彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

文字の大きさ
14 / 219

新しい関係

しおりを挟む
一応、この世界にはちょっとしたルールがある。

この世界における俺の知り合いは、あくまで転生前の世界で知り合った相手をモデルにして再構築して作られた別のキャラと言う扱いになるようだ。

故に、転生前の記憶はそうして作られたキャラとして生活した記憶を前世での記憶に寄せた物として共有している。

分かりやすく言うなら俺は現世でひーちゃんに告白した訳だが、それもこの世界では家族として愛を伝えたと言う事実に留めたと記憶されている、みたいな。

設定を変えて違和感が無いように、この世界の設定もまた上手く調整されているようである。

さて、なんでこんな話をしたのかと言うとだが、コイツは確かに俺を突き飛ばしたと今ハッキリ言ったのだ。

その事実は確かに前世での記憶であり、この世界での俺は生きてる訳で。

本来なら俺を突き飛ばしたなんて事実はこの世界で存在する筈がない。

つまり、だ。

その事実を知ってるのは犯人以外にいない。

「何が目的だ?」

「どう言う意味?」

「いや、こっちのセリフなんだが…。

なら言ってやる。

お前は前世の世界で俺を突き飛ばしてトラックに轢かせた。

その後にこいつ、リオの知り合いと結託して新しい世界を作って、俺を引き込んだ。

一体何が目的でそんな事を…。」

「だから、意味が分からない。

私は確かにあなたを突き飛ばした。

そしてその後に私も自殺したし、それで終わりだよ。」

やっぱ無理心中かぁ…。

事前に聞いてたけど改めて本人に言われると恐怖もまた一入である。

いや、そもそも本人に直接言われる機会なんて本来無い訳だが……。

それにしても…。

「どう言う事だ…?」

まだコイツの事を信じた訳じゃない。

でも仮にコイツが言う事を信じるなら…。

「つまり、俺を殺した奴と、この世界を作った奴は別…って事か…?」

「そう言う事になりますね…。」

いつの間にか隣に来ていたリオも同意する。

「ちょいちょい悠ちゃん、俺達さっきから何が何だかさっぱり…。」

「私達にも分かるように説明してよ。」

秋名、日奈美が口を挟む。

うーん…どう説明したものか…。

「目を覚まして気が付いたらここに居て、悠太も居るって分かってチャンスだと思ったの…!

今ならまたやり直せるかもって。」

一方の志麻はまだ自分の世界に浸っていた。

「いや、無理だろ…。

お前そもそも俺を殺してるんだぞ?」

「それは、だって…あれからまた一人になって寂しくて、全部投げ出して逃げて来たらその先に悠太が居た。

それを見たらもうなんか全部どうでも良くなったの。

このまま一緒に死のうって思ったんだもん。」

「うわぁ…。」

これには満場一致でこの反応である。

完璧に貰い事故。

本当一々怒りが一周回って恐怖に変わる系女子である。

いや、なんでもかんでも【系女子】ってつけたら可愛いと思うなよバカヤロウw
 
……とは言えどうすっかな…コイツ。

俺にトラウマを与え、更には無理心中までさせてきたやつである。

でもコイツをそのまま野放しにするのもなぁ…。

それはそれでまた恐怖になりうる...。

「やっぱ迷惑だよね、こんなクソ自己中女に付き纏われるなんて。」

「いや…分かってんなら……そうだな、お前はそうだったな…。」

もはやここまで来たら今更である。

でも志麻はそんな俺の反応に怒りもせずに少し寂しそうな表情を浮かべる。

そして急に泣き……え?泣き出した!?このタイミングで!?

嘘だろ……泣きたいのは俺の方なんだが……。

「そうだよ。

私は重くてめんどくさい。

そんな事、本当は自分でも分かってる。

でもどうして良いか分かんないんだもん。

今だってこう言ったら否定して貰えるって否定の言葉を待ってて…本当バカみたい。

こんな自分が……本当に大嫌い。」

実際そうなのだろう。

生きてると期待だってする。

でも実際にはその期待に手が届かなくて。

自分で自分の期待を裏切ってしまう。

ここでこうしてたら良かったのに、なんでそんな事も出来ないんだと、後悔のたらればで自分自身を責め立てる。

嫌われたくないからと誰かのせいにも出来なくて、まして自分から誰かを嫌いになれなくて。

だから結局自分を嫌いになって、全てが自分のせいのように思えてまた嫌いになって。

いつからか自分で自分を肯定出来なくなる。

自分が正しいと言う思いも信じられなくなる。

だから結局他人に依存するしかなくて、他人からの肯定や、指標の提示を求めてしまう。

「私なんか、転生しなければ良かったのに。

そしたらもっと楽しい学校生活送れたのにね。」

本当に申し訳なさそうな表情で志麻は言う。

「あぁ、本当にそう思うよ。」

でもだからと言って遠慮はしない。

「だから私は…。」

フェンスの方に目を向ける志麻。

「え、ちょ!?何する気!? 」

そのままそちらに向かって歩き出す志麻に日奈美が叫ぶ。

「だって……私みたいなクズにはもう生きてる価値も理由もないもん。」

そう言ってフェンスの前に着くと、そこに手を掛け……。

「甘ったれんな!」

「っ…!?」

そこで俺は叫ぶ。

「誰かにそんな事無いって否定してもらえると思ったら大間違いだ!

何もしないで誰かに愛されるなんて思うな!」

彼女はこれまでずっとそんな存在を求めて生きてきたのだ。

そうする事で、自分が認められなかった自分を保っていた。

そんな彼女にとって1人になる事がどんなに辛く、恐怖を感じる事なのか。

それはこうして自ら命を絶ちたくなってしまう物なのだろう。

気に入らねぇな。

「散々迷惑かけといて嫌われて、捨てられたか自殺だ?ふざけんな!

減ったならその分また増やせばいいだろ。

お前のケツくらいお前が拭け!

その上でどうしたいか、お前が決めやがれ!」

「わた、しは…。」

「悠太さん…女子にケツ拭けってセクハラ…。 」

リオに冷静にツッコまれてしまった。

「い、今真面目な話してんだっての! 」

「私は…もう一人になりたくない!!

でも…良いの?私なんかが…誰かを求めて。 」

思いのまま彼女は叫ぶ。

「そんなの俺が知るか。

お前が決めろ。」

「じゃあもう一回私と付き合っ…!「それは無理。」」

「秒で断るじゃん…。」

涙目で睨んでくる志麻。

「当たり前だろ?お前が俺にした事を考えろ。」

「うぅぅぅっ…!」

可愛いく唸っても駄目です。

コイツ、性格は本当アレ…だけど見た目は普通に可愛いんだよなぁ…。

性格は本当アレだけど(2回目)

「でもまぁ…お前をほっとくと何しでかすか分からないしなぁ…。

後ろから刺されるかもしれないし今みたいに自殺しようとするかもしれないし。」

「それは…。」

うん、そこは秒で否定してほしかったんだわ…。

「…だから、目の届く所に置いておく必要がある。」

「また付き合ってくれるって事!?分かった!24時間ずっと一緒に居るね!?」

「ちげぇわ!?」

本当怖いなwなんでそんな都合良いとこだけポジティブなのかしらこの子w

「だからその、友達な。」

「とも、だち?」

「そうだ。」

「じゃあ毎日電話して良いの!?」

「それは駄目…。」 

「じゃあメール…。」

「すぐ返せなくて良いなら…。」

「え?2秒でしょ? 」

早くも自分の発言を取り消したくなってきた…。

コイツと友達付き合いとか本当に出来るのかしらん…。

真実は神のみぞ知る…。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...