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夏休み 楓が家に
第十七話
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楓といつも一人で帰る帰路を歩くのは変な感じだった。家までは特になにもないのだけど、楓はもの珍しそうに周りをキョロキョロしている。
「どうしたの?」
横を歩く楓に聞くとキョロキョロしていた視線を私に向ける。
「いや、遥華がいつも帰っている帰路なんだなって思って」
楓は笑顔を私に向ける。それからすぐにまたキョロキョロし始めた。私たちは会話をしなかったけど、それでも居心地が悪いものではなかった。
家に着くとすぐにポストを開けた。だけどそこにはあるべき物はなかった。
「帰って来ているのかな?」
ポテトを閉めて玄関のドアを引く。玄関はなんの抵抗もなくゆっくりと開いた。
「ただいま」
玄関の中央にはママの履いている靴が置かれていた。私の声を聞いてか、リビングにいたらしいママが顔を出した。
「おかえり、いらっしゃい」
私が玄関に入ると楓も入って来る。
「お、お邪魔します」
緊張しているのか、楓も声は少し上擦っていた。
「初めまして、西野楓です。遥華さんにはいつもお世話にってます」
楓は綺麗に腰を曲げて礼をする。ママも同じように礼をした。
「初めまして、遥華の母の舞まいです。遥華をこれからもよろしくね」
「は、はい!」
楓が笑顔で元気よく返事をした。
なんだか楓が変な意味でとらえているような気がするのは私の考え過ぎだろうか。
楓とママの挨拶が切りよく終わったところで楓を部屋に行こうと誘導した。
「部屋に行こう」
「うん」
私は靴を脱ぎ、楓は脱ぎ終わるのを玄関前の階段の前で待ってから二階に向かった。
部屋の前に来ると楓が期待の目で私を見てくる。鼻息もなんだか荒いような気が・・・。
部屋のドアを開けるといつもと違う景色が目に入ってくる。自分でも一瞬、ここ私の部屋?と疑ってしまったぐらい片付いている。
「遥華の部屋っていつもこんなに綺麗なの?」
部屋の中央に置いたクッションに座りながら楓は聞いてくる。
私も向かいに置いたクッションに座りながら答えた。
「いつもではないけど、まぁ・・・こんな感じかな」
見栄っ張りの嘘を楓はその言葉を純粋に受け止めた。私の部屋のあちこちを見渡しながら。
「そうなんだ」
部屋を見渡されるにはなんとなく気恥ずかしいので私は楓に話を振った。
「楓はさ、なんで家に来たかったの?」
楓はキョロキョロさせていた視線を私に向けながら首を傾げた。
「?、好きな相手のことをより知りたいなら部屋に行くべし!って言わない?」
「・・・言わないと思う、よ」
自身なさげに答える。
私が無知なだけなのか、楓が言っていることが変なのかわからない。でも、楓が言っていることはなんとなくあっている気がする。楓の部屋に行ったら楓の好きなものや趣味がわかるだろう。
「なら、次は私が楓の家に行ってみたいな~」
「え!来る!」
「う、うん。行けるなら」
「いいよいいよ、夏休み中に来てよ」
「そう、しようか」
楓がテーブルに手を置いて体を前屈みにして来るので、私は少し引き気味に体を後ろさげた。
話がひと段落した後、楓はうわぁと言いながら後ろにTの字に倒れた。
「遥華が家に来たいって言うから興奮して暑い」
「なんで興奮するの!?ま、暑いからエヤコンつけるよ」
立ち上がってから勉強机に置いているエアコンに手を伸ばした。
電源を入れるとピッと音と共に涼しく冷気が吹いてくる。
「入れたよ」
「ありがとう・・・あ、そうだ!」
楓は何かを思い出したように体を起こすと鞄の中を漁り始めた。鞄からビニールの音とコロコロと何かが転がる音が聞こえる。それらを掴んだらしく鞄から取り出す。
「お菓子持って来てたの忘れてた」
そう言って出て来たのはきのこの里とたけのこの山、ポッキーと明治の板チョコと・・・楓はチョコが好きなのかな?
