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女神は、頼もしい勇者より生活費が欲しい。

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「うーん...見た目童貞っぽいしお前今日から通りすがりの美人にニヤついているモブな」

女神の仕事はいつも忙しい!
今日も残業を付きで、2000人程の勇者たちを異世界に転生させる手助けをこなしたばかりだ!

今回は、美女が乗るトラックに跳ねられたり、美女が乗るタンクローリーに潰されたり、ごく稀に美女を道案内されただけでショックで死んだ者もいたり、美女に対して全く体制が無い魂たちが私の元にやって来る。

美人に体制無い奴に限って異世界は、
美人たちとハーレムを選び転生するが、
そこでもコミュ障が発動し、女性に声を掛けれ無いまま一生を過ごし、また女神の元に帰って来る。

だが、ごく稀に女神と結婚しようなどと
急に気が変わってナンパして来るやつもいる。

金髪で巨乳な上に、シスターみたいな服装している女性が目の前で立っていたらそりゃあ、ナンパされるよね..

まぁ、一年くらい仕事着を洗濯して無いから香水でなんとか匂いを誤魔化してたけど。

明日早く帰って、持ってる魔法の杖ごと洗濯するか!




(もう、クリスマスかぁ~!私は、昨日ゲーム課金し過ぎて、生活費無いからクリスマス返上だけど..)

昨日、ゲームで欲しいキャラのためにかなり課金をしてしまった。

生活が苦しいと分かっているのに。

(ちくしょー!!!衝動のまま天井まで課金してしまったー!タイムスリップして昨日の自分をぶん殴りたいわ!!!)

見事に、諭吉共々お財布から転生させてしまった。これも女神の宿命だろうか。

お金が欲しいだけのために”女神”と言う仕事をしている。正直勇者がイケメンだろうが特殊能力持ちだろうがそんな奴、年間何万人も見てるから、興味は全く無い。

最悪な事に、給料が大体5万だからそこからゲームの課金した分の借金の返済と色々引かれたら..

もやし生活確定だな。
精々味付けの調味料くらいは買える貯金は欲しい。





どんなに嘆いても私の財布の中は、諭吉様どころか一葉様も英世様も帰っては来ない。

そして、今月も諭吉たちを温かく迎えるために”女神”として身を崩して行く。

だが女神と言う仕事は、転生者のお悩みを聞かなくてはならない時がある。
内心は、序盤のスライムでパーティ全滅しようが、魔王に負けようが、世界が滅ぼうが私からしたら知った事では無い。

自分の事でも大変なのに、勇者など救えるはずが無い!!!

だが、器が大きく母のように優しい女神と
転生者(勇者)たちには感じてもらいたいため、一様相談には乗る事にした。

「今日は、何?」

「女神様!俺..ハーレムの世界に転生出来て嬉しい限りですが、牛のモンスターにしかモテないっす..」

「毎日牛乳飲めるし、ほのぼのと牧場開拓したら?」

ハーレムの世界に転生出来ても美人の人間にモテるとは、保証は無い。
この人は、美人なメス牛にモテてしまい絶賛ハーレム中と言う事らしい。



「女神様!チートスキルを用意してくれたのは嬉しいですが、全然使う所がない!」

「チートスキル?忘れたわ..どんなスキルだっけ?」

「ゴミ分別」

ゴミ分別も良いスキルではないか!
小さなゴミまでしっかり分けられて尚且つ、ゴミ回収業者に100%気持ち良く回収してもらえる!業者も近所の方もニッコリな便利スキルでは無いか!!!

まぁ…適当にそいつの見た目からイメージに合ったスキルを配布したんだけどね。
毎日何千件も見てると配布するスキルのネタも尽きるのよ!大体の相談が苦情だけど丁寧に返答してやってるから恨むなよ!女神を恨むならゼウスの性癖でも恨みな!

ゼウスの性癖とか知らんけど。


「女神様~!私さぁ!見た目通り、目がパッチリして唇も柔らかくて、男が好きそうな顔つきが可愛い女じゃない?良い男くらい見分けられるからさ、女神様も彼氏作ってみたら?彼氏いなさそうな見た目してるし!」


「良い男を見分ける所かそこら辺で散歩してたおじさんを推しのアイドルと見間違えてキュン死してここに来てますけど?」

「すみません、推しのアイドルとおじさんを間違えました」

こう言う自分がどんな状態か理解せず、自分を特別な人間と自慢して来る奴が、ごく稀にいる。そんな奴は、普通に嫌いだから異世界には導いてあげない。


このように、99%の気分と1%の思いやりで異世界に人々を導いている。

全ては諭吉様のために!

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