲しい。」
「いずれ別れの時が来る。
それは、悲しいだろう。」
「その時は、分からない。
ずっと寂しいよりは良いから。」
「ほぅ、その考え方は好きだな。」
「先輩、あまり深入りしないよう。」
サナサナは、妙に不安気味な態度で、夢街画廊を出て行った。
エイジヒルが居れば、半ば強引に押し付けて帰るのだろうが、ヒュー相手だと強くは出ないどころか、変な心配さえされる。
サナサナは、昔の上下関係を引きずっているのだろうが、ヒューにとってその気遣いは気持ちいいものではなかった。
「あのっ!良いこと思いついた!」
「なんだい?」
「とととと・・・ともとも・・・」
「よし!分かった。
友達になろう。」
「そ、そう、友達が良い!」
「ただし君は今、ここ幽街画廊のお客様だ。」
「おお客様?」
「そう、友達だろうがマブダチだろうが、お客様として来た者には、最上級のおもてなしをする。
それが、幽街画廊だ。」
「ヒューさん、僕は友達の方が良い。」
「君は、客としてここに来た。
まずは、客を全うしてくれ、友達は、それからだ。」
「何をすれば良い?」
「そうだね。
まずは、部屋でゆっくり休んでよ。」
「お話ししたい。」
「わるいが、僕は、君の宿泊プランを考える仕事があるんだ。
夕食の時に提示するよ。」
「うん。」
虹の妖精は、寂し気な返事をして黙り込んだ。
この妖精は、一体何を抱え込んでいるのだろうか、ヒューは興味を持った。
「旦那ぁ、部屋の準備できましたぜ!」
ハリーが、虹の妖精をすり抜けて、ヒューの前に来た。
「ハリー、そこにお客さん居るけど見えてないよね?」
「へい、見えないっすねぇ。
すいません、激レアな妖精で。」
ハリーは、謝りながらも自分の希少さを鼻にかけている。
「いや、ハリー、今回のお客さんは、虹の妖精だ。
君より遥かに希少だよ。」
「なっ! 良いですかい。
アタシは、炎の妖精とか生まれの希少さとかじゃなくて、一流の料理人にして一流のホテルマンなんです。
人材としとのレアリティが激高なんですよぉ。」
「何だよ炎の妖精って、火だろ火。
色々ツッコミたいけどそこだけにしといてやる。
とっとと夕食の献立でも考えといてくれ。」
「分かりましたよ!
アタシのメシで、その虹のお客様を満足させてみせますよ。」
「そうだ、それで良いんだ。
後、客室のキーを取っ来てくれ、僕がお客様を案内するから。」
「旦那ぁ大丈夫ですか?」
ハリーは、不安気に客室のルームキーを、ヒューに差し出した。
ヒューの体から、細い腕が生えるとその手でキーを受け取った。
「大丈夫だ。お客さんに運んでもらうからさ
いいよね虹の妖精くん。」
「い、いいよ。」
虹の妖精は元気なくうなずいた。
この客は相当に拗らせている。
このまま部屋で休ませても安らぎは得られないだろう。
「あっ、そうだ。 キャンパス切らしてたなぁ、麻布を買いに行かなきゃ
けど、ハリーのヤツ忙しいし、エイさんも、ダルさんも居ないしなぁ・・・
誰か、ゴーストツリーのロレンツ手芸店に連れてってくれないかなぁ。」
ヒューは、虹の妖精の顔をチラ見して、わざと聞こえるように呟いた。
「ひ、ヒューさん!
僕、僕 暇だから!」
「けどなぁ、君は、お客様だからなぁ。」
ヒューは、焦らす様に答えて、虹の妖精の顔を見上げる。
「ぼ、僕は、その えと 」
この虹の妖精は、情報の処理能力は非常に低くて言葉が感情に追いつかずに吃る。
「そおおだ!
観光だ。 僕の買物がてら君のガイドをしよう!
