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新部長と申請書の記入
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放課後、DTM部部室。マリとコタツで雑談をしながら一年生を待っていた。
そうすると扉がノックされた。
「どうぞー」
声を掛けると扉が少し勢いよく開けられ、一年生の二人が入って来た。
西川は無表情で軽く頭を下げて、立花は謝りながら少し慌てた様子で。
「遅くなってすみません!」
「全然いいよー。集合時間決まってる訳じゃないし」
申し訳なさそうな立花にマリが笑顔を向ける。その通り。多少待とうと全然気にしない。
それともう一つ。二人がコタツに入った辺りで言った。
「ノックもいいよ。部長なんだし」
「え? 部長?」
呆気に取られていた。思いもしなかったんだろう。
「うん、軽音部の方が濃度高そうだし、立花に部長やってもらおうかと思って」
「いやいやいや! そういうのは先輩にやってもらった方が!」
首を横に振り、こちらに向けた両方の手の平も一緒に振りながら驚いて拒否された。
「私はそういうの気にしないよ」
「私もー」
私が言うとマリも同意してくれ、西川も頷いていた。
西川も立花が部長になることに異論は無い様子。
「でも部長ってなにすればいいのか全然分かりません!」
「大丈夫。私もよく分かってないのに部長やるつもりだったから」
「それは大丈夫なんですか?」
大丈夫じゃないと思う。なにしろ廃部寸前だったのだから。
でもそれは私に部長としての意識が低かったから。
立花なら部を大事にして真面目に取り組んでくれるだろう。
それだけで私よりもずっと適任のはず。
理由はまだあるけど、とりあえず適当に言いくるめよう。
腕を組み、目を瞑り頷いて意味あり気な雰囲気を出す。
「結局のところ大事なのは熱意ということだよ、立花君」
「熱意……」
立花が反応してくれたので目を見て神妙な面持ちで続ける。
「君のバンドにかける熱意はここにいる誰よりも熱いだろう?」
「はい! 熱いです!」
いい返事が返って来た。しめしめ、これはいける。まっすぐに目を見つめる。
「なら君が部長だ。君にしか任せられない。やってくれるね?」
「はい! 頑張ります!!」
チョロすぎる。笑いをギリギリで堪えた。
視界の端に映るマリも「チョロい」と思っていることが苦笑から感じられた。
こんなにチョロいとは思わなかったので少し心配にもなった。
まぁいい、気が変わらないうちに話を進めよう。
「では部長、部活申請書の記入と提出をお願い出来ますか? あとは部活名と一年の名前を記入するだけです」
「了解です! ……部活名はどうします?」
プリントに記入しながら尋ねられる。
一年生の二人に決めてもらうつもりだった。
「二人が決めていいよ。軽音部でもいい」
「え!? いいんですか!?」
プリントに落としていた視線をこちらに向けて驚かれる。
先輩達も多分そう言う。あの人らならこの状況を喜びかねない。
なにより部を守らなくてもいいと言われているし。
「うん、DTM部的には部室と機材が守れればいいよ」
「成瀬さんがそう言うなら決めさせてもらいますね。軽音部でいい?」
立花は西川に問いかけると、西川は頷いた。
それを見るとマリが形相を変えた。
「いやちょっと待ったぁ!」
長い付き合いだ。既にボケモードに入っているのが分かったので返しも雑になってしまう。
「なに?」
「なんで皆もっと考えないの? 今後ずーっと名乗る部活名だよ?」
「なんでもいいけど」
「なんかもっと考えようよ!」
「考えるとどうなるの?」
「あんまんズ」
「うん、考えなくていいよ。あんまん食べたいだけでしょ」
マリは「あれー?」というような、残念そうな表情を見せたが、これもボケの一部だ。
よくそんなこと思いつくよなぁ。といつも思う。
ポカーンと見ていた一年生二人も「気にしなくていいやつだ」と判断したようで、部活申請書の記入を進めていた。
「成瀬さん、顧問欄の田中先生って?」
「DTM部の顧問。昼休みに事情話して了解貰ってる。ソレの提出がてら紹介するから一緒に職員室行こう」
昼休みに昨日の経緯を先生に説明して色々確認しておいた。
部活名を変えたら部室も変わる。なんてことになったらシャレにならないし。
部長が変わるかもしれないことも伝えておいた。先生も引き続き顧問をやってくれるとのこと。
「楽器詳しくないから役に立てないかも」なんて言われてしまった。
大丈夫です。むしろ干渉されない方がありがたいです。とは言わなかったけど。
ガルテナの出場は学校として許可してもらえるか確認してくれるという話だった。
「了解です! 記入終わりました!」
「じゃあ行こうか」
「はい!」
立ち上がり上履きを履いて部室の扉に向かうとマリと西川から見送りの言葉を掛けられた。
「いってらっしゃーい」
「いってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
立花が元気に返す。職員室に行くくらいで大げさじゃない? と思ったので私は笑顔を返しておいた。
