人間不審な8歳の元勇者は鬼とロボットと家族になる

どどどどどん

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コンコン

食器を洗うため、テラが朝食を食べ終わっただろう頃を見計らって1階へ降りると、ドアを叩く音がした。

今までそんなことが無かったため、いきなりのことに思わず動きが止まってしまう。

そんな私を横目に、2階へ戻ろうとしていたテラがドアを開けに行った。

開いた隙間から見えたのは、優しそうな雰囲気の男。
細目に茶髪の彼は、テラへ親しげに「やぁ」と挨拶をした。

「はぁ…お前、朝っぱらから来んなって毎回言ってんだろ…」
「だって、朝の方が行動しやすいからさ。偶に顔観にくるくらいなんだから許してよ。」

2人の親しげに話す様子に、どうやら友人のようだと予想がつく。

「で、今日は何の用だ。」
「いやいや。用はないって。ただ元気かなって顔観にきただけだってば。」
「そうかよ。」

じっと2人のやり取りを見ていると、ふとその男がこちらを見てきて目が合った。
それだけで男は目を見開いた。
はて、何かおかしな所でもあっただろうか。

「…テラ、あの子は?」
「あ?…あぁ。あいつは…俺ん家の居候だよ。」
「こ、こんにちは…。」
「…そう。」

一瞬、彼から怒ったような感情が伝わってきた気がしたけれど、それも直ぐに消え人当たりのいい笑顔を浮かべた。

「こんにちは。僕はテラの友人のミル。君は?」
「え、えっと。ララ…です。」

怒っていると感じたのは勘違いだろうか。
けれど、挨拶をしただけなのだから怒らす要素なんて無かったはずだ。

「なんだよ友人って。ただの腐れ縁だろ。」
「はぁ、テラっていつもそう言うよね。…彼女、人間だろ?お前人間とはもう…」
「うるせぇ。その話はすんな。」

ミルさんが声を潜めながら、私が人間と指摘するとテラは急に静かに怒った。

殺気すら感じられる。
何がそんなに彼の気に触ったのか。
私には分からない。

ミルさんはそんなテラの様子を見て怯えるのではなく、肩をすくめただけだった。

「分かった。ごめん。じゃあ今日はそろそろ帰るよ。」

申し訳なさそうにそう言ったミルさんは、踵を返して去っていった。
そんなミルさんを見送ることなく、テラは思いきりドアを閉めた。

「…どうしたの、そんなに怒って。というかミルさんも人間でしょう…?どうして私が人間だって態々指摘したの…?」
「お前には関係ねぇ。詮索するな。」

そう吐き捨ててテラは自室へと戻っていってしまった。

もう詮索はしないって決めていたのに、あまりの怒り様につい聞いてしまった。

「はぁ…」

またさらに謎が深まってしまった。
そもそも、あの人はテラが魔物だと知っているということだろうか。
でないと、私が人間だって指摘してこないと思うんだけど…。

悶々と考えていると2階からリラが駆け足で降りてきた。

「あれ、どうしたの?自分から降りてくるなんて珍しい。」
「攻撃されてる音がした。敵は。」
「こ、攻撃…?そんな音なんて…あぁ、テラが思い切りドアを閉めはしたけど…。」

いつもより早口で喋るリラにそう言うと、興味を失ったように2階へと戻っていってしまった。

なんだったの…。
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