わくわく体験、お使いと観光プランだ!」
「何それ! 楽しそう!」
「よし! 決まりだ。
ただし、ルールがある。」
「ねぇねぇ、どんなルールなの!」
「ルール1、僕は、この通り自分の力ではほぼ動けないから、君が運ぶ必要がある。
運び方は、僕のてっぺんにある取手を握って、トートバッグみたいに運んでくれ。
注意ポイントは、ゴーストツリーに近づくと、その瘴気のせいで、僕はぐんっと重くなる。 もちろん君もだけどね。
だから、お腹と心を満たしてからツリーを目指す事をおすすめするね。」
「難しいのかな?」
「楽しければOKだよ。
そしてルール2、妖石は、前もって準備しておく事。
さっきも言ったけど、ゴーストツリーに近づごとに瘴気が濃くなるから、そうなるとどんなに楽しくても妖石が生成できなくなるんだ。」
「あ、あの瘴気って何?」
「良くない気って言えば良いかな。
その気に触れると体が重くなるんだよ。
普通の道を歩く3倍は疲れるし風の妖精ならが飛べなくなるくらいに重くなる。」
「で、でも、何でその、ゴーストツリーの周りに街なんか作っちゃたの?」
「俗に言う木の組合の1番さんがゴーストツリーに目を付けたんだ。
大半の妖精にとっては視感と瘴気だけの半透明の巨木にさ、最初から商売が目的だったかどうかは知らないけど、1番さんの元には志に感銘を受けた沢山の木の妖精が集まってゴーストツリーを開拓したんだ。」
「何で? 何で感銘を受けたの?」
「それがね、誰も何が出来るとか考えてなかった。
ただ、1番さんは楽しくやってた。
それが羨ましかったんじゃないかな?
それに、木の妖精の中には、ゴーストツリーに触れる事が出来る者も居るから、自分達は特別とか思ってたんじゃないかなぁ?
皆で楽しくゴーストツリーに木の皮や板を貼り付けてたんだ。」
「よく分からないけど楽しいかも。」
「そうだね。
そして、ルール3、おもいっきり楽しむ事かな。」
「楽しむのがルール?」
「そっ。
ただの観光じゃないよ。
この観光は妖精人生の縮図だよ。
妖精は楽しくないと生きていけないからね。
君がこれからの妖精人生をサバイブするための訓練にもなるよ。」
「僕のこと心配してるの?」
「うん。
君は、旅慣れしていないからね。」
「わかった?」
「うん。
行こっか。」
「あぁ、サナちゃんありがとう。
で、どんなお客さんかな?」
「そうですねぇ、流行りのシェアホテルで相手が見つからずに、渋々こっちに流れて来た余り者様すよ。」
「シェアホテル?」
「はい、持ち合わせの少ない旅人が多少なりともグレードの高いホテルに泊まりたいと言う時、見ず知らずの他人とシェア前提で泊まれるホテルですよ。」
「メリットは?」
「安い、美味い、広い、綺麗、おまけにペアになった妖精とのひと時のコミュニケーションが売りなのですよ。」
「ふ~ん 旅人3箇条はどうしたんだよ。」
「ノリですよ。
飲み屋と同じです。その場限りの付き合いです。」
「その内、旅人3箇条とかも死語になるのかな。」
「いえ、シェアホテルなんて一過性のブームですよ。
今は、私共木の組合が、あたかもブームを装って旅人を騙し・・・いえ、先導しているのですよ。」
「けど、楽しそうじゃん。
で、どうして今日来るお客さんは、余り者になったの?」
「あぁ、面倒臭そうな方でしたからね。
あっ、そうそう感知出来る方が少ないんですよ。 その方」
「君が見えたなら、君に近い石の僕なら多分見えるだろうな?」
「はい。 おそらくは。」
3737は、ヒューが自分に近いと聞くと、顔全体が満面の笑みで広がった。
傍目には、エイジヒルに向ける嫌味な笑顔とそう変わらないが、サナサナがヒューに抱く崇拝に近い感情がビシビシと伝わりヒューには、少し重たい。
「参ったなぁ、今日はエイさん取材なんだよね。」
「ほぅ、取材とはエラソーに、けど大丈夫です。
大人しい系で少しお頭が弱いだけのお客様ですので。」
「ふ~ん。」
「そうそう! その方は珍しい
虹の妖精なんですよ。」
「何と!」
「11時に来ますから、ハリー君に準備させといて下さい。」
ヒューは、珍しく興奮していた。
虹の妖精の存在は知っていたが、そう会えるものでも無い。