楓の鞄からはクッキーやグミなども出て来た。
「私、皿とジュース持って来るね」
楓のばかり準備してもらうのも悪いと思い、私はそう告げると楓を一人残して部屋を出た。
「どうしたの?」
横を歩く楓に聞くとキョロキョロしていた視線を私に向ける。
「いや、遥華がいつも帰っている帰路なんだなって思って」
楓は笑顔を私に向ける。それからすぐにまたキョロキョロし始めた。私たちは会話をしなかったけど、それでも居心地が悪いものではなかった。
家に着くとすぐにポストを開けた。だけどそこにはあるべき物はなかった。
「帰って来ているのかな?」
ポテトを閉めて玄関のドアを引く。玄関はなんの抵抗もなくゆっくりと開いた。
「ただいま」
玄関の中央にはママの履いている靴が置かれていた。私の声を聞いてか、リビングにいたらしいママが顔を出した。
「おかえり、いらっしゃい」
私が玄関に入ると楓も入って来る。
「お、お邪魔します」
緊張しているのか、楓も声は少し上擦っていた。
「初めまして、西野楓です。遥華さんにはいつもお世話にってます」
楓は綺麗に腰を曲げて礼をする。ママも同じように礼をした。
「初めまして、遥華の母の舞まいです。遥華をこれからもよろしくね」
「は、はい!」
楓が笑顔で元気よく返事をした。
なんだか楓が変な意味でとらえているような気がするのは私の考え過ぎだろうか。
楓とママの挨拶が切りよく終わったところで楓を部屋に行こうと誘導した。
「部屋に行こう」
「うん」
私は靴を脱ぎ、楓は脱ぎ終わるのを玄関前の階段の前で待ってから二階に向かった。
部屋の前に来ると楓が期待の目で私を見てくる。鼻息もなんだか荒いような気が・・・。
部屋のドアを開けるといつもと違う景色が目に入ってくる。自分でも一瞬、ここ私の部屋?と疑ってしまったぐらい片付いている。
「遥華の部屋っていつもこんなに綺麗なの?」
部屋の中央に置いたクッションに座りながら楓は聞いてくる。
私も向かいに置いたクッションに座りながら答えた。
「いつもではないけど、まぁ・・・こんな感じかな」
見栄っ張りの嘘を楓はその言葉を純粋に受け止めた。私の部屋のあちこちを見渡しながら。
「そうなんだ」
部屋を見渡されるにはなんとなく気恥ずかしいので私は楓に話を振った。
「楓はさ、なんで家に来たかったの?」
楓はキョロキョロさせていた視線を私に向けながら首を傾げた。
「?、好きな相手のことをより知りたいなら部屋に行くべし!って言わない?」
「・・・言わないと思う、よ」
自身なさげに答える。
私が無知なだけなのか、楓が言っていることが変なのかわからない。でも、楓が言っていることはなんとなくあっている気がする。楓の部屋に行ったら楓の好きなものや趣味がわかるだろう。
「なら、次は私が楓の家に行ってみたいな~」
「え!来る!」
「う、うん。行けるなら」
「いいよいいよ、夏休み中に来てよ」
「そう、しようか」
楓がテーブルに手を置いて体を前屈みにして来るので、私は少し引き気味に体を後ろさげた。
話がひと段落した後、楓はうわぁと言いながら後ろにTの字に倒れた。
「遥華が家に来たいって言うから興奮して暑い」
「なんで興奮するの!?ま、暑いからエヤコンつけるよ」
立ち上がってから勉強机に置いているエアコンに手を伸ばした。
電源を入れるとピッと音と共に涼しく冷気が吹いてくる。
「入れたよ」
「ありがとう・・・あ、そうだ!」
楓は何かを思い出したように体を起こすと鞄の中を漁り始めた。鞄からビニールの音とコロコロと何かが転がる音が聞こえる。それらを掴んだらしく鞄から取り出す。
「お菓子持って来てたの忘れてた」
そう言って出て来たのはきのこの里とたけのこの山、ポッキーと明治の板チョコと・・・楓はチョコが好きなのかな?
楓の鞄からはクッキーやグミなども出て来た。
「私、皿とジュース持って来るね」
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