苦笑いになってしまったかもしれない。
ともかく、私は立花と二人で職員室に向かった。
そうすると扉がノックされた。
「どうぞー」
声を掛けると扉が少し勢いよく開けられ、一年生の二人が入って来た。
西川は無表情で軽く頭を下げて、立花は謝りながら少し慌てた様子で。
「遅くなってすみません!」
「全然いいよー。集合時間決まってる訳じゃないし」
申し訳なさそうな立花にマリが笑顔を向ける。その通り。多少待とうと全然気にしない。
それともう一つ。二人がコタツに入った辺りで言った。
「ノックもいいよ。部長なんだし」
「え? 部長?」
呆気に取られていた。思いもしなかったんだろう。
「うん、軽音部の方が濃度高そうだし、立花に部長やってもらおうかと思って」
「いやいやいや! そういうのは先輩にやってもらった方が!」
首を横に振り、こちらに向けた両方の手の平も一緒に振りながら驚いて拒否された。
「私はそういうの気にしないよ」
「私もー」
私が言うとマリも同意してくれ、西川も頷いていた。
西川も立花が部長になることに異論は無い様子。
「でも部長ってなにすればいいのか全然分かりません!」
「大丈夫。私もよく分かってないのに部長やるつもりだったから」
「それは大丈夫なんですか?」
大丈夫じゃないと思う。なにしろ廃部寸前だったのだから。
でもそれは私に部長としての意識が低かったから。
立花なら部を大事にして真面目に取り組んでくれるだろう。
それだけで私よりもずっと適任のはず。
理由はまだあるけど、とりあえず適当に言いくるめよう。
腕を組み、目を瞑り頷いて意味あり気な雰囲気を出す。
「結局のところ大事なのは熱意ということだよ、立花君」
「熱意……」
立花が反応してくれたので目を見て神妙な面持ちで続ける。
「君のバンドにかける熱意はここにいる誰よりも熱いだろう?」
「はい! 熱いです!」
いい返事が返って来た。しめしめ、これはいける。まっすぐに目を見つめる。
「なら君が部長だ。君にしか任せられない。やってくれるね?」
「はい! 頑張ります!!」
チョロすぎる。笑いをギリギリで堪えた。
視界の端に映るマリも「チョロい」と思っていることが苦笑から感じられた。
こんなにチョロいとは思わなかったので少し心配にもなった。
まぁいい、気が変わらないうちに話を進めよう。
「では部長、部活申請書の記入と提出をお願い出来ますか? あとは部活名と一年の名前を記入するだけです」
「了解です! ……部活名はどうします?」
プリントに記入しながら尋ねられる。
一年生の二人に決めてもらうつもりだった。
「二人が決めていいよ。軽音部でもいい」
「え!? いいんですか!?」
プリントに落としていた視線をこちらに向けて驚かれる。
先輩達も多分そう言う。あの人らならこの状況を喜びかねない。
なにより部を守らなくてもいいと言われているし。
「うん、DTM部的には部室と機材が守れればいいよ」
「成瀬さんがそう言うなら決めさせてもらいますね。軽音部でいい?」
立花は西川に問いかけると、西川は頷いた。
それを見るとマリが形相を変えた。
「いやちょっと待ったぁ!」
長い付き合いだ。既にボケモードに入っているのが分かったので返しも雑になってしまう。
「なに?」
「なんで皆もっと考えないの? 今後ずーっと名乗る部活名だよ?」
「なんでもいいけど」
「なんかもっと考えようよ!」
「考えるとどうなるの?」
「あんまんズ」
「うん、考えなくていいよ。あんまん食べたいだけでしょ」
マリは「あれー?」というような、残念そうな表情を見せたが、これもボケの一部だ。
よくそんなこと思いつくよなぁ。といつも思う。
ポカーンと見ていた一年生二人も「気にしなくていいやつだ」と判断したようで、部活申請書の記入を進めていた。
「成瀬さん、顧問欄の田中先生って?」
「DTM部の顧問。昼休みに事情話して了解貰ってる。ソレの提出がてら紹介するから一緒に職員室行こう」
昼休みに昨日の経緯を先生に説明して色々確認しておいた。
部活名を変えたら部室も変わる。なんてことになったらシャレにならないし。
部長が変わるかもしれないことも伝えておいた。先生も引き続き顧問をやってくれるとのこと。
「楽器詳しくないから役に立てないかも」なんて言われてしまった。
大丈夫です。むしろ干渉されない方がありがたいです。とは言わなかったけど。
ガルテナの出場は学校として許可してもらえるか確認してくれるという話だった。
「了解です! 記入終わりました!」
「じゃあ行こうか」
「はい!」
立ち上がり上履きを履いて部室の扉に向かうとマリと西川から見送りの言葉を掛けられた。
「いってらっしゃーい」
「いってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
立花が元気に返す。職員室に行くくらいで大げさじゃない? と思ったので私は笑顔を返しておいた。
苦笑いになってしまったかもしれない。
ともかく、私は立花と二人で職員室に向かった。
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