ひょっとしたら、ヒューには感知出来ないかも知れないのだが
何故にヒューは、虹の妖精に興奮するのかは、単に珍しいとかそう言う感情だけでは無い。
それは、幽街画廊オーナーとは別の顔の画家としてのヒューをときめかせるのだ。
何故ならヒューは、客が支払った妖石を顔料にして絵の具を作り絵を描いているのだ。
妖石は妖精の種類と個体差で色が違い一つとして同じ色は無いらしい。
それは、その妖精の人生が色付けているとヒューはそう考えている。
つまりそれは、同じ妖精の妖石でも出す度に色が違うということだ。
見た目では、分からないとしてもだ。
そして、その虹の妖精は、どんな色の妖石を出し、どんな色の絵の具が出来るのだろうか、ヒューの興味は尽きない。
「あの~」
「お客様、チェックインは11時ですよ。」
「ごめんなさい。」
「サナちゃん、彼は?」
「はい、例のお客様ですよ。」
幽街画廊の玄関に、ボーっと立っているのが虹の妖精だと言う。
その妖精は、髪は無く丸坊主、くりくり瞳のまんまる顔で、白いTシャツ一枚の飾り気も、主張も無い姿だった。
「ようこそ、幽街画廊へ。」
「いいんですか先輩。」
「えぇと君? 散らかってるけど良いかな?」
「ぼ、僕、ここ泊まって良いの?」
「君が良ければ良いよ。」
「あああありがとう!」
「ありがとうは、おあいこだね。
ゆっくりして行くと良いさ。」
「や、優しい。」
「君は、お客さんだからね。」
「それでは先輩、後はお任せしますよ。」
「ありがと、サナちゃん。」
「さなちゃん?」
「あぁ、彼のあだ名だよ。
本名は、組合員だからNo.3737だよ。」
「ぼ、ぼくはそのえと」
「よろしいですよ。
名前など殆どの妖精が持っていませんから。」
「う、うん。」
「で、僕の名前がヒュジャックジョンソンさ、ヒューと呼んでくれ。」
「ヒューさん。」
「そ、変な名前だろ。
友達が付けてくれたんだ。」
「と、友達いる! 凄い!」
「君は、友達が欲しいのかな?」
「うん、友達欲しい。」
「いずれ別れの時が来る。
それは、悲しいだろう。」
「その時は、分からない。
ずっと寂しいよりは良いから。」
「ほぅ、その考え方は好きだな。」
「先輩、あまり深入りしないよう。」
サナサナは、妙に不安気味な態度で、夢街画廊を出て行った。
エイジヒルが居れば、半ば強引に押し付けて帰るのだろうが、ヒュー相手だと強くは出ないどころか、変な心配さえされる。
サナサナは、昔の上下関係を引きずっているのだろうが、ヒューにとってその気遣いは気持ちいいものではなかった。
「あのっ!良いこと思いついた!」
「なんだい?」
「とととと・・・ともとも・・・」
「よし!分かった。
友達になろう。」
「そ、そう、友達が良い!」
「ただし君は今、ここ幽街画廊のお客様だ。」
「おお客様?」
「そう、友達だろうがマブダチだろうが、お客様として来た者には、最上級のおもてなしをする。
それが、幽街画廊だ。」
「ヒューさん、僕は友達の方が良い。」
「君は、客としてここに来た。
まずは、客を全うしてくれ、友達は、それからだ。」
「何をすれば良い?」
「そうだね。
まずは、部屋でゆっくり休んでよ。」
「お話ししたい。」
「わるいが、僕は、君の宿泊プランを考える仕事があるんだ。
夕食の時に提示するよ。」
「うん。」
虹の妖精は、寂し気な返事をして黙り込んだ。
この妖精は、一体何を抱え込んでいるのだろうか、ヒューは興味を持った。
「旦那ぁ、部屋の準備できましたぜ!」
ハリーが、虹の妖精をすり抜けて、ヒューの前に来た。
「ハリー、そこにお客さん居るけど見えてないよね?」
「へい、見えないっすねぇ。
すいません、激レアな妖精で。」
ハリーは、謝りながらも自分の希少さを鼻にかけている。
「いや、ハリー、今回のお客さんは、虹の妖精だ。
君より遥かに希少だよ。」
「なっ! 良いですかい。
アタシは、炎の妖精とか生まれの希少さとかじゃなくて、一流の料理人にして一流のホテルマンなんです。
人材としとのレアリティが激高なんですよぉ。」
「何だよ炎の妖精って、火だろ火。
色々ツッコミたいけどそこだけにしといてやる。
とっとと夕食の献立でも考えといてくれ。」
「分かりましたよ!
アタシのメシで、その虹のお客様を満足させてみせますよ。」
「そうだ、それで良いんだ。
後、客室のキーを取っ来てくれ、僕がお客様を案内するから。」
「旦那ぁ大丈夫ですか?」
ハリーは、不安気に客室のルームキーを、ヒューに差し出した。
ヒューの体から、細い腕が生えるとその手でキーを受け取った。
「大丈夫だ。お客さんに運んでもらうからさ
いいよね虹の妖精くん。」
「い、いいよ。」
虹の妖精は元気なくうなずいた。
この客は相当に拗らせている。
このまま部屋で休ませても安らぎは得られないだろう。
「あっ、そうだ。 キャンパス切らしてたなぁ、麻布を買いに行かなきゃ
けど、ハリーのヤツ忙しいし、エイさんも、ダルさんも居ないしなぁ・・・
誰か、ゴーストツリーのロレンツ手芸店に連れてってくれないかなぁ。」
ヒューは、虹の妖精の顔をチラ見して、わざと聞こえるように呟いた。
「ひ、ヒューさん!
僕、僕 暇だから!」
「けどなぁ、君は、お客様だからなぁ。」
ヒューは、焦らす様に答えて、虹の妖精の顔を見上げる。
「ぼ、僕は、その えと 」
この虹の妖精は、情報の処理能力は非常に低くて言葉が感情に追いつかずに吃る。
「そおおだ!
観光だ。 僕の買物がてら君のガイドをしよう!
わくわく体験、お使いと観光プランだ!」
「何それ! 楽しそう!」
「よし! 決まりだ。
ただし、ルールがある。」
「ねぇねぇ、どんなルールなの!」
「ルール1、僕は、この通り自分の力ではほぼ動けないから、君が運ぶ必要がある。
運び方は、僕のてっぺんにある取手を握って、トートバッグみたいに運んでくれ。
注意ポイントは、ゴーストツリーに近づくと、その瘴気のせいで、僕はぐんっと重くなる。 もちろん君もだけどね。
だから、お腹と心を満たしてからツリーを目指す事をおすすめするね。」
「難しいのかな?」
「楽しければOKだよ。
そしてルール2、妖石は、前もって準備しておく事。
さっきも言ったけど、ゴーストツリーに近づごとに瘴気が濃くなるから、そうなるとどんなに楽しくても妖石が生成できなくなるんだ。」
「あ、あの瘴気って何?」
「良くない気って言えば良いかな。
その気に触れると体が重くなるんだよ。
普通の道を歩く3倍は疲れるし風の妖精ならが飛べなくなるくらいに重くなる。」
「で、でも、何でその、ゴーストツリーの周りに街なんか作っちゃたの?」
「俗に言う木の組合の1番さんがゴーストツリーに目を付けたんだ。
大半の妖精にとっては視感と瘴気だけの半透明の巨木にさ、最初から商売が目的だったかどうかは知らないけど、1番さんの元には志に感銘を受けた沢山の木の妖精が集まってゴーストツリーを開拓したんだ。」
「何で? 何で感銘を受けたの?」
「それがね、誰も何が出来るとか考えてなかった。
ただ、1番さんは楽しくやってた。
それが羨ましかったんじゃないかな?
それに、木の妖精の中には、ゴーストツリーに触れる事が出来る者も居るから、自分達は特別とか思ってたんじゃないかなぁ?
皆で楽しくゴーストツリーに木の皮や板を貼り付けてたんだ。」
「よく分からないけど楽しいかも。」
「そうだね。
そして、ルール3、おもいっきり楽しむ事かな。」
「楽しむのがルール?」
「そっ。
ただの観光じゃないよ。
この観光は妖精人生の縮図だよ。
妖精は楽しくないと生きていけないからね。
君がこれからの妖精人生をサバイブするための訓練にもなるよ。」
「僕のこと心配してるの?」
「うん。
君は、旅慣れしていないからね。」
「わかった?」
「うん。
行こっか。」
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